あなたは異世界に行ったら何をします?~良いことしてポイント稼いで気ままに生きていこう~

深楽朱夜

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第014部 君分かれる事なかれ/君離れる事なかれ

第0107話 旅立ちの刻/第107話 旅立ちの刻

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第0107話 旅立ちの刻
「大河君、そちらは頼むよ」
「千歳さんも」
それぞれ帝国、《ヨーレファ国》へと向かう日が訪れた、詠斗、崇幸、燈火と共に大河は《白鷺》へ、千歳は《空船》でラジカ達を連れて、晴海と率、綴と舵に見送られてそれぞれ旅立つ。
3日間は皆各自自由に過ごし、英気を養い船へと乗り込んだ。
『いってらっしゃーい』
「大河さん達の方には《ガルディア》から、千歳さん達の方にも中継器を経由して行けるようになりますから、すぐに会えますね」
「《ヨーレファ国》に行く前の国に中継器を置くそうですから、千歳さん達もいつでも会えます!」
「うん!数時間後には手前の国に無人販売店を置くって!」
「みんなー気をつけてねー!」
綴達は地上で大きく手を振り飛行船を見送る、大河達はまっすぐ《カラテント帝国》へまずは3日掛けて向かう、千歳達は中継器を置く為に《ヨーレファ国》の手前《カタフ》という街に無人販売店を置くつもりだ。
綴は《コレメキバ学院》へ率は店へと戻り、舵はベルン達のいるテントへ、晴海はグローリー宅へとグローリーのお菓子屋やイザラ達のギルドの手伝いをしに向かった。

『これより、《白鷺》は《カラテント帝国》へ向かいます。3日間、皆様が空の旅を安全に快適に過ごして頂けるように勤めさせて頂きます』
風早の声と共に適当な席に着き始める面々、詠斗達の他フルカリスやグレスナー、そして蒐集家が窓際の席に座って嗤っていた。
「………」
「どうぞ、風早コーヒーを」
『承知しました、皆様お飲み物をお持ちします。飲みたい物を注文して下さい』
「酒、上等な物を」
「ゴホン、私は茶を」
グレスナーは酒を頼みフルカリスはお茶を、詠斗と燈火は隣同士で果実水を頼んだ。
『……何か映画でも流しますか?ホラーは如何でしょうか』
「乗ったばかりでそれは却下だ、適当に洋画でも頼む」
『……承知しました』
大河は本を収納から出して読み始め、ゴーレム達が奥の厨房から飲み物を運んでくれる、崇幸と千眼は部屋で色々制作に勤しんでいるので崇幸達の飲み物は部屋にゴーレム達が運んでくれる。
『夕食は魚か肉のご用意が出来ています、パンとご飯も選べます』
「それは楽しみだな」
「……贅沢な空間ですよ」
グレスナーがニヤと笑いフルカリスが呆れる、空は青く澄み渡り、フルカリスは憂鬱な気分を抱えて空の旅を行く…。

『みんな~こっちはアタシ識が面倒を見るわよ~とりあえず、飲み物いっとく?』
「僕はコーヒーで」
「私はカフェラテを」
「私はアイスをお願いします」
此方は《空船》現在乗っている面子は千歳とラジカ、コーカスが乗り空の旅を楽しむ、今日の夜に《カタフ》上空に着くので《ズィーガー商会》からユナイドや、他の商人達も仕入れに来るとの事なので厨房では夕食の準備をゴーレム達がしてくれていた。
『空の旅も少し退屈でしょ?映画でも観るぅ?ホラーいっちゃう?』
「いいね、識さんセレクトで。仕事があるから何でもいいよ」
「そうですね、仕事がありますから」
「ええ、私も」
会議室で千歳はノートパソコンとスマートフォンを出し、《療養街》や《黒鳶》の人々の仕事状況の確認などをラジカもスマートフォンで確認し、タブレットでケークス達と会議を行い、コーカスも支店から《カタフ》での仕入れて欲しいリストや、《アストマーズ》との取引きの件等の報告が来ているのでそれを返信していく中、おどろおどろしいBGMが流れ古いホラー映画が壁のスクリーンに流れていくが……3名とも仕事に追われていた。
『あらあ、仕事ばかりは身体に毒よ~』
識は苦い笑い声を上げて、ゴーレム達が飲み物を運んで来てくれた…。

