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第014部 君分かれる事なかれ/君離れる事なかれ

第013話 髪を切る/第13話 ダンジョン料理仕事

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第013話 髪を切る
「本当に僕で良かったんですか?ヴリトゥユさん」
「ああ、構わない…爪も美しい」
率達の店の3階で極秘に訪れた《ナイジアナ皇国》の皇帝ヴリトゥユが率を指名し、ネイルと髪を切る依頼をしたのは昨日、ヴリトゥユはヴリトゥユ個人としても皇帝としてもけじめを付けるためにも動いていた所煮詰まっていたのがたまたま様子を見に来た舵と燈火に見透かされ、気分を変えてみたらどうかと提案され今此処にいた。
「軽く梳いて整える位で…綺麗な髪ですね」
「皇帝はそういう役割もある…見目が良く眼を惹き座に相応しく在れ…と」
「そうなんですね、服も変えてみます?」
「第4魔王の装いは良いと思う」
「スーツですね、テトラさんに頼んでみましょう。良く似合うと思います」
率がヴリトゥユの髪に鋏を入れていく、最近は爪の他に髪も切るようになった。
自分達で髪をカットする練習を行ない上手いのはチナスやカヌイとキート達、身内で伸びた髪を切って欲しいという声が上がって練習した物だがまさか皇帝の髪を切るとは…と思いながら鋏を率は動かす、ドリィーガン達が打った鋏は切れ味が良いが指先に良く馴染む、静かな音が響きカットが終わり面白半分雑誌の見様見真似で作ったシャンプー台で髪を洗い風魔法で乾かし髪を整えれば正面の鏡の前でヴリトゥユが満足そうに頷いた。
「これは礼だ…」
「…はい、頂きます」
「率ちゃん、ヴリトゥユさん終わった?素敵!」
ヴリトゥユが率に宝石を渡す、断ろうかと思ったがそれは野暮かなと受け取ればエツィアが声を掛けに顔を覗きヴリトゥユの様子に顔を綻ばせた。
「今日は唐揚げ!ヴリトゥユさんも食べてって揚げたてだから」
「いや…私は…」
「食べて行って下さい、早めに終わったらから大丈夫ですよね?」
「……ああ」
「じゃ、お風呂入って行って!良い入浴剤と僕達で作った石鹸とシャンプーとリンス使ってみて!」
断ろうとしたが率に予定を知られていたので逃げ道を塞がれた上に風呂にまで誘われ…こういった場面での断り方を学んでいないヴリトゥユは勢いに流される、いつも食事も湯あみも侍従が従う程度だ…この後ヴリトゥユは夕食の唐揚げ戦争に巻き込まれるとは知らずに下へ降りた。

第13話 外神とイシュター
「んぁえ、寝てたらホセラサイに抱えられて来たんだけど…ここダンジョンの奥の奥じゃん」
「やあ、ゴッオデマ。今日も眠そうだ」
外神達はファーツコクスを残しラスボスに挑む事数回目、ホセラサイが小さな子供を抱えてやってくればファーツコクスがお茶を用意してくれる。
「マイスター…これおいしい…食べて食べて」
「これなあに?むご」
ホセラサイが小さいマイスターゴッオデマを膝に乗せ残してあった唐揚げを口に頬り込めば、びっくりしながら噛んで吞み込んだ。
「なに!これうま!!」
「からあげという物らしい、これも食べるといい」
「ええーなにすごいねーなにこの長いの肉?この黄色いのは…たまご?」
食べながら感心して笑う、ホセラサイも食べていれば外神達が戻ってくる。
「白金のドラゴンが出たな」
「強かったな」
「もう帰ろう、もう今日は良いだろう?風呂入って俺は酒を飲む」
「はい、また来ます」
「おかえり、明日は《ホローリングレース》の後にナイトマーケットが開かれるからそっちをおススメ」
「君達が異界人か…何度もラスボスに挑むとはすごいー私はゴッオデマ…ホセラサイのマイスターだ」
扉から出て来たジラ達、シュリもマユラも楽しそうだがジラは呆れている、外神もイシュターもまた来ると言いゴッオデマと挨拶を交わす。
「マスター行こ、唐揚げ…作り方教えて貰う…」
「それは興味ある」
「では戻りましょう」
外神が後片付けを行い、転移で全員ファーツコクスの家に戻った。

「へえ、油で色々出来るんだなー菓子もパンも飯も」
「そうね、この油良い油だわ」
「このドーナツ美味しいわぁ」
「パンて揚げると美味いんだ…」
「これはすごい発見だぞー」
ファーツコクス達の家で採取した油で早速料理をしていく懐記、カレーも作り生地はチェニエに任せカレーパンの準備をしつつ、ドーナツを大量に揚げていく。
グシアスも自分のマイスターのアメドトリムを連れて新しく綺麗になった家に驚きつつ、料理教室に参加する。
ミノシータヤとヨキョユホートや商売人達も戻りテーブルで何やら話し合いをしながら、ドーナツが消えていく。
ビヒメゴとチェニエとグシアスの手際が良く、教えた事もすぐに出来るので作業は楽だ、アメドドリムも懐記の手元を眺め感心しながらも手を動かしている。
「今夜は、外神っち達の肉で何しよ」
「唐揚げ」
「戻りました」
懐記がドーナツを揚げなが夕食の事を考えていれな見知らぬ声と外神の声、ダンジョンから戻って来た外神とマユラとシュリで解体をしると外へ向かう。
「からあげ教えて」
「あれ作ったの君?すごいね」
「唐揚げがいい?おけ」
「その前に風呂行こうぜ、風呂!お前らも行こうぜ」
ジラが周辺の面子を誘い風呂へ行こうと言いグシアスやアメドドリムも誘い風呂へと向かう、懐記が新たに鍋を用意して唐揚げが出来るようにしておいた。

「ジュカ達はいつもここで仕事を探してるんだ?」
「そ、ここで仕事を貰ってやりに行くんだよ」
「冒険者ギルドみたいなものか」
時間は遡り朝の街、ジュカと子ども達、ギーギスとノイズとチェカと興味津々に着いて来たもちゃという面子で《ワークフロント》と書かれた看板の建物の中に入る、中は雑多な感じでに賑わっていた。
「いつもどんな仕事をしているんだ?」
「石運びとか店の手伝いとか、魔物の討伐もあるしキノコ採取や薬草採取もある」
「それは俺達がいた世界と変わらない」
ギーギスが尋ねればジュカがそう言い、ノイズが変わらないなと思いつつ…チェカが興味津々で見ている依頼があった。
「俺、これ興味ある!」
「この店はラルネーニュのマイスターの店だな、大口の注文でも入ったのかな『服のボタンを縫う作業:1着500ギロ 経験者のみ 軽くテストあり』俺裁縫苦手なんだよな」
「俺、結構やれるよ」
「じゃ、俺といこ」
「私もー」
「ありがと、じゃ行ってみる。いつ終わるか分からないから家でな」
チェカと子ども達2人がその依頼を受けに行く、初回は登録料と説明を受ければ仕事が貰えるとの事なので早速行ってしまった。
「僕はこれ、これなら出来る」
「俺もー」
「俺もそれ」
「『果物の選別:3時間1500ギロ』安いよ?これ」
「ん、でもいい。後で」
ノイズも子ども達に案内されて登録をしにいく、残ったジュカとギーギスはキノコでも採集しに行くかと森へ向かった…。
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