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深楽朱夜

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第015部 繋がる糸たちへ/繋がらない糸たちへ

問題発症解決編028幕 ダンジョンの夜×第043話 盗み/第43話 異界 《××××××》編 第8幕 飢えた魔物達  

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問題発症解決編028幕 ダンジョンの夜
「ん、順調だな。ダンジョンが時間間隔が狂うから《刻みの刻》は必須だよなー」
下層から上に上がっていく途中手元から垂らした紐の先の石が夜色を現す、現在は夜、無理に上がって行っても良いだろうが魔物の出現が少ない此処で夜を明かす事にした。
「明日は休んでまた潜って…楽しいなーダンジョン」
未踏破の新ダンジョンは心躍る、背負子を降ろし干し肉を出し齧りながら書き留めた紙を眺める。
「もう、ダンジョン開かれたのかな。上は騒がしかったけど、明日もし会いそうなら挨拶しようかな」
暗い洞窟の天井を見上げる、上の階層は少し前まで賑やかだったが今は静かだ。
水魔法で水を飲み一息ついて、束の間目を閉じた…。

「ダンジョンは場所によっては夜は活発になるが…」
「此処はそうみたいだ」
「ああ、ドロップ品の質も変わる」
今夜は残ったフィズ、犬、ファラルシェス、メンルェトとエスティアという面子で夜のダンジョンを探索する、魔物の動きは活発だ、強くなり数も多いがドロップ品の質もある、このダンジョンを調べていくのは長期に渡るだろう。
「エスティア、もう1時間程で引き揚げますよ」
「うん…」
「俺達もそれで今夜は終わりだ、兄さんと犬はどうする?」
「ここのテントに向かおう、明日炊き出しの手伝いをして此処へ来る」
「俺は《島船》かな、夜の海を見たいなー」
剣で魔物を薙ぎ払うエスティアにメンルェトが言い、フィズがファラルシェスと犬の今夜の予定を聞く。
明日もまた朝からこのダンジョンに入るつもりで動く、メンルェトも風魔法でドロップ品を回収していった。
「……」
「下、気になる?」
「ええ」
「明日にしよ」
「そうですね」
何処か上の空のメンルェトの視線は下を指す、エスティアが服の裾を引きメンルェトは頷き業務的に各自が倒していくドロップ品を回収していった。

「皇帝から君を託されている、明日には皇子達と《コレメキバ学院》の寮に入って過ごして貰う」
「はい、分かりました…」
デズモンドを連れた大河がテント中でそう言い、デズモンドはこくりと頷く、無表情の痩せた少年、貴族というよりかは召使いのような従順さだ、後で彼の身辺を聞いてみるかと思いイザラとイデアがグローリーの家に連れて行くと言うので託す事にした。
「明日は教室に連れて行ってやるよ」
「うん…カリュシュも明日来て、ルンカとルコーも行くから…」
「そうですね、調査も程々に明日は行くと良いですよ」
「…分かりました」
明日の予定をイザラが伝えても言われたままのデズモンド、それをちらと横目で見てカリュシュも頷き帰っていく。
「大河殿、連続殺人ですが調べて欲しい事があります」
「何を」
「殺された彼らに死んだ子、または堕胎した子がいるかどうかを」
「……分かった、少し用が出来た出て来る」
カリュシュの頼みに大河は気になっていた事を確認する為、テントから別の場所へと移動した…。

第043話 盗み
「この石像を収納に入れれば良いね」
「ああ、間違いなく魔人だな」
「これ、どの魔人か分るか?」
「まさかー」
「だよな」
屋敷の地下の石像が保管されている場所にあっさり侵入した、千歳とチカとヤグート。
チカは目の前の石像の正体が気になるようだが、ヤグートは肩を竦める。
「本当は金できちんと交渉して譲ってもらうべきなんだろうけれど…そうも言ってられないしね。盗んだ証拠が出て来なければ…」
「問題ねーだろ、さっさと入れろ」
「この石像を流した奴はこっちで探るよ」
「そうだね、では……軽い…かな」
「間違いなく本物の魔人の石像だぜ」
「ん、それは間違いない」
「それはそうなんだけれど…他の石像よりも軽いかな…質量というか…後でヤハネ君に視て貰おうか、さ、早く出よう」
屋敷の者が来る気配もない、今のうちにと千歳が転移して屋敷の外へと出た。

「器などくれてやる、魔王の眼を逸らすにはこれ位必要な事」
「ええ、ガイアミア様。これであちらは満足でしょう」
「ふふ…それで良い、この身体も割と気に入っているからな」
少女型のアンスローポモフィクであり、亡くなった貴族の妻でもあるエネッサ・ヤヴィースは自室で執事が淹れたお茶を飲み微笑む、可憐な唇からは声は若い男の声、愉快そうに笑う姿は何処か老成していた。
「邪魔をされたら面倒だ、異界からの救世主と魔王如きが我々を阻むなどあってはならない」
「ええ、その通りです」
「現、魔神皇が弱いのが幸いだ。ドラウガル様に復活して頂きもう1度我々の世を築く」
「はい、その為には…」
「《聖者の魔人》を引きずり出す」
エネッサの姿をした何かが低く哂う、執事が恭しく頭を垂れた…。

第43話 異界 《××××××》編 第8幕 飢えた魔物達 
「ようこそ、異界の方々。名も無き世界へ」
「ひぎぃ俺達なんもないよ」
「ゆ、ゆるして」
「食べても美味しくないよ」
「怖いよぉ」
『……』
《異空鳥》を降りた外神と懐記とイフタークの目の前には見た事もない生物達がいきなり両手を挙げて降参している、怯えて震える面々にどうしたものかと懐記は口を開く。
「聞きたい事あるんだけど」
「はい、なんでしょう」
「ここって食べ物あるの?」
「ありません」
「何を食べているわけ?」
「前は自分達を食べていました、今は食べる事が出来ないので何も食べていません」
「お腹減った…」
「ぎゅぅ~」
懐記が目の前の1本角に真っ黒な細い手足の敬語を使う生物に聞けば……いきなり共食いというヘビーな話しを聞かされる、他のたわしに手足と目を生やした生物や細い筒に手足を生やした生物達は腹が減ったとのたまう、なんだこの世界は…という印象だった。
「どうして食べられないんです?皆さんは死ぬことはないようですね、同胞を食べなければ飢え続けるだけだと思いますが」
「腹が減ったんだったら…………これをやろう…………」
外神の質問、イフタークが流石に哀れだと悩んだ結果収納に何時の間にか入れていたドーナツを1つ差し出すが、生物達は緩く気だるげに首を振る。
「だめぇ、食べたいと思えない」
「はじめてみたぁ」
「食べたいけどたべれないぃ」
そうかとあっさりイフタークはドーナツを食べ始める、外神は少し考え込んでいるようだった。
「…以前ここに貴方方のように異界から来た者達を我々の同胞が倒そうとしたんです、見事に返り討ちに遭い……」
「うわぁぁ~ん」
「こわいよー」
「オイラなんもしてない、ひどい~」
「イタイのやだぁ」
「こんな風に何度も何度も我々を叩き潰し、同胞を喰らう感情を殺していきました…」
「……その異界からの人は唯苳さんと言う方ではなかったですか?」
「名乗りませんでした、可憐な笑顔の方と軽薄そうな方でした……恐ろしかったのは可憐な笑顔の方でした…」
「…………」
「外神っち、異界から来た他の日本人を知っているわけ?」
「はい……僕は唯苳さんという方に300年程前に助けて貰ったんです…」
「ふうん」
敬語の生物が苦しげな表情を浮べれば、他の魔物達が震え怯えている、外神が他に異界にいる日本人を知っているようなそぶりを見せる、後で詳しい話しを聞くとして、何も食べられないのは喧嘩を売った自業自得としてもただ巻き込まれただけならば他の生き物は可哀想だと懐記は思案した…。






あなたは異世界に行ったら何をしますAnotherSid×EXTRA MYROAD~男は独り異界で飯を食う~
「今日もお疲れ俺、でもあれはない…」
今日も今日とて稼ぎの5,000ロデを眺め今夜の夕食をどうするか悩みつつ、今日を振り返る。
ダンジョンの荷運びとドロップ品回収をしてギルドに戻った迄は良かったが、そこでイーター達のパーティが分配で揉めそこからパーティの男女のもつれの修羅場に発展し…巻き込まれない内にと金を貰い街中を歩く、酷い目に遭ったと零しつつ今日は慰労を兼ねて本の少し良い物を食べたいと、佳月は街を歩く。
「こんな夜は……肉だよなー。予算は2,000!よしあそこに行こう!」
今夜は肉だと決めすぐ先の賑わっている食堂に足を運ぶ、店の手前から香辛料と肉の焼ける匂いに口の中の涎が溢れそうになりお腹が鳴った。

「らっしゃい、カウンターそこ」
「ども」
賑わっている店内は傭兵やダンジョン帰りのイーター達、仕事帰りの男達が出来上がり酒を飲み躱している。
「この『本日の肉盛り合わせ』と酒と……以上で」
「あいよ、ちょっと待っててな」
恰幅の良い店主に注文し暫し待つ、本当はパンも頼みたいが酒を頼めば予算は声てしまったので断念する。
あちらこちらから聞こえる喧噪に耳を傾け、料理が出されるのを待つ、今日の儲けやダンジョンの話し狙っている女の話しにこれから娼館へ向かうという話し等、テレビやネットが恋しく思いつつ佳月は出された山盛りの肉料理に顔を綻ばせ、温い酒を氷魔法で冷やして一気に煽った。
水で薄めた安い酒だが、今夜の佳月にはこの安っぽさが丁度いい、人間関係もこれ位薄めが良い。
「くぅ~うま、肉もいいね、シシ肉と犬狼の肉に虎兎の肉かぁ」
「当たりだ」
フォークで肉汁溢れる様々な種類の肉と部位を味わう、酒に合わせた辛めの味付けは酒を思わず追加させてしまう。

「美味かった」
「まいど、2,500ロデだ」
「ん」
金を支払いいい気分で外に出る、明日も仕事が入っているのでさっさと安宿に向かい明日の為にも早く休む事にする、今夜も白い月と青い星が輝き星々が輝いていた…。

今夜の食事:水で薄めた安い酒 肉の盛り合わせ ご馳走様でした…古橋 佳月でした…。
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