あなたは異世界に行ったら何をします?~良いことしてポイント稼いで気ままに生きていこう~

深楽朱夜

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第012部 空の旅は安心安全にみんなで会いにいこう

終戦のナギep.7

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「くっ!」
「なんだよ、力入ってないじゃん。飯食ってないのか?食ってからやるか?」
「平気だ…」
少年とイデアの打ち合いイデアが余裕の表情で受け流す、少年は剣撃が決まり切らず空腹と顔の傷が疼き思う様に動かない、魔人の筈なのに空腹も睡眠も然程必要ない、多種より圧倒的の有利な存在なのに…目の前の同じ魔人には届かない、互角だと思われる実力はイデアの方が僅かにどうやら上のようだった。
「軽いな…じゃ終わりにしよう」
イザラの剣に魔力が込められる、ゲーライフラステスの頑丈さを誇る鱗の剣に魔力が満たされた。
「終わりだな」
「風呂の準備と着替えもある」
「飯もおっけ」
「以外に持ったじゃん」
「イデアちゃんが手加減してくれたんでしょ、あの子連れて戻って《ガンネ》を出て詠斗ちゃん達と合流しよ」
ジラが間もなく終わるのを見極め、イシュターが懐記の家を出して風呂と服の準備をしてくれた、最近は皇国の孤児院の子供たちの世話でそういった事もはやくなった。
「……綺麗な剣だあ、イザラの剣綺麗…イザラにすごく合ってる」
「うん、綺麗だよね」
ナギもイデアの剣に見惚れイザラもニコリと笑う、カーテスとウォルゾガの大事な者の剣だ、イデアもとても大事にしている。
「私はお前の先にいるあいつを倒して父上に会う!」
「んな事しても親父は喜ばねぇよ!」
「強くどの種よりも上を行くのが魔人!更にその上に君臨するのが魔神皇!父上だ!強く他を圧倒出来ない魔人に価値はない!」
「やめて…みんな仲良くして欲しいのが俺の喜び…強さでなんか価値を決めないで…」
「親父!?」
「父上…?」
少年の悲鳴じみた叫びにイデアがグローリーはそんな事は思わない、家族やみんなが笑っていてくれたら嬉しい魔神だ、ああ、声が聞きたいと顔が見たいと父を恋しく思うイデアの耳にグローリーの声が聞こえた。
「父さん?」
「もう終わり、もうおしまい…おうちに帰ろう」
「あ…え…ぁ」
「ごめんね…迎えに来るの遅くなった」
イザラも空間を裂いて無表情だが金色の瞳の方は悲し気な色を纏うグローリーに駆け寄り、少年とイザラもまた剣を下げ、少年は言葉にならない声を発しているのをそっとグローリーが抱き締めた。
痩せた細い身体…大き目な服を着て体型を誤魔化した姿が痛々しい、グローリーは少年の頭を何度も撫でている、少年はグローリーの背中に手を伸ばしぎゅっと服を掴んだ。
「グローリーさん…無茶をしましたね…」
「…うん」
「身体にダメージがいってます、少し休んで下さい」
「うん…でももう少し…」
外神がグローリー達の傍に行き、状態に異常を来している事を告げればグローリーも気まずげにしている。
「しばらくは使わない方が良いですね…慣れれば他の孤児院に行けるようになります」
「はい…」
グローリーは確かに疲労している、ゴーレム達も元合成獣達も心配そうにしている。
ゴーレムと合成獣に持たせているナイフを外神がちらりと視界に入れ、まずは話をと外神が促した。
「では茶会の前に回収させて頂きましょうか」
「やほー」
「あっ!」
「ナギ!?」
「ナギくん!?」
空間が裂かれるのと同時にジラの隣にいたナギの身体に黒い縄が絡みつき、空間を裂いた者…序列第12位蒐刻魔王と可愛らしいが何処か歪な笑みを浮かべた少年の方へとナギは転移されてしまった…。

「この船…すごいですねー崇幸さん」
「いやぁ、まあ、静かに大人が過ごせる飛行船をってリクエストされて…造ってみたんだけど…なんかやり過ぎたよなー」
「そんな事ないですよ、素敵です。黒いお城の空飛ぶ城みたいですね」
「そうか、なら良かった」
「ゆき…この国の民…生き残り全てを入れた」
「お、ありがとう、千眼さん。風早君とナビ君に船での過ごし方を教えて貰って……国を故郷を捨てる…か」
「崇幸さん、飛行船に名前を付けて下さい」
「そうだなー黒い城と飛行船をイメージしたんだけど…明るい場所で見ると赤が混じっているように見えるな…うん、《黒鳶》にしよう」
「綺麗な名前ですね、何処かニアさんを思わせる色です」
リクエストを受け造ってみた大人達が空でゆっくり過ごせるように、360°景色が何処からでも楽しめるように船の上に円柱型の黒色の城を乗せたような飛行船、それに生き残った民を乗せ…まるでノアの箱舟めいた物だと崇幸は思った。
「ゆき…ここは呪われた土地へと変わって行く…浄化をしても元に戻らないだろう…」
「ああ、この国に住んでいた人々に許可は取った…」
「亡くなられた人々は…神様達にお願いし肉体は土に還りました…」
「よし、風早君船を飛ばしてくれここの片づけが終わったら転移で向かう」
『承知しました』
【了解です】
シュリとマユラ達も《黒鳶》に乗り込み崇幸と千眼、トイが残る、この国を更地にする為崇幸のスキルを使う。
「始める」
「はい、どうかこの地に眠る皆さんに安らぎを…」
崇幸がポイントを支払い、広範囲に渡り一気にスキルゴミ処理で処理出来るようになり、壊れた城も何もかもを処理し国だった場所が大地へと変わった。
「………」
千眼が蝶を無数に放ち種を捲いていく、綴が祈りを込めてブレスレットの外神の促進魔法が入った魔法石を発動させ花畑へと姿を変えた。
「ここは…呪いの地へと変わり…呪いが消えるその日まで人は足を踏み入れる事は出来ない」
「ああ…でもまた来よう皆で、ゆき…あちらの様子を見てから戻る」
「ああ、頼んだよ千眼さん」
「行ってくる…」
崇幸が千眼とトイの肩を叩く、神々と千眼の手により元《ガンネ王国》は民以外から忘れられていく、辛いのはこの国の民だろう…自分達に出来る限りの事はしようと決め崇幸とトイは《黒鳶》に、千眼は懐記達の元に転移した…。
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