第107話 旅立ちの刻
「時計塔感謝する、美しいな」
「こちらもありがとうございます」
「地上界にも感謝する」
「いえ、喜んでもらえて良かったです」
3日間作って飲んで騒いで働いて…《アストマーズ》で賑やかな3日間を過ごした、外神が天上界、天界、地上界の3界に外神は時計塔を贈った。
耀帝や天使と悪魔達は喜び感謝している、完成した《異空鳥(いくうちょう》をカジノタワーとオフィスビルの間の広場に置いて大勢の者達が見送りの為に集まった。
耀帝と燕碑、上位天使達、マイスターや操者達を始め、商業エリアで店を持つ者達や仕事が無く明日の食べる物に困っていたが仕事が出来未来を見出した者達、皆笑顔だった。
「懐記殿、皆で作った物です。船で召し上がって下さい」
「ありがと、また画面越しに料理しよ」
「はい…」
「みんな!《アタラクシア》に野菜出すしまた食べてよ!」
「唐揚げ食べて」
「パンも…うう」
「店休みにしてたっくさん作った菓子、食ってくれ!」
五衰が布に包んだ重箱を懐記に渡す、笑ってはいるが寂しそうだ懐記はそれを受け取りまたスマートフォンで連絡するし料理しようと約束する。
ジュカがナチェに野菜を詰め込んだ収納袋を渡す、ホセサライは揚げ立ての唐揚げを籠に山盛りしてフォンに渡し、チェニエは泣きながらパンを詰めた篭をフェシェスタに託し、ビヒメゴも沢山焼いた菓子をギーギスに渡した。
「またあそばーね!」
「君達から預かったゴーレムやマンドランド、お化け野菜達は丁重に扱おう、ありがとう…」
ラグージェとアンフルパスが礼を言い、ジラとイシュターが頷いた。
「君達の旅は君達が長いと思えば長い、短いと思えば短い。楽しんでくれ」
「お前達ならばどんな旅とて愉しめそうだな」
ファーツコクスとアナスタリタスが懐記達に手向けの言葉を投げる、繋がりも縁も出来たもう2度と会えない訳ではない、シュリやマユラ達は握手を交わしそして《異空鳥》へ乗り込んでいく、奇しくも違と千歳達が出発した時間と同じ時間に《アストマーズ》を発つ。
《異空鳥》が宙に浮び地上で手を振ってくれる皆に手を振り、そして…神々と外神、ファーツコクスとアナスタリタスの魔石と光石を使い異空へと消えていった…。



「次の世界へ移動しましたね…」
「次はどんな世界なのでしょうか」
「それも気になる所だが、千歳から齎されたこの手帳…」
「生きている……あの《魔王録》《魔人録》と同じ物なのです」
「これは異な事ですね…現在我々でも《魔王録》《魔人録》の所在は不明です」
「ふむ…一見なんの変哲もない手帳に擬態した生きた手帳だが…」
「動いてはいないな、本来の持ち主がいなければ動かない性質なのかもしれない」
「引き続き調べる必要がある」
「我々も無知が過ぎます、こうまで遅れを取ってしまうとは…」
「《アタラクシア》の病、第12位の魔王、第10位の魔王の所在、4千年前の魔人、外神の件や召喚魔法…上げたらきりがありません」
「《アタラクシア》の病は治りました、救世主達に《アタラクシア》での生活を楽しんでもらう…めでたしめでたし…の筈だった」
「我々が知らず、第12位と4千年前の魔人達が知っている事が多々あるという事ですね」
「……今はまず外神達の向かう世界、大河達の向かう帝国、そしてこの手帳に記された次の国、またそこで何かが分ると思います」
《神の庭》神々が外神、大河、千歳達が旅立つ様子を見届け、テーブルの中央に置かれた手帳の分析を行いつつ話し合う、少しずつだが前に進めて行く他ない……。

                    
                       第15部 繋がる糸たちへ/繋がらない糸たちへ続く…
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