上 下
667 / 807
第014部 君分かれる事なかれ/君離れる事なかれ

第047話 帰還/第47話 部屋を買う(物で)

しおりを挟む
第047話 帰還
識達の放送で作業を切り上げ《ガルディア》の広場に集まった面々、バーベキューの準備を行い今か今かと《黒鳶》と《アタラクシア号》を待っていた。
「もうじきですね!」
「毎日電話してるけどやっぱり会えると嬉しいよね!」
「はい!沢山お肉と野菜準備しましたよ!もう少ししたら焼きましょ!」
「あ、見えて来たね」
「そうだな」
チグリス達も張り切って準備をしている、魚や肉が次々運ばれ皆今か今かと待っていた。
「みんな!」
「久しぶりー」
「会いたかったです」
「大層なお出迎えだな!そっちも元気そうで良かった」
《黒鳶》と《アタラクシア号》が上空で留まり転移で晴海達と、《ノザバ》の元民達も降り立つ。
晴海が空を抱えて皆の元へ、率達も駆け寄り晴海を抱き止めた。
「おかえり!晴海くん!」
「ただいま!」
「うぇん」
「空ちゃんもね、可愛い。抱っこぢてもいい?」
「うん!空、率さんだよ」
「かわいいね」
晴海が率にそっと空を渡す率と舵と燈火が空の顔を見て笑う、チグリスやバルタルやカイネ達も空に挨拶をしてくれ、入れ代わり立ち代わり皆が崇幸達の元を訪れた。
《ノゼバ国》の元民達はバーベキューの後、事前に聞いた希望で様々な場所へと移り住む、《黒鳶》に残りたいという民達も多くこの上空に《黒鳶》を配置させる事は決定している。
「さ!バーベキュー始めちゃお!懐記ちゃん達からも肉届いたし、ナイルちゃん達も皇国で沢山デザートを造ってくれてるって!」
舵の声で肉や野菜が焼かれていく、《ホウラク》や《トイタナ》やラージュ達からも食材が届き賑やかな宴が始まった。

「おかえりなさい、千眼」
「ああ…」
「旅はどうでした?」
「色々あった…良かった…また行く…13位は異界に行ってしまった」
「そうですね、顔を見たかったですが…タナトスがどうやら不在の間13位と14位を兼任するようです。それで次は私も行きますよ。帝国へ、手数は多い方が良い」
「そうか…分かった」
崇幸の胸元から離れ人型に戻った千眼を千華が呼び止める、賑やかな周囲を2名で眺めながらもちゃの事、この後の話しをする、千眼から特に表情は読めないが静かに頷いた。

「おかえり!みんな!エスティアちゃんもね、みんなも」
「おかえり!よろしくな」
「ただいま」
「帰ったぞ!」
「ただいま…」
「ん、カーテスパパとウォルパパ」
カーテス達が揃って出迎えてくれる、電話や画面越しに会話をしていたカーテスとウォルゾガとエスティアとナチェから託された子供達に挨拶を行い……背後で不機嫌そうなメシュレラがグローリーを眺めていた。
「お兄ちゃん…ただいま」
「薄情な弟がやっと帰って来たな、ろくに私の電話もラインも返さず、心配した」
「ごめんないさい」
「うえぇぇん」
「えうー」
「全く兄たちはいつも弟の味方だ、まあいい。元気ならそれで」
「うん…」
「アテシもいるのよ~最上位」
「分かっている」
グローリーはメシュレラに挨拶するがメシュレラは不機嫌そうに小言を言えば、ベビーカーのイビヤ達が泣いて弟を苛めるなと抗議をするので溜息1つ吐いて無事に戻った事を喜び、4千年前の魔人の子供が妖精と精霊の子連れとことこ前に出てメシュレラを見上げた。
「私は特に尋ねる事も知りたい事もない、石像はタナトスが見つけ次第回収していくそうだ」
「アテシは自分以外の4千年前の魔人に会った事もないのよ~見ても4千年前の魔人か分からないのよー」
「私もそうだった、特に今の所どうにかする気はないが…此方と敵対するのであれば容赦はしないな」
「そうね~」
「2人…名前考えた、受け取って…あなたはラダカ、あなたはプセル」
「素敵!アテシは今からラダカよ~こっちがプセルなのよ~」
グローリーが魔人の子どもにはラダカと妖精と精霊の間の子どもにはプセルと名前を贈り、ラダカが喜びはしゃぎプセルは首を傾げていた。
「じゃ、ラダカ、プセル、飯くおーぜ。腹減ったし食ったら公園行こうぜ」
「うん、行こ…ラダカ、プセル、エスティアも行こ」
「行く」
イザラとイデアがそれぞれラダカとプセルを抱えエスティアを連れバーベキューへ参加する、グローリーにはいくつか伝えたい事もあるが今は宴を楽しもうと声を掛けて崇幸達の元へ向かった…。

