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第三幕 学生期
100.囮り作戦 ♠︎
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王都の郊外の森まで来ると、フード付きのマントを被った1人の男が待っていた。
フードの男
「茶髪の子供は?」
ゴロツキの頭
「あぁ、ちゃんと連れて来たぜ! 後は、お前の好きなようにしてくれればいいからさ! なぁ?」
ゴロツキの頭は後ろを振り返り、レオナルドに同意を求める。
フードの男
「まぁ、いい。子供をこちらに引き渡せ。」
レオナルドは、馬車からエドアルドを降ろし、フードの男に見せた。
フードの男
「思ったより明るい茶髪だが、瞳の色はジーンシャン家特有のスカイブルーなのだな。確かにアントニオ・ジーンシャンのようだ。」
やはり、トニーを狙っていたのか!
フードの男
「ご苦労だった、褒美をやろう。」
ゴロツキの頭が、金を受け取ろうとして、男に近付いた瞬間、ビリっという音とともに僅かに光が走り、ゴロツキの頭は地面に倒れた。
レオナルド
「どういうことだ! 聞いていた話と違うぞ!」
フードの男
「お前等こそ、どういうつもりだ? 私は殺して死体を持って来いと言ったはずだ! 今すぐに子供を殺せ! そうしたら、お前の命は助けてやってもいい。」
レオナルド
「殺せ...と?」
ゴロツキ達は嘘を付いていた。誘拐ではなく、暗殺が目的だったのだ。ジーンシャン家の子供を殺すつもりでいたことが知られると、死刑は免れない。減刑してもらうために、誘拐目的であると嘘を付いていたのだ。
レオナルド
「...本当だな? 子供を殺せば、俺は助けてくれるんだな?」
フードの男
「待て! お前の魔法属性は何だ?」
レオナルド
「風だが?」
フードの男
「よし! お前が殺(や)れ!」
レオナルド
「分かった。」
レオナルドはエドアルドに近付き、風魔法を放った。
エドアルドは地面に倒れる。
レオナルド
「これでいいか?」
フードの男
「ははは! 良くやった! これで、お前達をアントニオ殺しの犯人として始末出来る!」
森に隠れていた5人の男達が一斉に出てきて、レオナルド達を取り囲んだ。
レオナルド
「な、何のために? 教えてくれて! 死ぬ前に真実が知りたい!」
フードの男
「冥土の土産に教えてやろう。なに、茶髪の子供を神の御使に仕立てあげようとしたジーンシャンの奴らが悪いのさ。神殿に仇なす悪魔には死んでもらわなくてはいけない。」
レオナルド
「あんた等は何者なんだ?」
フードの男
「私達はアルボス祭司様の魔導神兵だ。この世の中には必要のない、不浄な連中を粛清する使命を帯びている!」
レオナルド
「なるほど。もういうぞ、エドアルド。」
エドアルド
「本当に、聞いていた話と大分違うんですけど! 帰ったら、お祖父様に文句を言ってやる! 子供の手に負える事件じゃないよ!」
フードの男
「な!? 生きているだと!?」
エドアルド
「そよ風が当たったくらいじゃ死なないよ。」
フードの男
「くそ! まぁ、いい! 証拠を残したくなかったが致し方あるまい。皆殺しにするまでだ! 神に選ばれた者だけが扱える光属性の魔法を味わって死ぬがいい!」
レオナルド
「正直な部下を持ってアルボス祭司も、さぞかし、鼻が高いことだろう。では、魔導騎士の皆様、犯罪者を逮捕して下さい。」
魔導騎士
「「「はっ!」」」
フードの男
「は?...魔導騎士...だと?」
エドアルド
「はい。魔導騎士団の犯罪者捕獲用の囮り部隊です。」
言い終わるより先に、エドアルドの氷属性の魔法がフードの男の手足を固定した。
神兵が攻撃を繰り出すより先に、魔導騎士達が拘束効果のある魔法をかけ、あっという間に取り押さえた。
身動き出来なくなった神兵を横目に、レオナルドはゴロツキの頭に近付き脈を測る。
レオナルド
「死なせてしまったか...この男は馬車で運べ。ジーンシャン魔導騎士団は犯罪者達を縄でさらに拘束し、護送しろ!」
ジーンシャンの魔導騎士
「「「はっ!」」」
レオナルド
「エドアルド、俺達は、一足早く戻り、新たな騎士を連れて神殿に乗り込むぞ! アルボスを逮捕する! 王立魔導騎士団の皆様も一緒に来て下さい!」
王立魔導騎士団
「「「はっ!」」」
____________
神殿ではサント家をはじめとする神官幹部の皆様が、アントニオの到着を待っていた。
エミ
「いくらなんでも遅過ぎるわ! トニーの身に何かあったのでは?」
スヴァトン祭司
「もしや、我々の目論見に気が付き、晩餐会を欠席されると言い出したのでは?」
ハイドリヒ祭司
「それなら、迎えの御者が帰還し報告に来るだろう?」
ヘンリー
「あの子はオシャレ好きだ。晩餐会の支度に時間がかかっているのでは?」
エミ
「晩餐会は18:00開始ですが、こちらでゆっくり出来るように16:00に迎えを出したのですよ? 今は、もう、19:00です! 事件に巻き込まれているかもしれない!」
ヘンリー
「まさか! トニーをどうにかできる人間など、いないよ。」
エミ
「そうですわね...。」
アルボス祭司
「それは、どういうことですかな?」
ヘンリー
「トニーが桁違いの魔力を持っていることはご存知ですよね?」
アルボス祭司
「え? えぇ...能力鑑定の結果でしたら、伺っておりますが...。」
ヘンリー
「あの子は、その強力な魔力でメアリーとの決闘にも勝利しております。」
アルボス祭司
「それは、根も葉もない、ただの噂では?」
ヘンリー
「実際にあった真実です。」
スヴァトン祭司
「母親が子供の遊びに付き合って、わざと負けてあげたのではないのですか?」
ヘンリー
「本気の戦闘試合を行なったようです。」
アルボス祭司
「それで...聖女様に勝利した...と?」
ヘンリー
「そのようです。」
ハイドリヒ祭司
「一体どうやって!? 神官長様は、そのことはご存知だったのですか?」
神官長
「そうでなければ、こんなに躍起になって勧誘などしない! ジーンシャン領に流れている噂は殆どが真実である可能性が高いのだ! もしかしたら、白き人を従えていたという噂も...。」
アルボス祭司
「そんな馬鹿な!」
ヘンリー
「聖女であるメアリーが、信仰を捨てる勢いで必死に守っている子供です。利己的な行動を一切して来なかったメアリーが、異常なまでにトニーに執着しているのだ。噂が真実でも不思議ではない!」
エミ
「神兵を迎えに派遣して下さい! アルボス祭司のところには、探索に優れた光属性の魔導神兵がおりましたでしょ? お力を貸して下さいませ!」
アルボス祭司
「ひ!?...光の神兵を...?」
エミ
「そうです!」
神官長
「私からもお願いしたい!」
アルボス祭司
「...き、今日は、あの者達には暇を与えておりまして...」
ヘンリー
「全員揃っている必要はないのです。1人か2人、派遣して下さるだけで!」
神官長
「まさか、全員に休暇を与えたわけではあるまい?」
アルボス祭司
「そ、その、まさかでして...いや、今日は、一歩も神殿を出るつもりがありませんでしたので...」
神官長
「すまないが、休暇中の神兵に声をかけて来てくれ、部屋にはいるのだろう? 後日、休暇を与える。」
アルボス祭司
「い、いえ、今日は皆で外に食事に行くと...」
エミ
「どちらの店へ?」
アルボス祭司
「さぁ? そこまでは...」
ハイドリヒ祭司
「いくら魔族との戦争が終結してから14年経っているとはいえ、無用心ではないかね?」
スヴァトン祭司
「私の配下の神兵をお使い下さい。探索魔法は持ち合わせておりませんが、王立学校を卒業している神兵が1人おりますので、腕が立ちます!」
ハイドリヒ祭司
「それでしたら、私の配下の神兵を! 王都に代々住んでおる者ばかりですので、街の事情に詳しい!」
神官長
「スヴァトン祭司、ハイドリヒ祭司、感謝する。腕の立つ神兵と街に詳しい神兵を1人ずつ派遣してくれ。サント家の神兵とともに王立学校の寮へ向かわせて欲しい。」
祭司達が控えていた神官に指示を伝えようとしたとき、別の神官が1人部屋に駆け込んで来た。
神官
「大変です!」
スヴァトン祭司
「慌てて、どうしたというのだ!?」
神官
「そ、それが! ロベルト・ジーンシャン様が王立魔導騎士団とジーンシャン魔導騎士団を連れて、神官長様や祭司様達にお会いしたいと!」
フードの男
「茶髪の子供は?」
ゴロツキの頭
「あぁ、ちゃんと連れて来たぜ! 後は、お前の好きなようにしてくれればいいからさ! なぁ?」
ゴロツキの頭は後ろを振り返り、レオナルドに同意を求める。
フードの男
「まぁ、いい。子供をこちらに引き渡せ。」
レオナルドは、馬車からエドアルドを降ろし、フードの男に見せた。
フードの男
「思ったより明るい茶髪だが、瞳の色はジーンシャン家特有のスカイブルーなのだな。確かにアントニオ・ジーンシャンのようだ。」
やはり、トニーを狙っていたのか!
フードの男
「ご苦労だった、褒美をやろう。」
ゴロツキの頭が、金を受け取ろうとして、男に近付いた瞬間、ビリっという音とともに僅かに光が走り、ゴロツキの頭は地面に倒れた。
レオナルド
「どういうことだ! 聞いていた話と違うぞ!」
フードの男
「お前等こそ、どういうつもりだ? 私は殺して死体を持って来いと言ったはずだ! 今すぐに子供を殺せ! そうしたら、お前の命は助けてやってもいい。」
レオナルド
「殺せ...と?」
ゴロツキ達は嘘を付いていた。誘拐ではなく、暗殺が目的だったのだ。ジーンシャン家の子供を殺すつもりでいたことが知られると、死刑は免れない。減刑してもらうために、誘拐目的であると嘘を付いていたのだ。
レオナルド
「...本当だな? 子供を殺せば、俺は助けてくれるんだな?」
フードの男
「待て! お前の魔法属性は何だ?」
レオナルド
「風だが?」
フードの男
「よし! お前が殺(や)れ!」
レオナルド
「分かった。」
レオナルドはエドアルドに近付き、風魔法を放った。
エドアルドは地面に倒れる。
レオナルド
「これでいいか?」
フードの男
「ははは! 良くやった! これで、お前達をアントニオ殺しの犯人として始末出来る!」
森に隠れていた5人の男達が一斉に出てきて、レオナルド達を取り囲んだ。
レオナルド
「な、何のために? 教えてくれて! 死ぬ前に真実が知りたい!」
フードの男
「冥土の土産に教えてやろう。なに、茶髪の子供を神の御使に仕立てあげようとしたジーンシャンの奴らが悪いのさ。神殿に仇なす悪魔には死んでもらわなくてはいけない。」
レオナルド
「あんた等は何者なんだ?」
フードの男
「私達はアルボス祭司様の魔導神兵だ。この世の中には必要のない、不浄な連中を粛清する使命を帯びている!」
レオナルド
「なるほど。もういうぞ、エドアルド。」
エドアルド
「本当に、聞いていた話と大分違うんですけど! 帰ったら、お祖父様に文句を言ってやる! 子供の手に負える事件じゃないよ!」
フードの男
「な!? 生きているだと!?」
エドアルド
「そよ風が当たったくらいじゃ死なないよ。」
フードの男
「くそ! まぁ、いい! 証拠を残したくなかったが致し方あるまい。皆殺しにするまでだ! 神に選ばれた者だけが扱える光属性の魔法を味わって死ぬがいい!」
レオナルド
「正直な部下を持ってアルボス祭司も、さぞかし、鼻が高いことだろう。では、魔導騎士の皆様、犯罪者を逮捕して下さい。」
魔導騎士
「「「はっ!」」」
フードの男
「は?...魔導騎士...だと?」
エドアルド
「はい。魔導騎士団の犯罪者捕獲用の囮り部隊です。」
言い終わるより先に、エドアルドの氷属性の魔法がフードの男の手足を固定した。
神兵が攻撃を繰り出すより先に、魔導騎士達が拘束効果のある魔法をかけ、あっという間に取り押さえた。
身動き出来なくなった神兵を横目に、レオナルドはゴロツキの頭に近付き脈を測る。
レオナルド
「死なせてしまったか...この男は馬車で運べ。ジーンシャン魔導騎士団は犯罪者達を縄でさらに拘束し、護送しろ!」
ジーンシャンの魔導騎士
「「「はっ!」」」
レオナルド
「エドアルド、俺達は、一足早く戻り、新たな騎士を連れて神殿に乗り込むぞ! アルボスを逮捕する! 王立魔導騎士団の皆様も一緒に来て下さい!」
王立魔導騎士団
「「「はっ!」」」
____________
神殿ではサント家をはじめとする神官幹部の皆様が、アントニオの到着を待っていた。
エミ
「いくらなんでも遅過ぎるわ! トニーの身に何かあったのでは?」
スヴァトン祭司
「もしや、我々の目論見に気が付き、晩餐会を欠席されると言い出したのでは?」
ハイドリヒ祭司
「それなら、迎えの御者が帰還し報告に来るだろう?」
ヘンリー
「あの子はオシャレ好きだ。晩餐会の支度に時間がかかっているのでは?」
エミ
「晩餐会は18:00開始ですが、こちらでゆっくり出来るように16:00に迎えを出したのですよ? 今は、もう、19:00です! 事件に巻き込まれているかもしれない!」
ヘンリー
「まさか! トニーをどうにかできる人間など、いないよ。」
エミ
「そうですわね...。」
アルボス祭司
「それは、どういうことですかな?」
ヘンリー
「トニーが桁違いの魔力を持っていることはご存知ですよね?」
アルボス祭司
「え? えぇ...能力鑑定の結果でしたら、伺っておりますが...。」
ヘンリー
「あの子は、その強力な魔力でメアリーとの決闘にも勝利しております。」
アルボス祭司
「それは、根も葉もない、ただの噂では?」
ヘンリー
「実際にあった真実です。」
スヴァトン祭司
「母親が子供の遊びに付き合って、わざと負けてあげたのではないのですか?」
ヘンリー
「本気の戦闘試合を行なったようです。」
アルボス祭司
「それで...聖女様に勝利した...と?」
ヘンリー
「そのようです。」
ハイドリヒ祭司
「一体どうやって!? 神官長様は、そのことはご存知だったのですか?」
神官長
「そうでなければ、こんなに躍起になって勧誘などしない! ジーンシャン領に流れている噂は殆どが真実である可能性が高いのだ! もしかしたら、白き人を従えていたという噂も...。」
アルボス祭司
「そんな馬鹿な!」
ヘンリー
「聖女であるメアリーが、信仰を捨てる勢いで必死に守っている子供です。利己的な行動を一切して来なかったメアリーが、異常なまでにトニーに執着しているのだ。噂が真実でも不思議ではない!」
エミ
「神兵を迎えに派遣して下さい! アルボス祭司のところには、探索に優れた光属性の魔導神兵がおりましたでしょ? お力を貸して下さいませ!」
アルボス祭司
「ひ!?...光の神兵を...?」
エミ
「そうです!」
神官長
「私からもお願いしたい!」
アルボス祭司
「...き、今日は、あの者達には暇を与えておりまして...」
ヘンリー
「全員揃っている必要はないのです。1人か2人、派遣して下さるだけで!」
神官長
「まさか、全員に休暇を与えたわけではあるまい?」
アルボス祭司
「そ、その、まさかでして...いや、今日は、一歩も神殿を出るつもりがありませんでしたので...」
神官長
「すまないが、休暇中の神兵に声をかけて来てくれ、部屋にはいるのだろう? 後日、休暇を与える。」
アルボス祭司
「い、いえ、今日は皆で外に食事に行くと...」
エミ
「どちらの店へ?」
アルボス祭司
「さぁ? そこまでは...」
ハイドリヒ祭司
「いくら魔族との戦争が終結してから14年経っているとはいえ、無用心ではないかね?」
スヴァトン祭司
「私の配下の神兵をお使い下さい。探索魔法は持ち合わせておりませんが、王立学校を卒業している神兵が1人おりますので、腕が立ちます!」
ハイドリヒ祭司
「それでしたら、私の配下の神兵を! 王都に代々住んでおる者ばかりですので、街の事情に詳しい!」
神官長
「スヴァトン祭司、ハイドリヒ祭司、感謝する。腕の立つ神兵と街に詳しい神兵を1人ずつ派遣してくれ。サント家の神兵とともに王立学校の寮へ向かわせて欲しい。」
祭司達が控えていた神官に指示を伝えようとしたとき、別の神官が1人部屋に駆け込んで来た。
神官
「大変です!」
スヴァトン祭司
「慌てて、どうしたというのだ!?」
神官
「そ、それが! ロベルト・ジーンシャン様が王立魔導騎士団とジーンシャン魔導騎士団を連れて、神官長様や祭司様達にお会いしたいと!」
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