異世界転生してひっそり薬草売りをしていたのに、チート能力のせいでみんなから溺愛されてます

ひと息

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新しい人生の始まり

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飛び交う怒号。
消えないオフィスの明かり。
終電の概念も消し飛ぶ床に置かれた寝袋。

れんは思った。
あ、これは死ぬな。と。



「お疲れ様でした、廉さん」

ふと目を開くと、そこは真っ暗な空間。
そして目の前には、なにやら神様らしき人物。

「あ…え…?」
状況が呑み込めず、間抜けな返事をしてしまう。
すると神は続けた。

「あなたは過労死しました」

「…え?」

「過労死しました」



どうやら、本当に死んでしまったらしい。
日々の長時間労働の末の、過労死だ。
ニュースで時々見かけるブラック企業に命を奪われるとは、何とも哀れな・・・
廉はどこか他人事のようにそう思いながら、後光が差す神の顔をまじまじ見た。

「それで…ここはどちらで…?」
「両親を早くに亡くし、一人で弟さんを立派に社会人まで育て上げ、自身も会社に勤め上げ…。素晴らしい人生です」
「いや…へへ…」
そう褒められ、廉は照れる。褒められて悪い気はしない。
ブラック企業に引っかかり過労死したことを、会社に勤め上げたと表現されたのは少々疑問だが。

「そこで神は、貴方に再度、生を与えることとしました」
「生、ですか?」
「貴方が望む姿で、貴方が望む世界へと、転生させましょう」
「はぁ…」
上手く状況が飲み込めずにいると、それを察したのか神は続けた。
「異世界転生、貴方の世界で流行ってたでしょう。アニメとかラノベ小説とか。それです」
「なるほど」
「次に生まれる世界、どんな世界がいいですか?モンスターが蔓延る世界?ゾンビ映画のような世界?今までと同じ平凡な世界?それとも…」

そう話しだす神の言葉を遮り、廉は一言、こう言った。


「小さい町で、薬草を売りながらスローライフを送りたい!!!!」



「それでは、良いスローライフを」

神はにこやかに手を振ると、廉の視界から消えていく。
そして廉もそれに合わせるかのように視界が暗くなり、そこで意識が途絶えた。
次に目を開けた時には、廉は異世界へ転生しており、辺りを見渡すと、そこは小さな町だった。




「あ、ついでにチート能力も付けてあげたのに、伝えるのを忘れていましたね。まぁ、いいか」

神はおっちょこちょいであった。

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