あなたは異世界に行ったら何をします?~良いことしてポイント稼いで気ままに生きていこう~

深楽朱夜

文字の大きさ
上 下
593 / 867
第013部 序列第13位と生きた山脈×まだまだ続くよ空の旅

Stage.7-26 命が軽い場所Ⅲ 数外個体魔王達と幼い罪人達 

しおりを挟む
『こいつ、無反応だな』
『無反応すぎるのねーん、余程主が怖いのねーん』
『口を探せと言われても、てがすぎやしませんかね』
『のす』
『にゅみゅにゅみゅ』
『ヴェリ!』
タナトスに頼まれ牢獄で異界の生物の口を探す数外個体魔王達、ノースとユークスとネズミ、ヴェリはやる気だがコォンとチキは嫌々参加している、チキの頭の上のヒヨコはぴょんぴょん跳ねていた。
『魔王に異界の神に魔人やら使ってアイツなにやろうとしてんだよ』
『何をするか検討はついてるのねぇん、問題はあの魔人なのよぉ、あれはヤバいのねん』
『あっしはこの下の御仁も相当だと思いますが、気付かれてますよ』
『それはほっといてもいいのねーん、気になる気配がまだあるけど私達は口を探せばいいのねん』
『あの穴を中心に探してますが口らしき物は見当たりませんね』
『俺達の眼を持ってしても見つからないのはコイツの方が格上って事か』
コォンとチキ、ネズミが眼で探りノースとユークス、ヴェリは辺りを見ているとノースとヴェリが何かに気付きとことこと打ち捨てられた木箱の後ろを覗き込んだ。
「ひぃ!ご、ごめんなさい!」
「盗んだパン返すよ!だから食べないで!」
「弟達は悪くない!俺が稼げないからだから穴には…」
『……はぁお前らみたいな骨しかないやつらなんか食うかよ』
『あっし、パンと肉と果物持ってますよ。どうぞ、クッキーも皆さんと食べようと思ったんですが、この子達にどうぞ』
『みゅにゅ!』
木箱の裏に隠れていたのは怪我をしている子ども達、どうやら3兄弟のようで身を寄せてがたがた震えているのをチキが食べないと言い、ネズミが収納巾着袋からパンや干し肉と果物、クッキーを出してやればユークスが仲の良いモギ達から貰ったミルク瓶を出してコップに注いだ。
『その小さいの危ないのねぇん、食べたらユークスとネズミで連れていくのね』
『まだいるようだぞ、広場に行くよう声が聞こえただろ?』
「うん、でも俺罪人だから…行ったら…罪人じゃない弟達と離れ離れになる…」
『そんな小さな身で罪人とは…よければ何をしたのかあっし達に教えてくれませんかね』
『よすのね、情が湧くのね』
『ああ、さっさと広場に連れて行け』
傷が酷くぼろ布を纏った兄の身体の至る所が傷だらけだ、痣が多いのは殴られていたからだろう、それも長期間に渡り受けていたようだ、古い傷が目立つ。
「親殺した…飯もくれない、稼いだ金は取られて殴られたから…殺したらここに兄弟で入れられた。広場に行ったら罪人とそうじゃなくてここにいる人達と分けれらるって…」
『それで弟を死なせるのねぇん、自分勝手なのねぇん』
「だって俺がいなかったらどうせ死んじゃうだろ?もしコイツらが死んでも俺がいればあの穴に放り込まれない様にしたい…あんなの酷いよ」
『はぁ…どうすんだよ』
『確かに彼は罪を犯してますが…兄弟一緒にいられる方法を探して貰いましょうや』
『のす』
『みゅ…』
『ヴェリ…』
「それに俺みたいなガキはまだいるよ、歩けないヤツとか足を切り落とされたり、目が見えないやつとか…話せないやつとか…」
『……どこにいるのねぇん』
『はぁ?何で魔王の眼に出ないんだ?』
『もしやそこが視られたくない場所かもしれやせん、またはその近くか…口はその近くにあるのかもしれやせん』
「罪人だよ、盗人とかそれの手伝いさせられたりした奴らとかいらなくなった奴隷とか使えなくなった奴隷とかの子どもがそこにまとめられているんだ、暫くおいて置かれて何時の間にか消えてる俺は……う……」
『しまった!この子ども囮よ!』
『首輪か!』
『あっしに任せて下さい!』
『ヴェリ!!』
コォンが気づく考えれば分る事だこの牢獄に本当の自由等無い、この子ども達の首元から覗いた首輪がそれを示す、視ているのだ此処を支配している者が、この子ども達がそこから逃げ出し偶然チキ達が見つける…そんな事はあり得ないのだ、この子ども達はわざと放置されていた。
首輪から魔力を異常な流れを感知、ネズミが少年の首輪を凍結させる為に飛びつけば、弟達の首輪も異常な魔力の流出が始まりヴェリが子ども達の首輪を瞬時に噛み千切り呑み込んだ。
「かひゅ…」
「……」
「……」
『ヴェ…?ヴぇ?』
『みゅに?』
『ノース!子ども達をすぐに転移で千歳達の所に連れて行け!まだ間に合う!お前ら行くぞ!』
『のす』
『完全に遊ばれているのねぇん、赦さないないのねぇん』
『ヴェリ…』
ノースが子ども達兄は首元が赤くなり呼吸も荒い、問題は弟達…ヴェリとユークスが声を掛けるが気絶してしまったようで反応がない、チキが命に関わるとノースに転移で広場に向かわせ、残ったメンバーで奥へと進んだ。

