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過去章 恐怖と成長
奇妙ナ縁
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穂花と再会してから一週間後、マッド達はコーチンを旅立つ事になり、秀樹達は見送りに来た。
この一週間も様々なことがあった。
初めての依頼達成が嬉しくて舞い上がり、報酬を全て酒につぎ込んだり、志保が宿屋に篭ってしまってなかなか出てこなかったり、穂花や他の先輩達と語り合ったりと中々濃い一週間だった。
「じゃあな。これから頑張れよ!」
マッドが秀樹たちに声をかける。
「3人とも、半年間本当にお世話になりました!」
「ありがとうございます!」
秀樹と祐介は深々と頭を下げる。
志保は自分のお世話をしてくれるユニがいなくなるのが不安なのかずっと下を向いたままだ。
これからマッド、コロナ、ユニはまた冒険者の仕事に戻るようだ。
元々は西の国で活動していたらしく、たまたま依頼でコーチン近くの集落に泊まっていた。西の国に戻れば秀樹たちとはもう会えないかもしれない。それほどまでに西の国は遠いのだ。
「志保、今すぐにとは言わないわ。ゆっくりでいい。いつか閉じこもった殻を破りなさい。仲間と共に歩みたいのならね」
「あ……うん」
ユニの言葉に微妙な反応を見せる志保。
いつか今の言葉が鍵になって欲しいと願うユニだった。
「祐介、あなたは空気を変える力をもってるわ。仲間が間違った道を歩もうとするならあなたがしっかり向き合って止めてあげなさい。あなたは太陽なのだから」
「太陽…はい!頑張ります!」
祐介が目一杯の笑顔を見せると、フフッとコロナは笑みを浮かべた。
「秀樹、まぁ俺は別れの言葉なんて柄じゃねぇんだが…」
マッドが照れ隠しなのかガシガシと頭を掻く。
「知ってますよ」
秀樹が苦笑いを浮かべる。
「まぁあれだ……強くあれ。心も身体も。そしてお前が仲間を導いてやれ」
「はい!」
「いい返事だ!それでこそ俺の弟子だ」
「ありがとうございました!このご恩は一生忘れません!」
秀樹はマッドと固く握手を交わした。
そしてマッドたちは西の国へと帰って行った。秀樹達はその背中を様々な感情がこもった眼差しで見つめていた。
「さて、俺たちも頑張ろう!」
こうして秀樹たちのコーチンでの生活が始まった。
そして数ヶ月後、コーチンに委員長の最上香織が他の委員会のメンバーを連れてやってきた。
それからは、〈妖精の羽〉のギルドメンバーとなり、戦えない者には戦い方を教え、依頼をこなして力をつけた。
しかし、冒険者階級は中々上がらなかった。異世界人はアスガルドの住人よりステータスが高いらしいが、戦闘とは無縁の世界から来たために経験不足がネックになっているせいだろう。
それでも秀樹らは地道に力をつけていった。
ある日、委員長の香織がC級に昇格するとギルド〈妖精の羽〉のギルドマスターの提案で自分達のギルドを作る事になった。
ギルド〈イマジナリー〉の誕生だ。
〈イマジナリー〉の建物は使われていない倉庫を〈妖精の羽〉に貸してもらい改装すると、香織がギルドマスターになり活動を開始した。
初めは不慣れな事に戸惑い経営が上手くいかなかったが、香織のカリスマ性とチームワークを発揮していき、少しずつ軌道に乗り始めた。
その甲斐あってか、コーチンだけでなくだけでなく周辺の町や村にも周知されていき、他の町にいた委員のメンバーも集まって来た。
そして更に数ヶ月後、1人を除き、委員のメンバーが無事合流することができた。その最後の1人、佐伯亮太はコーチンに来ることもなく、探しても手がかり1つ得られなかった。
香織は死んだ者、もしくはアスガルドに来ていないとし、他のメンバーもそれを受け入れたが、陸だけは絶対に認めなかった。
佐伯亮太以外のメンバーが全員集まった事によって、ギルド〈イマジナリー〉は更に功績を伸ばしていった。ただ、地球に帰る方法は一向に見つからなかった。
そこで、王都アムルにも支部を作り、アスガルドの冒険者もメンバーにすることでより多くの情報を得ようと試みた。その支部の代表に秀樹と穂花が選ばれた。
そして王都アムルに着くと…
「…………りょう……た?」
「え!………ほんとだ!佐伯くんだ!」
佐伯亮太、基咲良と再会を果たすこととなる。
この一週間も様々なことがあった。
初めての依頼達成が嬉しくて舞い上がり、報酬を全て酒につぎ込んだり、志保が宿屋に篭ってしまってなかなか出てこなかったり、穂花や他の先輩達と語り合ったりと中々濃い一週間だった。
「じゃあな。これから頑張れよ!」
マッドが秀樹たちに声をかける。
「3人とも、半年間本当にお世話になりました!」
「ありがとうございます!」
秀樹と祐介は深々と頭を下げる。
志保は自分のお世話をしてくれるユニがいなくなるのが不安なのかずっと下を向いたままだ。
これからマッド、コロナ、ユニはまた冒険者の仕事に戻るようだ。
元々は西の国で活動していたらしく、たまたま依頼でコーチン近くの集落に泊まっていた。西の国に戻れば秀樹たちとはもう会えないかもしれない。それほどまでに西の国は遠いのだ。
「志保、今すぐにとは言わないわ。ゆっくりでいい。いつか閉じこもった殻を破りなさい。仲間と共に歩みたいのならね」
「あ……うん」
ユニの言葉に微妙な反応を見せる志保。
いつか今の言葉が鍵になって欲しいと願うユニだった。
「祐介、あなたは空気を変える力をもってるわ。仲間が間違った道を歩もうとするならあなたがしっかり向き合って止めてあげなさい。あなたは太陽なのだから」
「太陽…はい!頑張ります!」
祐介が目一杯の笑顔を見せると、フフッとコロナは笑みを浮かべた。
「秀樹、まぁ俺は別れの言葉なんて柄じゃねぇんだが…」
マッドが照れ隠しなのかガシガシと頭を掻く。
「知ってますよ」
秀樹が苦笑いを浮かべる。
「まぁあれだ……強くあれ。心も身体も。そしてお前が仲間を導いてやれ」
「はい!」
「いい返事だ!それでこそ俺の弟子だ」
「ありがとうございました!このご恩は一生忘れません!」
秀樹はマッドと固く握手を交わした。
そしてマッドたちは西の国へと帰って行った。秀樹達はその背中を様々な感情がこもった眼差しで見つめていた。
「さて、俺たちも頑張ろう!」
こうして秀樹たちのコーチンでの生活が始まった。
そして数ヶ月後、コーチンに委員長の最上香織が他の委員会のメンバーを連れてやってきた。
それからは、〈妖精の羽〉のギルドメンバーとなり、戦えない者には戦い方を教え、依頼をこなして力をつけた。
しかし、冒険者階級は中々上がらなかった。異世界人はアスガルドの住人よりステータスが高いらしいが、戦闘とは無縁の世界から来たために経験不足がネックになっているせいだろう。
それでも秀樹らは地道に力をつけていった。
ある日、委員長の香織がC級に昇格するとギルド〈妖精の羽〉のギルドマスターの提案で自分達のギルドを作る事になった。
ギルド〈イマジナリー〉の誕生だ。
〈イマジナリー〉の建物は使われていない倉庫を〈妖精の羽〉に貸してもらい改装すると、香織がギルドマスターになり活動を開始した。
初めは不慣れな事に戸惑い経営が上手くいかなかったが、香織のカリスマ性とチームワークを発揮していき、少しずつ軌道に乗り始めた。
その甲斐あってか、コーチンだけでなくだけでなく周辺の町や村にも周知されていき、他の町にいた委員のメンバーも集まって来た。
そして更に数ヶ月後、1人を除き、委員のメンバーが無事合流することができた。その最後の1人、佐伯亮太はコーチンに来ることもなく、探しても手がかり1つ得られなかった。
香織は死んだ者、もしくはアスガルドに来ていないとし、他のメンバーもそれを受け入れたが、陸だけは絶対に認めなかった。
佐伯亮太以外のメンバーが全員集まった事によって、ギルド〈イマジナリー〉は更に功績を伸ばしていった。ただ、地球に帰る方法は一向に見つからなかった。
そこで、王都アムルにも支部を作り、アスガルドの冒険者もメンバーにすることでより多くの情報を得ようと試みた。その支部の代表に秀樹と穂花が選ばれた。
そして王都アムルに着くと…
「…………りょう……た?」
「え!………ほんとだ!佐伯くんだ!」
佐伯亮太、基咲良と再会を果たすこととなる。
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