136 / 249
第三幕 学生期
134.剣術の授業1 ♠︎
しおりを挟む
2限は、剣術の授業だ。
授業が行われるのは闘技場で、担当教師はムワナ・サイフッディン(26歳)という漆黒の一族の先生だ。黒髪に黒い瞳、浅黒い肌。身長は180cmと背が高く、総合格闘技の選手のような引き締まった肉体を持つ。
そして、この授業は戦士科の6人の学生達も一緒に受講する。戦士科の生徒は毎日、剣術の授業があり、魔法戦士科3クラスの授業にも参加する。
ムワナ
「ルナール先輩(ヴィクトー)! お久し振りです。」
ヴィクトー
「サイフッディン(ムワナ)じゃないか! 久しぶりだな! 教師になったのか!?」
ムワナ
「お陰様で、教員試験に合格いたしました。」
ヴィクトー
「元気そうで何よりだ!」
182cmあるマッチョのヴィクトーと180cmの色黒マッチョのムワナ先生という、いかつい2人が握手すると、歴史戦国映画のワンシーンのようだ。
ムワナ
「リッカルドも護衛なんですね。」
リッカルド
「はい。ムワナ先生、今年も宜しくお願い致します。」
ムワナ
「今日は市松クラスの初めての授業なので、皆の実力が知りたい。そこで、魔法を一切使わず、剣術で、戦士科の学生と魔法戦士科の学生とで戦ってもらう。
今日は、まだ不慣れな生徒もいると思うので、真剣ではなく、真剣と同じ重さの練習用の剣を用意している。鉄の表面を柔らかいゴムで覆っているが、当たると痛いし、怪我をする可能性も十分にあるから、気を付けるように!
皆には胸と背中、頭に的(まと)を装備してもらう。この三箇所の的に一撃でも食らったら負けだ。もしくは、バトル用の舞台から落ちても負けだ。
試合は勝ち抜き戦方式。負けた者は、死んだものとしてチームを離れる。ただし、勝った方は連闘がきつい場合もあるので、生き残っているチームのメンバーと順番を交代出来る。
魔法戦士科10人に対して、戦士科は6人しかいないが、身体能力の差を考えると妥当であるだろう。対戦順は自分達で話し合って決めるといい。」
リッカルド
「トニー様、全然、妥当じゃないんですよ。大抵、戦士科の学生を1人も倒せずに終わります。」
ヴィクトー
「自分は強いと勘違いしている魔法戦士科の学生の精神を叩き直す、王立学校の洗礼のようなものです。」
アントニオ
「わぁ、そうなんですね!」
戦士科の学生は皆、身長が160cm前後あり、綺麗な筋肉が付いている。とても強そうだ。
ムワナ
「そんなことはありません。過去に魔法戦士科の学生が勝った試合もあります。去年はレオナルド・ジーンシャンが1人で4人倒していましたし、今年も可能性はあるでしょう。」
アントニオ
「レオってそんなに強いのですね...。」
ムワナ
「グリエルモ様は1人で6人全員倒されたそうですよ。この市松クラスはアントニオ様がいらっしゃるので、試合がどうなるか、楽しみですね。」
アントニオ
「...頑張りますが...きっと、皆様、ガッカリされると思います。」
リアナ
「戦士科の学生は男子しかいないのに、私達も一緒に戦うの?」
ムワナ
「戦場では、相手の性別は選べないから当然だ。」
ラドミール
「どうやって、順番を決めますか?」
ルーカス
「いつもの順番ですか?」
リアナ
「えぇ~!? か弱い女性を先に戦わせるの?」
フィオナ
「結局、皆が倒されるのだから関係ないでしょう?」
ユーリ
「リアルな戦場を想定するなら、身分の低い順でいいじゃないですか? それで、同じ身分なら女性が後、それなら文句がないのでは?」
マーク
「恐れながら! 交代が許されているのなら、勝てる見込みのある者の連闘を防ぎ、休ませながら戦いませんか?」
アントニオ
「あ、確かにそうですね! 誰なら勝てそうですか? 剣術に自信がある方はいらっしゃいます?」
ラドミール
「私はそこそこ出来ると思いますが、ルーカスの方が剣術では上ですね。」
マーク
「持久走でタイムが速かった人は体力に自信があり、剣術も強いのでは?」
クリスタ
「でも、風魔法で走行補助していたから、持久走は100%体力というわけではなかったです。」
アントニオ
「私も足は速いけど、剣術はあまり自信がないです。」
ラドミール
「なるほど、では、とりあえずルーカスで様子をみましょう。ルーカスの剣術をみて、自分がそれより上か下か判断して下さい。」
アントニオ
「承知致しました。」
ムワナ
「では、第1試合は戦士科のボマニ・アナン対、魔法戦士科のルーカス・ミラー。」
的を胸、背中、頭の三箇所に装着して、模擬戦用の剣を握り、両者、向かい合って構えた。
ボマニは背が高く166cmある。ルーカスは身長が157cmなので、一回りも二回りも小さい。
ムワナ
「始め!」
開始の掛け声が聞こえるやいなや、戦士科のボマニは間合いを詰めた。
そのまま、ルーカスに剣を打ち込む。
ルーカスは迫ってくるボマニの剣を、自分の剣で払い落とそうとした。
ゴンッ!
