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17 じっくり本屋

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朝、起きて温かいお茶を飲む、作り置きしたポテトサラダサンドと焼いた肉をを挟んだ物、具沢山スープ…と果物を食べて軽く身支度を整える、飾ったタペストリーが部屋を鮮やかにしてくれ気分が少し良い、朝は魚を獲りに行こうと川に転移した。
住んだ川……風が今日は心地良い、少し多めに魚を獲って置こうと10匹程魚を水魔法で捕縛しナイフで血抜きを行う、ついでに怪鳥が少し先で飛んでいるのでギーギスがやっていた石の礫を指ではじきバサバサと怪鳥が暴れて大人しくなったの確認し風魔法で手元に運べばまだ若い羽が綺麗な怪鳥で血抜きを行い収納に納める、命を頂く……無駄にはしないように必要な分を狩り獲る、サホン水で手を洗い生臭さもない、怪鳥は温かいので後で冷やして解体することにした。
少し本の少しだが解体…生物の身体を分解することに興味を覚えた…収納に全て納め、《カッテン》へと戻った。

昨日と同じ本屋に向かえば既に賑わっているので流れに沿って店内へと入る、昨日は薬草関連の本ばかりだったので今日はダンジョン関連や面白そうな本を買おう。
「……きれいな本…」
丁寧なふと棚を眺めていると背表紙にタイトルは無いが綺麗な瑠璃色の装丁に目を奪われ手に取る、重いのは表紙と背表紙の細工が施され鉱物?宝石の破片が散りばめられた鉱物図鑑だ、店主に値段を聞くと100万ログ…高いが買えなくもない、中を少しみれば鉱物や宝石等を丁寧な色付きの絵と解説で描かれていて購入を決める、店主に取り置きを頼み他にも見て見る…『ダンジョンのドロップ品人気一覧』『ダンジョン向け携帯食・行動食のすすめ』や料理の本を数冊、文房具を眺めて、紙もざらざらして書きにくそうだし高いが何枚かと木の箱に入れられた糊も買う、それで会計をすれば120万ログ、コインを支払い本屋を出て香辛料の店を探した。

途中でお茶の店を見かければ若い女性店主が他にいた客と一緒にお茶を試飲させてくれる、仄かに香ばしい香りがしキャラメルぽくて美味しいのでその茶葉と薄い緑の緑茶に近いお茶を買う。
店主がその先に友人の香辛料屋があるから寄ってみて欲しいと言われ、良いタイミングだと足を運んだ。

「いらっしゃい」
露店ではなく小さい店に入ると様々な香りが強いが不快ではない、所狭し歪な瓶の中に納められていた。
「好みとかあるからしら?甘いの?辛いの?色々あるわよ」
先ほど除雪店主と良く似た面差しの女性、家族だろうか。
「変わった物があれば…」
「ああ、暑い国の香辛料などはいかがかしら?香りを嗅いでみて」
店主が木の樹皮が入った瓶を開けてくれる、何処か馴染みのある香り…シナモンか…。
「後はこの辺りがその国から来た物よ」
1通り乾燥させた実や葉等を嗅がせて貰えばスパイシーで…1通り全て買い木にしてみようか、なんだかカレーが出来そうで出来なさそうな感じだ。
「沢山買ってくれてありがとう、これは茶葉よ。私が調合したの少しクセがあるけと飲んでみてね」 
「…ありがとうございます」
いびつな瓶に茶葉を入れて渡してくれる、頭を下げて店を出た。

少し先の突き当たりの小さな店…こちらも本がある、状態は良くないが安い、古本屋だろうか扉も無いが試しに足を踏み入れたカビ臭いが本が床にも棚の上にも置かれている。
店の奥に店主がいるらしく、何か気配がするが…こちらは客だと周囲を見渡し本を物色する。
文庫サイズの本もある、『魔法具とインチキ道具』『魔法とインチキの違い』『詐欺に騙されない方法』……俗物的だが買う、『石コロを金にする方法』『安い料理を高い料理に見せる方法』『魔王とは』…等の本を手に取る、会計に行けば無愛想な以外に若い?店主がこちらをちらりと見た。
「欲しいのか?」
「はい…いくらですか?」
「…1万ログ…書物はすきか?」
「……はい」
「そこにある壊れたのやる…持ってけ…2日後にまた本来る…こい…」
「…はい…ありがとうございます…」
随分無愛想だ、人の事は言えないが…店主も本を読んでいる『楽して儲ける話しには裏があり』……金儲けしたいのか、にしては商売気が全く感じられない、来いと誘って?貰ったし本は気になるのでまた来る事にした。

………今日は帰ろうか、買った香辛料の木を造って、シナモンか手に入ったのでリンゴのパイかパンか…お茶にしても…いいしスパイスを試しても良い…。
「おい!なんだこりゃ!」
「す、すいやせん!」
「なんで酒がこんな酸っぱいんだ!腐ったのか!!」
「わ、わかりません!すいやせん!」
露店の前で揉めている…どうでもいいが、酸っぱい…酒というワードに足を止める樽を叩き一方的に怒る店の主人だろうか、樽を鑑定してみる 酸っぱい液体:酒を造る過程で管理ミスで出来た物 飲めます… やはりお酢…お酢があれば色々出来ると店先に足を向ける。
「すみません……その酸っぱい酒…売って下さい…」
『はぁ?』
それはそうだろうそういう反応になる、店主も従業員もお互いに顔を見合わせた。
「い、いや、こんな不味いもの売るわけにゃ…」
「でも、売らないと…」
「うるせぇ!客に不味い物は売れない!」
「大丈夫です…売ってください…」
従業員は渡りに船と言った感じで食いつくが、店主は首を振らない。
「こんな酸っぱい物…俺は酒造りに人生賭けているんだ…」
「………」
仕方ない此処で酢を諦めた方が楽だろう、この世界でも造れるという事が分かっただけでも収穫だが…きっとこの偶発的に出来てしまった酢は真価を見出されぬまま廃棄されてしまうのだろう…ならばらしくもない事をしてみようか…。
「この液体に価値が有れば売ってくれますか?」
「う、ああ、そうだな…。これを売っても良いと思えるなら…」
「分かりました…僕が欲しいと言う理由を教えます。場所を借りても良いですか?」
『……』
「ああ…そこ使ってくれ」
主人が頷き露店の隣の壁を顎で指す、収納ショルダーバッグから机や瓶を出す振りをして収納空間から必要なものを取り出して行った…。
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