175 / 249
第三幕 学生期
173.強制帰還を防ぐには
しおりを挟む
アントニオ
「母上、大丈夫ですか!?」
グリエルモ
「具合が悪くなったのは、どうしてかな? 誰かに魔法をかけられたとか?」
アントニオ
「あ...それは...」
アントニオは、見ないようにしていた教室の壁に震えながら目を移した。
だが、壁からは、悪意あるイタズラ書きが消えており、代わりに、リンドウを咥えて踊る龍と、人参の畑、『大地の色は神様からの贈り物。世界の生きとし生ける者への恵み。』という文字が書かれていた。
ルドとリンだ!
アントニオの体の奥底から、温かいものが込み上げてくる。
ルドとリンが消してくれたんだ!
イジメの問題は解決していないけど、でも、イジメがバレていないなら、全てが丸く収まる! 小さな子供が罪に問われて処分されることもなければ、犯人の子の出身領とジーンシャン領の間に諍(いさか)いが起きることもないだろう。俺も母上にジーンシャン領に連れ戻されなくて済む!
アントニオ
「多分、疲れていたからだと思います。慣れない寮生活でしたし、初めての音楽の授業があり、緊張していましたので。」
ジュン王太子
「疲れ? イタズラ書きは関係していないのですか?」
アントニオ
「あ、すみません。友人が落書きしてしまったようで、申し訳ありません。弁償します。」
ジュン王太子
「いや、この落書きではなくて...別の...」
アントニオ
「別の? 私の具合が悪くなるような落書きがあるのですか?」
不安そうな顔のアントニオをみて、ジュン王太子は口を噤(つぐ)んだ。アントニオがイジメの事を知らないなら、具合の悪いアントニオに、あの気持ちの悪いイタズラ書きの内容を知らせて、わざわざ辛い思いをさせる必要はないと考えたのだ。
イジメっ子は、秘密裏に処分すればいい。
ジュン王太子
「いえ、私の勘違いだったようです。」
にっこりと微笑む王太子に、アントニオもにっこりと笑顔を返す。
ジュン王太子の配慮を察した他の人間も、アントニオを傷付けないように口を噤んだ。
メアリー
「何はともあれ、良かったわ! さぁ、帰りましょう!」
アントニオ
「そうですね。今日はとても疲れてしまいましたし、寮の部屋に帰ってゆっくりしたいです。」
メアリー
「いいえ、ジーンシャン領に帰りましょう。」
アントニオ
「え!? 何故ですか? 誘拐事件ではなかったのにどうして!?」
メアリー
「心配で私が死んでしまうからよ。」
アントニオ
「母上! 王立学校に通わせてくれる約束です! ね? 父上!」
グリエルモ
「御免ね、トニー。今回のことで、私も一人暮らしをさせてはいけなかったと後悔したんだ。一緒に帰って欲しいな。」
アントニオ
「そんな!? 父上まで!? ジーンシャン領の学校に通おうが、王立学校に通おうが、命を狙われる時は狙われますし、誘拐されるときは誘拐されますよ。空間移動する相手なら尚更です。むしろ、魔族が相手ならジーンシャン領だと魔族領にひとっ飛びです。」
メアリー
「家庭教師をつけますから、学校に通う必要はありません。絶対に連れて帰ります!」
えぇええ~~~~!? 学校に通えずに軟禁生活が再開するの!? 絶対に嫌だ!
