異世界転生してひっそり薬草売りをしていたのに、チート能力のせいでみんなから溺愛されてます

ひと息

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調合

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「あれ…アッシュは?」
息を切らして帰ってきたキルヴァンは、廉とセインだけの部屋を見て言う。
「薬草や調合用の器具を取りに帰りました。2時間くらいで帰ってくるそうです」
「そうだったのか」
キルヴァンはそう言うと、傍にあった椅子に座ってルミナリーフの入った麻袋を廉に渡した。
「生えてた分は全部抜いてきた」
「ありがとうございます。待っている時間ももったいないですし、ある分だけで先に調合しましょうか」


「お兄ちゃん、上手!」
椅子を引っ付けて簡易的なテーブルを作り、セインがベッドからでも見えるように目の前で調合をする。
セインは大喜びしながらそれを見て、すごぉい、と何度も手を叩いた。
「器用なもんだ」
キルヴァンは感心する。
「昔から、こういう細かい作業は好きだったんです」
薬草を粉々にすりつぶし、丁寧にグラム数を間違えないように量る。そうして量った薬草同士を、ひたすら混ぜ合わせる。
”早く治るといいな”
廉はそう思いながら器用に薬を調合し、あっという間に数個の薬が出来上がった。

「どうしましょう…アッシュさんはいないけど、とりあえずセインくんに薬飲ませておきます?」
「そうだな。一旦そうするか」
「セインくん、お水ってどこにあるの?」
「後ろの部屋のね、そこの蛇口をひねると出てくるからね、いつもそれでお水飲んでるよ」
「ありがとう」
そう言うとキルヴァンは立ち上がり、水を汲みに行く。

道中にアッシュから聞いた話では、どうやら、アッシュには親がいないようだった。
代わりに近所のおばさんが二人の親代わりになっているようで、セインの様子は毎日おばさんが見に来てくれているらしい。

「おばさんは、今日は来ないの?」
「朝に来たからねぇ、今日はもう来ないよ」
セインはなんてことのないように話した。
病弱な身体で頼れる兄は遠く離れた場所に住んでいる。
親代わりのおばさんも四六時中家にいるわけではない。
そんな状況をセインは一人で耐えているのかと思うと、廉はセインを思い切り抱きしめてやりたくなった。


「あの、これ。妹さんに先に飲ませてあげてください」
廉は、調合したうちの薬の一つをキルヴァンに渡す。
「助かる。本当にありがとう」
「いえいえ。僕はアッシュさんの帰りを待たないといけないので、キルヴァンさんは家に帰って妹さんに薬を飲ませてあげてください」
「ありがとう」
「明日も僕はここにいますし、よければ薬の調合を手伝ってくれませんか?」
「もちろんだ。明日、またここに来る」
薬を渡すとキルヴァンは急いで家へ帰り、残された廉はセインと少しの間、絵本を読みながらアッシュの帰りを待った。
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