第47話 部屋を買う(物で)
『此方はネコの皆様が住民ですね、それ以外は特に今は稼働していません』
「この建物……天上界と同等の清涼さがありますね」
「なるほど…異界の神々の恩寵か」
「素晴らしい」
『お好きな階層をどうぞ、お1人1フロアをプレゼントすると懐記様かカードキーを預かっています』
「なら、対と同じ階層でいいかな」
「室内は全部同じ作りだから説明するぞ」
「はい、カードキー」
オフィスビルに入ればネコ達がのんびりと過ごしている、自由に出入りして天使達にも興味無さそうにしていた。
澄んだ空気に天使達が驚きノイズがカードキーを配り、悪魔達が自分の階層を教えてギーギスが部屋の使い方を説明する事にしノイズがカードキーを渡した。

「これを我々1階層ずつですか…」
「この椅子いい…気に入った」
「お風呂いいじゃない」
「礼をしたい」
『特に懐記様は求めてませんよ』
「そうだな、造ったのはまた別のやつだし」
一通り説明が終わり、エンジェーメントがソファに座りだらだらとしている、他の天使達は何か礼をしたいと言うがガイドもギーギスも何かを求めたりはしない。
「こちらで彼らの仲間が1人の呪いの解呪を行なっている、手を貸して欲しい」
「では、私が。彼はどうする?複雑な呪いを受けているようだが」
「あー今の所影響はないからな、いーよ」
「私が一応調べましょう、どんな類の呪いかは分かりますから、部屋と食事の礼に」
ファーツコクスがウズラの呪いの解除の手伝いを頼めばヂュークシウスが手伝うと声を上げ、ギーギスの呪いもどうするのかと訊ねればギーギス然程きにしていないと首を振り、ならばどういう類の物か調べるとパーサヴィアが名乗りを上げるので頼む事にした。
「では私はそうですね、鳥等は如何です?天位魔法と宝石で出来た鳥を贈りましょう、綺麗ですよ」
イアペトゥスが礼に綺麗な魔法生物の鳥を出してくれるというので、カルの手土産に良いと頼む事にした。
「では私は岩人形を贈ろう、彼と並べても比肩は取らない」
『それは楽しみですね』
フィンヴァラが岩人形展ゴーレムを造ってくれると言うので貰う事にする、他の天使は何か考えておくと各自与えられた部屋に向かう事にし、明日また朝食の時間にと各自貰った部屋に入り休息を取る事にした…。



















しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

元万能技術者の冒険者にして釣り人な日々

於田縫紀
ファンタジー
俺は神殿技術者だったが過労死して転生。そして冒険者となった日の夜に記憶や技能・魔法を取り戻した。しかしかつて持っていた能力や魔法の他に、釣りに必要だと神が判断した様々な技能や魔法がおまけされていた。 今世はこれらを利用してのんびり釣り、最小限に仕事をしようと思ったのだが…… (タイトルは異なりますが、カクヨム投稿中の『何でも作れる元神殿技術者の冒険者にして釣り人な日々』と同じお話です。更新が追いつくまでは毎日更新、追いついた後は隔日更新となります)

勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!

よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です! 僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。 つねやま  じゅんぺいと読む。 何処にでもいる普通のサラリーマン。 仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・ 突然気分が悪くなり、倒れそうになる。 周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。 何が起こったか分からないまま、気を失う。 気が付けば電車ではなく、どこかの建物。 周りにも人が倒れている。 僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。 気が付けば誰かがしゃべってる。 どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。 そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。 想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。 どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。 一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・ ですが、ここで問題が。 スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・ より良いスキルは早い者勝ち。 我も我もと群がる人々。 そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。 僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。 気が付けば2人だけになっていて・・・・ スキルも2つしか残っていない。 一つは鑑定。 もう一つは家事全般。 両方とも微妙だ・・・・ 彼女の名は才村 友郁 さいむら ゆか。 23歳。 今年社会人になりたて。 取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。

