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オリギナ魔法学校
第二十話 部活の時間
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俺はクラウディアに部屋で念押ししている。インパクトシェイカーの件も、近衛師団の件も母にしゃべられたら終わる。約束をして、誓って、宣誓させて言質を取る。
「最初から暴れなければいいんじゃない?」
「ば、馬鹿言うな。俺の自由は俺のものだぞ。あんな奴の言うことなんて聞きたくないぞ」
「そう……で、どうするの? 最初に戻るけど魔法の試し打ちは?」
今更運動場には戻れない。試してみたい魔法はあるのだが、明日にしよう。それより少し動いてお腹が減った。
「う~ん。それより昼飯にしよう。午後の予定はどうなってるんだ?」
「午後は生徒に任されてるよ。自習したり運動したり三時から教室に集合して何をやったかをお互いに話し合って五時に解散かな。そのあとは部活だよ」
「部活……部活ってなんだ?」
「まあ、趣味の時間ってことかな。絵をかくのが好きなら絵画、運動が好きなら走る。音楽が好きなら歌う。その趣味が好きな人で集まってね」
趣味……趣味か、俺は何が好きだったかな。暴れる部活があればいいけどな。走り回るのも好きだが……そうだ! 旅なんかいいじゃないか?
「クラウディア、部活には旅行もあるのか?」
「あっ、言ってなかったけど学校からは出られないよ」
「じゃあ、何か戦うような奴は?」
「カテイナちゃんは禁止ね」
ぶすっとする。何だそれ。面白くもなんともないぞ。クラウディアは思案顔だ。
「カテイナちゃんならそうだな……世界料理研究部って言うのがあるよ。世界中の料理を再現するって活動してる」
「それに決めた!」
直感で思う。それは楽しい活動だ。世界中の美味しい物を楽しむ……うむ! 俺にふさわしい活動ではないか。
「……すっごいゲテモノ部なんだけど……ま、いいか」
クラウディアの言葉は小さい声で聞こえなかったが、まあいい。唐揚げにハンバーグ、ステーキに焼き肉……今からよだれが止まらない。ぐぅ~と腹が鳴る。
……そういえば、お昼だったな。
二人で寮の炊事場で軽食を取る。クラウディアが買い込んでいたハムと野菜でサンドイッチを作った。これでも食堂を使うよりましだと思う。
クラウディアの料理はうまいと思う。量が少なくても、それで我慢できるぐらいには満足できた。
「そういえば昼休みは?」
「昼食を含めて一時間だよ。午後は一時からだね」
一時からクラウディアと一緒に勉強して三時から生徒同士の話し合いをした。結構自分勝手に好きなことを調べているらしい。歴史の説明をしているかと思えば、効率の良い食事のメニューなんかだったりする。なんだかんだで今日の授業で一番面白かった気がする。気が付きもしなかったものに気が付かされるのがとっても新鮮だった。
俺とクラウディアは魔法体系だ。この授業では復習の内容でもいいらしい。二人で丁寧に魔法体系について説明して俺の授業体験は終わった。
この後は部活だ。
今日はクラウディアの部活を見学する。クラウディアは魔法研究部だ。校舎の一部屋を借り切って三十人ぐらいが集まっている。他のクラスの連中も、違う学年もいるらしい。同じ部屋でそれぞれが別々のことをしている。
クラウディアは体を動かすと言うので早々に校庭にでた。
ジョギングを始める。
「なあ、魔法研究部だろ? 本を読むんじゃないのか?」
「はっ、はっ、え? 本? なんにしても、はっ、体作りだよ」
「この後は何をするんだ?」
「瞑想、と、集中、あと、魔法、基礎の、練習、かな、はっ」
俺はジョギングに合わせて飛ぶ。う~んもっと派手なことをしていると思った。あれだけの技術をどう身につけたのか。これでは全く分からない。
走り終わったタイミングを見計らってその質問をぶつける。
「どうやって、四種同時魔法を覚えたんだ?」
「あ~? 一つ一つ丁寧に基礎を繰り返して、その後、一つの魔法をできるだけ長く維持するんだよ。それで意識しないで使えるようになるまでずっと続けるの。そういうのをたくさん身につけていけばできるようになるよ」
「……めんどくさいなぁ」
「しっかり基礎ができてないとね。どんなことでも難しいよ」
そう言ってクラウディアは木陰に移動して瞑想を始めた。
魔力が安定していくのがわかる。クラウディアのやっている瞑想を観察する。全身に均一に魔力を回す。均等に均一に強弱を変える。
見ているだけじゃ仕方ないな。
真似して横に座って同じことをする。力をためて、均一に広げる。ゆっくりと丁寧に……案外難しいぞ!?
