あなたは異世界に行ったら何をします?~良いことしてポイント稼いで気ままに生きていこう~

深楽朱夜

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第014部 君分かれる事なかれ/君離れる事なかれ

第0104話 ゴミ拾い/第104話 ラグージェの悲願

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第0104話 ゴミ拾い
「みんなー軍手とトングと袋はもったかー?」
『もったー』
「グループで動いてくれ、ゴミ袋がいっぱいになったらここへ持って来てくれ。水分はしっかり摂るように」
『はーい』
祭りの翌日の早朝、崇幸と大河主導の元皇国のゴミ拾いを子ども達と大人達で行って行く、ライガルやニジェルガにライガル達の親族達、フィズを始めとしたフォンの家族達も参加し大人数でグループ分けし、食事を用意する係も設けている。
「落とし物は千眼達がいる所へ持っていくように」
『はーい』
昨日迄の賑やかさは無くいつも通りの静観な国の姿を取り戻した、屋台の主人達が片づけを行なってはいるが大抵祭の後は落とし物やゴミが落ちているのでそれを綺麗にするまでが祭という事だ。
「参考になるなー」
「うちの国でもやるか、分別は必要そうだ」
「収納袋に入れて持って来れば俺が捨てるさ」
ホスィソ達も冒険者パーティとしてゴミ拾いに参加し軽装でいる、視察とかこつけて作業を楽しんでた。
護衛兼同じ冒険者パーティのツゥムストスも《ガーデン王国》でもやろうかとホスィソが言い、崇幸が処分してくれると言うのでやってみようと言う事になった。
「では我が国も倣うとしよう」
《ガンネ国》国王とその娘アネイシャもまた軽装でゴミ拾いに参加している、学びのある祭典でありこうして終わった後の事も知る事が出来ると国王は感心し、自国でも取り入れるとの事なので崇幸達から話しを聞いている。
「冒険者ギルドで老いた冒険者を持て余し気味だ、国の仕事として与えて行きたい思う」
「それは良い!他にもそういった事業があるからやってみないか?」
「興味があるな、話しを聞きたい」
「後でラインをするよ」
「分かった、ではゴミを拾うとしよう」
崇幸の目がぱぁと明るくなる、高齢者の雇用に積極的に動いてくれる《ガンネ国》の王に良い印象を抱き、高齢者や女性子どもが稼げる国が運営する事業の紹介を後でする事にした。

「昨日片づけたけど、やっぱりあるね」
「ゴミ箱少なかったね」
「次はもっと増やそう」
詠斗と晴海率いるグループ、子ども達が熱心にドリィーガン達が作ってくれたトングでゴミを拾っていく、串焼きの棒や葉、食べ物を包んでいた紙などが街に落ちていて少し詠斗はがっかりしてしまう、晴海は何処に置いたらもっとゴミを捨ててくれるのか考える。
「消滅魔法や崇幸さんのスキルでゴミは簡単に無くなるからすごいよね」
「これ落ちてたー」
「ありがと、イヤリングかな。後で届けようね」
「こっちはお財布ー」
「わ、大変……中身空っぽみたい」
詠斗がゴミを拾いながら子どもが持って来た耳飾りの片方を受け取る、他の子どもがとと布袋を持って来て晴海に渡せば中身を振ってみるとどうやら中身は無いようで晴海はほっとする。
「こういうの日本でもあったよね」
「お祭りとかってみんな気が緩むのかな?」
「かもね」
『はぁーい、みんな一旦戻ってお昼にしてね~』
「もう、こんな時間か。みんなー城に戻るよー」
「集まってー」
『はーい』
識からの放送で詠斗がもうそんな時間なんだと子ども達を呼び、晴海と共に城へ向かった。

第104話 ラグージェの悲願
天界強羅城、ラグージェが正装し燕碑に伴われ中へと入る、初めて…いやここでラグージェは産まれた…帰って来たというのかどうかは分からないが、中へ入れば耀帝の臣下や侍従達が等間隔で並びラグージェと燕碑に頭を下げていく、ラグージェは緊張していた、いつも自分を護ってくれるアンフルパスはいない、いてくれたら良かったのにと思いつつ只燕碑に案内され奥へと向かう。
努力が実を結んだ結果、ラグージェの願いは今日叶う。
「来たか」
「はい」
「参ろう」
回廊の奥で耀帝と第三妃と鴻吏が渋い顔で待っていた、5名で奥へと足を踏み入れる。
「今回は母親だけじゃ、良いな」
「う…はい」
「ラグージェいつも通りで良い、お前もまた半分は天人、同じだ」
「うん…」
「もう着く」
耀帝がいつも通りとで良いと伝えればラグージェはほっと息を吐いて普段通りに振舞う、アンフルパスからは言葉に気を付ける様に言われたがラグージェには難しかったので嬉しい。
回廊の奥の細工の施された扉に耀帝が手を翳せば音も無く扉は開く、耀帝が足を踏み入れれば自然と部屋は明るくなる。
床全てに描かれた術式の中央に浮かび、眠る天人、ラグージェの母はそこにいた。
「母さま…」
「眠りから覚める事はない」
「うん…しってる…でもあいたかったのラグーだよ母様…」
言いたい事は沢山あるが、やすらかに眠る姿を只々見つめた。
天人と地上界の人との間に産まれたラグージェ・廻狼、それだけならば天人族もこうはならなかった。
「母様…ラグー…レースでいっぱい頑張って勝ったから耀帝様がラグーを連れて来てくれたの…」
ラグージェは眠る母に言葉を向ける、返っては来ないがラグージェは多くの事を語った。
アンフルパスが面倒をみてくれる事、野菜を収穫した事、最後の《ホローリングレース》でジュカが強かったこと、ごはんが美味しい事、皆が優しい事、それを耀帝達は静かに聞いている。
「耀帝様、母様に会わせてくれてありがとうございます!」
「そうか、良いのか?」
「はい!」
「では送ろう、ラグージェは此方へ」
振り返ってラグージェは耀帝達に頭を下げる、耀帝は微笑み頷いて燕碑が地上界へと送った。
「愛した者に自分の半身を渡さねば、ラグージェの側にいられた事だろう」
「しかたありません、気づいた時は手遅れでしたから」
「……私の兄弟が起こした事…他に道は無かったのかと今も思います」
ラグージェを見送る耀帝、鴻吏、第三妃、三者の胸に抱く思いは複雑だ、再び扉を閉ざし部屋を後にした…。

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