今日も聖女は拳をふるう

こう7
ファンタジー
この世界オーロラルでは、12歳になると各国の各町にある教会で洗礼式が行われる。 その際、神様から聖女の称号を承ると、どんな傷も病気もあっという間に直す回復魔法を習得出来る。 そんな称号を手に入れたのは、小さな小さな村に住んでいる1人の女の子だった。 女の子はふと思う、「どんだけ怪我しても治るなら、いくらでも強い敵に突貫出来る!」。 これは、男勝りの脳筋少女アリスの物語。

異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。

sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。 目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。 「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」 これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。 なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。

やさしい異世界転移

みなと
ファンタジー
妹の誕生日ケーキを買いに行く最中 謎の声に導かれて異世界へと転移してしまった主人公 神洞 優斗。 彼が転移した世界は魔法が発達しているファンタジーの世界だった! 元の世界に帰るまでの間優斗は学園に通い平穏に過ごす事にしたのだが……? この時の優斗は気付いていなかったのだ。 己の……いや"ユウト"としての逃れられない定めがすぐ近くまで来ている事に。 この物語は 優斗がこの世界で仲間と出会い、共に様々な困難に立ち向かい希望 絶望 別れ 後悔しながらも進み続けて、英雄になって誰かに希望を託すストーリーである。

リリゼットの学園生活 〜 聖魔法?我が家では誰でも使えますよ?

あくの
ファンタジー
 15になって領地の修道院から王立ディアーヌ学園、通称『学園』に通うことになったリリゼット。 加護細工の家系のドルバック伯爵家の娘として他家の令嬢達と交流開始するも世間知らずのリリゼットは令嬢との会話についていけない。 また姉と婚約者の破天荒な行動からリリゼットも同じなのかと学園の男子生徒が近寄ってくる。 長女気質のダンテス公爵家の長女リーゼはそんなリリゼットの危うさを危惧しており…。 リリゼットは楽しい学園生活を全うできるのか?!

レベルアップに魅せられすぎた男の異世界探求記(旧題カンスト厨の異世界探検記)

荻野
ファンタジー
ハーデス 「ワシとこの遺跡ダンジョンをそなたの魔法で成仏させてくれぬかのぅ?」 俺 「確かに俺の神聖魔法はレベルが高い。神様であるアンタとこのダンジョンを成仏させるというのも出来るかもしれないな」 ハーデス 「では……」 俺 「だが断る!」 ハーデス 「むっ、今何と?」 俺 「断ると言ったんだ」 ハーデス 「なぜだ?」 俺 「……俺のレベルだ」 ハーデス 「……は?」 俺 「あともう数千回くらいアンタを倒せば俺のレベルをカンストさせられそうなんだ。だからそれまでは聞き入れることが出来ない」 ハーデス 「レベルをカンスト? お、お主……正気か? 神であるワシですらレベルは9000なんじゃぞ? それをカンスト? 神をも上回る力をそなたは既に得ておるのじゃぞ?」 俺 「そんなことは知ったことじゃない。俺の目標はレベルをカンストさせること。それだけだ」 ハーデス 「……正気……なのか?」 俺 「もちろん」 異世界に放り込まれた俺は、昔ハマったゲームのように異世界をコンプリートすることにした。 たとえ周りの者たちがなんと言おうとも、俺は異世界を極め尽くしてみせる!

異世界に召喚されたけど、聖女じゃないから用はない? それじゃあ、好き勝手させてもらいます!

明衣令央
ファンタジー
 糸井織絵は、ある日、オブルリヒト王国が行った聖女召喚の儀に巻き込まれ、異世界ルリアルークへと飛ばされてしまう。  一緒に召喚された、若く美しい女が聖女――織絵は召喚の儀に巻き込まれた年増の豚女として不遇な扱いを受けたが、元スマホケースのハリネズミのぬいぐるみであるサーチートと共に、オブルリヒト王女ユリアナに保護され、聖女の力を開花させる。  だが、オブルリヒト王国の王子ジュニアスは、追い出した織絵にも聖女の可能性があるとして、織絵を連れ戻しに来た。  そして、異世界転移状態から正式に異世界転生した織絵は、若く美しい姿へと生まれ変わる。  この物語は、聖女召喚の儀に巻き込まれ、異世界転移後、新たに転生した一人の元おばさんの聖女が、相棒の元スマホケースのハリネズミと楽しく無双していく、恋と冒険の物語。 2022.9.7 話が少し進みましたので、内容紹介を変更しました。その都度変更していきます。

処理中です...