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1巻
1-2
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――すると。
「そうだわ! 志乃を連れて行って、私の引き立て役にすればいいじゃないっ」
意気揚々と放たれた貴子の言葉に、志乃は硬直する。
一体何を言い出したのかと、一瞬意味が分からなかった。
夜会なんて自分には関係ない。むしろその日は貴子が屋敷を不在にするから楽だな、くらいにしか考えていなかったというのに。
「……貴子さん。今なんと?」
恐る恐る尋ねると、貴子はふんぞり返って志乃を眺めた。
「だから、あんたも私と一緒に夜会に行くのよ。あんたには地味なドレスを着せて野暮ったい髪型をさせて、私の引き立て役にすれば、私がより一層美しく見えるじゃない?」
「え……。いえ、貴子さんは私など隣に置かなくても十分お美しいですよ」
面倒極まりない貴子の作戦に乗りたくない志乃は、適当に褒めてなんとか考えを改めてもらおうとそう言った。
だが、しかし。
「そんなの今さらあんたに言われなくたって分かり切ってるわよっ! でもやれるだけのことはやっておきたいの。そうね、こんなのはどうかしら? 両親を失ったかわいそうで惨めな志乃に、本当の姉妹のように優しくしている私……これを前面に押し出せば、きっと橘のご子息は私の魅力に気づくはずよ!」
――本当の姉妹のように優しく……?
遠縁の自分に衣食住を与えてくれた貴子の両親には、相応の感謝の念はある。
しかし貴子に優しくされたことなど、しつこく思い返しても一度たりとも思い浮かばない……
それどころか、食べ飽きたお菓子を「食べれば?」と投げつけてきたことや、着古して穴が空き、ボロ布と化した洋服を押しつけてきた場面が思い出され、志乃は心底うんざりした。
もしかして、それだけで彼女は「本当の姉妹のように」志乃に優しくしたつもりなのだろうか。
だとしたらなんと恐ろしい。恐ろしすぎる。
――橘のご子息さま、どうかお逃げください。
心の底から不安を抱く志乃だったが、自分は貴子に逆らえる立場ではない。
結局彼女の提案通り、志乃は橘家主催の夜会に同行することになってしまったのだった。
ひらひらとしたワンピースの裾が重い。いつもは邪魔にならないように適当にひとつに結っている髪は櫛で梳かされ、さらりと下ろしている。
しかし志乃にとっては、それらが邪魔で邪魔で仕方がなかった。
夜会当日。貴子の気は変わらず、無理やり橘邸へと連行された。
モダンで洋風な鉄の門構えはほれぼれするほど立派だったし、最先端の洋装で着飾った他の出席者たちは確かに麗しかったが、「早く帰りたい」という思いはまったく覆らない。
「ちょっと志乃、ぼんやりしないでよ。相変わらず間抜け面ねえ」
気だるげな表情をしていたのを貴子に見られてしまったようで、しかめ面で釘を刺してくる。
彼女がまとう、提灯袖の煌びやかな深紅のドレスが眩い。しかしいささか眩すぎて、目がくらみそうだ。
派手な夜会巻に挿さった、宝石が散りばめられた大きな髪飾りは大層重そうで、貴子の首凝りを心配してしまう。
貴子が妹のように優しく接している、という設定上不都合がないようにか、一応志乃も正装させられてはいる。
しかしワンピースの色は米俵のような地味な薄茶色だし、髪も対面した人に不快感を与えない程度に、最低限整えただけ。
――引き立て役とはいえ、落差がありすぎじゃないのかしら。
別に着飾りたいというわけではないが、「優しく接している妹」に対して、お金をかけなすぎではないだろうか。鋭い男性は貴子の杜撰な作戦など見破ってしまうだろう。
まあ、そうなったらそうなったで志乃は別に構わない。
作戦が思い通りにいかなかった貴子に当たられるのは難儀だが、それも日常茶飯事だし。
「それじゃ行くわよ。引き立て役しっかりやってよね? あんたが私の役に立てる機会なんてそうそうないんだから、光栄に思いなさいよ!」
ドレスの裾をばさりと翻しながら、相変わらず高飛車な物言いをする。
すでに周囲に出席者がたくさんいるのだから、あまりそういうことを言わない方がいいのに……と思ったけれど、余計なことはもちろん口にしない。
そして胸を張って門をくぐる貴子に付き従うように、志乃が橘邸の敷地に足を踏み入れると。
――あれ? この雰囲気は……
橘邸の門の中と外では、漂う空気がまるで違っていた。
人ならざる者――あやかしが発していると思われる、得体の知れないどこか不気味な気配が感じられた。
