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第5章 継承と導く者
黒竜願望
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亮太の勝ちでこの決闘は終わり、クロノスと共に世界樹の上へと戻る。
「ほらよ……世界樹の茶だ」
『おぉ…すまんな。……おっと…忘れておったわ。これでお主は正式な暁流の継承者となる資格を得た。他の者に教えるかどうかは自由だがの』
「資格?」
『そうじゃ。継承者は咲良という名前を受け継いで初めて真の継承者となる。儂は黒竜であり、世界の調停者じゃから継承者にはなれても名前までは受け継げんかったがのう…』
「さくら?…継承者の証ってわけか」
『そういうことじゃ…暁流を生み出した東の国の初代の名でのぅ…代々受け継いどるわけじゃ』
「受け継いだらなんかあるのか?」
『ステータスプレートの名前が変わり、称号が増えるぞぃ』
「名前が変わるのか…まぁ良いか…受け継ぐ…」
『ならば………我は暁流63代目継承者クロノスなり…ここに佐伯亮太を64代目継承者として咲良の名を受け継ぐことを認めよう…』
すると亮太の身体が一瞬光った。
ステータスプレートを見てみると名前が咲良に変わっていた。
『これで継承の儀式は終了じゃ…咲良や』
「……あ…あぁ…もう亮太じゃないのか……それに名字も無くなるんだな」
『東の国では名字があるのは位の高い貴族や皇族だけなんじゃ…あまり気にするでない』
「ならいいか…」
そうしてここに暁流の64代目継承者が誕生した。
それから1ヶ月後…亮太、否、咲良はついにこの森を出ることにした。
「クロノス…本当に世話になった」
『いやいや…儂も楽しかった。こちらこそ礼を言うぞい』
「クロノスのおかげで…俺はこの世界で生き抜く力を手に入れることができた」
『お主は強い…人化していたとはいえこの…調停者である儂を倒したのだからの。力の使い方には十分気をつけるのじゃ』
「あぁ…そのためにこの首飾りを作ったんだからな」
咲良は目線を首元の抑制の首飾りに向ける。
『それとのぅ…頼みがあるんじゃ…』
「なんだ?」
『儂はお主と共にしハッキリと確信した…時代がまた…変わろうとしておるのを…』
「時代が…変わる?」
『そうじゃ…お主が変えるのか…それとも他の異世界人が来たことによって変わるのか…それは分からんがのぅ』
「そうか…それで頼みって?」
『儂を連れて行ってくれ』
「……は?」
『いや、正確には儂の次の黒竜を連れて行って欲しいんじゃ…儂も新たな黒竜を生む時が来たようじゃ』
「……でもどうやって?」
『時代が変わるといってもすぐではない。儂はお主の中に魂として入り…時代の流れと共に新たな黒竜として誕生するのじゃ』
「…お…俺の中に?…魂?…よく分からん…」
『そう難しく考えるでない…新たな黒竜は知識こそ受け継がれるが、精神は生まれたばかりだと幼いんじゃ…』
「俺の中にいて、生まれたら俺と一緒に旅をして世界を見て回らせて欲しいってところか?」
『そういうことじゃ…お主を鍛えた理由の1つでもあるのぅ』
「俺の中にクロノスが入ったらどうなるんだ?」
『儂は眠りにつく…時代が変わるのを待ちながらな』
「そうか…ということはクロノスとは2度と会えなくなるのか?」
『そうなるの。じゃが悲しいことではない。儂は新たな命の中で生き続けるのじゃから』
「……そうか、分かった」
『感謝するぞい…では…ひと時の別れとしよう』
クロノスは目を瞑ると光に包まれる。
『また会おう咲良や…儂は長く生きてきたが…お主との時間…決して…決して忘れぬ』
クロノスはやがて光の球体となり、咲良の身体に入った。
「……ありがとう…クロノス……俺も絶対忘れない。……使命のことも任せろ…」
クロノスに聞こえるかは分からないが胸に手を当てながら呟いた。
