あなたは異世界に行ったら何をします?~良いことしてポイント稼いで気ままに生きていこう~

深楽朱夜

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第014部 君分かれる事なかれ/君離れる事なかれ

第02話 オフィスが来た/第2話 《アストマーズ》

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第02話 オフィスが来た
「はぁ…」
何度目かの溜息、投獄だった場所は更地になり現在はタナトスの奴隷ギルドに新たに療養街の支配者基支配人となったトワンとミカイ、ヴィッセや奴隷ギルドの職員の面々と大河が座っていた…。
「地上30階地下5階の高層タワーだ、これ全てがタナトスお前のオフィスになる。崇幸さんがジム…運動や体のバランスを整える場所にプールにラウンジ、食堂やバーもある。お前専用フロアは25階から30階と屋上だな、自由に使ってくれ。足りなければ崇幸さんが調整してくれる。一応30階にベッドルームと風呂とお前個人の執務室がある。使ってみてくれ」
「すげぇな」
「ああ……これを置くのか…目立つな」
「こういった建物が沢山置かれるからそうでもないかもな、このオフィスビルは療養街の中心に置く。此処を起点に様々な建物を建てると言うか置いていく」
タナトス達の前のテーブルに置かれた縮尺された高層ビル、周囲に画面が浮かび内部も公開され周囲は唖然としていた。
「ウォルゾガとカーテスからは食事は1日1回は一緒にしようと言っているから、それ位は聞いてやってくれ。俺はこれを療養街に置いて行く、いつでも移転可能だ」
「………いいでしょう」
タナトスはそれを受け入れ大河が療養街に転移する、引き続き奴隷ギルドの仕事や話し合いを続けた。

「うん、崇幸さん達は今いる《エンブ》を2日に出て、後2つか3つの街に中継器を置いてこちらに来るから、やはり《ナイジアナ皇国》で合流がいいね」
「そうですね、《空船》は舵さんと燈火さん率さんが識さんとゲーテさんと意見を出し合って中継器を置く街を決めているので《ヴワムス王国》への到着は少し先になりますね、ニジェルガ陛下の書簡は届いたそうなので警戒はするでしょうから」
「そう、それならいいね」
「千歳、ラジカ殿」
「ああ、おはようございます。フィズさん、フォン君とフェシェスタさんの件は申し訳ない」
「気にするな、あいつらならどうせ異界でも酒を飲んで遊んでいるさ、何処へ行っても変わらない。一応父上と母上に報告しに行くよ、丁度布も出来たしな。識殿に聞いたら《空船》でもう少し進んだ先で転移すれば郷に行けると言われたからな」
「それなら、こちらかも手土産を用意しますね、酒はどうです?お菓子は?」
「それはいい、酒は母上が菓子は父上が好きだな」
「それは良かった、用意してきますね」
「あちがとう、それと…」
「はい?」
「無理はするなよ、魔王とは言え休息が必要だろう?ラジカ殿」
「そうですね、この後コーヒーを飲みに行きます。今日は早めに仕事切り上げます」
「それはいい、では俺はベルン達の所へ戻るよ」
《空船》の千歳の執務室でラジカと仕事を片付けていると、フィズが訪れ一度フォンとフェシェスタの件で郷にも戻るというフィズ、以前頼んだ布も完成したと嬉しそうなフィズに千歳がこちらからも手土産を用意すると言えば顔を綻ばせる、フォンやフェシェスタの笑顔とはまた違い落ち着いた笑みだ。
そして千歳の顔を見て休息を勧める、自分は今そんな酷い顔色なのだろうかと思いラジカを見ればラジカはこの後コーヒーでも飲みに行くと言う、その言葉に千歳は甘える事にした。