そこへ、リッカルドがアウロラとジュゼッペを連れて到着する。
リッカルド
「え!? トニー様!? ご無事だったのですね!?」
アントニオ
「はい。誤解があったみたいです。私は誘拐されていなくて、寮の部屋で寝ていたのです。黒い騎士は私の友人で、部屋へ運んでくれただけなのです。
アウロラ! ちょうど良いところに! 母上と父上が約束を破って私をジーンシャン領に連れ帰ろうとするのです! 説得して!」
アウロラ
「トニー様。もう面倒くさいので、諦めて帰りましょう。私もジーンシャン領に帰れば、母様や姉様と暮らせますし、その方が良いです。」
アントニオ
「ア、アウロラ、裏切るのですか!?」
アウロラ
「いえ、そもそも、お給料を下さるのは、グリエルモ様ですので、私は忠実にお仕えしているだけです。それに、私もトニー様がいなくなったと思って怖かったので。」
アントニオ
「ジュゼッペ!」
ジュゼッペ
「わ、私は、もちろんトニー様の味方ですよ! ただ、私には何の権限もありません。」
アントニオ
「ジュン様! 私が王立学校で勉強できるように口添えを!」
ジュン王太子
「トニー様は王宮で預かりましょう!」
メアリー
「駄目です! 王立騎士団の護衛では、護りきれなかったでしょう?」
ジュン王太子
「それを言ったら、ジーンシャン魔導騎士団でも同じです。」
メアリー
「ジーンシャン領には私達もおります!」
アントニオ
「父上や母上であっても、ルド相手には勝てなかったと思います。」
メアリー
「私だったら、ルド様なら分かります!」
アントニオ
「全身鎧じゃ、母上でもわからないでしょう?」
メアリー
「そうであっても心配だから側にいたいの! 理屈じゃないの! 連れて帰るといったら、絶対に連れて帰ります!」
アントニオ
「嫌です! 絶対に帰りません!」
アウロラ
「どうして帰りたくないのですか?」
アントニオ
「友達を作るためです! 王立学校にいれば、領民でも部下でもない、対等な関係の友達が出来るのです! 将来、私が領主になった時に、他領の友人がいることは、外交的にプラスになります。そうでなければ、焦茶の私が領主になったときに、ジーンシャンは孤立してしまいます!」
メアリー
「でも、すでにイジメられて、ハブにされているのでしょう?」
アントニオ
「そ、そんなことはありません! イジメられてなんかいません! まだ、多くの学生と距離がありますが、その内、分かってもらえるはずです。それに、友達はちゃんといるのです! 嘘じゃないのですよ!? 3年のハンス・グレーザー先輩やカール・イグナシオ先輩とも友達だし、弓術の授業で一緒になったバドゥルディーン・オドゥオール君とも友達なのです!」
リッカルド
「ハンスさんとカールさんはヤンの友人ですが、あの2人はトニー様の部下希望じゃないですか? 放っておいてもジーンシャン領に来ますよ。バドは授業で2人きりだから仕方がなく知り合いになった程度です。」
アントニオ
「ちょっと! リッカルドまで!?」
リッカルド
「すみません、トニー様。ここで点数をあげておかないと、トニー様の護衛をクビになってしまいますので!」
メアリー
「他領にお友達を作るのはレオナルドやヤンに任せて、トニーは、お家に帰りましょうね!」
息子に友達がいないのであれば、本来なら悲しむところだが、メアリーはにっこりと微笑んだ。
アントニオはたまらずメアリーから目を背けて、キョロキョロした。すると、赤毛のクラスメイトが目に飛び込んで来る。
そうだ!ディックがいる!
アントニオの心臓は、今日1番の大きな音で鼓動した。
アントニオ
「と、友達ですよね? ディック?」
アントニオは息を飲み、ディーデリックに縋るような目を向けた。
ディーデリック
「はい。友達です。」
アントニオ
「ディック!」
アントニオは、嬉しくてディーデリックに抱きついて喜んだ。
ディーデリックは、おずおずとアントニオの背中に手を回して、抱きしめ返した。
ディーデリック
「あの、トニーを連れて行かないで下さい。トニーがいなくなってしまったら、また、1人になってしまうのです...」
メアリーは、ディーデリックに対して、駄目だとは言えなかった。
「母上、大丈夫ですか!?」
グリエルモ
「具合が悪くなったのは、どうしてかな? 誰かに魔法をかけられたとか?」
アントニオ
「あ...それは...」
アントニオは、見ないようにしていた教室の壁に震えながら目を移した。
だが、壁からは、悪意あるイタズラ書きが消えており、代わりに、リンドウを咥えて踊る龍と、人参の畑、『大地の色は神様からの贈り物。世界の生きとし生ける者への恵み。』という文字が書かれていた。
ルドとリンだ!
アントニオの体の奥底から、温かいものが込み上げてくる。
ルドとリンが消してくれたんだ!
イジメの問題は解決していないけど、でも、イジメがバレていないなら、全てが丸く収まる! 小さな子供が罪に問われて処分されることもなければ、犯人の子の出身領とジーンシャン領の間に諍(いさか)いが起きることもないだろう。俺も母上にジーンシャン領に連れ戻されなくて済む!
