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第014部 君分かれる事なかれ/君離れる事なかれ

第049話 それぞれの休日1/第49話 風呂

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第049話 それぞれの休日
詠斗の休日
「ナイルさん!」
「詠斗さん!おかえりなさい!すみません…お迎えに行けなくて…夜に皆さんに会いにいきますね」
「ただいま!しばらくはここにいるから平気だよ」
「…また行ってしまうんですね…」
「うん、でも今度は《ガルディア》に飛行船を繋げてくれるって蒐集家さんが行っていたから、いつでも会えるよ」
「それは嬉しいです、沢山おやつ作りますね。本日はみんなでフルーツ飴作りです。専門店を作りたいという方達と試作をします」
「ん…くれ」
「今から作るんですよ、チグリス」
「なら、手伝いをしないとね、いこ、チグリス」
《龍皇国》の料理教室で理事に就任したナイルが詠斗とチグリスを出迎えてくれる、綺麗に手入れされた厨房は調理学校の様に各台にコンロとオーブンとシンクと調理スペースが配置され、本日の課題の準備が行われていた。
この建物の中に料理ギルドが造られカイネとバルタルもまた忙しなく働いているようで、後で顔を出しに行こうかと思いつつ詠斗に食べ物をねだるチグリスにおにぎりを渡して詠斗達も手伝いを行なった。

大河の休日
柔らかな音楽が心地よく読書を邪魔しない程度に流れるブックカフェのカウンターの端で大河は静かに本を読むページを捲る、周囲の客達も静かに茶と読書を楽しんでいた。
『お茶の追加と干した果物と木の実の追加をどうぞ』
「ああ、ありがとう」
「大河達が教えてくれたこのカップ、良いな零れる心配が無いし」
カウンター越しに大河に蓋つきの冷めにくく保温も出来る蓋つきのタンブラーに紅茶を入れた物と、手が汚れにくい干し果物と木の実を皿に盛って置いてくれ、その隣で黒いエプロンを付けたテーデが他の客の飲み物を準備しつつタンブラーを眺めた。
「ああ、便利な物だな。倒したりしても中身は少し零れる程度だからな、保存魔法が掛けられていても焦る」
「分かる、このタンブラーも良く売れているよ。ドリィーガンのおっちゃんとかが張り切ってる」
「良い事だ」
テーデも客が落ち着き読書の続きを行う、最近はグッズも置くようになり栞や借りた本を入れる丈夫なトートバッグとタンブラーが人気商品で《ズィーガー商会》から卸されている。
大河はこの世界の作家が書いた『英雄王』という本(ジラの話し)を読み、テーデは大河の所有している日本のファンタジー小説を読んでいる。
『アコミアさんのお店も隣に出来るようで楽しみですね』
「そうだな、これでもっと本が身近になる」
『はい』
ブックカフェの隣で今日からアコミアがキッフやゴーレム達に手伝って貰い製本屋を造る、後で様子を見にいくつもりだがアコミアから本を幾つか借りたのでそれを読むのも楽しみだと、大河は読書に没頭した…。

率の休日
「気持ちいいねー」
「うん!お肌すべすべ」
「眠くなりそう……」
「みなさん、冷たい飲み物はどうです?」
「ゴーレムさん達がくれたんです!」
「もらう、ありがとう…エピシュ」
「ありがと、キートお兄ちゃん」
《ホウラク》の大浴場の1つをロックスから借りた率達、広い湯船に浸かって皆気持ちよさそうに過ごす、エピシュとキートがゴーレム達から良く冷えた果実水を貰い手渡ししていく、チャスとカヌイはウトウト気持ちよさそうにし、チナスは足湯に浸かり飲み物を受け取る。
「この後はどうするの?率ちゃん」
「ふふ…ゴーレムちゃん達の焼き肉屋予約してます!食べたらまたお風呂入って部屋も取ってるよ!」
『やったー!』
率が笑い声と共に胸を張ればエツィア達から歓声が上がる、完全予約制となり常に満員御礼の焼き肉屋に色めきだった。
「わ!僕楽しみです!」
「本当においしいよ!」
サニートがはしゃげばキートも味を思い出してうっとりしている、泊る部屋もロックスが特別に造ったばかりのスイートルームを使ってねと言われていて、夜食の準備もばっちり出来ているので率は内心皆を驚かせようと目論んでいた…

第49話 風呂
「薬草風呂と花の風呂と果物の風呂と後は日替わり風呂ですね…」
「で、外にも囲い作って風呂を置いて、天使のみんなの固定の個室を用意してそこで身体を洗うわけね。おけ」
『個室は私が造ります』
『私は身の回りの物を用意するわよ~タオルとかシャンプーと美容液も置いておこうかしら~』
『私は植物を鑑賞できる温室風呂を造りましょう』
オフィスビルの上階の2フロア分を使っての風呂造り、外神と懐記と風早、識、ガイドで造る事にし神鋼を各自持ちそれぞれ役割分担し作業に入る。
「薬草や花や果物外に植えてそこから使えるようにして…日替わりは酒や塩や入浴剤を使った物にします」
「いんじゃない、冷蔵庫とサウナと水風呂も用意しとこ」
「はい、魔石を使います。浄化魔法と水と火魔法で湯の音頭を調節出来るように…アゲイルさん達の銭湯をモデルにします」
「んー」
懐記は神鋼と木の板で小部屋…サウナを造り魔石を埋め込み火魔法が循環するようにする、中は段差を作り寝ころべるようにして砂時計を置いておく、サウナの隣に水風呂…升の形に木と神鋼を配置し水魔法の魔石を嵌め込みひんやりとした水を張る、冷蔵庫は懐記の家の冷蔵庫を置く、この世界でも問題なく電気も必要なく稼働しているので、そこにミルクや果実水と冷えたお茶を用意しておく。
外神は利用できる花や果実の木等を植えて自然を演出し、風呂の形を作り水魔法の魔石と浄化魔法の魔石と湯の交換がしやすいようにと消失魔法の魔石を埋め込む、形はこんな物だろうと風早達も用意が終わり天使達に見て貰うついでに、天界へも同じ物を複製し贈る事にする。
「こんなもんしょ、後は使ってもらお。俺は昼食の手伝いに行くわ」
「はい、僕も手伝います」
「ん、風早っち。風呂耀ちゃんとこに渡せる?」
『はい、使者の方は空間魔法と収納を持っている方なので…」
「おけー頼むわ」
『はい』
仕上がった風呂を天使達に使って貰うのと天界へ運ぶのを風早達に頼み、厨房へ外神と懐記は戻った…。


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