あなたは異世界に行ったら何をします?~良いことしてポイント稼いで気ままに生きていこう~

深楽朱夜

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第014部 君分かれる事なかれ/君離れる事なかれ

第072話 フォン達の両親/第72話 収穫

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第072話 フォン達の両親
「あらぁ素敵ねぇ!あなた空にいるわー」
「そうだね、空から見る地上も美しい物だね」
「すまない、舵、率、燈火、晴海…父上と母上がそうしてもと言うので」
「いえーようこそー」
「はい!ゆっくりしていってください」
「皇国の式典もあるのでゆっくりすごして下さい、泊る場所は色々ありますよー楽しんでいってください」
「フォンさんのお父さんとお母さんと…」
「俺はファスイ、フィズの上のお兄ちゃんよ」
「僕はフォカ、フォンのすぐ下の弟、よろしく」
「は、はじめまして…ぼくはフィガロ…です。末の子です」
《アタラクシア号》のロビーで舵達が出迎えたのは、申し訳なさそうな表情を浮べるフィズとフィズによく似た面差しの男性とフェシェスタによく似た綺麗な女性と、フォン達に似た青年2名と耳としっぽがふさふさした晴海より少し下の少年の5名だった。
「フォンちゃん達にこんな素敵なご両親がいたなんてー」
「そうですねーフォンさん達は今別の世界に行ってしまって、すみません会わせてあげられなくて…」
「でも、連絡は取れますから」
「フェシェスタさんもフォンさんも元気だよ!」
「あらあら、気にしなくていいのよー息子達なんて碌に連絡もせず好き勝手やっているんですもの」
「そうだね、フェスもフォンも滅多に戻って来ないからね。別の世界でも彼らは好き勝手やっているだろうから私達も心配はしていないよ。今回は皆さんに会いたくてね、フィズに無理を言って連れて来て貰ったんだよ」
コロコロと笑う両親、とても大きな息子達がいるようには見えない見た目は大河達位の年代だ、フィズが贈った布で揃いの服を着ている姿は仲の良い恋人同士といったふうだった。
「お部屋と《アタラクシア号》の案内をしますよ。お酒が飲めるラウンジもありますから」
「フィガロくん、夜うちで手巻き寿司パーティするんだ、おいでよー」
「いいの?父様母様言っても良いですか?」
「構わないよ、行ってくるといい」
「息子を頼みますね」
晴海がフィガロを夕食に招くと両親はにこやかに送り出し、ファスイとフォカはフィズが世話になっているベルン達のテントに行くというので明日の商業エリアと皇国観光まで分かれて過ごす事になった。

「わぁ、フィスさんおかえりなさい」
「ただいま、土産は果物と肉だ」
「フォンさんとフェシェスタさんに似てるー兄弟?」
「そう、ファスイよ」
「僕はフォカだよ、よろしくね」
舵とフィズがベルン達のテントに戻るとちょうど夕食の支度をしていたベルン、カタン、ラピス、トイに出迎えられ挨拶を交わす、フィズが収納袋をトイに渡して、今夜は《アストマーズ》から送られた肉で煮込みハンバーグを作ると、ユインとニアが裏手で玉ねぎを切って切って切っていた、ゴーレムやヒヨコ、おりがみの子達もせっせと手伝っているのをファスイとフォカが感心し一通り挨拶を交わして、周辺のテントのドラゴン達も訪れ賑やかな食事の準備が行われた。

「ふぃ、フィガロです」
「よろしく」
「お、よろしくな」
「へえ」
「明日、みんなで公園いこうね」
グローリー宅でおどおどしながら挨拶を交わす、イザラとイデアとチカが面白そうな表情を浮べている、カーテスが子ども達にミルクとおやつのクッキーを用意しどうぞと皆で食べていく。
「今日はねフユーゲルさんったちから魚を沢山貰ったからね、おいしい手巻き寿司が出来るよ」
「このあと酢飯やるから手伝ってくれ」
『はーい』
「おいし!これおいしい!」
「モギのミルクだよ、クッキーもたくさんあるから食べてね」
「カーテス、俺ミルク」
「はい」
ウォルゾガがが台所から声を掛け皆良い返事を返す、ミルクとクッキーを食べたフィクンが目を丸くしている、その隣でクッキーを食べるチカがカーテスにミルクの追加を頼み注いで貰った。
「グリちゃん達ももうじき皇国から帰ってくるから、おやつ食べたら先にお風呂入ろうね」
「銭湯いこ
「うん」
イザラが大人数だから銭湯に行こうと誘い、皆頷いてフィクンは首を傾げつつクッキーを沢山食べていた。

第72話 収穫
「うー固いよぉ」
「……」
「ありがとぉ」
「ちゃんと腰落として身体全体で収穫するんだ。野菜が傷む」
「う~」
ラグージェと記憶喪失の青年とジュカが畑で野菜の収穫を行う、マンドランドやお化け野菜達も手伝い収穫が進むがラグージェが慣れない作業に青年が手伝う、ジュカは呆れラグージェは上手に出来ないと嘆き青年がクスクスと笑っている。
「ほら、美味いから食べて」
「このまま?」
「ん、それが一番うまい」
ジュカが獲れたてのトマトを布で拭いてラグージェと青年に渡す、ラグージェはこのまま食べるのかと首を傾げ青年がトマトを齧る姿を見ておそるおそる齧れば温かさと土の香りとトマトの少し硬めな皮と皮から溢れる果肉が口に広がり美味しかった。
「おいしい…」
「そ、おいしいんだよ」
「……」
ジュカがニコと笑う、青年も何度も頷いて食べていく、追加も貰い野菜で3名が腹を満たした…。

「今日は野菜のグラタンね、グラタンはなんでも合う」
「ぐらたんですか?」
「そ、色々ためしてみて、チーズとホワイトソース、トマトソースでも良いし、デザートにも良いから」
再びカジノタワーの厨房に呼ばれた懐記が、今夜はグラタンにしようかと天使や料理人達に教えていく、野菜と《アタラクシア》のチーズをふんだんに使った物、ソース作りを始めていく。
「材料は少ないですね」
「そ、コツは弱火でじっくり焦がさないこと」
鍋にバターと小麦粉を入れてじっくり弱火で混ぜていく、周囲は何度も頷き熱心に懐記の手元を見ている。
それと同時に料理人と天使達も同じように進めていく、弱火でじっくり練っていく。
「この状態になったら少し冷まして、ミルクを入れていくわけ、で、塩とか調味料はお好み」
「良い香りですね」
「ええ」
周囲にミルクとバターの香りが広がり、皆笑みが浮かびじっくりゆっくりとした時間が流れた…。

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