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第015部 繋がる糸たちへ/繋がらない糸たちへ

問題発症解決編017幕 魔人の傭兵と子ども×第032話 観光と買い物/第32話 異界 《アユズラーグ》編 17幕 カレーと夜の散歩 

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問題発症解決編017幕 魔人の傭兵と子ども
「ぱぱ!」
「ん?魔神皇か!?おーい」
駆けだしたグローリーに気付いた魔人の子どもが嬉しそうにはしゃぎ、遅れて魔人の傭兵の男がグローリーに向かって手を振る。
「ん……」
「あいたかったー」
「俺も…」
「悪かったな、魔神皇。俺はエディズだ」
「グローリーありがとう。みていてくれて」
子どもが駆け寄りグローリーが受け止める、エディズは気まずげに頭を掻き自己紹介をする。
「父さん」
「親父!」
「イザラ、イデア、会えた」
「にーに」
「迎えが来て良かったな!魔神皇、あんたに子どもを返す。俺は用があるから」
「その用多分、完了だぞ。あんたがいた傭兵集団のリーダーの治療は済んでるぞ」
「本当か!?無事なのか?」
「うん」
「そっかー良かった……」
イザラ達も追いつき子どもを託して目当ての物を入手しに行くと言えば、イザラが傭兵集団のリーダーが回復したと伝え身体中の力を抜いてホッした表情を浮べた。
カトゥーシュカ達も合流し、1度上でゆっくり話しをしようと持ち掛ければ子どもとグローリーがじっと下を見ていた。
「誰か…いる…?魔人?」
「ぱぱ、会いたいー」
「…うん」
「下にいる?けど…」
「よくわかんねーけど付き合うぜ」
子どもがグローリーの手を握り下に行きたいと言えばグローリーも頷く、イザラとイデアはその気配に首を傾げた。
「エディズさんですよね、リーダーの様子を確認しに1度戻ってはどうです?こちらはこのまま調査を続行しますから」
「あーそうだな、リーダーの治療ありがとう、リーダーの様子を確認したら俺もこっちに加わっても良いか?傭兵は辞める、他の魔人に会ったの初めてなんだ。嬉しくてさ…」
「いいよ、よろしく…」
アガニータの提案に頷き、エディズははにかみながら笑えばグローリーは頷いた。
第1階層を調べている詠斗達に頼み、エディズはリーダーの元へ戻りまたダンジョンに戻ってくると言い、子どもはグローリーやイザラ達と離れたくないようでそのまま調査に加わる事になった。

「ザレナ、話しは着いたフェマー達の元へ戻れる。《白鷺》経由でベルン達の家に」
「いいのか?本当に」
「ああ、納得は言ってないが皇帝が認めた。待たせたな」
「……感謝する、何かあればいつでも手を貸そう」
《白鷺》で待機していたザレナダーラの元へ大河がザレナダーラは自由の身になったと報告し、ザレナダーラの肩の力が抜けるのが伝わった。
「自由に過ごせば良い」
「…そうだな、では、私は戻る。ありがとう、大河」
「ああ、ゆっくり過ごしてくれ」
ザレナダーラが笑みを浮べ手を差し出してくるので大河は手を出し握手を交わしザレナダーラはトラング達の家に身を寄せているフェマー達の元へ帰っていく、大河は連続殺人を追う為に裏街のテントへと向かった。

第032話 観光と買い物
「トラング殿達からカジノの景品を頼まれたので各自で購入して下さい。治安は良くない街ですが、珍しい物が多い場所です」
というタナトスからの話しにラジカと千歳は鍛冶屋に足を運び、コーカスは所用ががあると別行動を取りタナトスはチカとウォルゾガと一緒に買い物をしている。
「このナイフの刃細工がされていて綺麗だね、揃いで買おうかな」
「こちらの剣も良い物ですね」
「らっさい、これはうちで扱っている物にしちゃぁ良いモンさ」
鍛冶屋の中で2本で対の刃に細工が施された実用品というよりも装飾品寄りなナイフ、ラジカは剣を手に取ると鍛冶屋の店主が豪快に笑う。
「他にも珍しい物を扱う店はありますか?」
「そうだなー盗人がやってる店は面白いぞーこの奥の薄暗い路地裏にたまーに店を出してる」
「なるほど、行ってみます」
「おう、気に入った客に売る変わりモンの男さ」
千歳は盗人…泥棒が売る品って盗品なのに良いのかなと思えばラジカは特にその辺は気にせずに頷いて剣とナイフを購入し店を出て奥へと向かった。

「これはゴーレムですか」
「壊れちまったゴーレムだけどここは変な物が売れる国だから置いてる」
「なら、これ買おう」
「あと、この古いコイン貰う、それとおっちゃん、石像の噂とかねぇ?」
「お、おい、どこでそれを」
タナトスとチカが目を付けたのはごちゃごちゃした古物を扱う露店、タナトスが台に適当に置かれて埃を被ったゴーレムに目が行きウォルゾガが購入を決め、チカが古いコインをあるだけ購入し石像の事を訊ねれば店主は慌てて周囲の目を確認する。
「ちょっと、教えてよ。これで」
「こ、こんなに…俺が知っているのはさる貴族が買った石像だけだ、その石像を買った直後その貴族が死んだんだ」
「へぇ、どんな石像?」
「やけに良く出来た石像って事だ、おれぁ見てねーからな」
チカが10万ログを握らせれば店主が小さな声で石像の話しをする、当たりだろうとタナトスとチカはその石像の噂を仕入れる為に他の店に移動しつつ、千歳にラインを送った。

第31話 異界 《アユズラーグ》編 16幕 カレーと夜の散歩
「おかわり、パンとカレー全部」
カレーが出来上がりさっそく夕食を始める、イフタークがカレーを大層気に入ったようでナンもどきとご飯を交互にお代わりしカレーも3種類お代わりして喜んでいた。
「よく食べるなー辛くない?」
「からい?舌が熱い」
「ミルク飲みな」
「?熱いのが消えたな、ミルクもお代わり」
辛めのカレーに皆ミルクと水を飲みつつ食べ進めていく、イフタークは首を傾げつつ辛いという物がよく分らないがとにかく美味いと食べている。
「たくさん作ったけど、あっという間」
「いんじゃない、また作るし」
ノイズがあれだけ作ったカレーが無くなっていく様を眺め、懐記は明日はラーメンにでもしようかと煮卵とチャーシューとチャーハンにしようかと献立を考えつつ食後のデザートのミルクのアイスを振るまった。

「外神っち、散歩行くけどくる?」
「はい」
夜も更けた頃、各々自室に向かったり外で鍛錬をしたり……夜食を食べたり酒を飲んだりしている中、懐記が花の種を用意していた外神に声を掛け散歩がてら無人の街を散策していく。
「めぼしそうな物は大体回収した感じ」
「そうですね、国の大きさからしては店の数や品ぞろえは少ない感じがしました」
「戦争ばっかって言ってたし」
植物や店や屋敷等は大体収納に入れたので、ゆっくりと街を歩く、映画やドラマのセットの中に入り込んだような雰囲気だ。
「懐記さん、種の用意が出来ました。明日イシュターさんが背に乗せてくれるそうです」
「へぇ、いいんじゃない」
「はい…《アタラクシア》の花の種も《アストマーズ》の花の種も沢山用意しました」
「ありがと外神っち」
「いえ、懐記さんは優しいですね。僕は終わった世界に何の感情も抱きませんでした」
「まあね、ただのお礼。貰ってばっかってのも気が引けたから、神様も喜んでくれてたし」
「……はい」
何処か上の空の外神に懐記が顔を近づける、外神の夜よりも深い深淵の様な瞳を見つめ懐記は少し笑う。
「《アタラクシア》に戻りたい?」
「……やらなければならない事があります。けれど…」
「なに」
「こうして異界を旅していたい…貴方と」
「なら、両方すれば?外神っちなら出来るっしょ」
「はい…」
外神の中で何かが変わっていく、500年変わる事の無かった外神が少し変化した瞬間だった。
それは本人すら気付かない変化、懐記は受け入れる、それだけだ…また、いつかの夜のように一筋の星が流れていく、外神は懐記と眺める夜は星が誕生するだろうとそんな予感を抱いた…。



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