あなたは異世界に行ったら何をします?~良いことしてポイント稼いで気ままに生きていこう~

深楽朱夜

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第013部 序列第13位と生きた山脈×まだまだ続くよ空の旅

第05話 大魚

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「お、千眼さん釣り上手いな」
「ああ…」
崇幸の隣で千眼が崇幸が出した椅子に座り次から次へと魚を釣り上げ掘った土に水を入れた小さな池に魚を入れ、パン屑を針に刺してまた放ればまた魚が掛かる、最も魚を釣っている千眼の顔は真剣そのものだった。
「釣れたわ」
「取られたな…」
「俺は釣れたなー小舟出して湖の上で釣りしたいなー」
「それいいな、明日には用意出来るけど…俺木をくり貫いて舟造れるけどね」
懐記はぼちぼち魚が釣れ始め、マユラは餌を取られギーギスは舟に乗りたがりチェカは舟を造りたいようで、各自それなりに釣りを楽しんでいた。
「ジュナイとミュナイに美味い魚食べて欲しいな…2人とも痩せたし…」
「釣れてはいるけどな」
「飽きたー酒飲みたい」
「フォン全然やってないじゃんか」
ノイズは真剣に釣りと向き合い、シュリもそれなりの釣果を上げフォンは欠伸を噛み殺しイデアは呆れ返るがじっとしているのが好きなイザラとグローリーは黙々と釣りを楽しんでいた。

「さて、晩飯を獲るか」
買い物から戻り子ども達を周辺で遊ばせ弓を準備し、大湖に眼を向け獲物を探す。
「今夜は魚とスープ…いつもと同じだけどなー」
『あーい』
青年が申し訳なさそうに言うが子ども達は気にせず近場で草や土を弄って遊んでいる、青年は苦笑いを浮かべて、我慢させているなーと思いつつ水面に付近にいる魚に向けて矢を放つ、水面をばしゃばしゃと暴れるもすぐに静かになり矢に巻き付けた縄を手繰り寄せ自分の背丈の半分程の魚を引き上げた。
「もう1匹獲るか…ん?向こうに誰かいる?んーあっ!お前たち親父だ!お前たちの親父がいる!こっちに気付いてないな…転移では行けないか…あれは!」
青年が眼で次の獲物を探せば斜め向こう岸に人影を発見し、距離が大部ある為視界に魔力を注ぎ注視すれば子ども達の父親がいると青年が声を上げた。
「ぱーぱ」
「ぱぱ」
「おとー」
「とー」
子ども達も嬉しそうに手を叩き声を上げるが、斜め向こう岸に向かう水面を駆ける魚影を確認し、矢を番え放つ機会を伺った。

「ん?」
「何か来るな」
ジラとシュリが大湖を駆ける巨大な気配に反応し立ち上がる、皆に距離を取るよう声を掛け剣を構えた。
「…巨大な魚…来る」
「風魔法」
「切り刻んじゃう?」
駆ける何かを魚と確認した千眼、外神が風魔法を発動させようとしフェシェスタがにやりと笑うのと同時に水面の巨大な魚影が激しい水飛沫と共に宙に跳ね上がった。
『でか…』
全員の声が揃い思わず見入ってしまう程の大きさ、輝く黒い鱗と見事な尾鰭の巨大な丸い口を大きく開けた先はギザギザの歯がびっしりと生え、その巨体ごと此方を餌と認識した魚が捕食しようとしたその時何処からか縄を付けた矢が見事巨大な魚の中心部に突き刺さり派手な水飛沫を立て水面に沈み、崇幸達が激しいシャワーに打たれた様に全身濡れてしまった。
「おお!すごいな!どこからだ?」
「んだよ、濡れたぞー」
「あっちの方角みたいだな」
「いや、すごい距離だぞ」
「……魔人ですね。子どももいます」
「行く…」
「父さん、みんなでいこ」
「そーそ。コイツも持って行こうぜ」
「腕がいいな」
崇幸がびしょぬれではしゃぐ、外神が矢が放たれた位置を突き止め眼を使えば魔人と子ども達がいる事を確認、グローリーが向かおうとするのをイザラとイデアが止め、まずは魚を回収し風魔法で全員の身体を乾かしてから行く事にした…。

「おーいおばちゃん、飯良い?」
「あいよ、聞いたよアコミアーこの街出るんだって?」
「まあね、でも時々戻ってくるよ」
「そうかい、大人数だから外で良いかい?」
「ああ、適当に頼むよ」
「あいよ」
アコミアに案内された古い食堂、アコミアが呼べば体格の良い中年女性が愛想よく出迎えてくれた。
詠斗とチグリスも合流し、邪魔にならない様にテーブルとイスを収納袋から出していく。
神々が空の魔力を抑えてくれているので、転移や収納空間が使えるようにはなったが空が使うとぐずるので最小限の使用に控えている。
「俺、手伝ってくるからみんなは休んでて」
「俺、手伝うよ」
「僕もお手伝いします」
「俺も手伝うすよ」
アコミアが大人数だから店が大変だろうと厨房の手伝いに入ると言えば、詠斗と綴とラウラスが自分達もとアコミアに続く、晴海やチグリスは子ども達の世話をしつつ晴海は空に果物を擦り下ろした物を用意し匙で食べさせ、子ども達は買った本やおもちゃで遊んでいた。
「チグリス、このお店は酒とお茶しかないから子ども達に果実水渡してあげて」
「ああ…」
詠斗の声が店から聞こえ、チグリスが収納袋からコップを出し晴海から果物を貰い風魔法で果物を擦り潰し水魔法で水を注いで磨り潰した果実を入れて、スプーンで掻き混ぜ氷魔法を使い調節し冷やして渡していく。
『ありがとう』
「ああ…」
子ども達が受け取り礼を言って美味しそうにごくごく飲んで行くので、ピッチャーに沢山作ってテーブルの中央に置いて好きに飲めるようにしておく、最近のチグリスの仕事は専ら子ども達の世話だった。
こういった作業も慣れた物だ、最初は種や皮も磨り潰し苦みのある果実水を作ったりもしたが今は色々な果物を混ぜて味を変えて出せる位にはなった。
「はい、サラダすよ。先食べて下さいす」
ラウラスが色とりどりの野菜を使ったサラダを大皿で運び、小皿とフォークを置いて行ってしまうのでまたチグリスが取り分けていく、バランスと量も平等にて子ども達に渡していく。
『いただきまーす』
食事の前の挨拶を子ども達が行い、嬉しそうにサラダを食べれば料理が次々と運ばれてくる。
「この店の自慢の煮込みと丸ごとの鳥をじっくり焼いた物だよ」
アコミアが運んで来た前日から仕込むという豆と肉の煮込みと、自慢の名物の鳥1羽を使った丸焼きに子ども達の目が輝く、キノコと木の実のソテーと野菜をじっくり煮たスープに、焼き立てのパン並びチグリスが肉を取り分け、晴海がそれを子ども達に回していった。
「はい、チグリス、晴海くん。腸詰めと芋の炒め物」
「わ、美味しそう」
「詠斗…」
「なに?チグリス?」
「足りない…」
「まだまだ来るよーはい、子ども達優先にしているチグリスにご褒美ね」
「ああ…」
次々運ばれる料理は食欲旺盛な子ども達の胃に瞬く間に消えていき、足りないと零せば分っていると詠斗が以前纏めて焼いた肉ダンジョンのステーキ肉を出してチグリスの前に出してやれば……涎を垂らした子ども達がこちらをみているのでそれも切り分けて子ども達の皿に載せてやる…チグリスが食事にありつけるのは子ども達が満腹になるまでお預けだった…。




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