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第7章 弟子と神器回収
信頼ノ値
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コーチンまで後1日の所まで来た一同は最後の野営をとっている。
「おいルーグ…少し話がある」
「咲良?…分かった」
夕食を済まし談笑している秀樹たちから距離を取り、声が聞こえない所まで来る。
「どうしたんだ?」
「商売の事で提案がある。俺は鍛治師の流桜として武具や魔道具を作ってる」
「そりゃすげぇ。でもそれが何なんだ?」
「さらに言えば俺は魔法医師でもあるから薬も作れる。つまりだ…武具は無理だが魔道具と薬を流桜製としてルーグの店に卸してやってもいい」
「いいのか!?」
急な提案にルーグは驚いて大声を上げる。
「うるさい…あまり聞かれたくないからここで話をしてるんだ」
「す…済まない…でもどうして?」
「ここから話すのはお前が信用に値すると判断したからだ。カゼルとも打ち解けたようだしな。だからこれから話す事は他言無用だ…無理ならこの話は無しだ」
「……わかった…」
ルーグはぐっと身体に力を入れることで意思表示する。
「まず俺は異世界人だ」
「そうだったのか!?」
「黙って聞けっての」
「す…すまん」
咲良はそういうが驚くなと言うのは無理がある。
「でだ…ルーグは神器を知ってるか?」
「じんぎ?知らねぇな。何だそれは?」
「簡単に言うととんでも性能の武具だ」
「とんでも性能…ん?それって古代遺物じゃないのか?」
ルーグが咲良の知らない単語を口にする。
「古代遺物?近い言葉なら聞いたことあるな」
王都アムルの〈明けの明星〉ギルドマスターであるマリアにマラ荒野での事を報告した時に、邪神魔像の事を古代の遺物と言っていた。もしかすると同じなのだろうか。
邪神魔像も邪神にアダマンタイトで作られた武器とも言えなくはない。
「それをどこで知ったんだ?」
「俺の村の亡くなった村長だよ。昔は考古学者だったらしくてな。遺跡で稀に発見する魔武器や魔道具の中で突出した能力を持つものを総じて古代遺物と呼んだらしい」
「なるほど。俺の言う神器とは魔武器の古代遺物の事かもしれないな。なら見たことはあるのか?」
「いやそれはない。話に聞いただけだ」
流石にルーグも神器は見た事はないらしい。そう簡単にお目にかかれるほど数もないから当然と言えば当然だ。
しかし、思わぬ収穫を得れたのは確かだ。神器という名称ではなく、古代遺物という名称で後世に伝えられているのかもしれない。知らなければ見落としていた可能性もある。
「そうか。結論から先に言うと俺は神器を集めてる」
「なんでだ?コレクターか?」
「いや違う。神器は正しく扱わないと暴走してしまうんだ。だから俺は神器を集め、正しく使える者に与える使命がある」
「使命?」
「あぁ…俺の師匠は神器と由縁のある人でな。その師匠から使命を託されたんだ」
ルーグは御伽噺でも聞いてるかのような表情を浮かべながら咲良の話に耳を傾けている。
「話を続ける。さっきも言った通り神器を集めてるわけだが…ただ旅をするだけでは中々難しい…そこで流桜の名を売れば少なからず神器と触れ合う機会が増えるんじゃねぇかと思ってな」
「確かに…名が売れれば神器を持っている者と会う可能性も増えるし、王宮にだって入る機会が出来る」
「そうだ。王宮になら国宝として神器があるかもしれない。そのためには協力者がいる」
「それが俺か」
ルーグは理解が早くて助かる。現状を把握する能力が高いのだろう。
「そうなるな。魔道具と薬を売って、製作者が鍛治師の流桜だと周りに認知させて欲しい」
「だが鍛治師なら武具の依頼も来るだろ?それはどうするんだ?」
「それは客と直接話して作るかどうかを決める」
「てことは…コーチンに留まるのか?」
ルーグが当然の質問を投げかける。
「いや…旅は続ける」
「なら店を開いても依頼も納品も出来ないじゃねえか」
「それは心配ない」
咲良は拡張袋から転移風呂敷2枚と念話水晶を1つ取り出し、転移風呂敷の効果をルーグに説明してからどちらもルーグに手渡す。
「なるほど。この布があれば納品はできるし、何個ほしいとか、武具精製を依頼した客がどんな奴かも念話水晶で確認できると言うわけか」
「話が早くて助かる。後、カゼルと話せる念話水晶はルーグにやるから持っていて構わない」
ルーグはすでにカゼルと話せる念話水晶を咲良から手渡されている。今手渡したのは咲良と話せる念話水晶だ。
「え?いいのか?…咲良がカゼルと話せなくなるぞ?」
「複製したから問題ない。で、どうだ?悪い話じゃないだろ」
「そうだが…俺なんかで良いのか?」
「もちろんだ。会って日も浅いがルーグは信用出来る。勘だがな」
ここ数日だけでもルーグの人となりは好ましいと感じたし、気も合う。何より咲良の勘が信用出来ると告げている。
「ふっ…えらい信用されてるな…よし!その話乗った!」
「なら契約成立だ。よろしく頼む」
「こちらこそだ咲良」
2人は固く握手を交わした。
「店の経営などは任せる」
「楽しくなってきた…早くコーチンに着きたいな」
「そうだな」
そして次の日、ようやくコーチンが見えてきた。
「おいルーグ…少し話がある」
「咲良?…分かった」
夕食を済まし談笑している秀樹たちから距離を取り、声が聞こえない所まで来る。
「どうしたんだ?」
「商売の事で提案がある。俺は鍛治師の流桜として武具や魔道具を作ってる」
「そりゃすげぇ。でもそれが何なんだ?」
「さらに言えば俺は魔法医師でもあるから薬も作れる。つまりだ…武具は無理だが魔道具と薬を流桜製としてルーグの店に卸してやってもいい」
「いいのか!?」
急な提案にルーグは驚いて大声を上げる。
「うるさい…あまり聞かれたくないからここで話をしてるんだ」
「す…済まない…でもどうして?」
「ここから話すのはお前が信用に値すると判断したからだ。カゼルとも打ち解けたようだしな。だからこれから話す事は他言無用だ…無理ならこの話は無しだ」
「……わかった…」
ルーグはぐっと身体に力を入れることで意思表示する。
「まず俺は異世界人だ」
「そうだったのか!?」
「黙って聞けっての」
「す…すまん」
咲良はそういうが驚くなと言うのは無理がある。
「でだ…ルーグは神器を知ってるか?」
「じんぎ?知らねぇな。何だそれは?」
「簡単に言うととんでも性能の武具だ」
「とんでも性能…ん?それって古代遺物じゃないのか?」
ルーグが咲良の知らない単語を口にする。
「古代遺物?近い言葉なら聞いたことあるな」
王都アムルの〈明けの明星〉ギルドマスターであるマリアにマラ荒野での事を報告した時に、邪神魔像の事を古代の遺物と言っていた。もしかすると同じなのだろうか。
邪神魔像も邪神にアダマンタイトで作られた武器とも言えなくはない。
「それをどこで知ったんだ?」
「俺の村の亡くなった村長だよ。昔は考古学者だったらしくてな。遺跡で稀に発見する魔武器や魔道具の中で突出した能力を持つものを総じて古代遺物と呼んだらしい」
「なるほど。俺の言う神器とは魔武器の古代遺物の事かもしれないな。なら見たことはあるのか?」
「いやそれはない。話に聞いただけだ」
流石にルーグも神器は見た事はないらしい。そう簡単にお目にかかれるほど数もないから当然と言えば当然だ。
しかし、思わぬ収穫を得れたのは確かだ。神器という名称ではなく、古代遺物という名称で後世に伝えられているのかもしれない。知らなければ見落としていた可能性もある。
「そうか。結論から先に言うと俺は神器を集めてる」
「なんでだ?コレクターか?」
「いや違う。神器は正しく扱わないと暴走してしまうんだ。だから俺は神器を集め、正しく使える者に与える使命がある」
「使命?」
「あぁ…俺の師匠は神器と由縁のある人でな。その師匠から使命を託されたんだ」
ルーグは御伽噺でも聞いてるかのような表情を浮かべながら咲良の話に耳を傾けている。
「話を続ける。さっきも言った通り神器を集めてるわけだが…ただ旅をするだけでは中々難しい…そこで流桜の名を売れば少なからず神器と触れ合う機会が増えるんじゃねぇかと思ってな」
「確かに…名が売れれば神器を持っている者と会う可能性も増えるし、王宮にだって入る機会が出来る」
「そうだ。王宮になら国宝として神器があるかもしれない。そのためには協力者がいる」
「それが俺か」
ルーグは理解が早くて助かる。現状を把握する能力が高いのだろう。
「そうなるな。魔道具と薬を売って、製作者が鍛治師の流桜だと周りに認知させて欲しい」
「だが鍛治師なら武具の依頼も来るだろ?それはどうするんだ?」
「それは客と直接話して作るかどうかを決める」
「てことは…コーチンに留まるのか?」
ルーグが当然の質問を投げかける。
「いや…旅は続ける」
「なら店を開いても依頼も納品も出来ないじゃねえか」
「それは心配ない」
咲良は拡張袋から転移風呂敷2枚と念話水晶を1つ取り出し、転移風呂敷の効果をルーグに説明してからどちらもルーグに手渡す。
「なるほど。この布があれば納品はできるし、何個ほしいとか、武具精製を依頼した客がどんな奴かも念話水晶で確認できると言うわけか」
「話が早くて助かる。後、カゼルと話せる念話水晶はルーグにやるから持っていて構わない」
ルーグはすでにカゼルと話せる念話水晶を咲良から手渡されている。今手渡したのは咲良と話せる念話水晶だ。
「え?いいのか?…咲良がカゼルと話せなくなるぞ?」
「複製したから問題ない。で、どうだ?悪い話じゃないだろ」
「そうだが…俺なんかで良いのか?」
「もちろんだ。会って日も浅いがルーグは信用出来る。勘だがな」
ここ数日だけでもルーグの人となりは好ましいと感じたし、気も合う。何より咲良の勘が信用出来ると告げている。
「ふっ…えらい信用されてるな…よし!その話乗った!」
「なら契約成立だ。よろしく頼む」
「こちらこそだ咲良」
2人は固く握手を交わした。
「店の経営などは任せる」
「楽しくなってきた…早くコーチンに着きたいな」
「そうだな」
そして次の日、ようやくコーチンが見えてきた。
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