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第014部 君分かれる事なかれ/君離れる事なかれ

第095話 2日目の祭り/第95話 親

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 第095話 2日目の祭り
「よーし、シア達今日は俺と回ろうなー」
「はーい」
「よろしくおねがいします」
「どこ行く?」
朝崇幸と千眼、シア、ヒビカ、エニューと崇幸が連れて来た獣人の子ども達、今シア達はテトラとベルン達のテントの側に拠点を構え、日々色々な国やダンジョンで遊んでいるので中々崇幸と一緒に行動はしないが家族として確かな絆はある。
「今度、帝国へ行くんだ。そっちでも遊ぼうな」
「うん、お父さん。帝国には遺跡のダンジョンがあるんだよー」
「《遺跡ダンジョン》ドロップ品は…」
肉串や肉まん、フルーツ飴を食べながらシアが言えば少し言い淀む千眼、でもシアとヒビカは楽しみにしエニューは不安そうにしている。
「ダンジョンは怖いな…遺跡はいいけれど…」
「まもるよー」
「うんー」
「だいじょうぶよー」
幼い獣人の子ども達がぎゅっとエニューの手を握る、エニューは笑みを浮かべて陽だまりの様な笑みを浮かべた。
「危険な事はしないよ、冒険家たる者、好奇心に全てを委ねてはダメ」
「そうだな、だけれど少しの危険は男としては…」
「ゆき…」
「あーうん、危ないのは良くないな、シア、ヒビカ、エニュー、ダンジョンに行きたいなら俺と行こうな。ほら、古物市!誰が一番素敵な掘り出し物を見つけられるか競争だ」
『はーい』
男の子なら多少はと言い掛ける崇幸の隣で千眼が諫める、《アストマーズ》の古物市の店の前で良い物を探すゲームをしようと皆でわいわいと中に入った。

「ティス、どうですか?この時計」
「綺麗じゃん」
「そうですか…これは貴方に」
「……」
ライガルとティス…とラージュとニジェルガの4名……魔人の子ども達とタイタロス、プロメテウスで貸し切りにした龍皇国の時計専門店、貸し切った時間は1時間だこの祭りの中楽しみにしてる者達も多い、子ども達は既に各自でエクトとセレネと共同で制作した時計を持っているので、タイタロス達と時計を見ているだけだった。
ライガルが店の店主に頼んでいた小箱を受け取りティスに渡す、ティスが受け取り中を開ければ黄金の懐中時計に黒のオオカミとドラゴンの緻密な彫刻が施された物、ティスは暫くそれを眺め内ポケットにしまった。
「ありがとう…」
「はい…」
ティスがぶっきらぼうに言いライガルが微笑む、ラージュもニジェルガも子ども達も静かに…本当に静かに見守った…。

「今夜は夜の舞台は映画をオールナイトで鑑賞会、準備が完了したね」
「はい、《アウトランダーズ商会》と《ゼロ商会》共同で新たに作り上げたテントの試供も兼ねていますから限定100組、簡易的な宿泊施設も兼ねています、既に《アストマーズ》からも注文が入っています」
「うん、価格も300万から400万に抑えられているし、オプションを付けたら別途料金は掛かるけれど祭典に間に合って良かった」
昨夜歌の会場となった舞台の広場では100個のテントが準備され、千歳とラジカが確認をしている、舞台には巨大なスクリーン、今回は店は崇幸のスキルコンビニの無人販売のみを用意し皆が楽しめるようにした。
「翌日に購入希望者には販売、オプションは別途注文を受ける事になっています」
「うん、制作ラインも安定したし今夜が楽しみだね」
「ええ、では我々も少し祭りを回るとしましょう」
「朝も食べてないからね、何を食べようか」
「私はチーズたっぷりのホットドッグと熱いコーヒーが飲みたいですね」
「それは良いね、行こうか
テトラ達が造り出した布に空間固定魔法と空間拡張魔法を込めたカルナラー石で構築したテント、オプションは透過魔法でこちらの様子は見えないが中から外の様子を見える仕様と敵が来たら知らせる機能を付けられる、それ以外にも個別のオーダーに応える為の窓口も商業エリアに設けて、顧客のニーズに合わせて行く事にした。
《アウトランダーズ商会》と《アウトランダーズ商会》に吸収された《ゼロ商会》から、妥協しない共同製品として今夜のお披露目を待つ、千歳もラジカも自信のある品だった。

第95話 親
『フォン、フェシェスタ~久しぶりねぇ』
『久しぶりの再会が異世界からとはね驚きだよ』
『げ』
声を揃えて久しぶり顔を見る両親にフォンとフェシェスタが声を揃えて嫌そうな表情を浮べる、懐記やジラ達は両親に挨拶しつつ朝から酒を飲み、適当に朝食を食べていった、本日は崇幸のスキルを借りているジラがコンビニの食事を適当に並べたビュッフェスタイルだった。
「親父もお袋もかわんねーな」
『ま、いつまでも若くて綺麗な母親って事?もう~』
『言ってない言ってない』
『母さんは何時までも綺麗だよ』
『貴方~』
「なんで朝っぱらから親がイチャついてんの見せられてるんだよ…」
「ほんとーいつ戻るの?」
『戻らないわよ~《空船》と《島船》にお部屋を貰ったの、素敵な部屋よ~』
『そうなんだ、いやー引っ越ししたよー』
『は?』
『こちらにお世話になるし、ファスイとフォカはベルンちゃん達の所よーフィガロもグローリーさん達の家にいるわ』
『げぇ』
父の甘い言葉に頬を染める母…一体何を見せられているのかとうんざり気味なフォンとフェシェスタ、他の兄弟の名に嫌そうな顔を浮べた。
「フィガロ?」
『君達が家を出た後に産まれた子だよ、後で顔を見ておくれ』
「ふうん」
「へぇ」
『じゃ、これからお父さんと祭に行くから~』
『2人とも、みなさんを困らせないようね』
そう言って通信が切れ、2名はうんざりしつつ酒を吞む。
「フォンフェスーおとーさまとおかーさま仲良し?」
「ん、ああ、こっちが見てられないくらいにはな」
「むかしからだよ」
「そうなんだ~ラグーのおとーさま達もなかよしかなぁ」
「さあな、親って色々あるしな」
「そーそ、ラグっちゃんチョコたべよ」
「食べるー」
ラグージェが不思議そうに遣り取りを見て首を傾げる、フォンは吐き捨てフェシェスタはチョコレートを勧めてラグージェはオレンジジュースとチョコに夢中になった…。
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