あなたは異世界に行ったら何をします?~良いことしてポイント稼いで気ままに生きていこう~

深楽朱夜

文字の大きさ
上 下
618 / 867
第014部 君分かれる事なかれ/君離れる事なかれ

第00話 四千年前…

しおりを挟む
四千年前の《アタラクシア》……

「あぁ~ああ~終わってしまう終わらないでほしい~楽しかった!愉しかった!あぁどうしてぇどうしてぁ終わってしまうぅ~ずっとずっと続いてほしいぃ」
「欲望を吐き続けるなゲス」
「あぁ~無理ぃどうしてぇおわらないでぇ」
「その声潰す」
「潰しても再生する」
「チっ!」
喚く魔人どうしてだと顔に手を当て絶望する、隣の魔人は心底嫌そうな表情を浮べて、他の魔人達も辛辣な言葉を吐き捨てた。
「魔人戦争は決着が…勝敗が決まらなかった」
「そうですぅそうですぅ~だからまだ終わるのはおかしぃぃ」
「付き合いきれねぇ、俺は行く。石像になった奴らはどうにも出来ん置いていく…あっちもそうだろ」
「そうだな、願わくばお前達とはこの先2度と会わない事を願う、《アタラクシア》は広いからな」
「ああ、そうだなじゃあな」
「あぁ~あぁ~」
喚く魔人をその場に残し、他の魔人は散っていく…出来ればもうこの地には戻りたくないと各々思いながら…。

「我々は結局何も成せなかった…」
「多くの犠牲を出した…魔人は生き続けるが…死んだ多くの者達…」
「1つの大陸の半分以上を犠牲にした…」
「残った魔人達も我々以外は散り散りに…」
焼けた大地に佇む魔人達、皆傷つき疲弊しそして多くを失った。
「石化は幾つもの魔法と魔術を用いて構成されています…神々すらも封印を解くことは至難でしょう」
「収納空間には入らねぇ、置いて行く。いいな?」
「何があっても外界から干渉されない、すまない同胞達よ」
「……いつか私が拠点を造り準備を整えたその時は…私の元で…」
周辺に置かれた石像は同胞達、戦った魔人…皆思いや願い、勝ち取るべき物を抱き魔人戦争に挑んだ…。
「そうだな…俺達は失い過ぎた今は何もない…だからごめん…」
『………』
何名かの魔人達が涙を浮かべる、申し訳ないという気持ちと石化された中には魔人戦争に大きく貢献してくれた者達もいる、ここに…置いたままなのは忍びない。
「俺はこの大陸に残る、此処は呪いすら産まれない場所……またいつか皆会いにきてくれ、俺は全てに絶望はしない」
『……』
1体の魔人が固く決意を固める、他の魔人達は成すべき事がある、それが終われば…また必ずと各々心に決めた。
「すまない…」
「ごめん…」
「謝るな、謝らないで笑って皆行ってくれ…」
「貴方に任せます…いつか必ずここへ戻ります」
「ああ…必ず…決着を付けたその時は必ず」
「我々の魔人戦争は…真の意味で終わっていない…」
「ああ…他の地にいった石像も回収……せめてどこに行ったのか…私は探す」
「僕も探すとしよう…みんなももし見つけたら場所の把握はしてくれ…」
「他の魔人には気をつけて…残った他の魔人達は危険過ぎる……」
「………いつかまた…」
全員が成すべきこと抱え、たった1人を残し皆去って行った…。

「面白い事をしていましたね、興味深い……魔人戦争…ですが無意味、魔人のしている事に関心はありませんが…これは面白いと思いました。魔王が魔人を野放しにすれば争いが起きる…絶対的身分を排除し平等を齎す為の戦争でしたか…結局は決着が着かないまま終わってしまいましたね。見世物としては面白い物でした。いい暇潰しでした」
少し離れた場所で魔人戦争の結末を見届けた青白い顔の細身の男、唇だけは異様に赤く瞳は黄昏の瞳をしていた。
「魔王としてこの世界に転生しましたが…地球と《アタラクシア》どちらが地獄なんでしょうか…一…」
答えはない、序列第12位蒐刻魔王は少し寂し気な表情を浮べた…。

「素敵、素敵!とっても素敵!ふふ……」
「お姉さま、楽しそうですね」
「ええ、ええ、とても楽しい物を観たわ。素敵だった」
「お姉さまが楽しそうで私も嬉しいです」
《神聖王国テンランド》の城内、豪奢なドレスにみを包む少女が頬を染めくるくると楽しそうに1人ダンスを楽しむ、その少女を姉と呼ぶ少女は椅子に座り腕の中でがすやすやと眠る赤子を抱き姉が躍る様を見てうっとりとした視線を向けた。
「ふふ…何があったか教えてあげる、欲しいわ…素敵…あの石像…」
「お姉さまが欲しい物は全て私が手に入れますわ、ね、アシュア…」
うっとりと回る姉の姿に妹が頬を染め腕の中の赤子の名を優しく呼ぶ、赤ん坊は穏やかな顔で眠っていた…。

龍皇国で龍皇イシュターレジェイドチラーグケイオスは遙か遠くの大陸で何かが起きたのを察知したが、動く事はない、彼の役目は《アタラクシア》を守る事ではない、《アタラクシア》に在る事。
古代種…龍として公平に在るべき存在であれば良い、神々からは何の神託もない。
《アタラクシア》は今日も空は灰色、ドラゴンの姿に戻って空を駆ける気も起きない、皇国のドラゴン達も基本人型だ、皇国を離れ群れを持つドラゴン達はドラゴンの姿で過ごしている者が多いが聞けばやはり然程空を飛びたいと思わないらしい。
イシュターは皇城の窓から空を暫く眺めふいに眼を逸らし歩き出す、《アタラクシア》は病んでいる…以前の神々からの神託で教えられた事を反芻する。
神々がなんとかしようとはしているが、先は長いだろう彼らはいつも長い時間を掛け話し合いを行う。イシュターはイシュターとして《アタラクシア》に在る…それだけだ…。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

無能な勇者はいらないと辺境へ追放されたのでチートアイテム【ミストルティン】を使って辺境をゆるりと開拓しようと思います

長尾 隆生
ファンタジー
仕事帰りに怪しげな占い師に『この先不幸に見舞われるが、これを持っていれば幸せになれる』と、小枝を500円で押し売りされた直後、異世界へ召喚されてしまうリュウジ。 しかし勇者として召喚されたのに、彼にはチート能力も何もないことが鑑定によって判明する。 途端に手のひらを返され『無能勇者』というレッテルを貼られずさんな扱いを受けた上に、一方的にリュウジは凶悪な魔物が住む地へ追放されてしまう。 しかしリュウジは知る。あの胡散臭い占い師に押し売りされた小枝が【ミストルティン】という様々なアイテムを吸収し、その力を自由自在に振るうことが可能で、更に経験を積めばレベルアップしてさらなる強力な能力を手に入れることが出来るチートアイテムだったことに。 「ミストルティン。アブソープション!」 『了解しましたマスター。レベルアップして新しいスキルを覚えました』 「やった! これでまた便利になるな」   これはワンコインで押し売りされた小枝を手に異世界へ突然召喚され無能とレッテルを貼られた男が幸せを掴む物語。 ~ワンコインで買った万能アイテムで幸せな人生を目指します~

異世界ソロ暮らし 田舎の家ごと山奥に転生したので、自由気ままなスローライフ始めました。

長尾 隆生
ファンタジー
【書籍情報】書籍3巻発売中ですのでよろしくお願いします。  女神様の手違いにより現世の輪廻転生から外され異世界に転生させられた田中拓海。  お詫びに貰った生産型スキル『緑の手』と『野菜の種』で異世界スローライフを目指したが、お腹が空いて、なにげなく食べた『種』の力によって女神様も予想しなかった力を知らずに手に入れてしまう。  のんびりスローライフを目指していた拓海だったが、『その地には居るはずがない魔物』に襲われた少女を助けた事でその計画の歯車は狂っていく。   ドワーフ、エルフ、獣人、人間族……そして竜族。  拓海は立ちはだかるその壁を拳一つでぶち壊し、理想のスローライフを目指すのだった。  中二心溢れる剣と魔法の世界で、徒手空拳のみで戦う男の成り上がりファンタジー開幕。 旧題:チートの種~知らない間に異世界最強になってスローライフ~

うっかり『野良犬』を手懐けてしまった底辺男の逆転人生

野良 乃人
ファンタジー
辺境の田舎街に住むエリオは落ちこぼれの底辺冒険者。 普段から無能だの底辺だのと馬鹿にされ、薬草拾いと揶揄されている。 そんなエリオだが、ふとした事がきっかけで『野良犬』を手懐けてしまう。 そこから始まる底辺落ちこぼれエリオの成り上がりストーリー。 そしてこの世界に存在する宝玉がエリオに力を与えてくれる。 うっかり野良犬を手懐けた底辺男。冒険者という枠を超え乱世での逆転人生が始まります。 いずれは王となるのも夢ではないかも!? ◇世界観的に命の価値は軽いです◇ カクヨムでも同タイトルで掲載しています。

異世界へ五人の落ち人~聖女候補とされてしまいます~

かずきりり
ファンタジー
望んで異世界へと来たわけではない。 望んで召喚などしたわけでもない。 ただ、落ちただけ。 異世界から落ちて来た落ち人。 それは人知を超えた神力を体内に宿し、神からの「贈り人」とされる。 望まれていないけれど、偶々手に入る力を国は欲する。 だからこそ、より強い力を持つ者に聖女という称号を渡すわけだけれど…… 中に男が混じっている!? 帰りたいと、それだけを望む者も居る。 護衛騎士という名の監視もつけられて……  でも、私はもう大切な人は作らない。  どうせ、無くしてしまうのだから。 異世界に落ちた五人。 五人が五人共、色々な思わくもあり…… だけれど、私はただ流れに流され……

異世界召喚?やっと社畜から抜け出せる!

アルテミス
ファンタジー
第13回ファンタジー大賞に応募しました。応援してもらえると嬉しいです。 ->最終選考まで残ったようですが、奨励賞止まりだったようです。応援ありがとうございました! ーーーー ヤンキーが勇者として召喚された。 社畜歴十五年のベテラン社畜の俺は、世界に巻き込まれてしまう。 巻き込まれたので女神様の加護はないし、チートもらった訳でもない。幸い召喚の担当をした公爵様が俺の生活の面倒を見てくれるらしいけどね。 そんな俺が異世界で女神様と崇められている”下級神”より上位の"創造神"から加護を与えられる話。 ほのぼのライフを目指してます。 設定も決めずに書き始めたのでブレブレです。気楽〜に読んでください。 6/20-22HOT1位、ファンタジー1位頂きました。有難うございます。

はずれスキル念動力(ただしレベルMAX)で無双する~手をかざすだけです。詠唱とか必殺技とかいりません。念じるだけで倒せます~

さとう
ファンタジー
10歳になると、誰もがもらえるスキル。 キネーシス公爵家の長男、エルクがもらったスキルは『念動力』……ちょっとした物を引き寄せるだけの、はずれスキルだった。 弟のロシュオは『剣聖』、妹のサリッサは『魔聖』とレアなスキルをもらい、エルクの居場所は失われてしまう。そんなある日、後継者を決めるため、ロシュオと決闘をすることになったエルク。だが……その決闘は、エルクを除いた公爵家が仕組んだ『処刑』だった。 偶然の『事故』により、エルクは生死の境をさまよう。死にかけたエルクの魂が向かったのは『生と死の狭間』という不思議な空間で、そこにいた『神様』の気まぐれにより、エルクは自分を鍛えなおすことに。 二千年という長い時間、エルクは『念動力』を鍛えまくる。 現世に戻ったエルクは、十六歳になって目を覚ました。 はずれスキル『念動力』……ただしレベルMAXの力で無双する!!

『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる

農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」 そんな言葉から始まった異世界召喚。 呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!? そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう! このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。 勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定 私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。 ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。 他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。 なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。

ペットたちと一緒に異世界へ転生!?魔法を覚えて、皆とのんびり過ごしたい。

千晶もーこ
ファンタジー
疲労で亡くなってしまった和菓。 気付いたら、異世界に転生していた。 なんと、そこには前世で飼っていた犬、猫、インコもいた!? 物語のような魔法も覚えたいけど、一番は皆で楽しくのんびり過ごすのが目標です! ※この話は小説家になろう様へも掲載しています

処理中です...