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第二章 ワタクシが妊娠!? ...子供の父親は誰なのです!?
18.その御名前は
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ピーター
「残念ながら、それを決めるのはワタクシメではありません」
シルバー公爵
「それを決めるのは私だからね」
デボラ
「お、お父様!?」
ピーター
「閣下!」
シルバー公爵
「話は聞かせてもらったよ」
デボラ
「いつからいらしたの!?」
シルバー公爵
「長年勤めた家臣を見送ろうと思ってね」
ピーター
「最初からいらしたのですか!?」
シルバー公爵
「あぁ~、声を掛けようと思ったのだけど、とても、声を掛け辛い状況だったのでね」
デボラ
「そ、そう...だったら話がはやいですわ! あの者に恩赦を与えて下さい」
ピーター
「お嬢様、閣下でも無理でございます。平民が貴族の令嬢を凌辱したら死罪であると法律で決まっております。これだけ多くの方々に知られてしまっては、弁解の余地がありません」
シルバー公爵
「そうだね。だけれど、君の命を救う方法はある」
デボラ
「どうやって!?」
シルバー公爵
「責任をとって結婚すればいい」
ピーター
「それこそ無理でございます。卑しい身分の男が公女様と結婚出来るはずがありません」
シルバー公爵
「卑しい身分でなくなればいいのだ。幸いな事に私は公爵で爵位任命権がある。デボラが君を愛していて、結婚したいと言うのならば、君に騎士の位を与えよう」
デボラ
「お父様!」
シルバー公爵
「デボラ、言っただろう? この父は大抵の事は何でも出来るのだ」
ピーター
「閣下、それこそ無理でございます。ワタクシメは1度だってお嬢様に名前で呼ばれた事がない男なのでございます」
デボラ
「アンタだってワタクシの事を名前で呼んだ事がないじゃない! ピーター!」
ピーター
「ワタクシメの名前をご存知だったのですか!?」
デボラ
「どうして専属で仕える男の名前を知らないと思ってるのよ? ワタクシはアホの子じゃないのよ!?」
ピーター
「左様でございますか。存じ上げませんでした」
デボラ
「ちょっとアンタ! ワタクシの事を馬鹿にしているんでしょ!?」
ピーター
「滅相もございません」
デボラ
「アンタこそ、ワタクシの名前を知らないんじゃいの!?」
ピーター
「存じ上げております」
デボラ
「じゃあ、言ってみなさいよ!」
ピーターは溜息をついた。
それでデボラはまたイラッとした。
いつだって、そうだ。いつだってワタクシをイライラさせる!
ピーター
「そのお名前は
女悪魔を意味する ディアヴォラに
極めて似た響きを持っております」
デボラ
「はぁ?」
ピーター
「いつでも私の心に痛みを与え苦しめる」
デボラ
「......そんなの、アンタも一緒じゃない」
ピーター
「甘い蜜の香りを漂わせ
近付く者を虜にする
誘われ触れようとした者を
一刺しにする
花から花へ 蜜から蜜へと
移り行く 蜜蜂の女王
その名前は デボラ
私に 甘い痛みを与える女悪魔」
(デボラはヘブライ語で蜜蜂という意味)
デボラ
「あぁ! 嫌ですわ! アンタはいつだって、そうなのよ! いつだってワタクシの心を、そうやって苛立たせる! 気に入らないのよ! ガリガリのチビの癖に! もっと、ちゃんとご飯を食べなさいよ! ボロボロの手が見苦しいのよ! クリーム塗って、手袋くらいしなさいよ! 日に焼けてソバカスだらけの顔で、作り笑いなんかして! 帽子くらい被りなさいよ! 泣きたいなら泣きなさいよ! 欲しいものは欲しいと言いなさい! 最後の望みくらい、正直に言いなさいよ!」
ピーターは苦い顔で笑っている
ピーター
「あぁ~、では、閣下に騎士の爵位を賜りたく」
デボラ
「この後に及んで、そんな事しか言えないの!? どうやら本気で死にたいらしいわね?」
ピーター
「お嬢様は酷い人ですね! 一所懸命にお仕えしてきたのに! 哀れな男に愛の告白をさせて、愛していないとその口で言い放ち、哀れな男の息の根を止めようとする!」
デボラ
「人聞きの悪い事を言わないで! ワタクシの事をなんだと思っているの!?」