「……向こうの方が上手です、隠すのが上手すぎる…」
千華がノースが運んで来た子ども達の様子とノースの話しに歯痒さを覚えた、視る事は長けていても細部や隠蔽されている箇所の把握は難しい…と申し訳ない運ばれて来た子ども達にそんな気持ちを抱く。
『のす』
「はい、まだいるようですね…探します」
「あの子供たち無事だったんですかぁ~」
「白々しいですね、貴方の仕業なのでは?」
「えぇーはいそうですよぉ」
「……そうですか」
「ここは楽園の牢獄ですぅいいですかぁ支配者様の意思と命令1つで罪人の命など軽く壊せちゃうんですぅ」
子ども達は蒐集家やオーケス達が視ている、千華がコォン達が向かっているのならば他にも見落とし、見えにくい箇所を重点的に探そうとすれば何時の間にかフゥが笑って立っていた。
「そうでしょうね、此処は貴方の牢獄ですから。この下の異物の餌用に子ども達を生かしているんですか?」
「ここは支配者様の物ですよぉ~この下の彼は子供が好きなのでぇいちばんよろこぶんですぅご褒美用なんですよぉ決闘会が終わったらあげようとおもってぇ」
「………こちらが勝ちますよ」
「そぉですかぁ」
『のす』
「はい、ノース探します」
「がぁんばってください~そちらが見つけたら子ども達あげますねぇ」
「はい、貰います」
千華はノースの声で目の前の異質な魔人から目を離す、長く見ていると厭な気分になる、神々もヤハネもそして千華自身も下位の魔人としか鑑定出来ない不明過ぎる存在だが、今は最優先すべき事に気持ちを向けた。

『……これは酷い』
『浄化魔法使えるのはヴェリなのねん』
『ヴェリ…』
『おい、最強嘆くのは後に死ねぇと子供共死ぬぞ』
『みゅにゅぅ………』
『ユークス、泣くなら戻るのねぇん』
『みゅにゅ!』
奥の壁から魔力の流れと奥に生き物の気配、チキが鑑定し魔力で壁の形状を変え中を伺うとヴェリが浄化魔法を掛け嘆きユークスが悲鳴の様な泣き声を上げた。
ユークスは戻らないと子供達の元へと行くが……壁を見つめている子供、横たわって涎を垂らす子供、片腕や片足がない子供達…どの子供達も酷い状態だった。
「おつかれさまですぅおめでとうございますぅ」
『みゅにゅ!!みゅに!!』
『ヴぇ!ヴェリ!』
『おふたりとももっと言ってやってください!まさに鬼畜の所業』
『親玉のお出ましだぞ』
『決闘会前に殺してやるのねぇん、よくも魔王で遊んでくれたのねぇん』
「こわぁいですぅ彼らは正真正銘の罪人ですよぉ」
『んな事は魔王の俺らにはどうでもいいんだよ、クソ魔人頭が高いぞ平伏せ』
『お前もこうしてやるのねぇん、破壊魔法発動』
『コォンの旦那!いけませんぜ、破壊魔法は子供達に影響を及ぼしやす』
『ふん』
殺気を帯びたチキとコォン、コォンが発動させようとした破壊魔法をネズミが止めコォンが鼻を鳴らした。
「ただごあいさつとぉみつけたので彼らをプレゼントしますよぉって言いに来ただけなんですぅ」
『お前に言われなくても貰う、おい頭が高い平伏せ』
「決闘会でそちらが勝ったら平伏しますぅ」
『今しろよ』
『チキの旦那それよりも早く子供達を!』
『お前が連れて行け、ユークス行け』
『みゅにゅ!』
イライラしているチキに急ごうと言うが、フゥを見つめたままネズミとユークスに子ども達を託し、コォン、チキ、ヴェリが残った。
『お前魔神か?』
「ちがいますぅ下位の魔人ですぅ」
『魔人なんかいくらでも嘘をつく、ここで殺すのねぇ』
「えぇ~いやだなぁお前ら如きに討たれたりしませんよぉ」
『やってみるのねぇん』
『ヴェリ!』
「元々彼らはあの状態できたんですぅ~治療なんでしません~おやつですから~皆さんだって美味しく食べているじゃないですかぁ」
『それはどうでもいいのねん私はお前の存在が気に食わないねん私は子供の扱いで怒っていないのねん』
「そうなんですかぁ」
『おいやるぞ』
『やるのねん』
「なら私の負担は減りますね、勝てるならばどうぞ」
やる気を出した3名の背後でタナトスが声を掛ける、コォンが舌打ちしチキが頭を掻けばヒヨコが落ちそうになる、ヴェリが何処かほっとした表情を浮べた。
「どうしますぅ?」
『おい絶対こいつ殺せ』
「魔人は殺せませんよ」
『お前なら殺せるのねぇん』
「私が受けたのは決闘会に勝って支配者になる事なので、魔人を殺すのは範囲外です。決闘会が終われば彼は私の物になりますのでご自由に」
『ああ、その言葉忘れるなよ』
『その時は協力して貰うのねん』
「もちろん、構いません」
「頑張ってくださぁい」
「行きますよ、貴方も挑発はしないでください」
「はぁい」
フゥはにこにことタナトス達を見送る、コォンが転移を行い広場へと戻った…。


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

異世界ソロ暮らし 田舎の家ごと山奥に転生したので、自由気ままなスローライフ始めました。

長尾 隆生
ファンタジー
【書籍情報】書籍3巻発売中ですのでよろしくお願いします。  女神様の手違いにより現世の輪廻転生から外され異世界に転生させられた田中拓海。  お詫びに貰った生産型スキル『緑の手』と『野菜の種』で異世界スローライフを目指したが、お腹が空いて、なにげなく食べた『種』の力によって女神様も予想しなかった力を知らずに手に入れてしまう。  のんびりスローライフを目指していた拓海だったが、『その地には居るはずがない魔物』に襲われた少女を助けた事でその計画の歯車は狂っていく。   ドワーフ、エルフ、獣人、人間族……そして竜族。  拓海は立ちはだかるその壁を拳一つでぶち壊し、理想のスローライフを目指すのだった。  中二心溢れる剣と魔法の世界で、徒手空拳のみで戦う男の成り上がりファンタジー開幕。 旧題:チートの種~知らない間に異世界最強になってスローライフ~

手乗りドラゴンと行く異世界ゆるり旅  落ちこぼれ公爵令息ともふもふ竜の絆の物語

さとう
ファンタジー
旧題:手乗りドラゴンと行く追放公爵令息の冒険譚 〇書籍化決定しました!! 竜使い一族であるドラグネイズ公爵家に生まれたレクス。彼は生まれながらにして前世の記憶を持ち、両親や兄、妹にも隠して生きてきた。 十六歳になったある日、妹と共に『竜誕の儀』という一族の秘伝儀式を受け、天から『ドラゴン』を授かるのだが……レクスが授かったドラゴンは、真っ白でフワフワした手乗りサイズの小さなドラゴン。 特に何かできるわけでもない。ただ小さくて可愛いだけのドラゴン。一族の恥と言われ、レクスはついに実家から追放されてしまう。 レクスは少しだけ悲しんだが……偶然出会った『婚約破棄され実家を追放された少女』と気が合い、共に世界を旅することに。 手乗りドラゴンに前世で飼っていた犬と同じ『ムサシ』と名付け、二人と一匹で広い世界を冒険する!

うっかり『野良犬』を手懐けてしまった底辺男の逆転人生

野良 乃人
ファンタジー
辺境の田舎街に住むエリオは落ちこぼれの底辺冒険者。 普段から無能だの底辺だのと馬鹿にされ、薬草拾いと揶揄されている。 そんなエリオだが、ふとした事がきっかけで『野良犬』を手懐けてしまう。 そこから始まる底辺落ちこぼれエリオの成り上がりストーリー。 そしてこの世界に存在する宝玉がエリオに力を与えてくれる。 うっかり野良犬を手懐けた底辺男。冒険者という枠を超え乱世での逆転人生が始まります。 いずれは王となるのも夢ではないかも!? ◇世界観的に命の価値は軽いです◇ カクヨムでも同タイトルで掲載しています。

異世界召喚?やっと社畜から抜け出せる!

アルテミス
ファンタジー
第13回ファンタジー大賞に応募しました。応援してもらえると嬉しいです。 ->最終選考まで残ったようですが、奨励賞止まりだったようです。応援ありがとうございました! ーーーー ヤンキーが勇者として召喚された。 社畜歴十五年のベテラン社畜の俺は、世界に巻き込まれてしまう。 巻き込まれたので女神様の加護はないし、チートもらった訳でもない。幸い召喚の担当をした公爵様が俺の生活の面倒を見てくれるらしいけどね。 そんな俺が異世界で女神様と崇められている”下級神”より上位の"創造神"から加護を与えられる話。 ほのぼのライフを目指してます。 設定も決めずに書き始めたのでブレブレです。気楽〜に読んでください。 6/20-22HOT1位、ファンタジー1位頂きました。有難うございます。

『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる

農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」 そんな言葉から始まった異世界召喚。 呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!? そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう! このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。 勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定 私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。 ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。 他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。 なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。

ペットたちと一緒に異世界へ転生!?魔法を覚えて、皆とのんびり過ごしたい。

千晶もーこ
ファンタジー
疲労で亡くなってしまった和菓。 気付いたら、異世界に転生していた。 なんと、そこには前世で飼っていた犬、猫、インコもいた!? 物語のような魔法も覚えたいけど、一番は皆で楽しくのんびり過ごすのが目標です! ※この話は小説家になろう様へも掲載しています

屑スキルが覚醒したら追放されたので、手伝い屋を営みながら、のんびりしてたのに~なんか色々たいへんです

わたなべ ゆたか
ファンタジー
タムール大陸の南よりにあるインムナーマ王国。王都タイミョンの軍事訓練場で、ランド・コールは軍に入るための最終試験に挑む。対戦相手は、《ダブルスキル》の異名を持つゴガルン。 対するランドの持つ《スキル》は、左手から棘が一本出るだけのもの。 剣技だけならゴガルン以上を自負するランドだったが、ゴガルンの《スキル》である〈筋力増強〉と〈遠当て〉に翻弄されてしまう。敗北する寸前にランドの《スキル》が真の力を発揮し、ゴガルンに勝つことができた。だが、それが原因で、ランドは王都を追い出されてしまった。移住した村で、〝手伝い屋〟として、のんびりとした生活を送っていた。だが、村に来た領地の騎士団に所属する騎馬が、ランドの生活が一変する切っ掛けとなる――。チート系スキル持ちの主人公のファンタジーです。楽しんで頂けたら、幸いです。 よろしくお願いします! (7/15追記  一晩でお気に入りが一気に増えておりました。24Hポイントが2683! ありがとうございます!  (9/9追記  三部の一章-6、ルビ修正しました。スイマセン (11/13追記 一章-7 神様の名前修正しました。 追記 異能(イレギュラー)タグを追加しました。これで検索しやすくなるかな……。

世界最強で始める異世界生活〜最強とは頼んだけど、災害レベルまでとは言ってない!〜

ワキヤク
ファンタジー
 その日、春埼暁人は死んだ。トラックに轢かれかけた子供を庇ったのが原因だった。  そんな彼の自己犠牲精神は世界を創造し、見守る『創造神』の心を動かす。  創造神の力で剣と魔法の世界へと転生を果たした暁人。本人の『願い』と創造神の『粋な計らい』の影響で凄まじい力を手にしたが、彼の力は世界を救うどころか世界を滅ぼしかねないものだった。  普通に歩いても地割れが起き、彼が戦おうものなら瞬く間にその場所は更地と化す。  魔法もスキルも無効化吸収し、自分のものにもできる。  まさしく『最強』としての力を得た暁人だが、等の本人からすれば手に余る力だった。  制御の難しいその力のせいで、文字通り『歩く災害』となった暁人。彼は平穏な異世界生活を送ることができるのか……。  これは、やがてその世界で最強の英雄と呼ばれる男の物語。

処理中です...