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第二幕 幼少期
65.結婚のお世話は主の仕事
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ジーンシャン家筆頭執事クラウディオの妻である侍女シンシア・サクラーティ(51歳)より、アントニオへ、シンシアの息子ジュゼッペの結婚の相談がもたらされた。
ジュゼッペは今年で29歳になるが、トニー様のお世話を理由に、結婚しようとせず、お見合いの釣書にも碌に目を通さないのだという。
シンシアは非常に洗練された所作で動く貴婦人だ。ハンカチ片手にシナを作り、涙ながらに訴える様は、なかなか胸にくるものがある。
シンシア
「来年は、トニー様とご一緒に王都へ参りますでしょう? もう29歳でただでさえ婚期が遅れているというのに、あと5年も王都にいれば、あの子の結婚はどうなってしまうので御座いましょう? 一生、独身だったらと思うと、ワタクシは恐ろしくて!」
シンシアのいうことは最もだ。ジーンシャン領では、結婚出来ないような、甲斐性のない男は家の恥なのである。その為、殆どの領民が成人するとすぐに結婚する。
そういえば、リュシアンも今年で27歳だ。結婚は大丈夫なんだろうか?
アントニオ
「シンシア、分かりました! 私からもジュゼッペに言っておきます。」
シンシア
「有難う御座います!」
シンシアを見送ると、早速、父グリエルモのところへ訪れた。
グリエルモ
「どうしたんだい? トニー。」
アントニオ
「父上! 自分の直属の部下が、結婚しない場合はどうすれば良いのでしょうか? そろそろ、お前も結婚しなさいと言ってもパワハラにはなりませんか?」
グリエルモ
「あぁ、そのことか。パワハラにはならないよ。むしろ、部下の結婚の世話をするのは主の務めだからね。」
アントニオ
「え!? では、ジュゼッペとリュシアンが結婚出来なかったのは、本当に私の所為ですか?」
グリエルモ
「いや、トニーの所為じゃないよ。あの2人は主が結婚を世話しなくても、いくらでも結婚話があるはずだ。本人の問題だと思うよ。」
確かに! ジュゼッペのことはよく知らないが、リュシアンはジーンシャンで結婚したい独身男性ナンバーワンのはず! ジュゼッペだって、シンシアの話では、お見合いの釣書はいくつも届いている様子だった。
何故なんだ!?
グリエルモ
「だけど、そうだね。2人が結婚しないとあっては、主であるトニーに何か問題があるように世間に思われてしまうね。早急に解決した方がいいかもしれない。さて、どうしようか?」
グリエルモが知り合いの独身女性と引き合わせ、2人に圧力をかけて結婚させてしまうのは簡単だ。
実は、前々から、グリエルモはシンシアから相談を受けていたが、グリエルモ自身も結婚は遅めで、恋愛結婚をしているので、ジュゼッペ達に無理を強いることには気が引ける。
シンシアが来て、涙ながらに訴えても、グリエルモは『まぁ、そんなに焦らなくても、ジュゼッペはモテますから大丈夫ですよ。』とか、『私もメアリーになかなか好きだと言えず、結婚が遅くなりましたが、無事に結婚して子供も生まれました。気長に待ちましょう。』とか、のらりくらりとかわしていたのである。
それで、とうとうシンシアは直属の上司であるアントニオに泣きついて来たという訳だ。
子供だけど、頭のいいトニー様ならなんとかしてくれるに違いないと。
グリエルモは、ジュゼッペとリュシアンの結婚相手は彼等自身で探すべきだと思っているが、アントニオがどんな解決方法を提案するかということに興味が湧いた。
グリエルモ
「トニーはどうするのがいいと思う?」
アントニオ
「とりあえず、2人の気持ちを確認してみます。」
グリエルモ
「そうだね。そうしなさい。」
アントニオは、ジュゼッペとリュシアンを部屋に呼んで、尋ねてみた。
アントニオ
