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第013部 序列第13位と生きた山脈×まだまだ続くよ空の旅

第07話 崇幸の特別料理

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「空だ…すごいな」
「だよなぁ」
《アタラクシア号》に訪れたキッフと動物達、動物達は野菜が沢山置かれ、木や土や草が置かれた部屋で落ち着いて過ごし、キッフは窓から外をしきりに見ていた。
「ここで《エンビ》を観光しながら皆を待っているんです」
「今夜はさ崇幸さん達が魚って言っていたから魚で良いかな?キッフさんは嫌いな物はある?」
「いや無いよ、何でもって…魚食べられるの?高級品じゃない?」
詠斗が夕食は崇幸達に合わせて魚にしようという話しで、キッフに聞けば驚いているが詠斗達からしてみれば魚ダンジョンや《島船》で貰った魚が大量にある、ごくありふれた食材だった。
「刺身で食べると美味いよ、色々用意するよ」
「俺も手伝う」
「悪いよ、俺も手伝う」
「俺も、1人が長いし食堂でたまに働いていたから料理はそこそこ出来るよ」
「いいよ、休んでて。キッフさんも疲れたでしょ」
「お風呂出来てますよ、せっかくだから入って来て下さい。良かったら子ども達も連れて行ってくれると助かります。洗濯機に服も入れて下さい。服は置いてあるのを来て下さい」
「分かったよ。キッフ俺が教えるから行こう。みんなもね」
『はーい』
キッフとアコミアが手伝いをと言えば綴が気を遣って風呂へ子ども達を頼む、アコミアがキッフと子ども達を連れて大浴場へ向かった。

「よーし、すごい魚料理を作るからな!楽しみにしててくれ」
《黒鳶》に戻った崇幸達、ナチュ達も驚いて辺りを見渡している、グローリー達が案内をするというので任せる事にし、崇幸、懐記、外神が中心となり寿司パーティーの準備を行う事にした。
《ノゼハ国》やチェカと共に来た町人達も厨房と食堂に集まり総出で食事作りを始める、寿司用のネタ、刺し身、焼き魚、煮付け、酢飯、味噌汁を作る為の作業分けを行い魚を捌ける者達が捌き方を教え夕食に取り掛かった。
「へぇ、これはいいわ」
「インパクトがありますね」
「だろ?外神君の塩が旨いからやってみたくてな」
「そうねーこっちも1人とかじゃやらないわ」
「だろ、後は…今夜のお楽しみって事で、さ、始めようか」
崇幸と懐記と外神でひそひそと今夜の特別料理について話しをし、手分けして作業に取り掛かる、俄然やる気の出て来た崇幸の傍で魚を捌く千眼達、ジラとイシュターとチェカは薬が足りない薬作りに向かった。

「気持ち良かったなぁ」
「すごいよなーいつでも好きな時に入れるし、自分達の部屋にも小さいけど風呂があるんだよ」
「すごいな、石鹸とかってあんな良い香りするんだな。すごい高級品なのに…動物達の風呂もあって」
「贅沢だよね」
風呂から上がったアコミアとキッフと子ども達、浴場から上り食堂に向かえば温かい食事が用意されていた。
「ご飯できたよ」
「さぁどうぞ、温かいうちに」
「おかわりも沢山してね」
「たくさんあるすよ」
「よ、俺はヤクハだ!子ども達の風呂ありがとな。こっちで料理とかしてたら挨拶が遅くなった」
晴海達がどうぞと席に座るように促す、食卓に並ぶのは焼いた魚と白身の刺身、大皿には芋と野菜の煮物と野菜炒め、貝のみそ汁に白いご飯がそれぞれの卓に並び子ども達も座って、ラウラスと料理をしていたヤクハも挨拶を交わし食卓に着いた。
「飲み物は果実水とお茶好きな方を選んでね、では」
『いただきまーす』
挨拶を交わして食べ始める、賑やかな晩餐にアコミアとキッフは顔を綻ばせながら料理に舌鼓を打った。

「へい、お待ち!」
「これがすし?この緑のを醤油に混ぜるのか?」
「付け過ぎると辛いので本の少し醤油に溶かす様に混ぜてみて下さい」
「外神っち、チューブのワサビって木に出来る?」
「後でやってみます」
「わ、初めての味~おいし」
「なるほど私もやってみたいな」
「教えるよ」
「おかわり、次はこれ」
《黒鳶》の食堂で寿司を握る崇幸達、崇幸は若い時に寿司屋でバイトした経験があるらしく様になっていて、懐記と外神の見様見真似いった感じでシャリを握りネを乗せる、3人で寿司を握るには人数が多すぎるので海鮮丼と味噌汁、後は酒が並び大いに盛り上がった。
マユラとシュリも寿司の握り方を教わり握ってみれば、中々胴に入り各自おかわりは用意された酢飯に準備された刺身を自由に乗せて食べている、他の《ノゼバ国》の民や町人達は生の魚を好奇心で食べる者、焼いた魚を食べたりと自由に食していた。
「このわさび?っていうのツーンてする」
「ちょっとだけにすると合う」
「このスープもすごくおいしい、なんだろ後味と香りとか良いね」
チェカやノイズとジュナイもスプーンで口に運び美味しさに感動する、ミュナイも仲良くなった子ども達といっしょに焼いた魚や肉を美味しそうに食べていた。
「おいし」
「うまー」
「もとー」
「あいー」
「たくさん食べてね」
「ほら、零れる」
「あーあ、水飲め」
「いやあ、魚ってこんな美味しいんだ」
グローリー達もナチェが連れていた子ども達の食事の世話をしつつ自分達も食事を行う、ナチェはいつも子ども達に自分の分の食事を回していた為自分の食事をまともに食べるのはいつぶりだろうか、ゆっくりと噛み締めて味わっていると、ゴーレム達と特別料理をワゴンで運んで来たようで場が湧く、白い布で隠されたワゴンは大きく盛り上がっていた。
「今夜のメインは一番大きな魚をゲットしたナチェに贈るよ、布を取ってみてくれ」
「じゃ、いくよ」
ナチェが白い布を外せば歓声が上がる、出て来たのは魚が見えないように卵白を混ぜた塩を魚のまわりに塗り固めて焼いた塩釜焼と魚の頭をじっくり焼き上げた兜焼きが姿を現した。
「ええ!何これ?頭?これは?」
「これは塩釜焼ってやつだな、この魚の形の白いは卵白を混ぜた塩なんだ、割って中を食べる。これは兜焼き、頭をじっくり焼き上げた物だ。見た目はあれだけど栄養満点目玉はぎゅーにあげたら喜んでたな」
「お、おぉ…」
「無理しなくても大丈夫だぞ、こっちで食うから」
「い、いやせっかくだからって、こら齧らない」
「うまー」
「うま」
「おいち」
「あぐ」
ナチュが見た目とは裏腹な食欲をそそられる匂いにフォークを刺そうとすれば先に子供たちが自分と同じ位の高さの頭に齧りついているので、ナチュが引き剥がすが…無理だった。
「気に入ったみたいだな、たくさん食べるといい。栄養満点だからな」
崇幸が子供たちの頭を撫でてやり、ナチュもおそるおそるフォークで頭の下の方の身を取り口に運んだ。
「おいしい!なにこれ!」
口に入れた瞬間立ち上がり子供たちが転がりそうになったのをグローリー達が受け止め、我に返って顔を赤く染めた。
「あわ、あ、ご、ごめん」
「あはは、またやろうな」
崇幸が笑い周囲も笑い声が溢れ、グローリーが身を取りナチュの前に置いてくれた。
「ありがとうございます」
「崇幸のご飯おいしいからたくさん食べて」
「はい」
塩釜焼きも見た目より塩気もなく食べやすく、口の中で身がほろりと溶けた。
「おいしいなぁ」
しみじみと味わうナチュ、子供たちも沢山食べてデザートにはよく冷えた果物も出され久し振りの満腹感を楽しんだ…。
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