日頃からあやかしと関わっている志乃にとっては嗅ぎなれた匂いだったし、あやかしに偏見の目は一切持っていないため、恐れはまったく生まれなかった。
屋敷のどこか、ひょっとしたら夜会の招待客として、人間に化けたあやかしが潜り込んでいるのかもしれない。
――そういえば橘家には使用人が頻繁に行方不明になるとか、ご子息の婚約が立て続けに破談になるとか、不穏な噂があるんだったわね。
志乃はふと思い出した。
もし、それらにあやかしが絡んでいるとしたら。橘家は噂通りの――いや、噂以上に普通ではない一族ということになる。
――そうだとしたら、貴子さんの手には負えないだろうなあ。ああ、すごく残念だわ。
もともと失敗続きの貴子の結婚相手探しが今回もうまくいくとは思っていなかったが、可能性がさらに低くなってしまったかもしれないことに、志乃は心底がっかりした。
赤レンガの立派な橘邸の内部は、西洋から輸入したらしきたくさんの彫刻品や絵画で豪華絢爛に彩られていた。
赤絨毯が整然と敷かれた螺旋階段を上ると、大広間を煌びやかなシャンデリアが煌々と照らしている。
最高級品と思われるドレスや装飾品をまとった令嬢たちが、漆黒の燕尾服の男性と優雅にダンスをたしなんでいた。
「まあ……。出席者が多いのね。この中でどれだけ、橘さまとの婚約を狙っている令嬢がいるのかしら」
美しく着飾った淑女たちの多さに、貴子は不機嫌そうに言う。
「少し派手なんじゃないかしら」と志乃が感じていた貴子の装いだったが、この大広間では別段目立つわけでもない。
他の令嬢たちも惜しみなく派手派手しい衣装に身を包んでいるためだ。
もっと目立つ衣裳を用意すればよかった……と貴子は臍を噛んでいる様子だ。
一方、装飾品には縁がないうえに、そこまで興味もない志乃にとっては、目がちかちかしてしまう光景だった。
ますます、早く帰宅して麗羅と柳に愚痴りたいという欲が増す。
しかしもちろんそんなことが叶うはずもない。
声をかけてきた男性と笑みを貼り付けて歓談したり、一曲踊ったりする貴子の傍らで、小一時間ぼんやりと突っ立っていた。
「ええ……。志乃は両親を幼い頃に亡くしていまして……」
話しかけてきた男性に、自分の横に立つ志乃のことを問われた貴子は、大袈裟に切なそうな顔をして言った。
「それは……お気の毒でございましたね」
「そうですの。とてもかわいそうなので、遠縁だった私の両親が引き取りまして。それからは実の妹のように思って、志乃をかわいがっておりますわ」
「それはそれは。貴子さんはとてもお優しいのですね」
そんな会話を、すでに何人もの男性と繰り広げている貴子。志乃は曖昧に微笑んで相槌を打つことしかできない。
夜会に招待された男性は皆それなりの家柄であるはず。
貴子にとっての本命は橘家のご子息だが、他の男性からの求婚を受けるのもやぶさかではない。
橘のひとり息子は、きりりと正装をした男性たちの中にいても一際目立っていたため、すぐに志乃にも分かった。
茶色がかった短髪は、日本人には珍しい色だった。
切れ長の瞳に、すっと通った鼻梁の端正な顔は、まるで西洋の彫刻のように美しい。
また、燕尾服だらけの男性の中で、唯一黒い着物に袴を組み合わせており、それが長身の彼にはよく似合っていたため、より目を引いた。
さらに、彼が近くに来ると周囲の女性たちが「あれが橘桜虎さまよ……!」「なんと凛々しい」と、恍惚とした表情でざわつくのだ。
橘の息子のことなど興味のなかった志乃でも、思わず目を向けてしまった。
しかし注目の的である橘桜虎は、あまり女性と親しそうにしている様子はなかった。繋がりがあるらしい男性と軽く挨拶をしている光景ばかりだ。
ほとんど無表情で、冷淡な印象すら受ける。
令嬢たちの熱視線に気づいているのかいないのか、ひょうひょうと用事だけこなしているふうだった。
「桜虎さまとお話ししたいのにっ。全然こちらを見てくださらないわ!」
桜虎のその様子に、貴子は地団太を踏む。
夜会で女性の方から男性に声をかけるわけにはいかないから、ただ向こうからやって来るのを待つしかないのだ。
しかし桜虎の目に留まるように、近寄っては流し目で求愛している貴子だったが、まったく手ごたえはない様子だ。
彼がちらりと一瞬貴子を見た時もあったが、すぐに目を逸らしてしまった。
その時、桜虎と一瞬、視線が絡んだ。
大きな茶褐色の瞳には、深い光が宿っている。しかし感情はまったく読めず、冷淡な印象しか受けない。
――確かに皆が騒ぐほどの美男だけど、冷たそうな人ね。結婚しても大切にしてくれないんじゃないかしら。
