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第015部 繋がる糸たちへ/繋がらない糸たちへ

問題発症解決編020幕 反乱した少数民族×第035話 夕食/第35話 異界 《××××××》編 開幕   

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問題発症解決編020幕 反乱した少数民族
「酷いな」
「回復札が足りないですね、レグさんから貰って来て下さい」
「僕が行ってきます」
「燈火…俺も行く」
新ダンジョンから崇幸と燈火も合流し投獄されていた反乱した民達、崇幸が悲惨な状況に眉を寄せながら回復薬や万能薬を出し、青褪める燈火には蒐集家がレグの元へ行くよう言いチグリスに連れて行かれる。
とにかく瀕死な者達から皆で治療に当たる、腕や足が斬り落とされている者や目を潰され放置された者達、呻き声や微かな息遣い慟哭が響く、魔人相手だこれで済んだのだと思うストフス達、涼し気な顔をして傍観しているパスヴァに誰も何も言わない、それが仕事だから役目だろうと崇幸も大河も黙々と手当を行っていく。
「我々は敗けたんだ…奴隷に落とされるのだろう。恩は返せない」
「皇帝と話しを着けた、お前達の身柄はこっちで預かっている。気にするな」
「ああ、まずは身体を治してくれ」
反乱を起こした少数民族の長の1人、片腕を回復札で治し回復薬を受け取り暗い顔をしている男に大河と崇幸が言う。
「北の領主は腐った奴だ、民を虐げ俺達のような少数で暮らしている者達を同じ人だとも思っていない。労働や奴隷として連れて行き帰って来た者などもいない。俺の姉や弟も連れて行かれた」
『………』
他の民族の長も治療が終わり大河達の元へ、まだ若い詠斗達と同世代位だろう痩せて頬もこけている、少数の民族が集まり団結を固め挑んだ、魔人が来なければ北を一時でも制圧出来たのかもしれない。
「パスヴァ、ここの領主はクズなのか?」
「うん、クズ」
「……」
「しかたないよー大河、帝国は血統を重んじるから。為政者の方が少ない……」
「た、大変です!パスヴァ様!」
「何かあった?」
大河が来たの領地を治める領主の話しを聞きパスヴァに尋ねれば清々しい笑みを浮べて返す、崇幸が何かを言おうと口を開けば領主の屋敷の兵士が血相を変えてパスヴァの元へ、耳打ちをしパスヴァが目をぱちくりさせていた。
「へぇ、領主が殺されたって」
『は?』
「回復札貰って来ました!」
パスヴァの淡々とした言葉に大河と崇幸が驚く、丁度燈火とチグリスが戻りそれを聞いていた蒐集家が大きく口を歪めて嗤った…チリン…。

第035話 夕食
「綴ちゃん達、ご苦労さま。ご飯食べてね」
「カーテスさん、ありがとうございます。イーノキィさん夕食にしましょう」
「ええ、そうですね」
「お茶を淹れますよ」
カーテスがエクトとセレネ、グローリーが連れ帰った魔人の子ども達と獣人の子ども達と共に転移札で《コレメキバ学院》の会議室に食事を運んで来てくれたので、ケークスがお茶の準備を行い他の教官達にも現在《コレメキバ学院》の建物内の管理を行っているナビが放送を掛け集まってくる。
時間停止収納袋から、熱々のカレー皿とサラダとスープ、デザートに冷えた果物をゴーレムやヒヨコ達とおりがみの子達が配膳してくれた。
「グリちゃんやタナトスちゃん達もまだ帰って来ないし、率ちゃん達のお店は終わるのがもう少し後だしね。ここで僕達も食べるよー」
「はい、一緒に食べましょう。美味しそうですね」
「子ども達は甘口、大人は辛口ね。千歳ちゃん達も同じだよ」
カーテスと綴やケークスは子ども達の食事を手伝いながら、イーノキィ達は集まった教官達と話しをしつつカレーを食べている。
「もうじき始まりそうだね」
「はい、学舎も寮も出来上がったので、生徒達を呼び見学や説明会を明後日行うんです」
「楽しみだね」
「ええ、すごい綺麗な学舎と寮ですよ。管理してくれる人員も食堂も充実していて畑も広大ですよー」
ケークスも嬉しそうだ、皆の努力が間も無く実を結ぶ学、あともうひと踏ん張りだと教官達も頷く。
「休学前に通っていた生徒達、新たに募集した生徒達とリモートで各国の教室から授業を受ける生徒達、のべ千人以上の子ども達が学びますからね」
「小さい子達の教室も作るんだよね」
「遊んで学ぶ場所ですね、エクト君達も遊びに来て下さいね」
『はーい』
カレーを頬張る子ども達の元気な返事に皆癒され、カレーで鋭気を養い一休みをして業務に戻る、大変だがあともう少しで学院を再開出来ると心は軽かった。

第35話 異界 《××××××》編 開幕 
「魔物しかいない世界に寄ったら喧嘩売られて買ってみたが、お前ら弱すぎじゃね?もうちょい抵抗してくれよ」
「僕達が強すぎたんです、彼らは決して弱くないです…相手が悪かったですね」
《××××××》灰色と赤が混じった何処か不安を掻き立てる空模様の世界、地面には枯れてひび割れた大地が終わり無く続いていた。
ガラの悪いく男が欠伸を噛み殺し傍らの少年は苦笑いを受かべている、宙に浮かんだ2人が見下ろす先には怯えて泣き叫び地面に頭を擦り許しを請う者達、少年が言う相手が悪すぎた、誰も彼もが勝てないと敗北を受け入れていた。
「どうか…見逃して下さい…この世界には何もありません、渡せる物もない。貴方がたがに挑んだのはこちらの落ち度です」
「ひぃい、ごめんよぉ。許しておくれよぉ」
「弱いもの虐めをするつもりはなかったんです、こっちもごめんなさい」
「あぁ?なんで謝るのぉ?ボスはやさしすぎるっしょ」
「やりすぎです、もう出ましょう。僕達はもう行きます」
「へーい、じゃあなー」
魔物達がなんども謝罪し平身低頭誠意を見せ、少年と男は空間を裂いてその裂け目に消えていく。
魔物達は何度も味わった敗北に身を震わせる、此方が悪かったのだ、驕ったのだ…それを身を持って知った…彼らが消えた後に赤と灰の空から赤と灰の雨が降る、この世界に初めて雨という物が降った日だった…。
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