ピーター
「ですから、女悪魔だと...」
デボラ
「な!? じゃあ、望み通り、息の根を止めてやるわ!」
「残念ながら、それを決めるのはワタクシメではありません」
シルバー公爵
「それを決めるのは私だからね」
デボラ
「お、お父様!?」
ピーター
「閣下!」
シルバー公爵
「話は聞かせてもらったよ」
デボラ
「いつからいらしたの!?」
シルバー公爵
「長年勤めた家臣を見送ろうと思ってね」
ピーター
「最初からいらしたのですか!?」
シルバー公爵
「あぁ~、声を掛けようと思ったのだけど、とても、声を掛け辛い状況だったのでね」
デボラ
「そ、そう...だったら話がはやいですわ! あの者に恩赦を与えて下さい」
ピーター
「お嬢様、閣下でも無理でございます。平民が貴族の令嬢を凌辱したら死罪であると法律で決まっております。これだけ多くの方々に知られてしまっては、弁解の余地がありません」
シルバー公爵
「そうだね。だけれど、君の命を救う方法はある」
デボラ
「どうやって!?」
シルバー公爵
「責任をとって結婚すればいい」
ピーター
「それこそ無理でございます。卑しい身分の男が公女様と結婚出来るはずがありません」
シルバー公爵
「卑しい身分でなくなればいいのだ。幸いな事に私は公爵で爵位任命権がある。デボラが君を愛していて、結婚したいと言うのならば、君に騎士の位を与えよう」
デボラ
「お父様!」
シルバー公爵
「デボラ、言っただろう? この父は大抵の事は何でも出来るのだ」
ピーター
「閣下、それこそ無理でございます。ワタクシメは1度だってお嬢様に名前で呼ばれた事がない男なのでございます」
デボラ
「アンタだってワタクシの事を名前で呼んだ事がないじゃない! ピーター!」
ピーター
「ワタクシメの名前をご存知だったのですか!?」
デボラ
「どうして専属で仕える男の名前を知らないと思ってるのよ? ワタクシはアホの子じゃないのよ!?」
ピーター
「左様でございますか。存じ上げませんでした」
デボラ
「ちょっとアンタ! ワタクシの事を馬鹿にしているんでしょ!?」
ピーター
「滅相もございません」
デボラ
「アンタこそ、ワタクシの名前を知らないんじゃいの!?」
ピーター
「存じ上げております」
デボラ
「じゃあ、言ってみなさいよ!」
ピーターは溜息をついた。
それでデボラはまたイラッとした。
いつだって、そうだ。いつだってワタクシをイライラさせる!
ピーター
「そのお名前は
女悪魔を意味する ディアヴォラに
極めて似た響きを持っております」
デボラ
「はぁ?」
ピーター
「いつでも私の心に痛みを与え苦しめる」
デボラ
「......そんなの、アンタも一緒じゃない」
ピーター
「甘い蜜の香りを漂わせ
近付く者を虜にする
誘われ触れようとした者を
一刺しにする
花から花へ 蜜から蜜へと
移り行く 蜜蜂の女王
その名前は デボラ
私に 甘い痛みを与える女悪魔」
(デボラはヘブライ語で蜜蜂という意味)
デボラ
「あぁ! 嫌ですわ! アンタはいつだって、そうなのよ! いつだってワタクシの心を、そうやって苛立たせる! 気に入らないのよ! ガリガリのチビの癖に! もっと、ちゃんとご飯を食べなさいよ! ボロボロの手が見苦しいのよ! クリーム塗って、手袋くらいしなさいよ! 日に焼けてソバカスだらけの顔で、作り笑いなんかして! 帽子くらい被りなさいよ! 泣きたいなら泣きなさいよ! 欲しいものは欲しいと言いなさい! 最後の望みくらい、正直に言いなさいよ!」
ピーターは苦い顔で笑っている
ピーター
「あぁ~、では、閣下に騎士の爵位を賜りたく」
デボラ
「この後に及んで、そんな事しか言えないの!? どうやら本気で死にたいらしいわね?」
ピーター
「お嬢様は酷い人ですね! 一所懸命にお仕えしてきたのに! 哀れな男に愛の告白をさせて、愛していないとその口で言い放ち、哀れな男の息の根を止めようとする!」
デボラ
「人聞きの悪い事を言わないで! ワタクシの事をなんだと思っているの!?」
ピーター
「ですから、女悪魔だと...」
デボラ
「な!? じゃあ、望み通り、息の根を止めてやるわ!」
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