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6 永劫回帰
王の出立
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エダが姿を消してからどれくらい時間が経っただろうか。兵士や給仕達にせわしなく指示をし、執務室に戻り急ぎの書類の確認をしていたので流石のアリソンも疲れていた。
出立の準備は出来たかと確認をする為に城門前に向かおうとした時、グルト王国国王リグルトが濃緑色のマントに身を包み姿を現した。彼の周りには一緒に同行する兵士達が数十人いる。どうやらカリバン王国へ出発する準備が出来たようだ。リグルトは身体が大きいのでよく怖がられるが、よく見ると優しい顔立ちだ。しかし、今は眉間に皺を寄せて険しい表情だ。
アリソンは兵士の中心にいるリグルトの前に立つと、一度頭を下げてから口を開く。
「父上! もう出立されるのですか!?」
「ああ、アリソン。先にカリバンへは書簡を送ったが、返事を待つ余裕などない。アメルシアとリィが攫われたというのならばこちらも相応の行動をしなければならない」
「も、もしや……」
嫌な予感が過り、アリソンは顔を青ざめるが、リグルトは厳しい表情のまま首を振った。
「戦争ではない。こちらはアメルシアを盾にされるだろう。あちらもアメルシアに何かあれば戦争になると理解しているだろうから下手な事はして来ないはずだ。しかし、何故アメルシアを……? 私やアリソンを暗殺しようとしたのはカリバンで間違いないようだが、アメルシアだけ攫う理由は……?」
裏では暗殺されかけていた王だが、表向きは友好関係を築いていた二国だ。突然愛娘のアメリーを連れ攫われた事は寝耳に水だっただろう。本当は今すぐにでも娘を連れ戻したいはずだ。だが、王は感情的にならず静かにアメリーの奪還を考えている。
「先ほど聞いた憶測なのですが、カリバンは他国の魔力を欲しているそうです。そしてリィさんのリィスクレウムの金眼も……。彼等は裏で人体実験をしているという噂があります。よからぬ事を考えているに違いありません」
「……その憶測は一体誰からだ?」
「あ……それはその……」
リグルトに問われ、アリソンは口ごもってしまう。この憶測はエダから聞いたものだ。彼の事をリィやアメリー以外に言おうとすると声が上手く出なくなる。恐らくエダが何かしらの術をかけて自分の事を外部に漏らさないようにしているのだろう。相変わらず読めない男だ。
そんな事をされているというのに、何故かエダを危険人物だと思えないのは、彼の掴めない性格のせいか。
「……憶測を言ったのはエダ、という男か?」
「知っていらしたのですか?」
「ああ、グランデルから話は聞いていた。グランデルはリィから聞いていたと言っていたが。見えない男など、不可思議なものを信じられなかったが、アリソンが言うのだから本当なのだな」
父が知っている事に驚いたアリソンだが、そういえばリィがグランデルにはエダの事を伝えたと言っていた事を思い出した。リィから聞いたグランデルは暗示がかけられていなかったのだろう。グランデルは裏切った男だが情報が不必要な者には伝えていないはずだ。
アリソンは少々居心地が悪そうに父を見上げた。
「……報告しなかった事は怒らないのですか?」
「何か理由があったのだろう? アリソンやアメルシアは何か起これば必ず報告してくる。エダという男は放っておいても害が無いという判断をしたんだろう」
リグルトは少しも怒らず、アリソンの頭を優しく撫でた。エダはよく突然現れてアリソンを驚かせたりしていたが、それくらいだった。アリソンはいつもイライラして対応してしまったが、彼と話すのは何となく楽しかった。
「ええ。彼は大人げないですが、人を惹きつけるような不思議な魅力を持つ男です」
「それにしても、エダとはどういう容姿をしているんだ? グランデルは話しか聞いた事が無いからどんな姿かは知らないと言っていたが」
それを聞いてアリソンは少しだけ表情を和らげた。リィは説明が苦手なのでエダの容姿の事など言わなかったのだろう。
「そうですね……。英雄ヴィクトールのような長い髪で……え?」
説明しようとしかけて――アリソンは違和感に気が付いた。嫌な仮説が一気に持ち上がり、アリソンの顔面から血の気が引く。
あの時気が付かなかった違和感。リグルトの言葉で全てが繋がった。だが、その仮説は有り得ないと否定したい自分もいる。
「どうした、アリソン」
「い、いえ……何でもありません」
そう言ったはいいが、父には誤魔化しがきかない。「言いなさい、アリソン」と促されてアリソンは言いにくそうに口を開いた。
「あ、あの……父上、お聞きしたい事があるのですが……」
「どうした?」
「ガイア隊長は同行しますか?少々聞きたい事があるのです……」
「いや、彼は城に残る予定だ。誰かに連れてくるように伝えようか?」
「……ええ。お願いします」
了承したリグルトは近くにいた兵にガイアを呼んでくるよう命令をした。
「……何か気になる事でもあるのか?」
「……ええ。少し気になる事がありまして……」
「何だ? 言ってみなさい」
アリソンは一度父の顔を見てから下唇を噛んだ。眉間に皺を寄せ、声を絞り出す。
「……私の杞憂であれば良いのですが……」
出立の準備は出来たかと確認をする為に城門前に向かおうとした時、グルト王国国王リグルトが濃緑色のマントに身を包み姿を現した。彼の周りには一緒に同行する兵士達が数十人いる。どうやらカリバン王国へ出発する準備が出来たようだ。リグルトは身体が大きいのでよく怖がられるが、よく見ると優しい顔立ちだ。しかし、今は眉間に皺を寄せて険しい表情だ。
アリソンは兵士の中心にいるリグルトの前に立つと、一度頭を下げてから口を開く。
「父上! もう出立されるのですか!?」
「ああ、アリソン。先にカリバンへは書簡を送ったが、返事を待つ余裕などない。アメルシアとリィが攫われたというのならばこちらも相応の行動をしなければならない」
「も、もしや……」
嫌な予感が過り、アリソンは顔を青ざめるが、リグルトは厳しい表情のまま首を振った。
「戦争ではない。こちらはアメルシアを盾にされるだろう。あちらもアメルシアに何かあれば戦争になると理解しているだろうから下手な事はして来ないはずだ。しかし、何故アメルシアを……? 私やアリソンを暗殺しようとしたのはカリバンで間違いないようだが、アメルシアだけ攫う理由は……?」
裏では暗殺されかけていた王だが、表向きは友好関係を築いていた二国だ。突然愛娘のアメリーを連れ攫われた事は寝耳に水だっただろう。本当は今すぐにでも娘を連れ戻したいはずだ。だが、王は感情的にならず静かにアメリーの奪還を考えている。
「先ほど聞いた憶測なのですが、カリバンは他国の魔力を欲しているそうです。そしてリィさんのリィスクレウムの金眼も……。彼等は裏で人体実験をしているという噂があります。よからぬ事を考えているに違いありません」
「……その憶測は一体誰からだ?」
「あ……それはその……」
リグルトに問われ、アリソンは口ごもってしまう。この憶測はエダから聞いたものだ。彼の事をリィやアメリー以外に言おうとすると声が上手く出なくなる。恐らくエダが何かしらの術をかけて自分の事を外部に漏らさないようにしているのだろう。相変わらず読めない男だ。
そんな事をされているというのに、何故かエダを危険人物だと思えないのは、彼の掴めない性格のせいか。
「……憶測を言ったのはエダ、という男か?」
「知っていらしたのですか?」
「ああ、グランデルから話は聞いていた。グランデルはリィから聞いていたと言っていたが。見えない男など、不可思議なものを信じられなかったが、アリソンが言うのだから本当なのだな」
父が知っている事に驚いたアリソンだが、そういえばリィがグランデルにはエダの事を伝えたと言っていた事を思い出した。リィから聞いたグランデルは暗示がかけられていなかったのだろう。グランデルは裏切った男だが情報が不必要な者には伝えていないはずだ。
アリソンは少々居心地が悪そうに父を見上げた。
「……報告しなかった事は怒らないのですか?」
「何か理由があったのだろう? アリソンやアメルシアは何か起これば必ず報告してくる。エダという男は放っておいても害が無いという判断をしたんだろう」
リグルトは少しも怒らず、アリソンの頭を優しく撫でた。エダはよく突然現れてアリソンを驚かせたりしていたが、それくらいだった。アリソンはいつもイライラして対応してしまったが、彼と話すのは何となく楽しかった。
「ええ。彼は大人げないですが、人を惹きつけるような不思議な魅力を持つ男です」
「それにしても、エダとはどういう容姿をしているんだ? グランデルは話しか聞いた事が無いからどんな姿かは知らないと言っていたが」
それを聞いてアリソンは少しだけ表情を和らげた。リィは説明が苦手なのでエダの容姿の事など言わなかったのだろう。
「そうですね……。英雄ヴィクトールのような長い髪で……え?」
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あの時気が付かなかった違和感。リグルトの言葉で全てが繋がった。だが、その仮説は有り得ないと否定したい自分もいる。
「どうした、アリソン」
「い、いえ……何でもありません」
そう言ったはいいが、父には誤魔化しがきかない。「言いなさい、アリソン」と促されてアリソンは言いにくそうに口を開いた。
「あ、あの……父上、お聞きしたい事があるのですが……」
「どうした?」
「ガイア隊長は同行しますか?少々聞きたい事があるのです……」
「いや、彼は城に残る予定だ。誰かに連れてくるように伝えようか?」
「……ええ。お願いします」
了承したリグルトは近くにいた兵にガイアを呼んでくるよう命令をした。
「……何か気になる事でもあるのか?」
「……ええ。少し気になる事がありまして……」
「何だ? 言ってみなさい」
アリソンは一度父の顔を見てから下唇を噛んだ。眉間に皺を寄せ、声を絞り出す。
「……私の杞憂であれば良いのですが……」
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