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第012部 空の旅は安心安全にみんなで会いにいこう

終戦のナギep.10

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「おかえり!親父」
「おかえり父さん、お風呂入ろう」
「ただいま…皆で入ろう」
「……」
「いや?1人ではいる?」
《黒鳶》に転移しイザラ達が出迎える、風呂の準備に少年が戸惑いの表情を浮べたのでグローリーが寂しそうに尋ねる。
「父上と一緒が良い」
「うん」
「いこ」
「早く入って飯にしよ!今日はハンバーグだ!」
グローリーと少年の手を引き風呂場へと向かう、懐記は崇幸の傍でこっそりと耳打ちした。
「崇幸っち、この船って」
「あーまー大人向け?ってやつだな」
「あー俺は好きだけど」
「出すつもり無かったんだよ」
「言わなきゃ分からんない」
黒を基調とした崇幸らしくない内観、懐記は何かを察知し肩を叩いて自分達も汗を流そうと風呂へ向かう。
「一応子供は使わないってイメージで露天風呂もあるけど行くか?」
「何、空風呂ってやつ?いんじゃない」
『皆様お疲れ様でした、これより速度を上げて現在速度を落として運航中の《アタラクシア号》に向かいます…と言いたい所ですが明日午後に到着予定の街《エンヴァ》に中継器を置く事をお勧めします』
「ありがとう、風早君。そうしよう、詠斗君達には後で連絡をして…《ノゼバ》の皆はどうかな?不都合不便はあるかな?」
【特にそう言った声は上がっていません、皆さん疲労していますし休んでいます。崇幸様のスキルが大活躍です】
「さんきゅ、ナビっち」
通信状態も元に戻りゴーレム体の風早達と、船のナビゲーションもフルに活用しせっせと働いていた。
「話は食事をしながらにしようか、俺達も行こう」
「ん」
外神の後で様子を見に行こうと決め風呂に行く、床も天井も夜空をイメージし薄暗いが煌めいていて綺麗だ、飾りや装飾は少ないが煌めく星が壁や床や天井を流れ瞬き目を楽しませてくれた。

「温かい…」
「目を閉じて…」
「ん…」
少年の髪を洗ってやり泡を流す温かいお湯、いい香り…父の優しい声…心地がいい…。
「寝ちゃったね…」
「もう出よう…」
「この飛行船カッコいいけど、《アタラクシア号》の方が好きだなー」
グローリーが眠ってしまった少年を抱え風魔法を使えばヒヨコが零れパタパタと少年の胸の上に乗る、イザラとイデアも一緒に出て着替えを行う、暗い照明に瞬く星々の浴場は静かでイザラには合わない気がした。
服を着せて大部屋に風早に案内されて食事は此処で摂る事に決め、ゴーレム達に運んで貰う事にした。
「明日まで目が覚めなかったらハンバーグサンドイッチにしよ」
「だな、晴海達に後で電話しようぜ」
「うん、そうだね。イザラ、イデア…会いたかった…」
「父さん…」
「親父…またすぐ戻るのかよ」
「……暫くはいる…でもみんなの所にも戻る」
「父さん…欲張り」
「それな、こいつの名前決めた?」
「うん、起きたら伝える」
グローリーの飾り気の無い真摯な言葉に2名が照れくさそうに笑う、あどけない寝顔で眠る少年の頭を撫でてゴーレム達が運んでくれた、イザラ達手製の熱々の鉄板のハンバーグに目玉焼きを乗せ、コーンと芋のソテーを添えた物、果物と野菜のサラダ、具沢山スープとパンにお茶を皆で美味しく頂いた…。

【ここがマスターとトゥナー様が休んでいる部屋です、現在ジラ様とイシュター様がいます】
「ん、ありがとうナビっち」
【食事を持ってきますね】
「よろー入るわ」
懐記がノックし中に入れば寝息も立てずに人形のように眠るトゥナーといつも通りの暗い外神はベッドに腰掛け、ジラとイシュターが用意されていた2人用のソファに座っていた。
「ここは広めのベッド2つの部屋ね」
「おー懐記、なんか飲む?」
「ん、なんか頂戴」
「オッケ、俺とイシュターも風呂行く。飯置いといて」
「オッケ、風呂なら上の外にあるのがおすすめ」
「サンキュ、行こうぜイシュター」
「ああ、懐記もゆっくり休め」
「りょーかい」
ジラが冷蔵庫を開け冷えた果実水のボトルからピッチャーを出し注いで、外神の分もテーブルに置いて部屋を後にする、残されたのは眠るトゥナーと外神と懐記だけだった。
「ほい、飲めば」
「いただきます…」
「身体は平気?」
「はい、問題ないです。ナギさんの件…」
「ナギっちは蒐刻っちの子って言ってたから酷い目には合わないと思うけど」
「……油断したつもりはありませんでした」
「外神っちに全部を押し付けたつもりはないけど、ナギっちをあっちに渡したは誰のせいっていうのなら皆でしょ」
「そんな事は…」
「外神っち、向こうにはキリングっちがいる。アシュアっちとも話しがしたい、もしかしたらナギっちが動いてくれるかもしれない。グリっちとキリングっちの眼は繋がっているから」
「あ…」
懐記の考えに外神がはっとする、もしかしたら万が一にでもナギとキリングが会えればと前向きな考えを持てる、懐記が少し笑い外神の長い前髪を指先で上げる。
「だから、そんな顔しない」
「はい…」
「飯きたわ、うまそう。頂きます」
「いただきます…」
湯気立つ食欲のそそるソースの匂い、目玉焼きが乗ったハンバーグ、ソテーサラダとスープとライスをゴーレムが運んで来てくれありつけば、肉汁が溢れ顔が綻ぶ。
「美味しいです」
「ん」
静かな食事の時間が続く、穏やかだ、互いに会話少なくゆっくり食事を行った。

「そうか…友が目の前で…」
「ああ、魔王の子って言われたがナギはナギだ取り戻す」
夜空が近い露天風呂に浸かりジラがイシュターに事の顛末を語る、ジラは淵に両腕を広げ乗せて顔を上げた。
「……ジラなら取り戻せる」
「どーも」
イシュターの抑揚の無い声だが真摯に思いを伝え、ジラも笑って受け止めた。
「今夜は酒でも飲むか、付き合えよ。イシュター」
「それは良い案だ」
風呂から上がった後の楽しみが出来、少ししてから風呂から上がり、懐記達のいる部屋へともどった…。
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