71 / 73
第二章
71
しおりを挟む
「何よ? 文句ある?」
「目利きの試験ではないのですから、高そうなものを買うのではなく、似合う物を買って下さいよ。まさか、後で売るつもりじゃないですよね?」
ギクッとしたエミリアに、フリードリヒは溜息を吐いた。
「わ、分かったわよ! これはやめて、こっちにするわ!」
エミリアは王宮から出ても使えそうな一粒だけのパールのネックレスを指さした。
すると、フリードリヒはもっと大きな溜息を吐いた。そして、エミリアの選んだ品の他に、3連パールの豪華だけど上品なネックレスとイヤリングのセットも一緒に包むように商人に指示した。
ドレスのコーナーは有名店が数軒、自慢の商品を並べている。自分の店を選んでもらおうと、店主達は揉み手して待機していた。
エミリアは自分に似合いそうなブロンズカラーのドレスを手にとったのだが、またもやフリードリヒの目がつりあがっている。
「な、何よ?」
「い、いえ...お好きな物を買って下さい。ただ、そのドレスには先程買ったアクセサリーは合わない気がしますので、それを買うなら、宝石売り場に戻りましょう」
「あ、そうよね。ジュエリーなんて自分で買った事がなかったから知らなかったわ」
エミリアは手に持っていたドレスを元の場所に戻した。
すると店主が慌てて、別の商品を勧める。
「先程、購入されていたダイヤのネックレスには、こちらのドレスなんてどうですか?」
プリンセスラインの真っ赤なドレスや、薄いピンクに金の刺繍がされた豪華なドレスを見せてくる。
なるほど~、確かに、あのダイヤのネックレスにはこういうドレスが合うかも。
チラッとフリードリヒの方を振り返ると、フリードリヒはやっぱり、嫌そうな顔をしていた。
いつもの仮面は何処へいったのかしら? ちょっと、面白いわ。
エミリアは、色々なドレスを手に取って、フリードリヒの表情の変化を楽しんだ。
そして、結構、1番最初のブロンズカラーのドレスを選んだ。
すると、フリードリヒはエミリアの手を掴んで、宝石売り場へと戻った。
怒っているフリードリヒの顔が面白くてエミリアは思わず噴き出した。
「ふざけていないで、ちゃんと選んで下さい! エミリーの買い物なんですから」
「はいはい。それで、あのドレスにはどのアクセサリーが合うの?」
フリードリヒは石なしの純金製のチョーカーを選んだ。チョーカーにはボディチェーンが付いており、石なしでもとても豪華な一品だった。
「すごく良いと思いまぁ~す」
フリードリヒは褒められて機嫌を直したのか、いつもの笑顔に戻った。
「じゃあさ! あのサファイアのジュエリーにはどんなドレスが合うの?」
「もう一度、ドレスを見てみましょう」
フリードリヒがドレス売り場に戻るので、エミリアはこっそりガッツリポーズを決めた。
2着目ゲット!
フリードリヒは、さっきとは別のブランドのドレス売り場に来て、青と紫と紺のレースが幾重にも重ねられたマーメイドドレスを手に取った。マーメイドドレスだが、裾が豊かに広がる豪華なドレスである。
フリードリヒは、そのドレスに合わせて、サファイアが縫い付けられたハイヒールのパンプス、刺繍たっぷりのジョーゼット生地の手袋、金糸の織り込まれたカシミヤショール、レース製の扇子など、次々と選んでいった。
私よりも真剣に、私の服飾品を選んでるなんて、フリッツってば、実は私のこと好きなんじゃない?
あぁ~、期待しちゃうけど、期待し過ぎちゃダメよ~!
お姫様が泣いたら、皆が可哀想って思うけど、私が泣いたら、皆が喜ぶんだから!
その後も買い物を続け、フリードリヒは、信じられないくらいいっぱい買ってくれた。
王宮を出た後、弟のマルクスと住んでいたアパートに戻ったら、収納するスペースなんてないわ。フリッツには悪いけど、今日もらった物のほとんどは売るしかないのよね。凄いお金になりそう...そのお金で家を買っちゃおうかな? 念願のマイホーム! 家賃収入で不労生活!
そう思ったら笑いが止まらないわ!
「何か、悪いことを考えていませんよね?」
「ぜ、全然! そんなことあるわけないでしょ!」
「では、一旦、お別れして、お互いに晩餐の準備をしましょう。時間になったら迎えに来ますね」
去って行くフリードリヒの背中を見送り、エミリアはちょっと切ない気持ちになった。
すでに買い物だけでクタクタだけど、ここまでしてもらったんだから、最後の晩餐のために頑張りますか!
「目利きの試験ではないのですから、高そうなものを買うのではなく、似合う物を買って下さいよ。まさか、後で売るつもりじゃないですよね?」
ギクッとしたエミリアに、フリードリヒは溜息を吐いた。
「わ、分かったわよ! これはやめて、こっちにするわ!」
エミリアは王宮から出ても使えそうな一粒だけのパールのネックレスを指さした。
すると、フリードリヒはもっと大きな溜息を吐いた。そして、エミリアの選んだ品の他に、3連パールの豪華だけど上品なネックレスとイヤリングのセットも一緒に包むように商人に指示した。
ドレスのコーナーは有名店が数軒、自慢の商品を並べている。自分の店を選んでもらおうと、店主達は揉み手して待機していた。
エミリアは自分に似合いそうなブロンズカラーのドレスを手にとったのだが、またもやフリードリヒの目がつりあがっている。
「な、何よ?」
「い、いえ...お好きな物を買って下さい。ただ、そのドレスには先程買ったアクセサリーは合わない気がしますので、それを買うなら、宝石売り場に戻りましょう」
「あ、そうよね。ジュエリーなんて自分で買った事がなかったから知らなかったわ」
エミリアは手に持っていたドレスを元の場所に戻した。
すると店主が慌てて、別の商品を勧める。
「先程、購入されていたダイヤのネックレスには、こちらのドレスなんてどうですか?」
プリンセスラインの真っ赤なドレスや、薄いピンクに金の刺繍がされた豪華なドレスを見せてくる。
なるほど~、確かに、あのダイヤのネックレスにはこういうドレスが合うかも。
チラッとフリードリヒの方を振り返ると、フリードリヒはやっぱり、嫌そうな顔をしていた。
いつもの仮面は何処へいったのかしら? ちょっと、面白いわ。
エミリアは、色々なドレスを手に取って、フリードリヒの表情の変化を楽しんだ。
そして、結構、1番最初のブロンズカラーのドレスを選んだ。
すると、フリードリヒはエミリアの手を掴んで、宝石売り場へと戻った。
怒っているフリードリヒの顔が面白くてエミリアは思わず噴き出した。
「ふざけていないで、ちゃんと選んで下さい! エミリーの買い物なんですから」
「はいはい。それで、あのドレスにはどのアクセサリーが合うの?」
フリードリヒは石なしの純金製のチョーカーを選んだ。チョーカーにはボディチェーンが付いており、石なしでもとても豪華な一品だった。
「すごく良いと思いまぁ~す」
フリードリヒは褒められて機嫌を直したのか、いつもの笑顔に戻った。
「じゃあさ! あのサファイアのジュエリーにはどんなドレスが合うの?」
「もう一度、ドレスを見てみましょう」
フリードリヒがドレス売り場に戻るので、エミリアはこっそりガッツリポーズを決めた。
2着目ゲット!
フリードリヒは、さっきとは別のブランドのドレス売り場に来て、青と紫と紺のレースが幾重にも重ねられたマーメイドドレスを手に取った。マーメイドドレスだが、裾が豊かに広がる豪華なドレスである。
フリードリヒは、そのドレスに合わせて、サファイアが縫い付けられたハイヒールのパンプス、刺繍たっぷりのジョーゼット生地の手袋、金糸の織り込まれたカシミヤショール、レース製の扇子など、次々と選んでいった。
私よりも真剣に、私の服飾品を選んでるなんて、フリッツってば、実は私のこと好きなんじゃない?
あぁ~、期待しちゃうけど、期待し過ぎちゃダメよ~!
お姫様が泣いたら、皆が可哀想って思うけど、私が泣いたら、皆が喜ぶんだから!
その後も買い物を続け、フリードリヒは、信じられないくらいいっぱい買ってくれた。
王宮を出た後、弟のマルクスと住んでいたアパートに戻ったら、収納するスペースなんてないわ。フリッツには悪いけど、今日もらった物のほとんどは売るしかないのよね。凄いお金になりそう...そのお金で家を買っちゃおうかな? 念願のマイホーム! 家賃収入で不労生活!
そう思ったら笑いが止まらないわ!
「何か、悪いことを考えていませんよね?」
「ぜ、全然! そんなことあるわけないでしょ!」
「では、一旦、お別れして、お互いに晩餐の準備をしましょう。時間になったら迎えに来ますね」
去って行くフリードリヒの背中を見送り、エミリアはちょっと切ない気持ちになった。
すでに買い物だけでクタクタだけど、ここまでしてもらったんだから、最後の晩餐のために頑張りますか!
0
あなたにおすすめの小説
挙式後すぐに離婚届を手渡された私は、この結婚は予め捨てられることが確定していた事実を知らされました
結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
【結婚した日に、「君にこれを預けておく」と離婚届を手渡されました】
今日、私は子供の頃からずっと大好きだった人と結婚した。しかし、式の後に絶望的な事を彼に言われた。
「ごめん、本当は君とは結婚したくなかったんだ。これを預けておくから、その気になったら提出してくれ」
そう言って手渡されたのは何と離婚届けだった。
そしてどこまでも冷たい態度の夫の行動に傷つけられていく私。
けれどその裏には私の知らない、ある深い事情が隠されていた。
その真意を知った時、私は―。
※暫く鬱展開が続きます
※他サイトでも投稿中
遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。
沼野 花
恋愛
夫と子供たちに、選ばれなかったイネス。
すべてを愛人に奪われ、彼女は限界を迎え、屋敷を去る。
だが、その先に待っていたのは、救いではなかった。
イネスを襲った、取り返しのつかない出来事。
変わり果てた現実を前に、
夫はようやく、自分が何を失ったのかを思い知る。
深い後悔と悲しみに苛まれながら、
失ったイネスの心を取り戻そうとする夫。
しかし、彼女の心はすでに、外の世界へと向かっていた。
贖罪を背負いながらもイネスを求め続ける夫。
そして、母の心を知っていく子供たち。
イネスが求める愛とは、
そして、幸せとは――。
里帰りをしていたら離婚届が送られてきたので今から様子を見に行ってきます
結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
<離婚届?納得いかないので今から内密に帰ります>
政略結婚で2年もの間「白い結婚」を続ける最中、妹の出産祝いで里帰りしていると突然届いた離婚届。あまりに理不尽で到底受け入れられないので内緒で帰ってみた結果・・・?
