あなたは異世界に行ったら何をします?~良いことしてポイント稼いで気ままに生きていこう~

深楽朱夜

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第014部 君分かれる事なかれ/君離れる事なかれ

第056話 オークション無双/第056話 天使の店

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 第056話 オークション無双
「では続いてはこちらカウン酒!300年物!既に鑑定済みです、これはなんとカウンの果実から作られています!このグラスは出品者様の意向で付属品です!なんとこの繊細な型で落としても割れない優れものです!では50万からいきましょう!」
『おおー!』
舞台の上で陽気な男が声を出す、手元には魔法具の拡声貝がありそれで会場全体に余す事無く声が響く、品の良い身成の良い客達の声もまた同様に響く、そして出品されたのは大河が出したカウン酒の瓶、いつもは200万程で取引される300年物だが、今夜は600万で落札されている、オマケにはペアグラスも付けたので付加価値が付いた。
大河が出した物全て高額な落札金額で落とされている、特に時間停止収納袋と収納ショルダーバッグは1000万を超え、今現在場は大いに盛り上がっていた。
「では続きまして様々な大陸の魔法と文化を纏めた本、著者は高名なエルフ《隠居》という名で活躍している著者の大作、100冊全巻揃っています。これは揃いで出る事は非常に稀ですね、こちらは1000万から行きましょう」
「これは珍しい物が出ましたね」
「ええ、愛好家の方が金策に困り出した物ですね」
「5000万」
「はい!5000万出ました!他にいませんか?」
「5500万」
「6000万」
「6000万でました!」
「大河さん、これは買いですね、私も読みたい」
「ブックカフェに置く」
舞台に出されたのは山積みにされた100冊の重厚な本、大河が何も言わない訳はないとコーカスは面白がっていて、グステナやカトゥーシュカは執事と騎士よろしく立って扉の前にいる。
「では続きまして…」
欲しい物や気になる物、懐記達が《アストマーズ》で使えそうな物全て競り落としていけば、気が付けばとっくに使用金額は億を超えていた、
「さあ、ここからは生物の競りの時間でございます。皆様、ここから先は自己責任(・・・・)です、ではいきましょう」
ニヤリと舞台の男が笑い、客達から笑みが消える雰囲気が変わり皆一様にごくりと唾を呑む、静寂とその音が始まりの合図。
「さあ、今夜は眠れぬ夜をお過ごし下さい」
朗々した声で大河の隣のケストナーの口元が笑みを浮かべる、タナトス、コーカス、メンルェトは強者の風格で舞台を見下ろした…。

第056話 天使の店
「我々もこのオフィスビルで店を出します、天上界にいてもすべき事は然程ありませんし、天上界の品や我々が造った物をだしましょう」
「そ、なら1フロア渡すわ。識っち」
『おっけよーじゃネコちゃん達が11階までくるから1階開けて13階のフロアを貴方達の店にするからどんなのが良いか教えてー』
「分かりました」
「おねがいします」
カジノが終わり、今夜は天人族と天使の貸し切り、今後は招待制で客を入れていく、バイトも研修をしつつ慣れていって貰う……一体いつまでこの世界にいるのか誰も聞かない、帰れない事も視野にいれて残った面子だからだろうが外神は勿論《アタラクシア》に戻る方法を模索しているが、懐記は今は今だと割り切って考えているからこそ、《アストマーズ》での生活を整えていく。
「懐記様、耀帝様が天界にもカジノが欲しいと…従者をこちらに呼んでも構いませんか?」
「ん、いいよ」
「ありがとうございます」
カジノが引いた後のスタッフルームで今日の売り上げや景品などの話し合いをしていれば、五衰と他の料理人が言い辛そうに懐記に伝え、懐記はあっさりと了承する。
「ありがとうございます、さっそく明日料理の手伝いや此方へ同輩をお連れします」
『部屋の準備と遊戯の複製は此方で行います』
「おけ、なんかそっちが好きそうな物とかあれば景品に加えるけど?」
「そうですね…小物、髪飾りや宝飾品は好まれますね」
「甘味も喜ばれます」
「おけ、率っち達に聞いとくわ」
受け入れて貰えた五衰と鵜隗がほっとし料理人の1人を遣いに出す、懐記はその他に天人が何を好むのかも聞きガイドが頷いた。
「よし、明日は商業エリアの手伝いをするから戻ろう」
「ん、みんなお疲れ」
『お疲れ様でした』
カジノの灯りが全て消え、皆転移でそれぞれの場所に戻った。

「逃げたか」
「はい」
「捨ておけ」
《強羅城》の耀帝との謁見の間、報告を行う鴻吏を咎める事も無くそう捨て吐き、鴻吏の傍らの第三妃は微かに睫毛を震わせ、それを燕碑が微かに目に留めた。
「しかし…いえ…承知しました」
「鴻吏しばし休むが良い、この件は何時かは起こる事じゃったのかもしれぬ」
「はい」
「あやつの目的は明白、ラグージェの元へ行くつもりじゃ、必ずな」
「はい」
「そこまで会いたいのならば会わせてやるが良い、何の為に我らがあれとラグージェを離したのか分る、そうすれば二度と逃げよう等と思うまい」
「………」
「鴻吏、これはお前の罪でもある」
「承知しております…全て私の不手際…」
「分かっているのならば良い、お前の失態が始まりじゃ」
「はい……」
「伯父上貴方の罪と贖罪、いつかは報われる時もくる」
「耀碑…すまない」
耀帝としての処遇を言い渡した後、最後に耀帝は穏やかな声で深く頭を垂れる鴻吏に天帝としての立場ではない物言いでそして鴻吏もまた自分の本来の立場で返す、燕碑はその2名から眼を逸らした、見たくもない物から眼を逸らすように…。

「また眠ったのか?」
「はい」
「そう、平気そう?」
「記憶が無く喋る事が出来ないようですね」
「行くとこないなら、ずっとここにいれば良いし!1人位養えるからさ、ね、旦那」
「ああ、構わない」
ファーツコクスの家、ギーギスが倒れていた青年の状況を確認しノイズも心配しながらお茶の準備をしている、ジュカが干した果物を置き笑顔でここで面倒を見てもいいと言えば、ファーツコクスも干した果物を齧りながら快諾する。
「ただいま、そっちはどう?」
「食事をして今は眠っています」
「大した事ないならいいけどな」
懐記達が戻り記憶を失い倒れていた青年の状況を伝え食事を行いまた眠っていると伝え、なら良かったと風呂へ向かう。
「明日のご飯沢山炊いたぞ」
「浅漬けも用意した」
チェカとナチェが台所で明日の朝食の下拵えが終わったと、お茶に加わり後は自由に過ごす。
フォン達は今日が休みな事を良い事に、酒盛りを行い今は熟睡している、チーズや燻製肉等は粗方食いつくされてしまっているので、生ハムと残ったチーズも並べての夜食を各自摘まんでいる。
そうして今夜も過ぎていく、倒れていた青年の事も気になると思いながら皆自由に過ごした…。
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