第2話 《アストマーズ》
「これ、船?」
「そのようだ、中に何人も乗っているようだけど…やばい存在が結構いるね」
「この世界の人?って言うのも変?」
「ああ、異界からの客だよね?珍しいこいう場合は…」
「ようこそ!《アストマーズ》へ!でいいんじゃない。俺はジュカ!こっちは俺の相棒のマゥ」
「私はファーツコクスだ、ようこそ《アストマーズ》へ」
「俺は東川 懐記、よろ。話し聞きたいから中入ってよ、茶でも出すわ」
「いいのかな?不用心すぎだと思う」
「あー俺こう見えて人を見る目はあるから、そっちのマゥっちもどうぞ。野菜ある、食う?」
「わ。マゥ!」
《事鳶》の操作室の扉を懐記が開けば物珍しそうに見ている、2名と馬と目が合いこの世界の話しを聞こうと思えばかなり友好的な上、こちらが不用心だと言う位だ、わざわざ先に名乗ってくれた上に此方が異界から来たと知った上で会いに来てくれたのであるならば話しを聞くには最良の相手だと懐記は思い中へ案内すれば、野菜という言葉に翼を生やした黒い馬が先に入ってしまう。

「それは、野菜だけど食えねぇぞ。腹壊すから止めとけ」
「こっちの野菜にすると良い…と言いたい所だが、異界の野菜をあげても良いのか?」
「問題無さそうです…この馬は…」
「魔法生物さ、俺の相棒」
奥にやって来たマゥが真っ先に向かったのはマンドランドとお化け野菜達、捕食される気配を感じフォンやシュリの後ろに隠れる強いと謂えども捕食者と野菜達では分が悪い、シュリが野菜をあげても良いのかと聞けば少し考え頷く、マゥを鑑定した外神の後ろでジュカが自慢げに答えた。
『もちゃ?』
『うまぁ』
『まぁ?』
魔王と起きたエクトとセレネが出された野菜を一心不乱に食べるマゥを見ている、セレネのゴーレムの口が開きどばばと野菜が雪崩込んだ。
「セレネ、どこからその野菜出したんだ?」
「《アタラクシア》からだ…異空間に繋がっているようだ」
「え~すごぉい、セレちゃん」
!セレネ、こっちからも向こうに送れるのか?」
『?あーい』
「すごいぞ!」
ジラとイシュターがセレネのゴーレムを眺める、ギーギスが良い考えが浮かんだとセレネに確認を取れば少し首を傾げるが頷いた。
「へえ、お茶を用意するからジュカっちとコクスっちは座って」
「なんだか盛り上がっているじゃん」
「どうやら元の世界との連絡手段が出来たみたいだ」
そんな中ジュカとファーツコクスを椅子に座って貰い茶の準備を始め、外神が魔石をセレネの口に入れて《アタラクシア》に送って貰う事にした。
「これを神々に頼んで詠斗さん達のいる《アタラクシア号》の孔雀に渡して下さい、会話が出来ると思います」
『あーい………ナビヤーきたぁ』
「お、ナビヤかってお前も操作できるのか?」
『んーお金ぇ』
「コイツ金の匂いを嗅ぎつけて来たのか…」
「すごいな…」
セレネのゴーレムの口に外神が魔石を飲ませ今度はナビヤが交代で現れギーギスが感心すれば…ゴーレムなのに涎を垂らしたお金大好き魔人の幼児、フォンとマユラは引いていた。

「へぇ、ここは《アストマーズ》って世界なんだ」
「ファーツコクスは悪魔?悪魔って初めて聞く種族だな」
「《アタラクシア》には悪魔はいない…」
茶を淹れて懐記がクッキーや羊羹とせんべいを出せば、ジュカとファーツコクスは美味しそうに食べている、口に合ったようでイシュターやチェカとノイズも交え《アストマーズ》の話しを聞く。
「ここ《アストマーズ》は地上界には悪魔や人、中界には天人、天上界は天使に分かれ住んでいる。各界は広大ではないけどね、地上界は魔力と魔法で構成されていてこの世界に神はいない」
「ふうん、暫くはこの世界にいるけど構わない感じ?」
「いいんじゃない、イシュターとその青い毛並みの生き物?は目立つと思うけど」
「龍しかも神に近い存在と魔王はこの世界で異質だとは思うが、この地上界は基本興味や関心が薄い」
「そーそー《ホローリングレース》や賭け事とか?」
『《ホローリングレース》?』
聞きなれない単語に口を揃える、ジュカはニヤと笑うと瞳の奥にオレンジ色の炎の様な揺らめきが宿った…。


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