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第013部 序列第13位と生きた山脈×まだまだ続くよ空の旅

第7幕 第21話 再会の宴 ×Stage.7-21 動く

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Stage.7-21 動く
夕方、蒐集家が出した薬屋は延々と長蛇の列で途切れない、何せ無料で薬やケガや病気等診てくれるのだ、噂が噂を呼び住民達が押し寄せてくる。
それに対応しひっきりなしに薬草ダンジョンからドロップ品が運び込まれ、《ガルディア》《ホウラク》《島船》や《ゼロ商会》の面子が蒐集家の元薬を調合し、炊き出しを行う。
カイムとヤハネ達は訪れ列に並ぶ住民達の名前、年齢性別等を聞き所在が分かる様に魔石で作られた首に掛けられる鑑札を渡す、これが無料の条件だった。
「よし、これでもう痛くない」
「ありがと」
「ありがとうございます」
別口でテントを用意し中ではレグやアゲイル達が、ケガ等をしている者達に回復魔法を掛け、重篤な者達の避難所として解放していた。
「列抜かすな、抜かす奴にはパンと飲み物は渡さねーからな、ケガや病気じゃなくて腹減ってるだけの奴らはあっちだ」
「あんたとあんた、そこの奴はこっち」
「なんでだよ!俺らもずっと待ってんだぞ」
「嫌なら並ぶな」
カイムとヤハネが列に並ぶ人々にパンや飲み物を配り、女性や子供達には干した果物や飴にミルクを渡して、体調が優れない者やすぐに対応が必要な者なレグ達のテントを案内するが、それを面白く思わない輩達が文句をカイムが一蹴して何も言えず大人しく並ぶ、金銭が発生しない分事は此方が有利に運べる。
「風呂の準備が出来た」
「さ、薬や食事が済んだ方は此方へ」
「中は広いからなー」
「男性はこちら女性はこちらへ」
「着替えも配ってまーす」
「どうぞー」
皇国とはいえ見放された場所、ドラゴンのアルケールやナイデル、カークやエンフ達も造ったクラークラック達の回復湯を使った方公衆浴場に人々を招き、率達やカヌイ達もスキルで出した服等を配り手伝いをしていた。
「なるほど大した物だな」
「すげーな」
手伝いを行うミカイやトワンもその手腕に舌を巻く、何処かにふらりと行ってしまったフゥは良いとして住民達の顔色は良く笑顔が溢れていた。
「肉を持って来た」
「こちらは魚とベルンからミルクを預かった、子供達に飲ませてくれと」
「ありがとうございます!カトゥーシュカさん、フィズさん」
外で炊き出しを行っていたバルタルやカイネ、ワンズ達が、ダンジョンから食料が届きさっそく手分けして調理を行う。
「みんなー交代で休憩してねーおにぎりと唐揚げ、もつまんでねー飲み物もあるよー」
「お風呂入った方、お家がない方お布団受け取ってテントに入って下さいー」
舵は働く皆の食事を届け山盛りのおにぎりや唐揚げを置いていき、燈火は敷き布を渡して家が無い物はテントへと促した。

「熱冷ましと咳止めが失くなりそうですね、栄養不足や環境の悪さで肌に疾患がある方々が多い、塗り薬と…おや、戻りましたか」
「ええ、これを薬草ダンジョンのドロップ品です」
蒐集家がラヴィトリとオーケスと必要な薬の確認をしていれば店の奥からいつも変わらないタナトスが
姿を現し収納袋に納めたドロップ品を渡せば大河が用があると呼び止めた。
「聞きたい事があるそうだ」
「そうですか」
スマートフォンで千歳やミカイ達を呼び、店の奥に来るよう大河は伝えた。

第7幕 第21話 再会の宴
「それじゃ無事に問題が解決したのと、ノイズが親友に会えたのと…かわいい魔王にカンパーイ」
『カンパーイ』
《黒鳶》と《アタラクシア号》の画面を繋ぎ盛大な宴会が、コップを持った崇幸の音頭で始まった。
「明日は千歳君達から色々報告があるようだし、早くから会議があるから程々にな」
『はーい』
《黒鳶》の懐記達は肉や魚や野菜をなんでもかんでも鉄板で焼いて好きに味付けし、酒を振舞い兎に角食べて飲んでを楽しむ、《アタラクシア号》の詠斗達は人数も多いのでいくつもテーブルを分けて自由な味付けの鍋パーティを行っていた。
『良かったすね、トゥナー目が覚めて…』
「ラウラスさん…でも取り戻さないといけないものが出来ました…」
『俺も手伝うすよ』
「ありがとうございます」
トゥナーは起きたばかりなので野菜のスープを飲み、《アタラクシア号》にいるラウラスと話しをしながらトゥナーはラウラスにナギを取り戻したいと決め、ラウラスは手伝うと言ってくれ、互いにまた食堂で料理しようと近況を報告しあった。

「なあ、アンタはユノンて魔人知っているか?俺ずっと探しているんだ…」
『ユノン……そうか…お前がギーギスか…』
「知っているのか!?どこにいるんだ!」
『……すまない、今は言う事は出来ないが…安全な場所にいる…大丈夫元気だ、信用してくれ』
「そう…か…やっと手掛かりが見つかった…無事なんだな」
『ああ、合流したら話しをしよう』
《アタラクシア号》のヤクハにギーギスがずっと探していた魔人を知っている人物に会え、ギースは安堵に胸を撫で下ろす、無事であるならば先ずはそれで良いと笑みを浮かべ画面越しにヤクハと杯を掲げた。

『わあ、可愛いね!会えて良かったね千眼さん!』
「ああ…今は芳しくはないが暫くすれば元気になる」
食堂のソファで膜に覆われくったりとしている序列第13位の魔王、スマートフォン越しに晴海と綴と会話を行っていた。
「13位…私の仲間達だ…」
『もちゃぁ』
『俺は晴海だよ!』
『僕は綴です』
『俺は詠斗だよー早く会いたいな』
詠斗も加わり挨拶や取り留めのない話しを行う、《黒鳶》は《エンビ》に向かって航行中だ、酒や肉に魚や果物、崇幸のスキルのコンビニからも惜しみなく食材が出され宴会はどちらの船も遅くまで続き、《黒鳶》は《エンビ》に向かい航行を続けた…。

Stage.7-21 動く
「お前が決闘会の挑戦者の1人かスキルと種族、実力を教えて欲しい」
「お断りします、私は勝ちますから」
「……その自信は何処から来るんだ?相手は何か分っているのか?」
「見当はついています、問題ないです」
タナトスが加わり薬屋の奥の部屋で夕食を共にしながら、ミカイがタナトスに尋ねればそう返されミカイも口をへの字に曲げた。
「私が万が一にもあり得ませんが私が敗北しても、後に2人控えていますから。決められた掟には金を積めば決闘の引継ぎも出来るとありますし」
「その控えも相当な実力者なのかよ?確かにアンタは強いだろうが勝てるとは思えん。この肉焼いたのお代わり」
テーブルに並ぶのはステーキ丼とサラダ、キノコのスープに果物とよく冷えた果実水をガツガツと食べたトワンがお代わりを頼み、ゴーレムが運んでくれる。
「決闘会の当日に私の実力派分るでしょう、私が支配者を屠れば此処の支配者は私です。貴方達は私の物ですね、いまのうちに従う心の準備でもしておいて下さい」
『…………』
「なあ、こいつ本当に大丈夫かよ?」
「お前が勝てばそうなるだろうな、私はスープを…」
「肉は食べないんですか?」
「口に合わない」
「そうですか」
「やっと終わった!」
「お腹空いた…」
勝気なタナトスにトワンもミカイも呆れ返っていれば、ウォルゾガとエージェが疲れた表情でやってくる。
「意外と早かったですね」
「お前が早すぎるんだよ、姿が全く見えなかった」
「喉…乾いた…これ薬草ダンジョンのドロップ品…」
「ほら、飯食え。お疲れだったな」
えージェガ出されたコップの果実水を一気に飲み干しドロップ品が入った収納袋を大河に渡し、ゴーレムが運んできたステーキ丼に有り付いた。
『タナトスちゃーん、西にトーンドンの群れおよそ100いるけどどうするー?魔物の群れがいたら教えて欲しいって言ってたから報告よーん』
「行きます」
「お、おい」
「戻ったばかり…」
【うちのマスターが解体したいと思うんでなるべく綺麗な状態での回収お願いしまぁす】
「いいでしょう、半分は外神に半分は此処に渡します。解体と加工が出来る者が教え皇国に売れば金が稼げるでしょう、準備しておいて下さい。識向かいます」
『りょーかいよん、夜だから活発よぉ。気を付けてねぇん』
識から連絡が入りタナトスは食事を終わらせ立ち上がる、ウォルゾガもエージェも慌てるが容赦なく2人を置いて転移で移動を行い姿を消した。
「なんだアイツ」
「獲物の状態を見れば強さが分るだろう」
「なんだかいきいきしているね、タナトスさん」
「ストレス…溜まっていたのかもな」
「デスクワークだからね…ジムとかタナトスさんのオフィスに造ろうか…」
トワンとミカイは一連のタナトスの態度に軽く引き、大河と千歳はストレス解消出来れば良いと思った…。

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