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深楽朱夜

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第015部 繋がる糸たちへ/繋がらない糸たちへ

問題発症解決編024幕 拠点潰し×第039話 魔人の支配人/第39話 異界 《××××××》編 第4幕 異界渡り特典その2 

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問題発症解決編024幕 拠点潰し
「山の中によくやるな」
「中に奴隷がいるようですね」
「じゃ、奴隷商だか盗賊か知らねえがそいつらは俺が片付ける。お前はそうじゃない奴らを助けとけ」
「…わかりました」
山の中の奴隷商という名ばかりの盗賊の拠点、見張りや商人達が数名と首輪を付けられたボロ布を纏った奴隷とテント、カイムが片付けるというので任せて奴隷達と中のテントをカリュシュが解放すると決めカイムが飛び出しナイフ1本で見張りを切り伏せ、商人らしい顔色の悪い男の足の骨を折り、異変に気付いた他の見張り達を片付けていく姿をカリュシュが横目で眺め嘆息する。
「野蛮だな、あの方がカイム様か…父上が魔神皇で正しかったのかもしれない…他の最上位を黙らせるには手札が足りない………奴隷達は辛うじて生きているか…テントの中に女性や子供達がいるのか」
カリュシュは奴隷達の状態を確認し手早く手刀を入れ気絶させ、指先に魔力を集中させ術者の魔力を上書きする量の魔力でテントをこじ開ければ、怯えているほぼ裸の女の奴隷達と数名の子供達の姿に溜息を吐き収納から布を出して女性達に掛けるように言い、周辺を見渡せば鎖が掛けられたチェストがありそれを収納に入れて、盗賊達の所有物も収納には入れたくはないとそのままにし奴隷達と共に外へ出ればカイムが奴隷商を残し後は燃やしていた。
「ここまでしなくても良いと思います」
「こいつらは残しとくと増えるからな、あっちに馬がいるから貰って行くぞ」
「分かりました」
カリュシュは頷き状態の良いとは言えない痩せた馬達の手綱を取り、カイムの転移札で裏街へ戻った。

「あ、カリュ!帰って来た!おかえり!親父に会えたぞ!」
「カリューぱぱー」
「俺はグローリー、会えて嬉しいカリュシュ…ルコーを連れて来てくれてありがとう…」
「…父上、お会い出来光栄です。カリュシュ・ビソデー・ウォンカと申します」
カイムに連れられ転移した先、ルンカとルコーそしてグローリーが待っていてくれカリュシュが優雅に一礼し燈火や詠斗達が奴隷の女性と子供達を他の裏街の娼婦達に託して風呂や着替えを頼む。
「カイム、状況はヤハネから聞いた。奴隷商は潰したのか?」
「ああ、こいつだけ残した。帝国に突き出しも大した罪にはなんねーだろ?」
「そうだな、だが助かった人々がいるからな」
大河がカイムと話し床に置かれた意識を失った奴隷商をちらりと見、カリュシュが収納からチェストを出し鎖を素手で砕けば中には書類が積まれている、売られた奴隷達の詳細等を記された書類だったので後で詳しくヴィッセ達と調べる事にした。
「グローリー、彼らを連れて家に戻ると良い」
「いえ、私は此方に残ります。私は最上位の魔人ですしお役に立てるかと、それに《カテラント帝国》の元貴族でもありますから、義父母は亡くなり後ろ盾はありませんが」
「…分かった、助かる。なら、グローリーは他の子供達を連れて行ってくれ」
「うん…カリュシュ…また後でくるね」
「はい」
大人びた話し方をし残ると言うカリュシュ、グローリーは頷き何かを言いたそうにしているルンカとグローリーに抱っこされて嬉しそうなルコー達を連れて家に戻った。

第039話 魔人の家族構成
「はじめましてーこれほどの面子が一同に会するとはー壮観壮観ですねー。私は《スェファテ商会》の支配人で上位の魔人ヤグートと言います。よろしく」
「《スェファテ商会》の支配人は人ではないと思っていましたが魔人とは」
「まあ、魔人だって方がしっくりくるじゃん」
「なるほど世界(アタラクシア)は意外と狭いですね」
「まあ、基本俺は表に立たないし仕入れが主な仕事なんで」
入って来たのは軽薄そうな笑みを浮べる男、魔人と知ってコーカスとケストナーが僅かに驚きテンディは肩を竦めた。
「困った支配人ですよ、いつも気ままな風の様に何処かへ行ってしまって…」
「申し訳ないねー、それでそちらに魔神皇がいるだろう?元気かい?」
「グローリーさんは元気ですよ」
「グローリー?カイムではないのかな?おかしいねぇ、あの方は何も言わなかったが……」
「いつの話しをしているんです?支配人、永く生きているから時間間隔がおかしくなっているんでしょう。カイム殿は魔神皇にはならないと言ってましたし」
「テンディさんもカイム君を知っているのかい?」
「ええ、昔に会った事がありますし。支配人の最近は数百年前の話しだったりもします。支配人が戻ったらこの話しをしようと思っていたので黙っていましたが…ここから先は支配人がお願いします」
「分かった、実はこの商会はとあるところに支援する為の資金調達で始めた商会でね、そこを守っているのが四千年前の《聖者の魔人》なんだよ」
「そうなんですね、会う事は出来ますか?」
「難しいね今の所、簡単に行ける所でもないし。魔神皇とカイムがいるのなら会わせてくれるかい?」
「分かりました、後で呼びますね」
「そうかい、良かった。ではここからは私が商品の案内をさせて貰おう」
ヤグートが言うとある場所を守るという四千年前の魔人に会いたいと千歳は伝えるが、ヤグートは首を振り後程グローリー達を呼ぶことにすると、ヤグートが手を叩けば目の前に細かい細工が施された銀色の扉が現れた。
「私の保管庫さ、欲しい物があれば売るよ。さ、どうぞ」
そう言ってドアノブに魔力を注ぎヤグートが扉を開けば、千歳達が驚く品々が目の前に広がった…。

第39話 異界 《××××××》編 第4幕 異界渡り特典その2
「イフっち」
「イフ」
「お前流石にこれは…」
「あちゃー」
「おいしくて…」
朝千歳と外神が厨房に向かい、珍しく朝早く起きたジラと朝食の手伝いに来たノイズとギーギスが昨日山ほどあった切り餅が半分消えていた、どうやらあれからもずっと食べ続けていたらしく全員呆れ返った。
「イフっち食べすぎ、今日の雑煮は餅抜きね。今日は1日餅作りね」
「せめて1個……」
『だめ』
食べるなとは言わないからここに置いていたが流石に食べ過ぎだと、本日は餅抜き餅作りの刑だとさっそくもち米を蒸す作業からイフタークにさせ、ゴーレム達が手伝っているので懐記達は雑煮の準備を行った。
『みなさん、新しいスキルまたは魔法が追加されてますー』
『良かったねー』
『懐記様、もち米の木と餅(少な目)を《アタラクシア》と《アストマーズ》に贈りました。保存食は喜ばれています。早速舵様と率様と晴海様が餅つき大会を行うと張り切っています』
天と夜が新しい魔法とスキルの付与を教えてくれ、ガイドは早速贈ったもち米の木と餅の報告をしてくれる。
「お、俺はスキルに合成が追加されてるな、外神に聞いてみるか」
「僕は氷結魔法」
「俺は回復魔法(ケガ)か…」
ギーギスが合成、ノイズは氷結魔法、ジラは回復魔法(ケガ)と各自のステータスを確認し外神と懐記は興味は朝食の準備の方が大事だと作業を続ける、イフタークはもち米をいたすら蒸していった。

「うまー雑煮ってうまいなー焼いた餅を煮るのかー肉も野菜もうまいー」
「おかわり、餅2個を頼むイフ」
「私も1つ」
「……私は焼いた餅も食べたいな、醤油ときなこで」
起きてきたナチェとマユラとシュリとイシュター、イフタークにお代わりの餅を焼かせ、醤油ベースの雑煮堪能する、チェカとウズラはまだ寝ている様で起きてはこない。
「沢山あるからおかわりたくさんして」
『はーい』
「………」
イフタークは恨めし気にトースターやフライパンで餅を焼いている、蒸した餅は自動餅つきでついている、餅を焼けば出来た餅をイフが切り餅にして風魔法と時間経過を使いすぐ乾燥し完成させてという作業を繰り返す、懐記が少し休んでと伝えイフタークのテーブルの前に雑煮の中に餅を半分入れて置いてやる。
「働いてるからご褒美ね、次また大量に餅食ったら毎日餅1個生活一週間ね」
「う…分かった、ありがとう。私はこれからも餅作りに励む」
「ん」
イフタークが嬉しそうに雑煮に有り付く、皆やれやれと言った様子で朝食を終わらせた。

「私は影魔法だ」
「私はスキルに自己回復…なるほど」
「私はスキルに修復ですね」
「へえ、俺は緑魔法だ」
イシュターは影魔法、マユラはスキル自己回復、シュリはスキルに修復、ナチェは緑魔法が付与されている。
「腹ごなしに運動するか、ノイズどうだ?」
「うん、いいよ。動く」
シュリが手合わせにノイズを誘いマユラも付き合うと《異空鳥》の奥に外神が用意した訓練場に向かい各々自由な時間を過ごした。
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