なんて、自分とはまったく世界の違う人間だからこそ、野次馬気分でそんな感想を抱く。
しかしそれにしても退屈だ。いつまでここにいなければならないのだろう。
肝心の桜虎は、貴子はおろか他の女性にも興味がなさそうだし、他の男性だって貴子に目をつけている様子はない。
これ以上この場にいても時間の無駄ではないのか。あくびが出そうになるほど、つまらない。
――そうだ。いったん厠に行こう。
「貴子さん。ちょっとお手洗いに行って参ります」
少しでも息抜きしようと、思いついてすぐ志乃は申し出た。
するとただでさえ不機嫌そうな貴子は、目を剥いて怒鳴るようにこう答えた。
「早く帰って来なさいよ! あんたは引き立て役なんだからねっ。まったく、もうちょっと役に立ってよね!」
いつものことなので動じずに「はい」と答える志乃だったが、近くにいた男性が貴子の苛烈な様子にぎょっとした顔をしていた。
――貴子さん、もうちょっと本性を隠さないと、ますます婚期が遅れてしまいます……
呆れながら思うも、もちろん言わずに志乃は大広間を出た。
そして化粧室でこれでもかというくらいのんびり過ごした後、やはりゆったりと廊下を歩む。
――どうせ貴子さんの機嫌が悪いことには変わりないんだから、できるだけゆっくり戻ろう。
廊下に張られた窓ガラスの外には、西洋風の広めの縁側が見えた。
外の空気を吸ったらもっと気分が晴れるかもと思った志乃は、掃き出し窓を開けて外に出る。
大広間から漏れ聞こえる音楽や歓談の声が夜の闇に溶け込んでいった。夜風が気持ちよく、安堵のため息をつく。
――だけどそろそろ戻らないと、さすがにまずいかな。あー、でもまだ戻りたくないわね。
少し夜の空気を味わいながら、屋内に戻ろうか戻るまいか迷っていた志乃だったが。
「あいたた!」
不意に縁側の隅から少年のような声が聞こえてきた。
誰もいなかったはずだけど、と驚いた志乃が声のした方に視線を向けると、そこにいたのはかわいらしい狸だった。しかし、ただの狸ではない。人間の言葉を話しているので、化け狸に違いない。
――あやかしだわ。やっぱり、この屋敷のどこかにいると思ったのよね。
縁側の床で縮こまる化け狸は、顔を歪ませている。ひょっとして怪我でもしているのだろうか。
「どうしたの? 大丈夫?」
志乃が近寄って声をかけると、化け狸はつぶらな目を大きく見開いた。
「お、お姉ちゃんはおいらが見えるのかい⁉」
驚いた様子で言う。
そういえば、あやかしが見える人間は珍しいのだった、と志乃は軽く反省した。
麗羅や柳と毎日会話をしているから、つい失念していたのだ。
「ええ。今時珍しいみたいね」
「うん! おいらもすごく久しぶりに出会ったよー。お姉ちゃんは夜会に来てる人かな?」
「そうなの。でもとても退屈だったから休憩していて……。あ、それよりも大丈夫? 怪我でもしたの?」
志乃がそう尋ねると、化け狸は自身の後ろ脚に視線を送った。何かで切ったのか、血が一筋流れ出ている。
「おいらも退屈で屋敷や中庭を散歩してたんだけど、一階からこの縁側に飛び移ったら、着地に失敗しちゃって……」
「まあ大変! 手当てしないと」
「ううん。ちょっとびっくりしたけれど、かすり傷だから大丈夫」
そう言って狸はすっくと立ちあがる。確かに深手ではなさそうだが、血がにじみ出ている傷が痛々しい。
「血が垂れちゃうわ。軽く手当てをさせて」
懐から手巾を取り出しながら志乃は言った。洗濯して干したばかりの綿の手巾だから、清潔なはずだ。
「えっ、いいのかい?」
「いいのいいの」
戸惑った様子の化け狸に、志乃は笑って答える。
――どうせ夜会の会場に戻っても、つまらないしね。
そんなことを思いながら、化け狸の傷口に手巾を押し当てて圧迫し、軽く止血する。そして予備に持っていたもう一枚の手巾を傷口に巻いて保護した。
「応急処置だから、あとで消毒したり薬を塗ったりして手当てしてね」
「わー、お姉ちゃんありがとう!」
化け狸は嬉しそうに声を上げた。
かわいらしく素直な振る舞いに志乃の心が和む。人間に換算したら、きっとまだ少年の歳だろう。
「あ、おいらはそろそろ行くよ。あんまりふらふらしていたら、若旦那さまが心配しちゃうからね」
「そうなの? 気をつけてね」
「うん! ありがとう、人間のお姉ちゃん」
軽やかな足取りで、窓から屋敷内に侵入し去って行く化け狸。
若いあやかしだったからか、あまり傷の痛みは感じていない様子だ。よかった、と志乃は安堵する。
だが、それにしても。
――あの狸の子、「若旦那さま」って言っていたわよね。やっぱりそれって橘桜虎さまのことなのかしら?