目をクワッと開ける。どうしても力が入ってしまう。クラウディアの様に均一に満遍なく広げることができない。特に前方に強く広がってしまう。
「一回、走ってきて体をつかれさせたらどう? 適度に疲れてる方が、魔力はわかりやすいよ」
「わかった」
さっきクラウディアが走っていたコースを走る。ジョギングではクラウディアの状態に追いつけない。思いっきり全力疾走だ。
突風を巻き上げながら疾走する。コースは三周した。息が一気に上がる。体中が熱い。校庭の真ん中だがもう構わない。
ゴロンと横になって息を整える。
力を入れたいのに入れられない。だらんと腕を伸ばして魔力を垂れ流す。ただ全身から魔力を解く。
ああ、この感覚か……方向を絞らずにただ魔力を解放する。広がるに任せてただ静かに待つ。魔力の広がりに応じて反応も帰ってくる。そこら中から魔力の波動を感じる。普段からこれほど魔力を弱く使ったことがない。
多分これは魔法体系でみたサーチウェーブという魔法だろう。離れた場所で魔力が移動しているのがわかる。
クラウディアの様子もわかる。やっぱり落ち着いて魔力を練っているらしい。俺もしばらくこのままでいいや。
サーチウェーブを維持したまま、ゆっくりと息を整える。なんだか眠くなってきてしまった。クラウディアには悪いが先に断って寝てしまおう。俺はこれ以上起きていられない。
体を起こして、ふらふらとクラウディアのところに行く。
「最初から暴れなければいいんじゃない?」
「ば、馬鹿言うな。俺の自由は俺のものだぞ。あんな奴の言うことなんて聞きたくないぞ」
「そう……で、どうするの? 最初に戻るけど魔法の試し打ちは?」
今更運動場には戻れない。試してみたい魔法はあるのだが、明日にしよう。それより少し動いてお腹が減った。
「う~ん。それより昼飯にしよう。午後の予定はどうなってるんだ?」
「午後は生徒に任されてるよ。自習したり運動したり三時から教室に集合して何をやったかをお互いに話し合って五時に解散かな。そのあとは部活だよ」
「部活……部活ってなんだ?」
「まあ、趣味の時間ってことかな。絵をかくのが好きなら絵画、運動が好きなら走る。音楽が好きなら歌う。その趣味が好きな人で集まってね」
趣味……趣味か、俺は何が好きだったかな。暴れる部活があればいいけどな。走り回るのも好きだが……そうだ! 旅なんかいいじゃないか?
「クラウディア、部活には旅行もあるのか?」
「あっ、言ってなかったけど学校からは出られないよ」
「じゃあ、何か戦うような奴は?」
「カテイナちゃんは禁止ね」
ぶすっとする。何だそれ。面白くもなんともないぞ。クラウディアは思案顔だ。
「カテイナちゃんならそうだな……世界料理研究部って言うのがあるよ。世界中の料理を再現するって活動してる」
「それに決めた!」
直感で思う。それは楽しい活動だ。世界中の美味しい物を楽しむ……うむ! 俺にふさわしい活動ではないか。
「……すっごいゲテモノ部なんだけど……ま、いいか」
クラウディアの言葉は小さい声で聞こえなかったが、まあいい。唐揚げにハンバーグ、ステーキに焼き肉……今からよだれが止まらない。ぐぅ~と腹が鳴る。
……そういえば、お昼だったな。
二人で寮の炊事場で軽食を取る。クラウディアが買い込んでいたハムと野菜でサンドイッチを作った。これでも食堂を使うよりましだと思う。
クラウディアの料理はうまいと思う。量が少なくても、それで我慢できるぐらいには満足できた。
「そういえば昼休みは?」
「昼食を含めて一時間だよ。午後は一時からだね」
一時からクラウディアと一緒に勉強して三時から生徒同士の話し合いをした。結構自分勝手に好きなことを調べているらしい。歴史の説明をしているかと思えば、効率の良い食事のメニューなんかだったりする。なんだかんだで今日の授業で一番面白かった気がする。気が付きもしなかったものに気が付かされるのがとっても新鮮だった。
俺とクラウディアは魔法体系だ。この授業では復習の内容でもいいらしい。二人で丁寧に魔法体系について説明して俺の授業体験は終わった。
この後は部活だ。
今日はクラウディアの部活を見学する。クラウディアは魔法研究部だ。校舎の一部屋を借り切って三十人ぐらいが集まっている。他のクラスの連中も、違う学年もいるらしい。同じ部屋でそれぞれが別々のことをしている。
クラウディアは体を動かすと言うので早々に校庭にでた。
ジョギングを始める。
「なあ、魔法研究部だろ? 本を読むんじゃないのか?」
「はっ、はっ、え? 本? なんにしても、はっ、体作りだよ」
「この後は何をするんだ?」
「瞑想、と、集中、あと、魔法、基礎の、練習、かな、はっ」
俺はジョギングに合わせて飛ぶ。う~んもっと派手なことをしていると思った。あれだけの技術をどう身につけたのか。これでは全く分からない。
走り終わったタイミングを見計らってその質問をぶつける。
「どうやって、四種同時魔法を覚えたんだ?」
「あ~? 一つ一つ丁寧に基礎を繰り返して、その後、一つの魔法をできるだけ長く維持するんだよ。それで意識しないで使えるようになるまでずっと続けるの。そういうのをたくさん身につけていけばできるようになるよ」
「……めんどくさいなぁ」
「しっかり基礎ができてないとね。どんなことでも難しいよ」
そう言ってクラウディアは木陰に移動して瞑想を始めた。
魔力が安定していくのがわかる。クラウディアのやっている瞑想を観察する。全身に均一に魔力を回す。均等に均一に強弱を変える。
見ているだけじゃ仕方ないな。
真似して横に座って同じことをする。力をためて、均一に広げる。ゆっくりと丁寧に……案外難しいぞ!?
目をクワッと開ける。どうしても力が入ってしまう。クラウディアの様に均一に満遍なく広げることができない。特に前方に強く広がってしまう。
「一回、走ってきて体をつかれさせたらどう? 適度に疲れてる方が、魔力はわかりやすいよ」
「わかった」
さっきクラウディアが走っていたコースを走る。ジョギングではクラウディアの状態に追いつけない。思いっきり全力疾走だ。
突風を巻き上げながら疾走する。コースは三周した。息が一気に上がる。体中が熱い。校庭の真ん中だがもう構わない。
ゴロンと横になって息を整える。
力を入れたいのに入れられない。だらんと腕を伸ばして魔力を垂れ流す。ただ全身から魔力を解く。
ああ、この感覚か……方向を絞らずにただ魔力を解放する。広がるに任せてただ静かに待つ。魔力の広がりに応じて反応も帰ってくる。そこら中から魔力の波動を感じる。普段からこれほど魔力を弱く使ったことがない。
多分これは魔法体系でみたサーチウェーブという魔法だろう。離れた場所で魔力が移動しているのがわかる。
クラウディアの様子もわかる。やっぱり落ち着いて魔力を練っているらしい。俺もしばらくこのままでいいや。
サーチウェーブを維持したまま、ゆっくりと息を整える。なんだか眠くなってきてしまった。クラウディアには悪いが先に断って寝てしまおう。俺はこれ以上起きていられない。
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