「2人に集まって貰ったのは、結婚の意思を確認するためです。2人は何故結婚をしないのですか? したくないのですか? それとも、したいけど、良い相手が見つからないのですか? とくに、ジュゼッペ、シンシアが心配していましたよ? お付き合いしている人はいないのですか?」
ジュゼッペ
「結婚したくないわけではありませんが、毎日勤務しておりますので、デートやお見合いをしている暇がありませんでした。」
アントニオ
「あ、そうか! 御免。やっぱり私の所為なのですね.....」
ジュゼッペ
「とんでもありません! 私が、他の者に仕事を譲りたくない所為で御座います! お願いですから、私に暇を出して、別の人間を採用するなんてことはしないで頂きたいです。」
トニー様の専属執事の仕事はとても楽しい。トニー様は我儘なんて言わないし、習い事も多いから、自由時間も多い。トニー様のために必要だと言えば、高級ブティックや宝石店はパーティー用の服飾品を持ってくる。菓子屋やお茶屋は最高級品を、本屋は面白そうな本を大量に持ってくるのだ。どれにしようかと悩めば、商人達は、『ジュゼッペ様にお土産が!』と言って、プレゼントを持って来る。
決まっている仕事らしい仕事と言えば、朝に身支度を手伝って、その日のスケジュールを確認する事と、トニー様のお茶の用意、夜の就寝の支度、財産の管理である。将来、筆頭執事になるための勉強はしなくてはいけないが、全く手のかからない可愛い子供の世話をするだけで、高い給金がもらえるし、自分よりも身分の高い他領の貴族達が、自分を様付けで呼び、頭を下げてくるのだ。
そして、何より、トニー様と一緒にいれば伝説で語られるような、不思議なことがいっぱい起こる。自分も伝説で語られる登場人物の1人になれるかもしれないのだ。
他の召使いに、この座を奪われてなるものか!
アントニオ
「でも、それじゃあ、いつまでたっても結婚出来ないですよ? どうすればいいんだろう?.....うんと....では、今度、シンシアのところに届いている釣書を一緒に見ましょう。その中で、気に入りそうな方がいたら、勤務時間中にお見合いをしましょう。」
ジュゼッペは明らかに嫌そうな顔をしたが、口では、「有難うございます。承知致しました。」と答えた。
なんだか、やっぱり結婚したくなさそう?
アントニオ
「リュシアンはどうしてですか? 休暇は与えているし、女性からも非常にモテると聞きましたよ?」
リュシアン
「私も結婚が嫌なわけではないのですが、休暇中も魔法の研究や訓練に励んでおりました。少しでも早く、トニー様のお役に立てるような一人前の魔導騎士になろうと、日夜努力しているのであります。」
アントニオ
「有難う.....やっぱり、私の所為ですね。リュシアンは十分立派な魔導騎士です。リュシアンも、届いている釣書があったら、持って来て下さい。一緒に見ましょう。」
しかし、リュシアンもまた、眉間にシワを寄せて嫌そうな顔をした。
何故なんだ!?
リュシアン
「有難うございます。しかし、トニー様のお手を煩わせるなど、とんでも御座いません!自分で解決致します。」
アントニオ
「好きな人がいるのですか? 望みがないような相手?」
リュシアン
「いえ? 何故そのように思われるのですか?」
アントニオ
「2人とも、なんだか、とっても嫌そうだから....」
あれ? 2人とも? もしかして、2人は同性愛者で、お互いが好きだったりする?
前世では、オペラ歌手という職業柄、同性愛者の仕事仲間が非常に多かった。
もし、2人が同性愛者なら、無理に結婚をさせてはいけない。馬鹿にするつもりはないし、出来るだけ望む通りの祝福を与えてあげたい。
アントニオ
「もし、2人が同性愛などの性癖で悩んでいるのでしたら、相談して下さいね? 私は、2人の味方ですから。」
2人を交互に見るアントニオの視線で、恐ろしい誤解が生まれていることに気が付いた2人は慌てた。
トニー様に誤解されてはいけない!