この屋敷に入った瞬間から感じていたあやかしの気。
その気配の濃さから、恐らくあの小さな化け狸だけが発しているものではないと志乃は思った。たぶん現在、この屋敷には複数のあやかしが潜んでいる。橘家は、本当にそれに無関係なのだろうか?
そして、この屋敷に「若旦那さま」と呼ばれる存在は、この夜会を主催したひとり息子の桜虎しかいないはずだ。もちろん、「若旦那さま」はあやかしの仲間で、無関係な可能性もあるが。
まさかとは思いつつも、橘桜虎の素性が、志乃は少し気になった。
だが、ほんの少し心に引っかかっただけだ。どうせ二度と顔を合わせることはないのだから、気にしても仕方ない。
そろそろ貴子さんも夜会に飽きていてくれるといいけれど、と淡い希望を抱きながら、志乃は縁側を後にした。
大広間に戻ると、貴子は相変わらずの様子で、声をかけてきた男性に猫撫で声を返していた。
自身の生い立ちを饒舌に語る彼女からは、かかった獲物は逃すまいといった気迫がひしひしと伝わってくる。
厠から戻ってきた志乃にもまるで気がついていない。まだまだ時間はかかりそうだなあと、志乃は諦めのため息を漏らす。
桜虎は貴子の近くで他の出席者と雑談していた。
しかしすでに貴子は桜虎と関わりをもつことを諦めたのか、彼を気にしている様子はない。
――桜虎さんが、やっぱりさっきベランダにいた化け狸の子が言っていた若旦那さまなのかしら? ……まさかね。
そんなことを思いながら、相変わらず笑みも浮かべずに会話をする桜虎をなんとなく志乃が眺めていると。
まだ少年とも呼べるほど若い男性が、桜虎の元へと近づいた。身なりからして使用人のようだ。
彼は桜虎に耳打ちしていた。何か、内密な話らしい。
すると桜虎は辺りをきょろきょろと見渡し始めた。そして、志乃に視線をはたりと止める。
射抜かれるような強い眼光をぶつけられて志乃がたじろいでいると、なんと桜虎はすたすたとこちらに向かって歩いてきた。
――え? な、何!? まさか私の方へ来ている……!?
驚愕のあまり固まっている志乃の前で、桜虎はぴたりと足を止めた。
そしてつま先から頭の先まで、志乃を観察するように見つめた後。
「先ほど、ベランダで木葉の手当てをしてくれたのは君か」
涼やかな美しい声だった。
声を聴くだけで心地よさを覚えたのは、生まれて初めてだった。外見も絶世の美男子だが、天は彼に声の美しさまで与えてしまったらしい。
突然思いもよらない相手に話しかけられたうえに、彼の美声に聞き惚れてしまって、志乃は頭が回らない。
すると貴子が事態に目ざとく気づき、志乃の傍らへとやってきて、慌てた様子で口を開く。
「お、桜虎さま!? な、なぜそんな子に……あ、いえ、その子は私の妹のような存在でございましてっ! 私は九条家の……」
「申し訳ないが。俺は彼女に聞いている。静かにしてくれないか」
決して強い口調ではなかったが、清流のせせらぎのような声ではっきり言われてしまえば、いくら気の強い貴子といえど従わざるを得なかったようだ。貴子は唇を噛んで黙りこくる。
「それで、どうなのだ。先ほど手当てを?」
再び桜虎に促されて、やっと志乃は我に返った。
「……ええと。木葉とは……? あ、もしかしてさっきの化けだぬ……」
化け狸のことですか? と言いかけて、慌てて志乃は口を噤む。
ここには貴子を始めとした他の人間たちが大勢いるのだ。そう、あやかしが見えず、その存在すら眉唾物だと信じて疑わない人間たちが。
だからあやかしに関する言葉は発さない方が得策だろうと、志乃は考えた。
――だが、しかし。
「そうだ。化け狸のことだ」
なんと桜虎が、「化け狸」とはっきりと口にしたのだ。
今まで悔しそうに顔を歪ませていた貴子は、眉をひそめている。
「そうだわ! 志乃を連れて行って、私の引き立て役にすればいいじゃないっ」
意気揚々と放たれた貴子の言葉に、志乃は硬直する。
一体何を言い出したのかと、一瞬意味が分からなかった。
夜会なんて自分には関係ない。むしろその日は貴子が屋敷を不在にするから楽だな、くらいにしか考えていなかったというのに。
「……貴子さん。今なんと?」
恐る恐る尋ねると、貴子はふんぞり返って志乃を眺めた。
「だから、あんたも私と一緒に夜会に行くのよ。あんたには地味なドレスを着せて野暮ったい髪型をさせて、私の引き立て役にすれば、私がより一層美しく見えるじゃない?」
「え……。いえ、貴子さんは私など隣に置かなくても十分お美しいですよ」
面倒極まりない貴子の作戦に乗りたくない志乃は、適当に褒めてなんとか考えを改めてもらおうとそう言った。
だが、しかし。
「そんなの今さらあんたに言われなくたって分かり切ってるわよっ! でもやれるだけのことはやっておきたいの。そうね、こんなのはどうかしら? 両親を失ったかわいそうで惨めな志乃に、本当の姉妹のように優しくしている私……これを前面に押し出せば、きっと橘のご子息は私の魅力に気づくはずよ!」
――本当の姉妹のように優しく……?
遠縁の自分に衣食住を与えてくれた貴子の両親には、相応の感謝の念はある。
しかし貴子に優しくされたことなど、しつこく思い返しても一度たりとも思い浮かばない……
それどころか、食べ飽きたお菓子を「食べれば?」と投げつけてきたことや、着古して穴が空き、ボロ布と化した洋服を押しつけてきた場面が思い出され、志乃は心底うんざりした。
もしかして、それだけで彼女は「本当の姉妹のように」志乃に優しくしたつもりなのだろうか。
だとしたらなんと恐ろしい。恐ろしすぎる。
――橘のご子息さま、どうかお逃げください。
心の底から不安を抱く志乃だったが、自分は貴子に逆らえる立場ではない。
結局彼女の提案通り、志乃は橘家主催の夜会に同行することになってしまったのだった。
ひらひらとしたワンピースの裾が重い。いつもは邪魔にならないように適当にひとつに結っている髪は櫛で梳かされ、さらりと下ろしている。
しかし志乃にとっては、それらが邪魔で邪魔で仕方がなかった。
夜会当日。貴子の気は変わらず、無理やり橘邸へと連行された。
モダンで洋風な鉄の門構えはほれぼれするほど立派だったし、最先端の洋装で着飾った他の出席者たちは確かに麗しかったが、「早く帰りたい」という思いはまったく覆らない。
「ちょっと志乃、ぼんやりしないでよ。相変わらず間抜け面ねえ」
気だるげな表情をしていたのを貴子に見られてしまったようで、しかめ面で釘を刺してくる。
彼女がまとう、提灯袖の煌びやかな深紅のドレスが眩い。しかしいささか眩すぎて、目がくらみそうだ。
派手な夜会巻に挿さった、宝石が散りばめられた大きな髪飾りは大層重そうで、貴子の首凝りを心配してしまう。
貴子が妹のように優しく接している、という設定上不都合がないようにか、一応志乃も正装させられてはいる。
しかしワンピースの色は米俵のような地味な薄茶色だし、髪も対面した人に不快感を与えない程度に、最低限整えただけ。
――引き立て役とはいえ、落差がありすぎじゃないのかしら。
別に着飾りたいというわけではないが、「優しく接している妹」に対して、お金をかけなすぎではないだろうか。鋭い男性は貴子の杜撰な作戦など見破ってしまうだろう。
まあ、そうなったらそうなったで志乃は別に構わない。
作戦が思い通りにいかなかった貴子に当たられるのは難儀だが、それも日常茶飯事だし。
「それじゃ行くわよ。引き立て役しっかりやってよね? あんたが私の役に立てる機会なんてそうそうないんだから、光栄に思いなさいよ!」
ドレスの裾をばさりと翻しながら、相変わらず高飛車な物言いをする。
すでに周囲に出席者がたくさんいるのだから、あまりそういうことを言わない方がいいのに……と思ったけれど、余計なことはもちろん口にしない。
そして胸を張って門をくぐる貴子に付き従うように、志乃が橘邸の敷地に足を踏み入れると。
――あれ? この雰囲気は……
橘邸の門の中と外では、漂う空気がまるで違っていた。
人ならざる者――あやかしが発していると思われる、得体の知れないどこか不気味な気配が感じられた。
日頃からあやかしと関わっている志乃にとっては嗅ぎなれた匂いだったし、あやかしに偏見の目は一切持っていないため、恐れはまったく生まれなかった。
屋敷のどこか、ひょっとしたら夜会の招待客として、人間に化けたあやかしが潜り込んでいるのかもしれない。
――そういえば橘家には使用人が頻繁に行方不明になるとか、ご子息の婚約が立て続けに破談になるとか、不穏な噂があるんだったわね。
志乃はふと思い出した。
もし、それらにあやかしが絡んでいるとしたら。橘家は噂通りの――いや、噂以上に普通ではない一族ということになる。
――そうだとしたら、貴子さんの手には負えないだろうなあ。ああ、すごく残念だわ。
もともと失敗続きの貴子の結婚相手探しが今回もうまくいくとは思っていなかったが、可能性がさらに低くなってしまったかもしれないことに、志乃は心底がっかりした。
赤レンガの立派な橘邸の内部は、西洋から輸入したらしきたくさんの彫刻品や絵画で豪華絢爛に彩られていた。
赤絨毯が整然と敷かれた螺旋階段を上ると、大広間を煌びやかなシャンデリアが煌々と照らしている。
最高級品と思われるドレスや装飾品をまとった令嬢たちが、漆黒の燕尾服の男性と優雅にダンスをたしなんでいた。
「まあ……。出席者が多いのね。この中でどれだけ、橘さまとの婚約を狙っている令嬢がいるのかしら」
美しく着飾った淑女たちの多さに、貴子は不機嫌そうに言う。
「少し派手なんじゃないかしら」と志乃が感じていた貴子の装いだったが、この大広間では別段目立つわけでもない。
他の令嬢たちも惜しみなく派手派手しい衣装に身を包んでいるためだ。
もっと目立つ衣裳を用意すればよかった……と貴子は臍を噛んでいる様子だ。
一方、装飾品には縁がないうえに、そこまで興味もない志乃にとっては、目がちかちかしてしまう光景だった。
ますます、早く帰宅して麗羅と柳に愚痴りたいという欲が増す。
しかしもちろんそんなことが叶うはずもない。
声をかけてきた男性と笑みを貼り付けて歓談したり、一曲踊ったりする貴子の傍らで、小一時間ぼんやりと突っ立っていた。
「ええ……。志乃は両親を幼い頃に亡くしていまして……」
話しかけてきた男性に、自分の横に立つ志乃のことを問われた貴子は、大袈裟に切なそうな顔をして言った。
「それは……お気の毒でございましたね」
「そうですの。とてもかわいそうなので、遠縁だった私の両親が引き取りまして。それからは実の妹のように思って、志乃をかわいがっておりますわ」
「それはそれは。貴子さんはとてもお優しいのですね」
そんな会話を、すでに何人もの男性と繰り広げている貴子。志乃は曖昧に微笑んで相槌を打つことしかできない。
夜会に招待された男性は皆それなりの家柄であるはず。
貴子にとっての本命は橘家のご子息だが、他の男性からの求婚を受けるのもやぶさかではない。
橘のひとり息子は、きりりと正装をした男性たちの中にいても一際目立っていたため、すぐに志乃にも分かった。
茶色がかった短髪は、日本人には珍しい色だった。
切れ長の瞳に、すっと通った鼻梁の端正な顔は、まるで西洋の彫刻のように美しい。
また、燕尾服だらけの男性の中で、唯一黒い着物に袴を組み合わせており、それが長身の彼にはよく似合っていたため、より目を引いた。
さらに、彼が近くに来ると周囲の女性たちが「あれが橘桜虎さまよ……!」「なんと凛々しい」と、恍惚とした表情でざわつくのだ。
橘の息子のことなど興味のなかった志乃でも、思わず目を向けてしまった。
しかし注目の的である橘桜虎は、あまり女性と親しそうにしている様子はなかった。繋がりがあるらしい男性と軽く挨拶をしている光景ばかりだ。
ほとんど無表情で、冷淡な印象すら受ける。
令嬢たちの熱視線に気づいているのかいないのか、ひょうひょうと用事だけこなしているふうだった。
「桜虎さまとお話ししたいのにっ。全然こちらを見てくださらないわ!」
桜虎のその様子に、貴子は地団太を踏む。
夜会で女性の方から男性に声をかけるわけにはいかないから、ただ向こうからやって来るのを待つしかないのだ。
しかし桜虎の目に留まるように、近寄っては流し目で求愛している貴子だったが、まったく手ごたえはない様子だ。
彼がちらりと一瞬貴子を見た時もあったが、すぐに目を逸らしてしまった。
その時、桜虎と一瞬、視線が絡んだ。
大きな茶褐色の瞳には、深い光が宿っている。しかし感情はまったく読めず、冷淡な印象しか受けない。
――確かに皆が騒ぐほどの美男だけど、冷たそうな人ね。結婚しても大切にしてくれないんじゃないかしら。
なんて、自分とはまったく世界の違う人間だからこそ、野次馬気分でそんな感想を抱く。
しかしそれにしても退屈だ。いつまでここにいなければならないのだろう。
肝心の桜虎は、貴子はおろか他の女性にも興味がなさそうだし、他の男性だって貴子に目をつけている様子はない。
これ以上この場にいても時間の無駄ではないのか。あくびが出そうになるほど、つまらない。
――そうだ。いったん厠に行こう。
「貴子さん。ちょっとお手洗いに行って参ります」
少しでも息抜きしようと、思いついてすぐ志乃は申し出た。
するとただでさえ不機嫌そうな貴子は、目を剥いて怒鳴るようにこう答えた。
「早く帰って来なさいよ! あんたは引き立て役なんだからねっ。まったく、もうちょっと役に立ってよね!」
いつものことなので動じずに「はい」と答える志乃だったが、近くにいた男性が貴子の苛烈な様子にぎょっとした顔をしていた。
――貴子さん、もうちょっと本性を隠さないと、ますます婚期が遅れてしまいます……
呆れながら思うも、もちろん言わずに志乃は大広間を出た。
そして化粧室でこれでもかというくらいのんびり過ごした後、やはりゆったりと廊下を歩む。
――どうせ貴子さんの機嫌が悪いことには変わりないんだから、できるだけゆっくり戻ろう。
廊下に張られた窓ガラスの外には、西洋風の広めの縁側が見えた。
外の空気を吸ったらもっと気分が晴れるかもと思った志乃は、掃き出し窓を開けて外に出る。
大広間から漏れ聞こえる音楽や歓談の声が夜の闇に溶け込んでいった。夜風が気持ちよく、安堵のため息をつく。
――だけどそろそろ戻らないと、さすがにまずいかな。あー、でもまだ戻りたくないわね。
少し夜の空気を味わいながら、屋内に戻ろうか戻るまいか迷っていた志乃だったが。
「あいたた!」
不意に縁側の隅から少年のような声が聞こえてきた。
誰もいなかったはずだけど、と驚いた志乃が声のした方に視線を向けると、そこにいたのはかわいらしい狸だった。しかし、ただの狸ではない。人間の言葉を話しているので、化け狸に違いない。
――あやかしだわ。やっぱり、この屋敷のどこかにいると思ったのよね。
縁側の床で縮こまる化け狸は、顔を歪ませている。ひょっとして怪我でもしているのだろうか。
「どうしたの? 大丈夫?」
志乃が近寄って声をかけると、化け狸はつぶらな目を大きく見開いた。
「お、お姉ちゃんはおいらが見えるのかい⁉」
驚いた様子で言う。
そういえば、あやかしが見える人間は珍しいのだった、と志乃は軽く反省した。
麗羅や柳と毎日会話をしているから、つい失念していたのだ。
「ええ。今時珍しいみたいね」
「うん! おいらもすごく久しぶりに出会ったよー。お姉ちゃんは夜会に来てる人かな?」
「そうなの。でもとても退屈だったから休憩していて……。あ、それよりも大丈夫? 怪我でもしたの?」
志乃がそう尋ねると、化け狸は自身の後ろ脚に視線を送った。何かで切ったのか、血が一筋流れ出ている。
「おいらも退屈で屋敷や中庭を散歩してたんだけど、一階からこの縁側に飛び移ったら、着地に失敗しちゃって……」
「まあ大変! 手当てしないと」
「ううん。ちょっとびっくりしたけれど、かすり傷だから大丈夫」
そう言って狸はすっくと立ちあがる。確かに深手ではなさそうだが、血がにじみ出ている傷が痛々しい。
「血が垂れちゃうわ。軽く手当てをさせて」
懐から手巾を取り出しながら志乃は言った。洗濯して干したばかりの綿の手巾だから、清潔なはずだ。
「えっ、いいのかい?」
「いいのいいの」
戸惑った様子の化け狸に、志乃は笑って答える。
――どうせ夜会の会場に戻っても、つまらないしね。
そんなことを思いながら、化け狸の傷口に手巾を押し当てて圧迫し、軽く止血する。そして予備に持っていたもう一枚の手巾を傷口に巻いて保護した。
「応急処置だから、あとで消毒したり薬を塗ったりして手当てしてね」
「わー、お姉ちゃんありがとう!」
化け狸は嬉しそうに声を上げた。
かわいらしく素直な振る舞いに志乃の心が和む。人間に換算したら、きっとまだ少年の歳だろう。
「あ、おいらはそろそろ行くよ。あんまりふらふらしていたら、若旦那さまが心配しちゃうからね」
「そうなの? 気をつけてね」
「うん! ありがとう、人間のお姉ちゃん」
軽やかな足取りで、窓から屋敷内に侵入し去って行く化け狸。
若いあやかしだったからか、あまり傷の痛みは感じていない様子だ。よかった、と志乃は安堵する。
だが、それにしても。
――あの狸の子、「若旦那さま」って言っていたわよね。やっぱりそれって橘桜虎さまのことなのかしら?
この屋敷に入った瞬間から感じていたあやかしの気。
その気配の濃さから、恐らくあの小さな化け狸だけが発しているものではないと志乃は思った。たぶん現在、この屋敷には複数のあやかしが潜んでいる。橘家は、本当にそれに無関係なのだろうか?
そして、この屋敷に「若旦那さま」と呼ばれる存在は、この夜会を主催したひとり息子の桜虎しかいないはずだ。もちろん、「若旦那さま」はあやかしの仲間で、無関係な可能性もあるが。
まさかとは思いつつも、橘桜虎の素性が、志乃は少し気になった。
だが、ほんの少し心に引っかかっただけだ。どうせ二度と顔を合わせることはないのだから、気にしても仕方ない。
そろそろ貴子さんも夜会に飽きていてくれるといいけれど、と淡い希望を抱きながら、志乃は縁側を後にした。
大広間に戻ると、貴子は相変わらずの様子で、声をかけてきた男性に猫撫で声を返していた。
自身の生い立ちを饒舌に語る彼女からは、かかった獲物は逃すまいといった気迫がひしひしと伝わってくる。
厠から戻ってきた志乃にもまるで気がついていない。まだまだ時間はかかりそうだなあと、志乃は諦めのため息を漏らす。
桜虎は貴子の近くで他の出席者と雑談していた。
しかしすでに貴子は桜虎と関わりをもつことを諦めたのか、彼を気にしている様子はない。
――桜虎さんが、やっぱりさっきベランダにいた化け狸の子が言っていた若旦那さまなのかしら? ……まさかね。
そんなことを思いながら、相変わらず笑みも浮かべずに会話をする桜虎をなんとなく志乃が眺めていると。
まだ少年とも呼べるほど若い男性が、桜虎の元へと近づいた。身なりからして使用人のようだ。
彼は桜虎に耳打ちしていた。何か、内密な話らしい。
すると桜虎は辺りをきょろきょろと見渡し始めた。そして、志乃に視線をはたりと止める。
射抜かれるような強い眼光をぶつけられて志乃がたじろいでいると、なんと桜虎はすたすたとこちらに向かって歩いてきた。
――え? な、何!? まさか私の方へ来ている……!?
驚愕のあまり固まっている志乃の前で、桜虎はぴたりと足を止めた。
そしてつま先から頭の先まで、志乃を観察するように見つめた後。
「先ほど、ベランダで木葉の手当てをしてくれたのは君か」
涼やかな美しい声だった。
声を聴くだけで心地よさを覚えたのは、生まれて初めてだった。外見も絶世の美男子だが、天は彼に声の美しさまで与えてしまったらしい。
突然思いもよらない相手に話しかけられたうえに、彼の美声に聞き惚れてしまって、志乃は頭が回らない。
すると貴子が事態に目ざとく気づき、志乃の傍らへとやってきて、慌てた様子で口を開く。
「お、桜虎さま!? な、なぜそんな子に……あ、いえ、その子は私の妹のような存在でございましてっ! 私は九条家の……」
「申し訳ないが。俺は彼女に聞いている。静かにしてくれないか」
決して強い口調ではなかったが、清流のせせらぎのような声ではっきり言われてしまえば、いくら気の強い貴子といえど従わざるを得なかったようだ。貴子は唇を噛んで黙りこくる。
「それで、どうなのだ。先ほど手当てを?」
再び桜虎に促されて、やっと志乃は我に返った。
「……ええと。木葉とは……? あ、もしかしてさっきの化けだぬ……」
化け狸のことですか? と言いかけて、慌てて志乃は口を噤む。
ここには貴子を始めとした他の人間たちが大勢いるのだ。そう、あやかしが見えず、その存在すら眉唾物だと信じて疑わない人間たちが。
だからあやかしに関する言葉は発さない方が得策だろうと、志乃は考えた。
――だが、しかし。
「そうだ。化け狸のことだ」
なんと桜虎が、「化け狸」とはっきりと口にしたのだ。
今まで悔しそうに顔を歪ませていた貴子は、眉をひそめている。
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