※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています
お二人共、どうぞお幸せに……もう二度と勘違いはしませんから
結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
【もう私は必要ありませんよね?】
私には2人の幼なじみがいる。一人は美しくて親切な伯爵令嬢。もう一人は笑顔が素敵で穏やかな伯爵令息。
その一方、私は貴族とは名ばかりのしがない男爵家出身だった。けれど2人は身分差に関係なく私に優しく接してくれるとても大切な存在であり、私は密かに彼に恋していた。
ある日のこと。病弱だった父が亡くなり、家を手放さなければならない
自体に陥る。幼い弟は父の知り合いに引き取られることになったが、私は住む場所を失ってしまう。
そんな矢先、幼なじみの彼に「一生、面倒をみてあげるから家においで」と声をかけられた。まるで夢のような誘いに、私は喜んで彼の元へ身を寄せることになったのだが――
※ 他サイトでも投稿中
途中まで鬱展開続きます(注意)
私が行方不明の皇女です~生死を彷徨って帰国したら信じていた初恋の従者は婚約していました~
marumi
恋愛
「あら アルヴェイン公爵がドゥーカス令嬢をエスコートされていますわ」
「ご婚約されたと噂を聞きましたが、まさか本当だとは!」
私は五年前までこの国の皇女エリシアだった。
暗殺事件に巻き込まれ、幼なじみで初恋の相手だった従者――アルヴェイン公子と共に命からがら隣国、エルダールへ亡命した。
彼の「必ず迎えに来る」その言葉を信じて、隣国の地で彼を待ち続けた……。
それなのに……。
やっとの思いで帰国した帝国の華やかなパーティー会場で、一際目立っているのは、彼と、社交界の華と言われる令嬢だった――。
※校正にAIを使用していますが、自身で考案したオリジナル小説です。
※イメージが伝わればと思い、表紙画像をAI生成してみました。
10回目の婚約破棄。もう飽きたので、今回は断罪される前に自分で自分を追放します。二度と探さないでください(フリではありません)
放浪人
恋愛
「もう、疲れました。貴方の顔も見たくありません」
公爵令嬢リーゼロッテは、婚約者である王太子アレクセイに処刑される人生を9回繰り返してきた。 迎えた10回目の人生。もう努力も愛想笑いも無駄だと悟った彼女は、断罪イベントの一ヶ月前に自ら姿を消すことを決意する。 王城の宝物庫から慰謝料(国宝)を頂き、書き置きを残して国外逃亡! 目指せ、安眠と自由のスローライフ!
――のはずだったのだが。
「『顔も見たくない』だと? つまり、直視できないほど私が好きだという照れ隠しか!」 「『探さないで』? 地の果てまで追いかけて抱きしめてほしいというフリだな!」
実は1周目からリーゼロッテを溺愛していた(が、コミュ障すぎて伝わっていなかった)アレクセイ王子は、彼女の拒絶を「愛の試練(かくれんぼ)」と超ポジティブに誤解! 国家権力と軍隊、そしてS級ダンジョンすら踏破するチート能力を総動員して、全力で追いかけてきた!?
物理で逃げる最強令嬢VS愛が重すぎる勘違い王子。 聖女もドラゴンも帝国も巻き込んだ、史上最大規模の「国境なき痴話喧嘩」が今、始まる!
※表紙はNano Bananaで作成しています
離婚した彼女は死ぬことにした
はるかわ 美穂
恋愛
事故で命を落とす瞬間、政略結婚で結ばれた夫のアルバートを愛していたことに気づいたエレノア。
もう一度彼との結婚生活をやり直したいと願うと、四年前に巻き戻っていた。
今度こそ彼に相応しい妻になりたいと、これまでの臆病な自分を脱ぎ捨て奮闘するエレノア。しかし、
「前にも言ったけど、君は妻としての役目を果たさなくていいんだよ」
返ってくるのは拒絶を含んだ鉄壁の笑みと、表面的で義務的な優しさ。
それでも夫に想いを捧げ続けていたある日のこと、アルバートの大事にしている弟妹が原因不明の体調不良に襲われた。
神官から、二人の体調不良はエレノアの体内に宿る瘴気が原因だと告げられる。
大切な人を守るために離婚して彼らから離れることをエレノアは決意するが──。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる