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第二幕 幼少期
67.龍人流の婚活方法
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リン
「なるほどなぁ~。ジュゼッペは美人で金持ちで仕事が出来て英雄のような特別感のある女性ね。」
バルド
「賢者ネハ・カーンなら条件に合うんじゃないか?あの女、今は独身だろ?」
ジュゼッペ
「未亡人はちょっと.....もっと若い女性がいいです。」
バルド
「では、エストの従妹のカリーナ・ジーンシャンは? エストが可愛いくてしっかりしていると言っていた。身分も金もあるだろ?」
ジュゼッペ
「若過ぎますし、アルベルト様に殺されてしまいますよ。」
リン
「若いに越した事はないと思うが?では、メアリーはどうだ?」
ジュゼッペ
「はい!? メアリー様はグリエルモ様と結婚されていますよ!?」
リン
「自然界でも良い条件の雌は大抵、他の雄のものだ。決闘で、倒して奪うくらいでないと、強くて優れた女性は手に入らないぞ?」
ジュゼッペ
「勇者様に勝てるわけないですよ。」
リン
「何を情けないことを言っているんだ! そんなことでは、お前の条件に合う英雄のような女性など手に入らないぞ!」
ジュゼッペ
「そもそも、メアリー様は遠慮したいです......」
バルド
「なんでだ? うるさい女もダメなのか?そうすると、条件がさらに厳しくなるが?」
リン
「そうだな。勇者くらいは倒せないと、その条件は難しいな。じゃあ、英雄級の強い女性は諦めろ。お前は金はあるのか?」
ジュゼッペ
「わりと高給取りと言われる方です。」
リン
「城はいくつ買える?」
ジュゼッペ
「城ですか?」
リン
「金持ちの女性が良いのだろう?その女性より金がないと、嫁には来てくれないだろ?」
ジュゼッペ
「領内に屋敷は買えますが、城はちょっと難しいです。」
リン
「そうか.....では、金持ちの女性も諦めた方がいいな。金持ちの女性は、お金が好きだから、自分よりも金持ちな男を好む。あとの、条件は美人だったか? ジュゼッペは、この国では美男子か?」
リンはリュシアンに尋ねた。意地悪で言ったわけではなく、龍人の美的感覚と人族の美的感覚には違いがあるため、純粋な疑問から聞いたのである。
リュシアン
「......普通ではあると思いますが.....美男子かと言われると.....。」
リン
「じゃあ、美人も諦めないといけないか.....」
ジュゼッペの父クラウディオ・サクラーティは領地は持たないが、男爵の爵位を持っている。その嫡子であるジュゼッペは次期男爵だ。顔は悪くないし、体形もスマートで、次期辺境伯領主アントニオの腹心の部下である。
いつもお見合いの釣書は沢山届くし、リュシアンほどではないにせよ、ジュゼッペは自分が女性にモテるつもりでいた。
しかし、超絶イケメンで、空間移動魔法を使え、白い髪を持つ高貴なリンに、希望条件の多くを『諦めろ』と言われ、すっかり自信をなくしてしまった。
確かに理想の女性がいたとしたら、その女性はリン様やルド様のような方との結婚を望むだろう。
リュシアンも居た堪れない気持ちになって、無言になっていた。自分も我儘を言える立場であろうか?
リン
「あとは、特別感か? ジュゼッペ、お前の特別なアピールポイントはなんだ?エストの歌みたいな特技はあるか?」
ジュゼッペ
「.......。」
トニー様のような特別な特技など、自分にあるはずがない。ジュゼッペは、天狗になって女性に多くの条件を希望していた自分を強く恥じた。
リン
「何か無いのか? このままじゃ、誰とも結婚出来ないぞ?」
ジュゼッペ
「......トニー様のお世話をするくらいしか、私には出来ることはありません。」
暗い気持ちで、俯(うつむ)きながら、そう答えた。
リン
「何だ! 素晴らしい特技があるじゃないか! 何でもっと早く言わないんだ? じゃあ、世話好きな女房がいいな。世話好きな女性は、他人の世話をいつもしているから疲れている。お前が甲斐甲斐しく世話を焼いてやれば、お前の事を頼りにして、仲睦まじく暮らせるだろう。」
バルド
「働く女性に詳しいのはマリッサだろ?マリッサに、よく働く女を紹介してもらうといい。」
ジュゼッペ
「は、はい!」
リン
「よし! 解決! じゃあ、次はリュシアン、お前の条件は?」
リュシアン
「性格の善い女性がいいです。」
リン
「リュシアンは性格が善いのか?」
リンはジュゼッペに聞いた。
ジュゼッペ
「ある意味で、いい性格ではありますが、善良かと言われると、どうでしょうか?少なくとも、女性に貞節を求められるような、生活態度でない事は確かです。」
自分の番が終わり、突然雄弁になるジュゼッペを、リュシアンは恨めしく睨んだが、ジュゼッペは視線をそらし、気が付かない振りをした。
そして、リュシアンがアントニオに『1番駄目』と言った、男遊びで有名な女性の釣書を、そっと差し出した。
リュシアンは、その釣書を手に、ガックリと肩を落とした。
リン
「その女性がお前と似たタイプなのか?」
リュシアン
「........はい。」
バルド
「でも、嫌いなら結婚などしない方がいい。互いに不幸になるだけだ。」
リュシアン
「それは、結婚自体を諦めた方が良いという事でしょうか?」
いつもの絵に描いたようなエリートの姿は見る影もなく、リュシアンは裁判で判決を待つ罪人のように縮こまった。
バルド
「そうだな。」
一気に血の気が引いて、リュシアンはよろめいた。
リュシアン
「そんな......でも、それではトニー様にご迷惑が....」
バルド
「お前が結婚出来ないことが、エストに何か関係するのか?」
リュシアン
「ジーンシャン領では、結婚出来ない男は、一人前の男とは認められません。そして、結婚出来ない部下がいるという事は、上司にとって大変に不名誉なことなのです。部下が結婚出来ないのは、上司に問題があると思われてしまう場合もあります。」
バルド
「なら、諦めずに結婚しろ。エストを不幸にするな。」
リン
「はぁ~、仕方がないな。お前にはこれをやろう。」
リンは金の腕輪をリュシアンに手渡す。
リュシアン
「金の腕輪? これはいったい.....」
リン
「ルドが口説いても、俺が本気で口説いても、食事にすら同意しなかった、貞操観念のしっかりした女性がいる。働き者で、気が利いて、親切だ。これと同じ、金の腕輪を持っている。もし、お前が本気で結婚したいのならば、その女性を探し出し、死ぬ気で求婚しろ。」
バルド
「あの娘は、エストの歌と引き換えでなければ、食事にすら同意しなかったんだ。リュシアンに口説き落とせるのか?」
リン
「さあな? だが、善良な女性というものは、金持ちで美人で働き者な英雄の女性を手に入れるよりも、もっと、ずっと難しい。そもそも、女性を手に入れる事自体が、とても難しい事なんだ。ルド、お前も、そこら辺の事が分かっていなかったから、女性に毒を盛られたことがあるんだろ?
お前達2人もいいか? 手間のかからない女など、碌な女ではない。この女性なら、手間をかけることなど惜しくはないと思えるような、そんな女性を探せ!
そんな女性に運良く出会えたら、全力で落とせ! 手間も時間も金も惜しむな! 出し惜しみすると、その間に、他の男に取られるぞ! 頭を使って、死力を尽くすのだ! いいな!?」
ジュゼッペとリュシアン
「「はい!」」
リュシアン
「それで、この腕輪と同じ腕輪を持っている女性の名前を教えて頂けますか?」
リン
「教えない。」
リュシアン
「何故、教えて頂けないのですか?」
リン
「自力で探すことに意味がある。手間暇をかけて探せ。」
リュシアン
「分かりました。」
リン
「よし! 解決だな! エストを呼んで来てくれ。」
リュシアンとジュゼッペが部屋を出て行くと、バルドはリン尋ねた。
バルド
「自力で探す事にどんな意味があるんだ?」
リン
「他人から、あの人と結婚しろと急に言われても、本当の意味では納得出来ないだろ? 僅かなヒントだけを頼りに、やっとの思いで探し出した相手ならば、結婚したいと思えるようになる。
龍人の親が、パートナー探しをしない子供に使う手なんだ。
それに、実は、あの金の腕輪は街で普通に売っている品だから、同じものを持っている女性は結構いる。」
バルド
「それは、大丈夫なのか? 悪い女に引っかかったりしないのか?」
リン
「あの金の腕輪を持っている女性は大抵、自分で高価なものを買える金持ちか、他の男が貢ぐ、それなりの女性だ。大丈夫だろ。
まぁ、変な女に引っかかって騙されそうな時は、助けてやるさ。
リュシアンみたいなタイプが結婚をするのに、1番必要な事は本人がやる気を出す事だ。多少のリスクは致し方ないことだ!」
バルド
「そうか。」
「なるほどなぁ~。ジュゼッペは美人で金持ちで仕事が出来て英雄のような特別感のある女性ね。」
バルド
「賢者ネハ・カーンなら条件に合うんじゃないか?あの女、今は独身だろ?」
ジュゼッペ
「未亡人はちょっと.....もっと若い女性がいいです。」
バルド
「では、エストの従妹のカリーナ・ジーンシャンは? エストが可愛いくてしっかりしていると言っていた。身分も金もあるだろ?」
ジュゼッペ
「若過ぎますし、アルベルト様に殺されてしまいますよ。」
リン
「若いに越した事はないと思うが?では、メアリーはどうだ?」
ジュゼッペ
「はい!? メアリー様はグリエルモ様と結婚されていますよ!?」
リン
「自然界でも良い条件の雌は大抵、他の雄のものだ。決闘で、倒して奪うくらいでないと、強くて優れた女性は手に入らないぞ?」
ジュゼッペ
「勇者様に勝てるわけないですよ。」
リン
「何を情けないことを言っているんだ! そんなことでは、お前の条件に合う英雄のような女性など手に入らないぞ!」
ジュゼッペ
「そもそも、メアリー様は遠慮したいです......」
バルド
「なんでだ? うるさい女もダメなのか?そうすると、条件がさらに厳しくなるが?」
リン
「そうだな。勇者くらいは倒せないと、その条件は難しいな。じゃあ、英雄級の強い女性は諦めろ。お前は金はあるのか?」
ジュゼッペ
「わりと高給取りと言われる方です。」
リン
「城はいくつ買える?」
ジュゼッペ
「城ですか?」
リン
「金持ちの女性が良いのだろう?その女性より金がないと、嫁には来てくれないだろ?」
ジュゼッペ
「領内に屋敷は買えますが、城はちょっと難しいです。」
リン
「そうか.....では、金持ちの女性も諦めた方がいいな。金持ちの女性は、お金が好きだから、自分よりも金持ちな男を好む。あとの、条件は美人だったか? ジュゼッペは、この国では美男子か?」
リンはリュシアンに尋ねた。意地悪で言ったわけではなく、龍人の美的感覚と人族の美的感覚には違いがあるため、純粋な疑問から聞いたのである。
リュシアン
「......普通ではあると思いますが.....美男子かと言われると.....。」
リン
「じゃあ、美人も諦めないといけないか.....」
ジュゼッペの父クラウディオ・サクラーティは領地は持たないが、男爵の爵位を持っている。その嫡子であるジュゼッペは次期男爵だ。顔は悪くないし、体形もスマートで、次期辺境伯領主アントニオの腹心の部下である。
いつもお見合いの釣書は沢山届くし、リュシアンほどではないにせよ、ジュゼッペは自分が女性にモテるつもりでいた。
しかし、超絶イケメンで、空間移動魔法を使え、白い髪を持つ高貴なリンに、希望条件の多くを『諦めろ』と言われ、すっかり自信をなくしてしまった。
確かに理想の女性がいたとしたら、その女性はリン様やルド様のような方との結婚を望むだろう。
リュシアンも居た堪れない気持ちになって、無言になっていた。自分も我儘を言える立場であろうか?
リン
「あとは、特別感か? ジュゼッペ、お前の特別なアピールポイントはなんだ?エストの歌みたいな特技はあるか?」
ジュゼッペ
「.......。」
トニー様のような特別な特技など、自分にあるはずがない。ジュゼッペは、天狗になって女性に多くの条件を希望していた自分を強く恥じた。
リン
「何か無いのか? このままじゃ、誰とも結婚出来ないぞ?」
ジュゼッペ
「......トニー様のお世話をするくらいしか、私には出来ることはありません。」
暗い気持ちで、俯(うつむ)きながら、そう答えた。
リン
「何だ! 素晴らしい特技があるじゃないか! 何でもっと早く言わないんだ? じゃあ、世話好きな女房がいいな。世話好きな女性は、他人の世話をいつもしているから疲れている。お前が甲斐甲斐しく世話を焼いてやれば、お前の事を頼りにして、仲睦まじく暮らせるだろう。」
バルド
「働く女性に詳しいのはマリッサだろ?マリッサに、よく働く女を紹介してもらうといい。」
ジュゼッペ
「は、はい!」
リン
「よし! 解決! じゃあ、次はリュシアン、お前の条件は?」
リュシアン
「性格の善い女性がいいです。」
リン
「リュシアンは性格が善いのか?」
リンはジュゼッペに聞いた。
ジュゼッペ
「ある意味で、いい性格ではありますが、善良かと言われると、どうでしょうか?少なくとも、女性に貞節を求められるような、生活態度でない事は確かです。」
自分の番が終わり、突然雄弁になるジュゼッペを、リュシアンは恨めしく睨んだが、ジュゼッペは視線をそらし、気が付かない振りをした。
そして、リュシアンがアントニオに『1番駄目』と言った、男遊びで有名な女性の釣書を、そっと差し出した。
リュシアンは、その釣書を手に、ガックリと肩を落とした。
リン
「その女性がお前と似たタイプなのか?」
リュシアン
「........はい。」
バルド
「でも、嫌いなら結婚などしない方がいい。互いに不幸になるだけだ。」
リュシアン
「それは、結婚自体を諦めた方が良いという事でしょうか?」
いつもの絵に描いたようなエリートの姿は見る影もなく、リュシアンは裁判で判決を待つ罪人のように縮こまった。
バルド
「そうだな。」
一気に血の気が引いて、リュシアンはよろめいた。
リュシアン
「そんな......でも、それではトニー様にご迷惑が....」
バルド
「お前が結婚出来ないことが、エストに何か関係するのか?」
リュシアン
「ジーンシャン領では、結婚出来ない男は、一人前の男とは認められません。そして、結婚出来ない部下がいるという事は、上司にとって大変に不名誉なことなのです。部下が結婚出来ないのは、上司に問題があると思われてしまう場合もあります。」
バルド
「なら、諦めずに結婚しろ。エストを不幸にするな。」
リン
「はぁ~、仕方がないな。お前にはこれをやろう。」
リンは金の腕輪をリュシアンに手渡す。
リュシアン
「金の腕輪? これはいったい.....」
リン
「ルドが口説いても、俺が本気で口説いても、食事にすら同意しなかった、貞操観念のしっかりした女性がいる。働き者で、気が利いて、親切だ。これと同じ、金の腕輪を持っている。もし、お前が本気で結婚したいのならば、その女性を探し出し、死ぬ気で求婚しろ。」
バルド
「あの娘は、エストの歌と引き換えでなければ、食事にすら同意しなかったんだ。リュシアンに口説き落とせるのか?」
リン
「さあな? だが、善良な女性というものは、金持ちで美人で働き者な英雄の女性を手に入れるよりも、もっと、ずっと難しい。そもそも、女性を手に入れる事自体が、とても難しい事なんだ。ルド、お前も、そこら辺の事が分かっていなかったから、女性に毒を盛られたことがあるんだろ?
お前達2人もいいか? 手間のかからない女など、碌な女ではない。この女性なら、手間をかけることなど惜しくはないと思えるような、そんな女性を探せ!
そんな女性に運良く出会えたら、全力で落とせ! 手間も時間も金も惜しむな! 出し惜しみすると、その間に、他の男に取られるぞ! 頭を使って、死力を尽くすのだ! いいな!?」
ジュゼッペとリュシアン
「「はい!」」
リュシアン
「それで、この腕輪と同じ腕輪を持っている女性の名前を教えて頂けますか?」
リン
「教えない。」
リュシアン
「何故、教えて頂けないのですか?」
リン
「自力で探すことに意味がある。手間暇をかけて探せ。」
リュシアン
「分かりました。」
リン
「よし! 解決だな! エストを呼んで来てくれ。」
リュシアンとジュゼッペが部屋を出て行くと、バルドはリン尋ねた。
バルド
「自力で探す事にどんな意味があるんだ?」
リン
「他人から、あの人と結婚しろと急に言われても、本当の意味では納得出来ないだろ? 僅かなヒントだけを頼りに、やっとの思いで探し出した相手ならば、結婚したいと思えるようになる。
龍人の親が、パートナー探しをしない子供に使う手なんだ。
それに、実は、あの金の腕輪は街で普通に売っている品だから、同じものを持っている女性は結構いる。」
バルド
「それは、大丈夫なのか? 悪い女に引っかかったりしないのか?」
リン
「あの金の腕輪を持っている女性は大抵、自分で高価なものを買える金持ちか、他の男が貢ぐ、それなりの女性だ。大丈夫だろ。
まぁ、変な女に引っかかって騙されそうな時は、助けてやるさ。
リュシアンみたいなタイプが結婚をするのに、1番必要な事は本人がやる気を出す事だ。多少のリスクは致し方ないことだ!」
バルド
「そうか。」
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