アントニオ
「多分、疲れていたからだと思います。慣れない寮生活でしたし、初めての音楽の授業があり、緊張していましたので。」
ジュン王太子
「疲れ? イタズラ書きは関係していないのですか?」
アントニオ
「あ、すみません。友人が落書きしてしまったようで、申し訳ありません。弁償します。」
ジュン王太子
「いや、この落書きではなくて...別の...」
アントニオ
「別の? 私の具合が悪くなるような落書きがあるのですか?」
不安そうな顔のアントニオをみて、ジュン王太子は口を噤(つぐ)んだ。アントニオがイジメの事を知らないなら、具合の悪いアントニオに、あの気持ちの悪いイタズラ書きの内容を知らせて、わざわざ辛い思いをさせる必要はないと考えたのだ。
イジメっ子は、秘密裏に処分すればいい。
ジュン王太子
「いえ、私の勘違いだったようです。」
にっこりと微笑む王太子に、アントニオもにっこりと笑顔を返す。
ジュン王太子の配慮を察した他の人間も、アントニオを傷付けないように口を噤んだ。
メアリー
「何はともあれ、良かったわ! さぁ、帰りましょう!」
アントニオ
「そうですね。今日はとても疲れてしまいましたし、寮の部屋に帰ってゆっくりしたいです。」
メアリー
「いいえ、ジーンシャン領に帰りましょう。」
アントニオ
「え!? 何故ですか? 誘拐事件ではなかったのにどうして!?」
メアリー
「心配で私が死んでしまうからよ。」
アントニオ
「母上! 王立学校に通わせてくれる約束です! ね? 父上!」
グリエルモ
「御免ね、トニー。今回のことで、私も一人暮らしをさせてはいけなかったと後悔したんだ。一緒に帰って欲しいな。」
アントニオ
「そんな!? 父上まで!? ジーンシャン領の学校に通おうが、王立学校に通おうが、命を狙われる時は狙われますし、誘拐されるときは誘拐されますよ。空間移動する相手なら尚更です。むしろ、魔族が相手ならジーンシャン領だと魔族領にひとっ飛びです。」
メアリー
「家庭教師をつけますから、学校に通う必要はありません。絶対に連れて帰ります!」
えぇええ~~~~!? 学校に通えずに軟禁生活が再開するの!? 絶対に嫌だ!
そこへ、リッカルドがアウロラとジュゼッペを連れて到着する。
リッカルド
「え!? トニー様!? ご無事だったのですね!?」
アントニオ
「はい。誤解があったみたいです。私は誘拐されていなくて、寮の部屋で寝ていたのです。黒い騎士は私の友人で、部屋へ運んでくれただけなのです。
アウロラ! ちょうど良いところに! 母上と父上が約束を破って私をジーンシャン領に連れ帰ろうとするのです! 説得して!」
アウロラ
「トニー様。もう面倒くさいので、諦めて帰りましょう。私もジーンシャン領に帰れば、母様や姉様と暮らせますし、その方が良いです。」
アントニオ
「ア、アウロラ、裏切るのですか!?」
アウロラ
「いえ、そもそも、お給料を下さるのは、グリエルモ様ですので、私は忠実にお仕えしているだけです。それに、私もトニー様がいなくなったと思って怖かったので。」
アントニオ
「ジュゼッペ!」
ジュゼッペ
「わ、私は、もちろんトニー様の味方ですよ! ただ、私には何の権限もありません。」
アントニオ
「ジュン様! 私が王立学校で勉強できるように口添えを!」
ジュン王太子
「トニー様は王宮で預かりましょう!」
メアリー
「駄目です! 王立騎士団の護衛では、護りきれなかったでしょう?」
ジュン王太子
「それを言ったら、ジーンシャン魔導騎士団でも同じです。」
メアリー
「ジーンシャン領には私達もおります!」
アントニオ
「父上や母上であっても、ルド相手には勝てなかったと思います。」
メアリー
「私だったら、ルド様なら分かります!」
アントニオ
「全身鎧じゃ、母上でもわからないでしょう?」
メアリー
「そうであっても心配だから側にいたいの! 理屈じゃないの! 連れて帰るといったら、絶対に連れて帰ります!」
アントニオ
「嫌です! 絶対に帰りません!」
アウロラ
「どうして帰りたくないのですか?」
アントニオ
