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第015部 繋がる糸たちへ/繋がらない糸たちへ

第003話 砂蟲/第03話 困惑神様ズ

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 第003話 砂蟲
「砂蟲…?」
「俺も行く…」
「俺も」
「俺も行くぞ!晴海は空と待ってろよ」
「砂蟲ねぇ、いいぜ」
「うん…」
「千歳さん、晴海さん、私と待っていましょう」
「私も行きます、砂蟲ならば討伐した事があります」
千歳が聞き慣れない魔物の名称に首を傾げる、グローリーとイデアとイザラとチカとラジカが向かうと言うので、オベリスカとコーカスと千歳、晴海と空は《砂の宿》で待っているように伝え、逃げて来た男達と馬には水と食事や野菜を渡した。
「き、北の方だ!」
「でも休んだら、冒険者ギルドに…」
「助けに行かないと…」
逃げて来た男たちは息を切らし無我夢中で食事をして急いで《カタフ》へ向かう準備をしているが、千歳がそれを静止しグローリー達が識を連れて転移で救出に向かった。

「っち!デカい!数も多いな…」
残って囮になった男は小回りを利かせ動き回り魔物を翻弄している、巨大な黒く輝く鎧の様な甲殻の蠍のような魔物は4体バラバラに男に襲い掛かる。
「雷魔法発動!1体だけなんとか…」
砂埃が舞いながら尾と鋏で襲い来るのを避け、関節部分に雷魔法を打ち込み1体の動きが鈍る、持っていた剣は欠けてしまい後はナイフと魔法頼みだ。
「時間稼ぎにはなったか…もうちょっと足掻くけど」
雷魔法と土魔法を立て続けに連発し砂蟲の足元の砂を削ってもつれさせる……そんな時、複数の強い気配を察知し男は哂った。
「俺にも運てのがあるって事か」
「グローリーさん、イザラさんイデアさん、チカさん、砂蟲は固いですが関節は柔らかいです。そこを狙って雷魔法や剣で攻撃を」
『了解!』
ラジカが到着後すぐ雷撃を放ち、グローリー達がラジカの指示に即座に散り砂蟲と相対する。
「大きいね…」
「固い…」
「雷魔法は出来ねーし切り刻むか」
「もう終わったぞーおせーなお前ら、こんなもんウォルの剣を使うまでもねー」
グローリー達が襲い来る砂蟲の尾と鋏を避けて剣で関節を狙っていく間に、チカが黒い刀身の細身の剣をいつの間にか出して砂蟲切り刻み、砂の上に散らばった。
「早い…」
「チカすごい…」
「んだよ、こっちもどうにかしてさっさと帰ろーぜ」
「チカさん、お願いします」
「しかたねーな」
グローリー達もラジカも素直に感嘆し手を貸して貰う事にし、チカが4体の砂蟲の頭上に一斉に雷撃魔法を放った。
「はーすごいな、アンタら。助けてくれてありがとう」
「すごいのはチカだろ、帰って飯くおう」
「収納して持って帰ろう、ラジカ…これ素材になる……ラジカ?」
「ええ、高値で売れますよ。外殻は良い素材になります、尾と鋏と目や牙は薬にも毒にもなるので蒐集家に渡しましょう」
時間稼ぎをしていた男も合流し、グローリーが収納に砂蟲の身体を入れて持ち帰るかラジカに提案するが、ラジカが男の方に視線を向けたままなので名を呼び我に返ったラジカが同意して収納空間にしまい、男を連れて《砂の宿》に戻った…。

「ザレナや僕達は行かなくていいんですか?」
「平気だよ、大丈夫!大河さん達が説得してくれるから」
「そだよー」
『……』
トラング宅、カジノに出勤するトラングとジゼドとカトゥーシュカに不安そうに訴えるフェマー、テンテストとナビヤが励まし傍らのザレナダーラも頷いた。
「フェマー様、取引材料は潤沢に用意しているとこの取引が不成立になる事はありません。《カテラント帝国》は同意します」
『フェマーだい…じょうぶ…』
「ザレナ…エンエ…」
「ああ、必ず君達が自由になるように取り計らう。安心して此処で過ごしてくれれば良い」
「ありがとうございます!」
「感謝する」
『ありがと…う』
「ああ、テンテスト。彼らを頼む」
「はい!」
「じゃ、行ってくるー」
「いってらっしゃーい」
『……』
明日の夜からカトゥーシュカはアガニータとツァースと共に《白鷺》へ帝国へ向かう為に大河達と合流する、護衛や交渉、交渉が決裂した際の事に供えて向かう、カトゥーシュカは笑みを浮かべてカジノへ向かった。

第03話 困惑神様ズ
「この世界…不味いですね、僕達が降りて良い場所か……」
「なに、この世界?降りられないわけ?」
「……」
『うわ、この世界全て猛毒で構成されてますねーすご』
『……鑑定結果は生物なしの毒の世界、名も無いです…』
『……ある意味完璧な世界ですね、毒が欠ける事無く満たされた世界です』
光石、魔石、ガイドが目の前の世界をそう評す、外神を口を途中で閉ざしどうしたものかと思案する。
「なんだ?毒の世界なのか?なら飛ばして次の世界って事か?」
「……そう簡単には行かなさそうだな」
ナチェが首を傾げギーギスが見下ろし呟く、懐記は外神の背中を眺めどうするのかと…思っていれば神々から困惑を抱いた声とそして…子どもの泣き声が《異界鳥》に響き渡った…。
『うぇぇぇええええんんんん!!!』
「何?子供!?」
「なんだ!?」
「これは神々のいる《神の庭》からだ…招かれた者がいるのか…」
フェシェスタとチャカが驚くがイシュターが天井を見上げ呟く、子どもの甲高く激しい泣き声は止まずに更に激しさを増した。
『よしよし……』
『ほーら高い高い』
『おもちゃなのです…』
「神様ズ、どした?」
『それが…この世界の神に挨拶と事情を話そうと交流を持った所…』
『まさかの赤ん坊の神がいて…』
『ふむ、これが今の状況だ。まさか赤子の神とは…』
『世界の創造が途中か若しくは失敗したようだ』
神々から少し戸惑う声、赤ん坊を泣き止ませようとあやしていた。
『あーんあーんうぇぇぇええええんんん!!』
「あー1回神様ズ戻って、後で落ち着いたら来て」
「そうだな……神々、状況が落ち着いてから再度連絡を」
「その赤ん坊、腹減っているんじゃないのか?」
『神は嗜好として食べはしますが…そうですね、ミルクを与えて見ましょう。少し待っていて下さい』
懐記が赤ん坊を心配しもう少し落ち着いてから話しをしようとイシュターが言い、ジラが空腹じゃないのかと伝えれば神は空腹など感じないと言うが念の為食事を与える為、赤ん坊の世話の為に引き上げた。
「神様の赤ん坊ねぇ」
「……未熟な世界という事ですね…」
生物の気配がない、容だけの世界を懐記と外神が見下ろした…。
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