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第013部 序列第13位と生きた山脈×まだまだ続くよ空の旅

第09話 療養街造り

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「もう夕方かー土台は出来たし建物も形がおおまかだが出来たな、みんな今日の作業は終わりにして風呂に行こう」
「面白いなこの鉱物や鉄や鋼でこんな建物が簡単に出来るなんてすごいな」
「ああ、崇幸達のいた世界の文明はすごいな」
「魔法がないからな、俺達からしたらこの世界もすごいよ」
「…手
《黒鳶》の会議室で崇幸を主軸に療養街造りに取り組んでいた、大河から借りていた日本の建物の写真を参考にビルを魔力で調整を掛けながら成型していった。
「楽しいな」
「なら良かった、温泉や宿泊に薬草ダンジョン、症状の重い……この世界には万能薬や回復薬、傷を治す魔法があるからそこまででもないが入院施設と食事を提供する場所にリハビリ施設といった感じだな、うん良いな」
崇幸が模型の様な縮小サイズの街並みに満足し、楽しそうなチェカ達と共に大浴場へ向かった。

「あの、このパン作り良いですね。この船旅が終わったらパン屋をやりたいです」
「私も」
「俺もだな」
「おけ、この旅で作り方えお出来るようになれば療養街で出せるようにしとくわ」
「私たちは食堂をやりたいです」
「俺はこの船気に入ったよ、他の連中も此処に住みながら出来る仕事があれば良いな」
「私は元々服を作っていたから店をまた出したいわ」
「おけ、《黒鳶》からの通いで出来る仕事もあるし店も出せる、すぐ出せるように今のうちに在庫作っておいて」
夕食の支度をしつつ元《ノゼバ国》の住民たちも各々の希望を口にするようになっていた、呪いの地になる《ノゼバ国》には戻れないが第2の人生を口にするようになっていた。
崇幸や懐記、外神の意見としては療養街を希望者達と牢獄の住民達とで運営していって貰うという話しが上がっている、十分な住居確保の為に高層マンションを用意し、牢獄というイメージを変えていこうと懐記や外神が話しを進めていた。
明日の決闘会でタナトスが勝つまでは牢獄が手に入るか分からないが、皆タナトスが勝つと信じ話しを進めている。
「お野菜持ってきました、お風呂入ったら夕食作り交代しますね」
「さんきゅ、トイっち。トゥナーっちもどうなの?」
「はい、身体も思う様に動くようになりました。あの青い子も目が覚めたので一緒に入って身体を洗ってきますね」
トイが野菜を住民達と抱え厨房に訪れる、トイを中心に《黒鳶》で作った畑で収穫した野菜を住民達と運び入れた。
「そ、良かったわ」
回復したトゥナーもニコリと笑う、顔色は良いとは言えないが回復はしているようで意識を取り戻した13位の魔王も連れていくというので任せて、受け取った野菜を洗い皮を剥く。
「ぎゅーっちたべる?ほんときゅうっちそっくりだわ」
『ぎゅー』
皮を剥いたり貝や魚の鱗や骨等嬉々として食べにくるぎゅー、頭を撫でて皮や野菜を入れた皿を置いてやれば嬉しそうに食べ、その甲羅の上の篭の中で眠る外神の眼から産まれた雛にはモギのミルクをストローで飲ませてやればまだ目も開かない状態でこくりこくりとストローから少量ずつ嘴で飲んでいく。
「沢山飲んで」
「不思議です僕の眼から出た魔法生物にも関わらず食欲や睡眠を取るなんて」
「不思議?そう?生きているなら食うし寝るでしょ」
「……」
懐記がミルクを飲んだ雛の為に小皿にミルクと磨り潰した果物を混ぜた物を置いておく、ぎゅーが世話を買って出てくれ後で少しずつ飲ませてくれていた。
「ぎゅーっち、この子は桜ね。ピンクの身体だから俺が見れない時は桜を頼むわ」
『ぎゅ!』
懐記がぎゅーの頭を撫でればぎゅーが嬉しそうに返事を返す、外神は自分の眼から産まれた生き物が食事をし生きている事に違和感を感じながら目を逸らしスープの鍋を掻き混ぜた。

「うん、良いね!明日は決闘会だし。始めるとしたら2日後かな、崇幸さん達とも合流出来そうだし、晴海くんたちと合流して買い物しよう」
「塩も美味いから良く売れると思う」
「忙しいだろうから短期で商業エリアから人を雇うか」
『詠斗様、外に商業ギルドのマスターが来ています。買い取りが終了したようですね』
「あ、分かった。外に出るよ」
《エンビ》の店、チグリス達と棚に塩を並べカウンターの後ろで塩を削る魔法具も用意し準備が整った為観光に行こういう話しになった所で風早から連絡が入り外に出た。
「あぁ!良かった!すごい建物ですね、準備が出来ましたので商業ギルドへ」
額に汗を掻くギルドマスター、人だかりは減る事もないのでアコミアが前に出た。
「まだ始まらないし、周囲に迷惑だから帰ってくれ」
「何を売るんだ?」
「どうやって作ったんだ?この建物」
「まだ秘密だよ、散ってくれ」
アコミアが問いに答えても中々人は減らない、仕方がないとばかりに溜息を吐いた。
「なら、冒険者ギルドを呼ぶぞ」
キッフがそういえばようやく周囲が散っていくので、店の前に張り紙『店は近々開店します、店前に集まらないように、周囲に迷惑を掛ける場合は冒険者ギルドを派遣する』と張り商業ギルドへ向かった。

「いやぁ、すごい建物ですねーあれをいきなり建ててしまうとは…」
「ま、まあ…」
商業ギルドの応接間で店の事を持ち上げるマスター、買い取り品の内容を紙を見ながら確認し内訳を説明して総額を伝えた。
「それで、全て合わせて3億ログで如何ですか?我々で出せるのがこれが限界でして…」
「あの量だと安くないか?」
「いいよ、アコミア。この街に店を置かせて貰うんだ」
「詠斗が言うなら…」
「ありがとうございます!」
「あ、そうだ。マスターあの店を始めるに少し人手が欲しいんだよ、依頼を出したい。冒険者ギルドでも良いんだけど」
「ああ!それなら奴隷が…」
「奴隷?この国は奴隷は禁止されているだろう?」
「ち、違うんだ!冒険者パーティが依頼失敗して損害を出したんだ、それで奴隷落ちに…」
「なら、そのパーティを《アウトランダーズ商会》が買います!住むことも出来るしね、仕事以外は自由に出来るから!」
アコミアがあの注目度では絶対に2人では無理だとマスターに依頼をと言えば、丁度良いと言わんばかりに奴隷がと言えばキッフがきつめに反応し慌ててギルドマスターが首を横に振り事情を言えば詠斗が買おうと話しを進める。
「では冒険者ギルドへ案内します」
「お願いします、チグリスとラウラスは綴さんと合流して」
「了解す」
「…ああ」
商業ギルドの外へ出てチグリスとラウラスはここで一旦別れ、詠斗とアコミア、キッフで冒険者ギルドへ向かった…。
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