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31 ひたすら作る……蜂?

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「……」
作りすぎているが、引きこもって何かをひたすら作る作業は楽しい…仕事にもなる。
今日は塩を好きにアレンジしてハーブもどきや、果物の乾燥させた皮を使い風味を変えていく。
トートバックも作り、靴下やハンカチ等も縫っていく。
時間感覚さえあればとおもうがやはり少し外に出よう、腰を上げて森を歩く事にした。

散歩…ふらふら…迷ってもても転移があるから遭難の心配もない、今度高い山でも登ってみようか。
「……」
靴の調子も良い、歩いていれば何か他にも作りたい物が出てくるかもしれないと足を進める歩きやすい。
少し遠くで何かの羽音がする、この場合は足音を立てずに去るのが良いが試しに鑑定をしてみる。
花蜂の巣:食料が乏しく全滅しかけている 温厚な種族 果物を好む 蜂蜜が美味しい 交渉どうですか?………虫と会話?やはり異世界、そこまで食事にも興味はない…踵を返し家に戻ろうとすれば目の前に画面が表示された。
『花蜂に食料の提供:善行ポイント500pt』
「はぁ……」
なら、交渉はする気がないので果物の木を何本か置いて去る事にする『達成:ポイント500pt付与』と出る…ゲームだなと思い転移で家に戻り、風呂に入り昼と夕食をまとめてすいとんとキノコと肉のソテーとサラダで済ませ、作業の続きを行いベッドに潜り込む。

そんな作業を繰り返し早7日が経ち、約束の日になったので待ち合わせの川に向かえば所々花が咲いている、時期的な物なのかと摘みながら向かえばジゼが既にテーブルを置いて待っていてくれていた。
「よ、会いたかったぞ。俺の妖精」
「……どうも?」
妖精ではないが…からかっているのだうと挨拶し、テーブルに向かい合わせで立つ。
「じゃ、金やら色々準備したし。いやー貰った食い物はほぼない!他の奴にも取られた!」
「そうですか…沢山用意したので…」
「助かる!飴?とかはもう作って売っているぞ、作り方教えてくれて助かった」
「早いですね」
「商売は早さが大事らしいからな」
「そうですね…まず食料から」
「お、楽しみにしてた」
収納から次々食料、保存が効く物等も出していく説明しつつジゼの収納にしまっていって貰う、味見を忘れずに。
「この塩!美味いな」
「香りの良い草や、乾燥した果物の皮で酸味がある物を細かくした物を混ぜると料理に深みが出ます?」
「お、おお…お前すごいな…料理に使う物でも驚く…」
「次は…この壺ですが大きなコンロの上に乗せて芋や平たくしたパンを張り付けて焼いてみて下さい。いくつか用意しました…」
「で、これがそのパンな訳か…美味いな何か中に…ジャムか…美味すぎる」
「どうぞ…芋も美味しいですよ…干した芋と果物はここにあります」
「お、おお…壺も売ってくれる訳だな…干した果物はすごい評判良かったな」
「そうですか」
壺も幾つか渡せばジゼの顔が引き攣っていく、量が多いのだろうか。
「酒と蜂蜜漬け…ジャム…花の砂糖漬けはお茶に入れると美味しいです…お茶も用意しました」
「…………」
「?」
「あー用意した金とかで足りるかと思って…」
「いくら出せますか?」
「5億ログ…」
「いや……そんなに要らないです…」
ジゼの黙り込む顔に首を傾げる、ジゼが5億ログ用意したというが額が大き過ぎる…。
「いや、足りないだろう」
「いえ、用意はしたんで続きを…」
「ああ…」
「魚の干物、野菜の酢漬け…次は…コンロと鍋類調理器具です…」
「多いな随分造ったな!(金足りないな…)」
「簡単なので…コップ皿…水筒は青い物は魔力で冷たい状態を保てます、こっちの広口の赤い水筒は熱い状態を保てます、スープとかに良いかと…」
「はぁ…(いや、足りないな)」
「後はバッグに靴下…ハンカチ…クッション…枕…ベッドと冷蔵庫と家具も用意したんですが…買い取りますか?」
「全部買い取りたいが…(いや、足りない…)」
「はい…最後は入れ物ですね…すみません造りすぎて1,000個あるんですが……いります?」
「……いるが……俺が用意したのは…5億ログと魔石と狩りをした獲物数体と本なんだが…」
「……100万ログと用意して頂いた物で良いので引き取って下さい」
「お前な……分かった。5億ログな、それと用意した物は渡す。俺も商人だからな不当な取引はしない」
「分かりました」
ジゼ全て収納に納め5億ログコインが入った袋をいくつもテーブルに乗せ収納していく、用意してくれた大量の魔石と綺麗な状態の鳥や大きな生物達も収納し古い本から新しい本迄を貰い収納する。
「すごい物ありがとうな、俺が拠点にしている町《オーンズ》ってとこにあるんだ。これをやるからまた商品が出来たら《ジゼとコージィス商会》って店に来てくれ、俺がいなくても話しを通しておくからな、何でも買い取るから。これを見せれば話しは早い」
ジゼが収納から鉱物を平らにした札を渡してくれる、それを貰い暫しジゼがこちらを見つめる。
「本当は連れて帰りたいんだが、独りが好きそうだしな。孤児院の子供達も会いたがっていたが」
「孤児院ですか?」
「そう、町にある孤児院にまあ仕事の手伝いをして貰って援助している。大分お前がくれた物のお陰で孤児院も助かるよ、石鹸とか高級品だしな」
「………なら5億ログも頂いたのでこれは僕から」
「なんだ?この木」
「サホン葉の木…野菜や果物小麦の木…砂糖の木に綿の木、蜜の木等です」
「あーこんなの値段付けられねぇな」
「どうぞ、あげます…」
「分かったよ、必ず来いよ《オーンズ》に」
「はい…」
「俺も旅していて《オーンズ》にはほぼいないが。そろそろ行く、またな俺の妖精」
「はい、ジゼさんまた…」
心の底から言える、心配してくれているのだろうが意見を押し付けてくるわけでもない、そこに好感が持てる、だから《オーンズ》にはいつか行くだろう、ジゼが軽く手を振り転移で姿を消す、また何処かに移動しようかと思いながら家に戻った…。

500年後…。
「あれからこうして仕事してるのも縁で、そして俺の花にも外神のお陰で逢えたしな」
「ふふ…外神にはいつも感謝しています」
「ああ…俺の妖精には感謝している…」
「それ…いつもいつも妬いてしまいます」
「妬いている俺の花も愛らしい」
「ふふ…誤魔化さないで下さい」
詠斗達との昼食、ジゼとヴァンユモゼナは互いしか視界に入っていないようで、裏ギルドや《ゼロ商会》のメンバーはいつもの事かと各々おにぎりやパンを食べているが、見慣れる詠斗達はその自分達の世界にどっぷり入っている、ジゼとヴァンユモゼナを見てしまう。
「外神っちあの2人いつもああなわけ?」
「はい…」
「いろいろあったが、これに落ち着いたんだ」
懐記の質問に外神とメシュレラは味噌汁を飲みながら遠い目をする、本当に色々あった結果がこれなのだ、所謂めでたしめでたしというやつだ…。
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