あなたは異世界に行ったら何をします?~良いことしてポイント稼いで気ままに生きていこう~

深楽朱夜

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第015部 繋がる糸たちへ/繋がらない糸たちへ

問題発症解決編046幕 大河と悪魔達 ×第061話 切れない糸たち:まじない篇 衣装/第61話 異界 《アヴィラタン》編 第26幕 千景と

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問題発症解決編046幕 大河と悪魔達
『この少女…前世またその前の前世と……』
『業が深い、魂が濁り呪いが深かったが今は緩和されたようだ、何があったかは分からない』
「良くはなったという事か?」
『……そのようだ、だが肉体の衰弱も激しい』
風早と神々の手を借りテントに設けた個室で衰弱著しい少女の様子を《アストマーズ》の悪魔、アンフルパスとツェスタスが壁に映し出された映像越しに少女の状態を確認し、呪いは快方に向かってはいるが幼い身体は衰弱し続けていた。
『呪いは取り切れないです、来世にも響くかと』
『死を回避は出来ている、後は本人の気力といったところだが…これだけ業の呪い…誰かが手を貸したか』
「そうか、分った」
『こちらからは気休めですが呪いを引き寄せない物を送りますよ』
『滋養のある食べ物も』
「ありがとう、後で礼を贈る。また頼む』
少女次第だというアンフルパスとツェスタスに礼を言い通信を切る、大河は呪いが薄れた原因の元へと向かった。

「礼は言う」
「何をです?」
「…お前が何かしたんだろう」
「さあ」
カジノタワーの最上階の蒐集家の部屋に入ればいつものように薬を調合している彼の元へ大河が訪れ、あの少女の呪いを軽減した礼を伝えれば興味なさげに手元を動かす、何の意図があってした事なのかは大河には分からないがはぐらかしたとしても礼を言う。
「この世界の転生は今世を引きずって行くのか」
「そうですね、性別や魔法属性、趣味嗜好は引き継ぐと思います」
「……」
「あの少女は前世がそうで今世もそうで来世もそうですよ、そういうシステムですから」
「それをお前はなんとかしたんだろう?悪魔達が驚いていた」
「悪魔ね、天使共に従順に飼い慣らされた生物ですか」
「…そういう言い方しか出来ないのか」
「真実ですよ、悪魔達は変わってしまった」
「以前の悪魔達を知っているようだな」
最近アンフルパス達と交流をするようになった大河達、温厚で天使を深く愛している彼らを吐き捨てる、傲慢と言ってもいい蒐集家の声と態度、人でもない彼に人と同じ尺度を大河は求めない。
「夜に戻る」
「ご自由に」
蒐集家は嗤いながら手元の作業をよどみなく行う…チリン…大河は帝国へと戻る、少し顔が見たかったというらしくもない感情を抱いて転移を行なった…。

第061話 切れない糸たち:まじない篇 衣装
「わぁ、きれいな服」
「花嫁衣裳かなー素敵ー」
「幸せそうー身に来れて良かったー」
「みんな笑顔ですねー」
孤児院の庭で子ども達や近所の人々に祝福される花嫁の少女は綺麗な水色の髪に刺繍を施した布をターバン巻きにし、率達が贈った髪飾りも付けていた。
「呪いの布をああして身に着けて嫁いでいくんだね、サムシングフォーみたいな物かな」
「サムシングフォーですか?どういった物です?」
「僕達がいた世界で花嫁が身に着けると幸せになれるというアイテムだね、サムシングオールド受け継がれていく物、家族の絆や伝統。サムシングニュー新しい物、未来への希望。サムシングボレロ親しい人から貰う物、友人、隣人のつながり。サムシングブルー青い物、清らかさを意味しているね」
「そうなんですね、興味深い。婚姻の儀は貴族や貴族、豊かな平民でもなければささやかです。これからの生活があるから贅沢は出来ません」
千歳から地球での文化を教えて貰い頷く、ラジカからみればかなり恵まれた世界だ、婚姻し伴侶になれば2人の生活になる、子も産まれれば忙しくなり金が必要となるから始りは質素な物だ。
「花婿はいないのかな?」
「後で迎えが来ます、ありがとうございます。こんな綺麗な髪飾りを」
「よく似合ってますよ」
千歳が周囲を見渡し花婿の姿を捜すがそれらしき人物はいない、アンが花嫁を連れて率達の元を訪れそう答える、花嫁が飾った髪飾りを嬉しそうに揺らし礼を言えば率も嬉しそうに笑った。
「あちらに皆さんからいただいた食事がありますよ、行きましょう」
「沢山食べてね、いっぱい作ったの!」
「僕もお手伝いしたんです」
エツィアがはしゃぎキートも緊張した面持ちでいる、チナスやカヌイ達も一緒に作ったお菓子だ美味しく食べて欲しい。
「お茶は私が淹れましょう」
「果実水もあるからね」
『はーい』
個人の子供達は花嫁の手を引いてクッキーやドーナツ、パンケーキやポップコーン、フルーツ飴とフライドポテトや小さめのサンドイッチに目を輝かせて賑やかな宴に晴海や率、千歳は顔を綻ばせたがラジカと院長の面持ちは神妙だった…。

第61話 異界 《アヴィラタン》編 第26幕 千景と懐記  
「なっちゃん」
「ん?部屋あれでへーき?」
「うん、ありがとう気に入ったよ」
「ん」
「それでいつ此処を発つ?」
「外神っちに聞くわ」
外で魔物達と料理をしていた懐記に声を掛ける、魔物達は千景がこちらに残れると聞いて嬉しそうに千景の周りに集まっていった。
千景がいつ此処を発つのか聞けば懐記はもっといてもいいけれど、もうこの世界は千景とタマちゃん8号が上手くやっていく、神々が世界を繋げて自由に行き来出来るようになるのはまだ先、暫く会えなくはなるが千景は良い表情を浮べていた。
「君達の旅、かなり長いよ。どこの世界に行くとかどんな生物がいるか分からないけど《アタラクシア》に戻るのはかなり先になる」
「ん、へーき顔はみれるし。本当にピンチな時は外神っちだけでも戻ってもらうし」
「…なっちゃん、知ってるんだ」
「まあね、俺はこうして色んな世界行くのも嫌いじゃないし、元々ひきこもりみたいな生活だったから楽しいわ。俺は家さえあればいい、外神っちだけなら戻れるっしょ」
「戻れる、でも外神は懐記を置いて《アタラクシア》へ帰らないと思うけど」
「そう?戻ると思うけど、外神っちの500年は俺らには分からないし。やらなきゃいけないことあるっしょ」
「そうだけど……あれ?2人って恋人同士じゃないの?」
「違うけど」
「………あ、そうなの」
千景は千歳の知識や記憶を共有している部分がある、千歳は何故か外神と懐記がそういう関係に近いと思っていたらしく、千景もこうして見てそう思っていたがあっさり否定されて拍子抜けしてしまった。
「ま、今は」
「……えーと、分かった」
「そ、外神っちにいつ出るか聞いてくるからここ頼むわ」
「うん」
懐記があっさりし過ぎて外神の元へ向かう、千景は人の感情って難しいと思いつつ魔物達と続きの肉じゃが作りを行なった。



あなたは異世界に行ったら何をしますAnotherSid×EXTRA MYROAD~男は独り異界で飯を食う~
「相変わらず森だな……お、前と同じだ」
転移したのは薄暗い森の中、佳月にはこれ位の暗さが落ち着く。
以前仮住まいをしていた洞窟の中に向かえば、以前と変わらずそこにある金の掛からない良い宿だ適度に暗くてひんやりしていて動物も虫もいないのはまたここを使おうと思って生き物避けの結界を張ったまま中は昔使っていたままの状態を保っていた。
「食事したら狩りに行くか、ごろごろするか…悩む…悩むなぁ……酒かな」
収納から椅子とテーブルを出し酒瓶を並べて酒を飲み始める、3度の飯より休息より酒な男、ついでにつまみの干し肉と干し芋を出して適当に火魔法で周囲を明るくして鼻歌交じりにつまみ飲む、幸福な時間。
「《アンツクイア》の良い所は酒が美味い……干し肉も美味い、食材とかも身が大きかったり新鮮だとすごい美味いんだよなー塩でもつまみになる」
塩も出して濃い目の酒を煽る、今日はもうずっと酒飲んでれば良いか。
「日本にいた時はずっと仕事してたけど、異世界だと適度な仕事で充分だしなー」
そうして《アンツクイア》で稼いだ金のほとんどをつぎ込んだ酒、佳月の財産とも呼べる酒は美味しい。
「日本にいた時は趣味も無かったし…」
なんか趣味を持てば良かったのか…そうぼんやりと考えていたら、洞窟の入り口から雨音が聞こえそれをBGMに酒を飲んで1日過ごした…。


本日の食事:酒酒酒 干し肉 干し芋 塩 酒酒酒…古橋 佳月でした…。
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