合わさる剣。
だが、叩き落とされたのは、ルーカスの剣の方だった。
ボマニの圧倒的なパワーに押し切られ、ルーカスの剣は宙を舞った。
そのままルーカスは胸の的を突かれ、試合はあっという間に終了した。
ムワナ
「勝者、ボマニ!」
ラドミール
「ルーカスのポンコツめ! 全然、勝負にならないじゃないか!」
ルーカス
「それじゃあ、ラドミール様が戦士科の連中を倒して下さいよ!」
ラドミール
「俺は後でいい。」
ルーカス
「そんなこと言って、自分が恥をかかないように、クラスメイトに戦士科の生徒を倒してもらうつもりなんでしょ!」
ラドミールはルーカスの言葉を無視して、他の学生に質問した。
ラドミール
「それで、どうだった? ルーカスより上か? 下か?」
ユーリ
「正直、今のじゃ、ルーカスが強いのか弱いのか分かりませんね。」
クリスタ
「でも、戦士科の学生が強いことはわかりました。私では、難しいかもしれません。」
マーク
「やはり、持久走の順番で上位の方にお願い出来ませんか?」
アントニオ
「でも...私は本当に剣術は苦手で...」
エーリク
「では、私が!」
ムワナ
「では、次は戦士科のオニカ・ニャシンベ対、魔法戦士科のエーリク・ハッキネン。」
エーリクも161cmで背が高く、俊足で中々いい筋肉が付いている。持久走ではアントニオとディーデリックに続いて3番目に速いタイムだ。
戦士科のオニカは160cmで、ほとんど変わらない体格を持っている。
ムワナ
「始め!」
エーリクとオニカは同時に前に出た。
一撃目を打ち合う。
パワーもスピードも互角か?
一度、体が離れ、二撃目を打ち合う。
二撃目の攻撃も互いに受けとめたが、体が離れる僅かな隙をついて、オニカは三撃目を繰り出し、エーリクの胸の的をついた。
ムワナ
「勝者オニカ!」
ルーカス
「あぁ~! エーリク様でもダメかぁ~!」
ラドミール
「誰か戦士科に勝てる奴は1人くらいいないのか!?」
マーク
「他に持久走で成績がよかったのは?」
ディーデリック
「私です。」
ディーデリックは持久走のタイムは2番目に良かった。
ラドミール
「よし、お前が行け!」
ディーデリック
「はい。」
ムワナ
「では次の試合は、戦士科のルストム・ウスマン対、魔法戦士科ディーデリック・バース!」
戦士科のルストムは163cm。ディーデリックは162cmあるが、ルストムの方が肉付きがいい。
ムワナ
「始め!」
ディーデリックは、冷静に相手の隙を狙っていた。
年上の男爵家の兵を相手に訓練してきたのだ。格上の相手と戦うことには慣れている。始めは攻撃を流して、相手の隙をつこう!
ルストムも、先程の間抜けな坊ちゃん達とディーデリックが違うことに気が付いた。
こいつ、隙が無い!