ドクンと心臓が大きく鼓動する…
もしかすると聞こえているのかもしれない…
「ほらよ……世界樹の茶だ」
『おぉ…すまんな。……おっと…忘れておったわ。これでお主は正式な暁流の継承者となる資格を得た。他の者に教えるかどうかは自由だがの』
「資格?」
『そうじゃ。継承者は咲良という名前を受け継いで初めて真の継承者となる。儂は黒竜であり、世界の調停者じゃから継承者にはなれても名前までは受け継げんかったがのう…』
「さくら?…継承者の証ってわけか」
『そういうことじゃ…暁流を生み出した東の国の初代の名でのぅ…代々受け継いどるわけじゃ』
「受け継いだらなんかあるのか?」
『ステータスプレートの名前が変わり、称号が増えるぞぃ』
「名前が変わるのか…まぁ良いか…受け継ぐ…」
『ならば………我は暁流63代目継承者クロノスなり…ここに佐伯亮太を64代目継承者として咲良の名を受け継ぐことを認めよう…』
すると亮太の身体が一瞬光った。
ステータスプレートを見てみると名前が咲良に変わっていた。
『これで継承の儀式は終了じゃ…咲良や』
「……あ…あぁ…もう亮太じゃないのか……それに名字も無くなるんだな」
『東の国では名字があるのは位の高い貴族や皇族だけなんじゃ…あまり気にするでない』
「ならいいか…」
そうしてここに暁流の64代目継承者が誕生した。
それから1ヶ月後…亮太、否、咲良はついにこの森を出ることにした。
「クロノス…本当に世話になった」
『いやいや…儂も楽しかった。こちらこそ礼を言うぞい』
「クロノスのおかげで…俺はこの世界で生き抜く力を手に入れることができた」
『お主は強い…人化していたとはいえこの…調停者である儂を倒したのだからの。力の使い方には十分気をつけるのじゃ』
「あぁ…そのためにこの首飾りを作ったんだからな」
咲良は目線を首元の抑制の首飾りに向ける。
『それとのぅ…頼みがあるんじゃ…』
「なんだ?」
『儂はお主と共にしハッキリと確信した…時代がまた…変わろうとしておるのを…』
「時代が…変わる?」
『そうじゃ…お主が変えるのか…それとも他の異世界人が来たことによって変わるのか…それは分からんがのぅ』
「そうか…それで頼みって?」
『儂を連れて行ってくれ』
「……は?」
『いや、正確には儂の次の黒竜を連れて行って欲しいんじゃ…儂も新たな黒竜を生む時が来たようじゃ』
「……でもどうやって?」
『時代が変わるといってもすぐではない。儂はお主の中に魂として入り…時代の流れと共に新たな黒竜として誕生するのじゃ』
「…お…俺の中に?…魂?…よく分からん…」
『そう難しく考えるでない…新たな黒竜は知識こそ受け継がれるが、精神は生まれたばかりだと幼いんじゃ…』
「俺の中にいて、生まれたら俺と一緒に旅をして世界を見て回らせて欲しいってところか?」
『そういうことじゃ…お主を鍛えた理由の1つでもあるのぅ』
「俺の中にクロノスが入ったらどうなるんだ?」
『儂は眠りにつく…時代が変わるのを待ちながらな』
「そうか…ということはクロノスとは2度と会えなくなるのか?」
『そうなるの。じゃが悲しいことではない。儂は新たな命の中で生き続けるのじゃから』
「……そうか、分かった」
『感謝するぞい…では…ひと時の別れとしよう』
クロノスは目を瞑ると光に包まれる。
『また会おう咲良や…儂は長く生きてきたが…お主との時間…決して…決して忘れぬ』
クロノスはやがて光の球体となり、咲良の身体に入った。
「……ありがとう…クロノス……俺も絶対忘れない。……使命のことも任せろ…」
クロノスに聞こえるかは分からないが胸に手を当てながら呟いた。
ドクンと心臓が大きく鼓動する…
もしかすると聞こえているのかもしれない…
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