ジュゼッペ
「すぐに母から釣書を受け取ってきます!」
リュシアン
「私も、今すぐに宿舎の自室から持って参ります!」
ジュゼッペは今年で29歳になるが、トニー様のお世話を理由に、結婚しようとせず、お見合いの釣書にも碌に目を通さないのだという。
シンシアは非常に洗練された所作で動く貴婦人だ。ハンカチ片手にシナを作り、涙ながらに訴える様は、なかなか胸にくるものがある。
シンシア
「来年は、トニー様とご一緒に王都へ参りますでしょう? もう29歳でただでさえ婚期が遅れているというのに、あと5年も王都にいれば、あの子の結婚はどうなってしまうので御座いましょう? 一生、独身だったらと思うと、ワタクシは恐ろしくて!」
シンシアのいうことは最もだ。ジーンシャン領では、結婚出来ないような、甲斐性のない男は家の恥なのである。その為、殆どの領民が成人するとすぐに結婚する。
そういえば、リュシアンも今年で27歳だ。結婚は大丈夫なんだろうか?
アントニオ
「シンシア、分かりました! 私からもジュゼッペに言っておきます。」
シンシア
「有難う御座います!」
シンシアを見送ると、早速、父グリエルモのところへ訪れた。
グリエルモ
「どうしたんだい? トニー。」
アントニオ
「父上! 自分の直属の部下が、結婚しない場合はどうすれば良いのでしょうか? そろそろ、お前も結婚しなさいと言ってもパワハラにはなりませんか?」
グリエルモ
「あぁ、そのことか。パワハラにはならないよ。むしろ、部下の結婚の世話をするのは主の務めだからね。」
アントニオ
「え!? では、ジュゼッペとリュシアンが結婚出来なかったのは、本当に私の所為ですか?」
グリエルモ
「いや、トニーの所為じゃないよ。あの2人は主が結婚を世話しなくても、いくらでも結婚話があるはずだ。本人の問題だと思うよ。」
確かに! ジュゼッペのことはよく知らないが、リュシアンはジーンシャンで結婚したい独身男性ナンバーワンのはず! ジュゼッペだって、シンシアの話では、お見合いの釣書はいくつも届いている様子だった。
何故なんだ!?
グリエルモ
「だけど、そうだね。2人が結婚しないとあっては、主であるトニーに何か問題があるように世間に思われてしまうね。早急に解決した方がいいかもしれない。さて、どうしようか?」
グリエルモが知り合いの独身女性と引き合わせ、2人に圧力をかけて結婚させてしまうのは簡単だ。
実は、前々から、グリエルモはシンシアから相談を受けていたが、グリエルモ自身も結婚は遅めで、恋愛結婚をしているので、ジュゼッペ達に無理を強いることには気が引ける。
シンシアが来て、涙ながらに訴えても、グリエルモは『まぁ、そんなに焦らなくても、ジュゼッペはモテますから大丈夫ですよ。』とか、『私もメアリーになかなか好きだと言えず、結婚が遅くなりましたが、無事に結婚して子供も生まれました。気長に待ちましょう。』とか、のらりくらりとかわしていたのである。
それで、とうとうシンシアは直属の上司であるアントニオに泣きついて来たという訳だ。
子供だけど、頭のいいトニー様ならなんとかしてくれるに違いないと。
グリエルモは、ジュゼッペとリュシアンの結婚相手は彼等自身で探すべきだと思っているが、アントニオがどんな解決方法を提案するかということに興味が湧いた。
グリエルモ
「トニーはどうするのがいいと思う?」
アントニオ
「とりあえず、2人の気持ちを確認してみます。」
グリエルモ
「そうだね。そうしなさい。」
アントニオは、ジュゼッペとリュシアンを部屋に呼んで、尋ねてみた。
アントニオ
「2人に集まって貰ったのは、結婚の意思を確認するためです。2人は何故結婚をしないのですか? したくないのですか? それとも、したいけど、良い相手が見つからないのですか? とくに、ジュゼッペ、シンシアが心配していましたよ? お付き合いしている人はいないのですか?」
ジュゼッペ
「結婚したくないわけではありませんが、毎日勤務しておりますので、デートやお見合いをしている暇がありませんでした。」
アントニオ
「あ、そうか! 御免。やっぱり私の所為なのですね.....」
ジュゼッペ
「とんでもありません! 私が、他の者に仕事を譲りたくない所為で御座います! お願いですから、私に暇を出して、別の人間を採用するなんてことはしないで頂きたいです。」
トニー様の専属執事の仕事はとても楽しい。トニー様は我儘なんて言わないし、習い事も多いから、自由時間も多い。トニー様のために必要だと言えば、高級ブティックや宝石店はパーティー用の服飾品を持ってくる。菓子屋やお茶屋は最高級品を、本屋は面白そうな本を大量に持ってくるのだ。どれにしようかと悩めば、商人達は、『ジュゼッペ様にお土産が!』と言って、プレゼントを持って来る。
決まっている仕事らしい仕事と言えば、朝に身支度を手伝って、その日のスケジュールを確認する事と、トニー様のお茶の用意、夜の就寝の支度、財産の管理である。将来、筆頭執事になるための勉強はしなくてはいけないが、全く手のかからない可愛い子供の世話をするだけで、高い給金がもらえるし、自分よりも身分の高い他領の貴族達が、自分を様付けで呼び、頭を下げてくるのだ。
そして、何より、トニー様と一緒にいれば伝説で語られるような、不思議なことがいっぱい起こる。自分も伝説で語られる登場人物の1人になれるかもしれないのだ。
他の召使いに、この座を奪われてなるものか!
アントニオ
「でも、それじゃあ、いつまでたっても結婚出来ないですよ? どうすればいいんだろう?.....うんと....では、今度、シンシアのところに届いている釣書を一緒に見ましょう。その中で、気に入りそうな方がいたら、勤務時間中にお見合いをしましょう。」
ジュゼッペは明らかに嫌そうな顔をしたが、口では、「有難うございます。承知致しました。」と答えた。
なんだか、やっぱり結婚したくなさそう?
アントニオ
「リュシアンはどうしてですか? 休暇は与えているし、女性からも非常にモテると聞きましたよ?」
リュシアン
「私も結婚が嫌なわけではないのですが、休暇中も魔法の研究や訓練に励んでおりました。少しでも早く、トニー様のお役に立てるような一人前の魔導騎士になろうと、日夜努力しているのであります。」
アントニオ
「有難う.....やっぱり、私の所為ですね。リュシアンは十分立派な魔導騎士です。リュシアンも、届いている釣書があったら、持って来て下さい。一緒に見ましょう。」
しかし、リュシアンもまた、眉間にシワを寄せて嫌そうな顔をした。
何故なんだ!?
リュシアン
「有難うございます。しかし、トニー様のお手を煩わせるなど、とんでも御座いません!自分で解決致します。」
アントニオ
「好きな人がいるのですか? 望みがないような相手?」
リュシアン
「いえ? 何故そのように思われるのですか?」
アントニオ
「2人とも、なんだか、とっても嫌そうだから....」
あれ? 2人とも? もしかして、2人は同性愛者で、お互いが好きだったりする?
前世では、オペラ歌手という職業柄、同性愛者の仕事仲間が非常に多かった。
もし、2人が同性愛者なら、無理に結婚をさせてはいけない。馬鹿にするつもりはないし、出来るだけ望む通りの祝福を与えてあげたい。
アントニオ
「もし、2人が同性愛などの性癖で悩んでいるのでしたら、相談して下さいね? 私は、2人の味方ですから。」
2人を交互に見るアントニオの視線で、恐ろしい誤解が生まれていることに気が付いた2人は慌てた。
トニー様に誤解されてはいけない!
ジュゼッペ
「すぐに母から釣書を受け取ってきます!」
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