両者、少しずつ間合いを詰めた。
先に動いたのはディーデリックだ。
なんだ、全然甘い攻撃じゃないか。
ルストムは、ディーデリックが突いた剣を軽くいなし、胸の的を突こうと一歩前に出た。
しかし、ディーデリックの一撃目はフェイントで、薙ぎ払われることを前提に繰り出されたものだった。
ルストムの予想に反し、ディーデリックは体勢を崩すことなく、クルッと手首を返し、無防備になったルストムの胸の的を目掛けて、剣を突き出した。
ルストムは、慌てて身体を後ろにそって、攻撃をかわした。そのまま、バク転し、距離をとって体勢を整える。
ルストム
「あっぶな!」
「何やってんだ!」
「ボサッとしてんじゃねぇ!」
戦士科の仲間から、怒声がとぶ。
ルーカス
「うわぁ~、戦士科って、あんなに運動神経いいの!? 勝つの無理じゃね?」
アントニオ
「わぁ~、そうですね...ディック頑張って!」
ラドミール
「おい! ディーデリック! 1人くらい倒せ!」
再び両者は睨み合い、間合いを少しずつ詰めた。
今度は、ルストムから仕掛ける。
ディーデリックはルストムの剣を受けようとした。
だが、次の瞬間、ルストムの剣の軌道が変わる。
しまった!
ルストム剣がディーデリックの胸の的を突く。
授業が行われるのは闘技場で、担当教師はムワナ・サイフッディン(26歳)という漆黒の一族の先生だ。黒髪に黒い瞳、浅黒い肌。身長は180cmと背が高く、総合格闘技の選手のような引き締まった肉体を持つ。
そして、この授業は戦士科の6人の学生達も一緒に受講する。戦士科の生徒は毎日、剣術の授業があり、魔法戦士科3クラスの授業にも参加する。
ムワナ
「ルナール先輩(ヴィクトー)! お久し振りです。」
ヴィクトー
「サイフッディン(ムワナ)じゃないか! 久しぶりだな! 教師になったのか!?」
ムワナ
「お陰様で、教員試験に合格いたしました。」
ヴィクトー
「元気そうで何よりだ!」
182cmあるマッチョのヴィクトーと180cmの色黒マッチョのムワナ先生という、いかつい2人が握手すると、歴史戦国映画のワンシーンのようだ。
ムワナ
「リッカルドも護衛なんですね。」
リッカルド
「はい。ムワナ先生、今年も宜しくお願い致します。」
ムワナ
「今日は市松クラスの初めての授業なので、皆の実力が知りたい。そこで、魔法を一切使わず、剣術で、戦士科の学生と魔法戦士科の学生とで戦ってもらう。
今日は、まだ不慣れな生徒もいると思うので、真剣ではなく、真剣と同じ重さの練習用の剣を用意している。鉄の表面を柔らかいゴムで覆っているが、当たると痛いし、怪我をする可能性も十分にあるから、気を付けるように!
皆には胸と背中、頭に的(まと)を装備してもらう。この三箇所の的に一撃でも食らったら負けだ。もしくは、バトル用の舞台から落ちても負けだ。
試合は勝ち抜き戦方式。負けた者は、死んだものとしてチームを離れる。ただし、勝った方は連闘がきつい場合もあるので、生き残っているチームのメンバーと順番を交代出来る。
魔法戦士科10人に対して、戦士科は6人しかいないが、身体能力の差を考えると妥当であるだろう。対戦順は自分達で話し合って決めるといい。」
リッカルド
「トニー様、全然、妥当じゃないんですよ。大抵、戦士科の学生を1人も倒せずに終わります。」
ヴィクトー
「自分は強いと勘違いしている魔法戦士科の学生の精神を叩き直す、王立学校の洗礼のようなものです。」
アントニオ
「わぁ、そうなんですね!」
戦士科の学生は皆、身長が160cm前後あり、綺麗な筋肉が付いている。とても強そうだ。
ムワナ
「そんなことはありません。過去に魔法戦士科の学生が勝った試合もあります。去年はレオナルド・ジーンシャンが1人で4人倒していましたし、今年も可能性はあるでしょう。」
アントニオ
「レオってそんなに強いのですね...。」
ムワナ
「グリエルモ様は1人で6人全員倒されたそうですよ。この市松クラスはアントニオ様がいらっしゃるので、試合がどうなるか、楽しみですね。」
アントニオ
「...頑張りますが...きっと、皆様、ガッカリされると思います。」
リアナ
「戦士科の学生は男子しかいないのに、私達も一緒に戦うの?」
ムワナ
「戦場では、相手の性別は選べないから当然だ。」
ラドミール
「どうやって、順番を決めますか?」
ルーカス