「友達を作るためです! 王立学校にいれば、領民でも部下でもない、対等な関係の友達が出来るのです! 将来、私が領主になった時に、他領の友人がいることは、外交的にプラスになります。そうでなければ、焦茶の私が領主になったときに、ジーンシャンは孤立してしまいます!」
メアリー
「でも、すでにイジメられて、ハブにされているのでしょう?」
アントニオ
「そ、そんなことはありません! イジメられてなんかいません! まだ、多くの学生と距離がありますが、その内、分かってもらえるはずです。それに、友達はちゃんといるのです! 嘘じゃないのですよ!? 3年のハンス・グレーザー先輩やカール・イグナシオ先輩とも友達だし、弓術の授業で一緒になったバドゥルディーン・オドゥオール君とも友達なのです!」
リッカルド
「ハンスさんとカールさんはヤンの友人ですが、あの2人はトニー様の部下希望じゃないですか? 放っておいてもジーンシャン領に来ますよ。バドは授業で2人きりだから仕方がなく知り合いになった程度です。」
アントニオ
「ちょっと! リッカルドまで!?」
リッカルド
「すみません、トニー様。ここで点数をあげておかないと、トニー様の護衛をクビになってしまいますので!」
メアリー
「他領にお友達を作るのはレオナルドやヤンに任せて、トニーは、お家に帰りましょうね!」
息子に友達がいないのであれば、本来なら悲しむところだが、メアリーはにっこりと微笑んだ。
アントニオはたまらずメアリーから目を背けて、キョロキョロした。すると、赤毛のクラスメイトが目に飛び込んで来る。
そうだ!ディックがいる!
アントニオの心臓は、今日1番の大きな音で鼓動した。
アントニオ
「と、友達ですよね? ディック?」
アントニオは息を飲み、ディーデリックに縋るような目を向けた。
ディーデリック
「はい。友達です。」
アントニオ
「ディック!」
アントニオは、嬉しくてディーデリックに抱きついて喜んだ。
ディーデリックは、おずおずとアントニオの背中に手を回して、抱きしめ返した。
ディーデリック
「あの、トニーを連れて行かないで下さい。トニーがいなくなってしまったら、また、1人になってしまうのです...」
メアリーは、ディーデリックに対して、駄目だとは言えなかった。
0
お気に入りに追加
208
あなたにおすすめの小説
婚約者に消えろと言われたので湖に飛び込んだら、気づけば三年が経っていました。
束原ミヤコ
恋愛
公爵令嬢シャロンは、王太子オリバーの婚約者に選ばれてから、厳しい王妃教育に耐えていた。
だが、十六歳になり貴族学園に入学すると、オリバーはすでに子爵令嬢エミリアと浮気をしていた。
そしてある冬のこと。オリバーに「私の為に消えろ」というような意味のことを告げられる。
全てを諦めたシャロンは、精霊の湖と呼ばれている学園の裏庭にある湖に飛び込んだ。
気づくと、見知らぬ場所に寝かされていた。
そこにはかつて、病弱で体の小さかった辺境伯家の息子アダムがいた。
すっかり立派になったアダムは「あれから三年、君は目覚めなかった」と言った――。
側妃は捨てられましたので
なか
恋愛
「この国に側妃など要らないのではないか?」
現王、ランドルフが呟いた言葉。
周囲の人間は内心に怒りを抱きつつ、聞き耳を立てる。
ランドルフは、彼のために人生を捧げて王妃となったクリスティーナ妃を側妃に変え。
別の女性を正妃として迎え入れた。
裏切りに近い行為は彼女の心を確かに傷付け、癒えてもいない内に廃妃にすると宣言したのだ。
あまりの横暴、人道を無視した非道な行い。
だが、彼を止める事は誰にも出来ず。
廃妃となった事実を知らされたクリスティーナは、涙で瞳を潤ませながら「分かりました」とだけ答えた。
王妃として教育を受けて、側妃にされ
廃妃となった彼女。
その半生をランドルフのために捧げ、彼のために献身した事実さえも軽んじられる。
実の両親さえ……彼女を慰めてくれずに『捨てられた女性に価値はない』と非難した。
それらの行為に……彼女の心が吹っ切れた。
屋敷を飛び出し、一人で生きていく事を選択した。
ただコソコソと身を隠すつまりはない。
私を軽んじて。
捨てた彼らに自身の価値を示すため。
捨てられたのは、どちらか……。
後悔するのはどちらかを示すために。
断罪されているのは私の妻なんですが?
すずまる
恋愛
仕事の都合もあり王家のパーティーに遅れて会場入りすると何やら第一王子殿下が群衆の中の1人を指差し叫んでいた。
「貴様の様に地味なくせに身分とプライドだけは高い女は王太子である俺の婚約者に相応しくない!俺にはこのジャスミンの様に可憐で美しい女性こそが似合うのだ!しかも貴様はジャスミンの美貌に嫉妬して彼女を虐めていたと聞いている!貴様との婚約などこの場で破棄してくれるわ!」
ん?第一王子殿下に婚約者なんていたか?
そう思い指さされていた女性を見ると⋯⋯?
*-=-*-=-*-=-*-=-*
本編は1話完結です(꒪ㅂ꒪)
…が、設定ゆるゆる過ぎたと反省したのでちょっと色付けを鋭意執筆中(; ̄∀ ̄)スミマセン
美しい姉と痩せこけた妹
サイコちゃん
ファンタジー
若き公爵は虐待を受けた姉妹を引き取ることにした。やがて訪れたのは美しい姉と痩せこけた妹だった。姉が夢中でケーキを食べる中、妹はそれがケーキだと分からない。姉がドレスのプレゼントに喜ぶ中、妹はそれがドレスだと分からない。公爵はあまりに差のある姉妹に疑念を抱いた――
私はお母様の奴隷じゃありません。「出てけ」とおっしゃるなら、望み通り出ていきます【完結】
小平ニコ
ファンタジー
主人公レベッカは、幼いころから母親に冷たく当たられ、家庭内の雑務を全て押し付けられてきた。
他の姉妹たちとは明らかに違う、奴隷のような扱いを受けても、いつか母親が自分を愛してくれると信じ、出来得る限りの努力を続けてきたレベッカだったが、16歳の誕生日に突然、公爵の館に奉公に行けと命じられる。
それは『家を出て行け』と言われているのと同じであり、レベッカはショックを受ける。しかし、奉公先の人々は皆優しく、主であるハーヴィン公爵はとても美しい人で、レベッカは彼にとても気に入られる。
友達もでき、忙しいながらも幸せな毎日を送るレベッカ。そんなある日のこと、妹のキャリーがいきなり公爵の館を訪れた。……キャリーは、レベッカに支払われた給料を回収しに来たのだ。
レベッカは、金銭に対する執着などなかったが、あまりにも身勝手で悪辣なキャリーに怒り、彼女を追い返す。それをきっかけに、公爵家の人々も巻き込む形で、レベッカと実家の姉妹たちは争うことになる。
そして、姉妹たちがそれぞれ悪行の報いを受けた後。
レベッカはとうとう、母親と直接対峙するのだった……
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
婚約破棄とか言って早々に私の荷物をまとめて実家に送りつけているけど、その中にあなたが明日国王に謁見する時に必要な書類も混じっているのですが
マリー
恋愛
寝食を忘れるほど研究にのめり込む婚約者に惹かれてかいがいしく食事の準備や仕事の手伝いをしていたのに、ある日帰ったら「母親みたいに世話を焼いてくるお前にはうんざりだ!荷物をまとめておいてやったから明日の朝一番で出て行け!」ですって?
まあ、癇癪を起こすのはいいですけれど(よくはない)あなたがまとめてうちの実家に郵送したっていうその荷物の中、送っちゃいけないもの入ってましたよ?
※またも小説の練習で書いてみました。よろしくお願いします。
※すみません、婚約破棄タグを使っていましたが、書いてるうちに内容にそぐわないことに気づいたのでちょっと変えました。果たして婚約破棄するのかしないのか?を楽しんでいただく話になりそうです。正当派の婚約破棄ものにはならないと思います。期待して読んでくださった方申し訳ございません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる