上 下
744 / 807
第015部 繋がる糸たちへ/繋がらない糸たちへ

問題発症解決編02幕 街×第016話 呪いを受けた王/第16話 異界 《アユズラーグ》編 2幕 異空と神々

しおりを挟む
問題発症解決編02幕 街
「どうやらこの首都で連続殺人と行方不明事件が起きているらしい、国から応援を寄越してくれるという話しだ。俺達は蒐集家さんと合流してその2つの事件を追うぞ」
「このままここで捜査ですね」
「私も手を貸そう…」
「千眼さんがいれば頼もしいね」
「ああ、それで新しい皇国のダンジョンはグステナさんとカトゥーシュカさんをメインに交代制でのアタックという事になる、調査もあるからただ攻略という訳にもいかないらしい」
大河からの連絡をスマートフォンと風早から確認し崇幸達は引き続き、街で2つの事件を追う事になる。
大河は皇子達の事とこの国の食糧難と街道の事を調べるというので、《ガルディア》経由で応援を頼む事になっている。
燈火と詠斗と千眼は事件解決に向けて動く、チグリスは…子ども達に群がられている、どうやら気に入られたようだ、チグリスもそのままなすがままにされていた。
メインの通りを少し外れれば薄暗い道には、危険な気配と痩せた浮浪児や逃げた奴隷達に訳アリの者達が気配を潜ませていた。
崇幸達が炊き出しを行い人を集め情報を仕入れつつ、既に蝶を飛ばしている千眼が街を視ている。
「なあ、例の件の情報を買ってくれるのはここか?」
「飯もくれるって?」
「ああ、先ずは飯を食ってくれ。話しはその後だ」
チグリスのパンを物欲しそうに見ていた子どもに案内を頼み、此処に案内して貰い他の浮浪児達に食事や金を渡し此処にくれば食料や事件の情報を買うという話しを広めて貰い続々と集まってくる、あまり良い手ではないが環境は悪い、《ナイジアナ皇国》の貧民街を思い出した。
パンとスープを配りながらも、耳に入ってくる話は行方不明事件はよくある事、人攫いや仕事の面倒を見ると騙して奴隷として売るなど、殺人も些細な事で人の命など奪われてしまうのだと。
「………」
「ゆき……」
「いや、事件を早く解決して皇帝に彼らの事を言おう。夜になった事だしテントを出して交代交代で食事や話しを聞いて行くとするか」
「……ああ」
《ナイジアナ皇国》の時の様に取引きを行い、彼らの生活を少しでも向上させてやりたいと崇幸は思いながら千眼はそんな崇幸を見つめ、眼はこの首都全体を視ていた…。

「ぼ、僕はヴァスキン・ユトゥークス・ヘルド・カテラントです…弟はヴァーガン・アーチャー・ヘルド・カテラントです」
「俺は大河だ、改めてよろしく。君達は俺が責任を持って《コレメキバ学院》に連れて行こう。だが、帝国の問題が片付いた後になる。それまではここで授業を受けてくれ。風早」
《ツヴァルキア城》の講義室、2名の皇子兄はヴァスキン、弟はヴァーガンと改めて自己紹介をする。
夜、就寝前にヴァスキンとヴァーガンとこれからの話しをする為に彼らの部屋をフルカリスに連れられ訪れる、外には見張りの兵士が1人中には女給が1名、帝国の皇子達の部屋も調度品や室内は立派な物だが古めかしい上に子ども部屋という感じはしない、ソファに座り簡潔にこれからの事を伝えればヴァスキンは頷きヴァーガンは首を傾げた。
「明日からな、また明日朝飯を一緒に食おう。おやすみ」
ヴァスキンとヴァーガンにそれだけ言い部屋を後にする、フルカリスは何も此方が聞かずとも夕食の状況を見て貰えれば分るが帝国は困窮していると漏らす。
「そこも事件解決と同時に解消する」
「……貴方達ならば簡単に出来てしまうんでしょうね」
「簡単ではないが、打てる手は幾らでもある」
「…そうですね」
長年の問題や不穏な事件、それ以外にも国は常に問題を抱えている、皇帝は救世主の大河達との繋がりを得る為に条件を出したとフルカリスは思う、《ナイジアナ皇国》の貧民街を立て直した彼らだ、彼らの前では顔に出さないが縋っているのだ、でなければ巨大なこの帝国はゆっくりと滅亡していってしまう、フルカリスもまたそれを理解した上で彼らに賭ける事にしたのだ…。

第016話 呪いを受けた王
夜の《ヨレーファ国》王城…王の私室にてメバヴルス・ダニドム・ヨレーファは目を抑え苦しむ、もう何も視えはしない約に立たない眼が痛みを齎す。
「あはははは!兄上!私は貴方が願った通り苦しんでいますよ?どうですか?どうですか?痛いイタイいたい…」
部屋の物を薙ぎ払う、目に巻いた布は血が滲みメバヴルズは床に倒れ込み床に爪を立てた。
痛みと苦しみと笑みを口から吐き出し、死ねる物なら死にたい死んで転生したら呪いが消える保証も無い、ああイタイ…痛い…いたい…。
「あにうえ…コロス、コロス、コロス、何度殺しても殺したりないゼツボウをみせてあげるあはははははっははは!」
苦しみ抜き絶えようやく、メバヴルズに束の間の眠りの刻が訪れた……。

第14話 異界 《アユズラーグ》編 2幕 異空と神々
「へぇ、おけ」
「分かりました」
「天使と悪魔の次は神の子か…」
異空にて神々から連絡と依頼を受けた懐記達、外神も同意しイシュターが呟く。
「引き換えに《アタラクシア》の治療を引き受けてくれたならいいじゃん」
「そうですね、間も無く《アユズラーグ》の空の上に出ますし、《アユズラーグ》の建物や資材は自由にして良いとの事ですから」
「それはいいよな、ジュカ達の所にも送れるし。その連れていく奴にも話はいってるんだろ?」
「人がいなくなった世界かー少し複雑だけど」
ジラがポップコーンを食べ、外神が《アユズラーグ》の人が生み出した物が自由にして良いと言われているので、ナチェは楽しみにしチェカは期待と言いつつ少し複雑な感情を抱いていた。
「うちの世界はうちの世界、よその世界はよその世界って事で割り切っていこう」
ギーギスがチェカの肩を叩く、ガイドが間も無く空上に出ると言うので皆窓から外の景色が変わる瞬間を見届けた。
「へえ、これが次の世界ね、緑と海って感じ」
『《アユズラーグ》の神の子イフターク様がいる場所へ降ります』
ガイドが《異空鳥》を操縦しイフタークの元へ向かった、雲が多めの碧い空と蒼い海と大地を覆う緑それを眺めながら彼らは指定された場所へ向かった…。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

元万能技術者の冒険者にして釣り人な日々

於田縫紀
ファンタジー
俺は神殿技術者だったが過労死して転生。そして冒険者となった日の夜に記憶や技能・魔法を取り戻した。しかしかつて持っていた能力や魔法の他に、釣りに必要だと神が判断した様々な技能や魔法がおまけされていた。 今世はこれらを利用してのんびり釣り、最小限に仕事をしようと思ったのだが…… (タイトルは異なりますが、カクヨム投稿中の『何でも作れる元神殿技術者の冒険者にして釣り人な日々』と同じお話です。更新が追いつくまでは毎日更新、追いついた後は隔日更新となります)

勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!

よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です! 僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。 つねやま  じゅんぺいと読む。 何処にでもいる普通のサラリーマン。 仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・ 突然気分が悪くなり、倒れそうになる。 周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。 何が起こったか分からないまま、気を失う。 気が付けば電車ではなく、どこかの建物。 周りにも人が倒れている。 僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。 気が付けば誰かがしゃべってる。 どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。 そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。 想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。 どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。 一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・ ですが、ここで問題が。 スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・ より良いスキルは早い者勝ち。 我も我もと群がる人々。 そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。 僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。 気が付けば2人だけになっていて・・・・ スキルも2つしか残っていない。 一つは鑑定。 もう一つは家事全般。 両方とも微妙だ・・・・ 彼女の名は才村 友郁 さいむら ゆか。 23歳。 今年社会人になりたて。 取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。

今日も聖女は拳をふるう

こう7
ファンタジー
この世界オーロラルでは、12歳になると各国の各町にある教会で洗礼式が行われる。 その際、神様から聖女の称号を承ると、どんな傷も病気もあっという間に直す回復魔法を習得出来る。 そんな称号を手に入れたのは、小さな小さな村に住んでいる1人の女の子だった。 女の子はふと思う、「どんだけ怪我しても治るなら、いくらでも強い敵に突貫出来る!」。 これは、男勝りの脳筋少女アリスの物語。

異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。

sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。 目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。 「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」 これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。 なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。

やさしい異世界転移

みなと
ファンタジー
妹の誕生日ケーキを買いに行く最中 謎の声に導かれて異世界へと転移してしまった主人公 神洞 優斗。 彼が転移した世界は魔法が発達しているファンタジーの世界だった! 元の世界に帰るまでの間優斗は学園に通い平穏に過ごす事にしたのだが……? この時の優斗は気付いていなかったのだ。 己の……いや"ユウト"としての逃れられない定めがすぐ近くまで来ている事に。 この物語は 優斗がこの世界で仲間と出会い、共に様々な困難に立ち向かい希望 絶望 別れ 後悔しながらも進み続けて、英雄になって誰かに希望を託すストーリーである。

リリゼットの学園生活 〜 聖魔法?我が家では誰でも使えますよ?

あくの
ファンタジー
 15になって領地の修道院から王立ディアーヌ学園、通称『学園』に通うことになったリリゼット。 加護細工の家系のドルバック伯爵家の娘として他家の令嬢達と交流開始するも世間知らずのリリゼットは令嬢との会話についていけない。 また姉と婚約者の破天荒な行動からリリゼットも同じなのかと学園の男子生徒が近寄ってくる。 長女気質のダンテス公爵家の長女リーゼはそんなリリゼットの危うさを危惧しており…。 リリゼットは楽しい学園生活を全うできるのか?!

レベルアップに魅せられすぎた男の異世界探求記(旧題カンスト厨の異世界探検記)

荻野
ファンタジー
ハーデス 「ワシとこの遺跡ダンジョンをそなたの魔法で成仏させてくれぬかのぅ?」 俺 「確かに俺の神聖魔法はレベルが高い。神様であるアンタとこのダンジョンを成仏させるというのも出来るかもしれないな」 ハーデス 「では……」 俺 「だが断る!」 ハーデス 「むっ、今何と?」 俺 「断ると言ったんだ」 ハーデス 「なぜだ?」 俺 「……俺のレベルだ」 ハーデス 「……は?」 俺 「あともう数千回くらいアンタを倒せば俺のレベルをカンストさせられそうなんだ。だからそれまでは聞き入れることが出来ない」 ハーデス 「レベルをカンスト? お、お主……正気か? 神であるワシですらレベルは9000なんじゃぞ? それをカンスト? 神をも上回る力をそなたは既に得ておるのじゃぞ?」 俺 「そんなことは知ったことじゃない。俺の目標はレベルをカンストさせること。それだけだ」 ハーデス 「……正気……なのか?」 俺 「もちろん」 異世界に放り込まれた俺は、昔ハマったゲームのように異世界をコンプリートすることにした。 たとえ周りの者たちがなんと言おうとも、俺は異世界を極め尽くしてみせる!

異世界に召喚されたけど、聖女じゃないから用はない? それじゃあ、好き勝手させてもらいます!

明衣令央
ファンタジー
 糸井織絵は、ある日、オブルリヒト王国が行った聖女召喚の儀に巻き込まれ、異世界ルリアルークへと飛ばされてしまう。  一緒に召喚された、若く美しい女が聖女――織絵は召喚の儀に巻き込まれた年増の豚女として不遇な扱いを受けたが、元スマホケースのハリネズミのぬいぐるみであるサーチートと共に、オブルリヒト王女ユリアナに保護され、聖女の力を開花させる。  だが、オブルリヒト王国の王子ジュニアスは、追い出した織絵にも聖女の可能性があるとして、織絵を連れ戻しに来た。  そして、異世界転移状態から正式に異世界転生した織絵は、若く美しい姿へと生まれ変わる。  この物語は、聖女召喚の儀に巻き込まれ、異世界転移後、新たに転生した一人の元おばさんの聖女が、相棒の元スマホケースのハリネズミと楽しく無双していく、恋と冒険の物語。 2022.9.7 話が少し進みましたので、内容紹介を変更しました。その都度変更していきます。

処理中です...