「いつもの順番ですか?」
リアナ
「えぇ~!? か弱い女性を先に戦わせるの?」
フィオナ
「結局、皆が倒されるのだから関係ないでしょう?」
ユーリ
「リアルな戦場を想定するなら、身分の低い順でいいじゃないですか? それで、同じ身分なら女性が後、それなら文句がないのでは?」
マーク
「恐れながら! 交代が許されているのなら、勝てる見込みのある者の連闘を防ぎ、休ませながら戦いませんか?」
アントニオ
「あ、確かにそうですね! 誰なら勝てそうですか? 剣術に自信がある方はいらっしゃいます?」
ラドミール
「私はそこそこ出来ると思いますが、ルーカスの方が剣術では上ですね。」
マーク
「持久走でタイムが速かった人は体力に自信があり、剣術も強いのでは?」
クリスタ
「でも、風魔法で走行補助していたから、持久走は100%体力というわけではなかったです。」
アントニオ
「私も足は速いけど、剣術はあまり自信がないです。」
ラドミール
「なるほど、では、とりあえずルーカスで様子をみましょう。ルーカスの剣術をみて、自分がそれより上か下か判断して下さい。」
アントニオ
「承知致しました。」
ムワナ
「では、第1試合は戦士科のボマニ・アナン対、魔法戦士科のルーカス・ミラー。」
的を胸、背中、頭の三箇所に装着して、模擬戦用の剣を握り、両者、向かい合って構えた。
ボマニは背が高く166cmある。ルーカスは身長が157cmなので、一回りも二回りも小さい。
ムワナ
「始め!」
開始の掛け声が聞こえるやいなや、戦士科のボマニは間合いを詰めた。
そのまま、ルーカスに剣を打ち込む。
ルーカスは迫ってくるボマニの剣を、自分の剣で払い落とそうとした。
ゴンッ!
合わさる剣。
だが、叩き落とされたのは、ルーカスの剣の方だった。
ボマニの圧倒的なパワーに押し切られ、ルーカスの剣は宙を舞った。
そのままルーカスは胸の的を突かれ、試合はあっという間に終了した。
ムワナ
「勝者、ボマニ!」
ラドミール
「ルーカスのポンコツめ! 全然、勝負にならないじゃないか!」
ルーカス
「それじゃあ、ラドミール様が戦士科の連中を倒して下さいよ!」
ラドミール
「俺は後でいい。」
ルーカス
「そんなこと言って、自分が恥をかかないように、クラスメイトに戦士科の生徒を倒してもらうつもりなんでしょ!」
ラドミールはルーカスの言葉を無視して、他の学生に質問した。
ラドミール
「それで、どうだった? ルーカスより上か? 下か?」
ユーリ
「正直、今のじゃ、ルーカスが強いのか弱いのか分かりませんね。」
クリスタ
「でも、戦士科の学生が強いことはわかりました。私では、難しいかもしれません。」
マーク
「やはり、持久走の順番で上位の方にお願い出来ませんか?」
アントニオ
「でも...私は本当に剣術は苦手で...」
エーリク
「では、私が!」
ムワナ
「では、次は戦士科のオニカ・ニャシンベ対、魔法戦士科のエーリク・ハッキネン。」
エーリクも161cmで背が高く、俊足で中々いい筋肉が付いている。持久走ではアントニオとディーデリックに続いて3番目に速いタイムだ。
戦士科のオニカは160cmで、ほとんど変わらない体格を持っている。
ムワナ
「始め!」
エーリクとオニカは同時に前に出た。
一撃目を打ち合う。
パワーもスピードも互角か?
一度、体が離れ、二撃目を打ち合う。
二撃目の攻撃も互いに受けとめたが、体が離れる僅かな隙をついて、オニカは三撃目を繰り出し、エーリクの胸の的をついた。
ムワナ
「勝者オニカ!」
ルーカス
「あぁ~! エーリク様でもダメかぁ~!」
ラドミール
「誰か戦士科に勝てる奴は1人くらいいないのか!?」
マーク
「他に持久走で成績がよかったのは?」
ディーデリック
「私です。」
ディーデリックは持久走のタイムは2番目に良かった。
ラドミール
「よし、お前が行け!」
ディーデリック
「はい。」
ムワナ
「では次の試合は、戦士科のルストム・ウスマン対、魔法戦士科ディーデリック・バース!」
戦士科のルストムは163cm。ディーデリックは162cmあるが、ルストムの方が肉付きがいい。
ムワナ
「始め!」
ディーデリックは、冷静に相手の隙を狙っていた。
年上の男爵家の兵を相手に訓練してきたのだ。格上の相手と戦うことには慣れている。始めは攻撃を流して、相手の隙をつこう!
ルストムも、先程の間抜けな坊ちゃん達とディーデリックが違うことに気が付いた。
こいつ、隙が無い!
両者、少しずつ間合いを詰めた。
先に動いたのはディーデリックだ。
なんだ、全然甘い攻撃じゃないか。
ルストムは、ディーデリックが突いた剣を軽くいなし、胸の的を突こうと一歩前に出た。
しかし、ディーデリックの一撃目はフェイントで、薙ぎ払われることを前提に繰り出されたものだった。
ルストムの予想に反し、ディーデリックは体勢を崩すことなく、クルッと手首を返し、無防備になったルストムの胸の的を目掛けて、剣を突き出した。
ルストムは、慌てて身体を後ろにそって、攻撃をかわした。そのまま、バク転し、距離をとって体勢を整える。
ルストム
「あっぶな!」
「何やってんだ!」
「ボサッとしてんじゃねぇ!」
戦士科の仲間から、怒声がとぶ。
ルーカス
「うわぁ~、戦士科って、あんなに運動神経いいの!? 勝つの無理じゃね?」
アントニオ
「わぁ~、そうですね...ディック頑張って!」
ラドミール
「おい! ディーデリック! 1人くらい倒せ!」
再び両者は睨み合い、間合いを少しずつ詰めた。
今度は、ルストムから仕掛ける。
ディーデリックはルストムの剣を受けようとした。
だが、次の瞬間、ルストムの剣の軌道が変わる。
しまった!
ルストム剣がディーデリックの胸の的を突く。
0
お気に入りに追加
208
あなたにおすすめの小説
婚約者に消えろと言われたので湖に飛び込んだら、気づけば三年が経っていました。
束原ミヤコ
恋愛
公爵令嬢シャロンは、王太子オリバーの婚約者に選ばれてから、厳しい王妃教育に耐えていた。
だが、十六歳になり貴族学園に入学すると、オリバーはすでに子爵令嬢エミリアと浮気をしていた。
そしてある冬のこと。オリバーに「私の為に消えろ」というような意味のことを告げられる。
全てを諦めたシャロンは、精霊の湖と呼ばれている学園の裏庭にある湖に飛び込んだ。
気づくと、見知らぬ場所に寝かされていた。
そこにはかつて、病弱で体の小さかった辺境伯家の息子アダムがいた。
すっかり立派になったアダムは「あれから三年、君は目覚めなかった」と言った――。
側妃は捨てられましたので
なか
恋愛
「この国に側妃など要らないのではないか?」
現王、ランドルフが呟いた言葉。
周囲の人間は内心に怒りを抱きつつ、聞き耳を立てる。
ランドルフは、彼のために人生を捧げて王妃となったクリスティーナ妃を側妃に変え。
別の女性を正妃として迎え入れた。
裏切りに近い行為は彼女の心を確かに傷付け、癒えてもいない内に廃妃にすると宣言したのだ。
あまりの横暴、人道を無視した非道な行い。
だが、彼を止める事は誰にも出来ず。
廃妃となった事実を知らされたクリスティーナは、涙で瞳を潤ませながら「分かりました」とだけ答えた。
王妃として教育を受けて、側妃にされ
廃妃となった彼女。
その半生をランドルフのために捧げ、彼のために献身した事実さえも軽んじられる。
実の両親さえ……彼女を慰めてくれずに『捨てられた女性に価値はない』と非難した。
それらの行為に……彼女の心が吹っ切れた。
屋敷を飛び出し、一人で生きていく事を選択した。
ただコソコソと身を隠すつまりはない。
私を軽んじて。
捨てた彼らに自身の価値を示すため。
捨てられたのは、どちらか……。
後悔するのはどちらかを示すために。
断罪されているのは私の妻なんですが?
すずまる
恋愛
仕事の都合もあり王家のパーティーに遅れて会場入りすると何やら第一王子殿下が群衆の中の1人を指差し叫んでいた。
「貴様の様に地味なくせに身分とプライドだけは高い女は王太子である俺の婚約者に相応しくない!俺にはこのジャスミンの様に可憐で美しい女性こそが似合うのだ!しかも貴様はジャスミンの美貌に嫉妬して彼女を虐めていたと聞いている!貴様との婚約などこの場で破棄してくれるわ!」
ん?第一王子殿下に婚約者なんていたか?
そう思い指さされていた女性を見ると⋯⋯?
*-=-*-=-*-=-*-=-*
本編は1話完結です(꒪ㅂ꒪)
…が、設定ゆるゆる過ぎたと反省したのでちょっと色付けを鋭意執筆中(; ̄∀ ̄)スミマセン
私はお母様の奴隷じゃありません。「出てけ」とおっしゃるなら、望み通り出ていきます【完結】
小平ニコ
ファンタジー
主人公レベッカは、幼いころから母親に冷たく当たられ、家庭内の雑務を全て押し付けられてきた。
他の姉妹たちとは明らかに違う、奴隷のような扱いを受けても、いつか母親が自分を愛してくれると信じ、出来得る限りの努力を続けてきたレベッカだったが、16歳の誕生日に突然、公爵の館に奉公に行けと命じられる。
それは『家を出て行け』と言われているのと同じであり、レベッカはショックを受ける。しかし、奉公先の人々は皆優しく、主であるハーヴィン公爵はとても美しい人で、レベッカは彼にとても気に入られる。
友達もでき、忙しいながらも幸せな毎日を送るレベッカ。そんなある日のこと、妹のキャリーがいきなり公爵の館を訪れた。……キャリーは、レベッカに支払われた給料を回収しに来たのだ。
レベッカは、金銭に対する執着などなかったが、あまりにも身勝手で悪辣なキャリーに怒り、彼女を追い返す。それをきっかけに、公爵家の人々も巻き込む形で、レベッカと実家の姉妹たちは争うことになる。
そして、姉妹たちがそれぞれ悪行の報いを受けた後。
レベッカはとうとう、母親と直接対峙するのだった……
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
婚約破棄とか言って早々に私の荷物をまとめて実家に送りつけているけど、その中にあなたが明日国王に謁見する時に必要な書類も混じっているのですが
マリー
恋愛
寝食を忘れるほど研究にのめり込む婚約者に惹かれてかいがいしく食事の準備や仕事の手伝いをしていたのに、ある日帰ったら「母親みたいに世話を焼いてくるお前にはうんざりだ!荷物をまとめておいてやったから明日の朝一番で出て行け!」ですって?
まあ、癇癪を起こすのはいいですけれど(よくはない)あなたがまとめてうちの実家に郵送したっていうその荷物の中、送っちゃいけないもの入ってましたよ?
※またも小説の練習で書いてみました。よろしくお願いします。
※すみません、婚約破棄タグを使っていましたが、書いてるうちに内容にそぐわないことに気づいたのでちょっと変えました。果たして婚約破棄するのかしないのか?を楽しんでいただく話になりそうです。正当派の婚約破棄ものにはならないと思います。期待して読んでくださった方申し訳ございません。
神のいとし子は追放された私でした〜異母妹を選んだ王太子様、今のお気持ちは如何ですか?〜
星河由乃(旧名:星里有乃)
恋愛
「アメリアお姉様は、私達の幸せを考えて、自ら身を引いてくださいました」
「オレは……王太子としてではなく、一人の男としてアメリアの妹、聖女レティアへの真実の愛に目覚めたのだ!」
(レティアったら、何を血迷っているの……だって貴女本当は、霊感なんてこれっぽっちも無いじゃない!)
美貌の聖女レティアとは対照的に、とにかく目立たない姉のアメリア。しかし、地味に装っているアメリアこそが、この国の神のいとし子なのだが、悪魔と契約した妹レティアはついに姉を追放してしまう。
やがて、神のいとし子の祈りが届かなくなった国は災いが増え、聖女の力を隠さなくなったアメリアに救いの手を求めるが……。
* 2023年01月15日、連載完結しました。
* ヒロインアメリアの相手役が第1章は精霊ラルド、第2章からは隣国の王子アッシュに切り替わります。最終章に該当する黄昏の章で、それぞれの関係性を決着させています。お読みくださった読者様、ありがとうございました!
* 初期投稿ではショートショート作品の予定で始まった本作ですが、途中から長編版に路線を変更して完結させました。
* この作品は小説家になろうさんとアルファポリスさんに投稿しております。
* ブクマ、感想、ありがとうございます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる