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第012部 空の旅は安心安全にみんなで会いにいこう
終戦のナギep.5
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「わ、あの辺一面綺麗な黄色の花畑だー」
「あれ…うまい…詠斗おにぎり」
「はい、梅干し。気になるな、降りてお昼とかにしたいね」
「いいですね、飛行船の中ばかりでは退屈ですから。風早降りても問題ないですか?」
『………はい、周りに危険な生物はいません』
「ありがとうございます、懐記君達は大丈夫ですか?合流出来ましたか?」
『……出来ました、ジラ様達は戦の最前線へ向かい、外神様達は《ノゼバ国》に残り兵士の治療を行っています…』
「そうですか…暫く掛かりますか」
『………はい』
懐記と崇幸から心配を余り掛けたくない、詳しくは言わずに伝えてくれと言われている、マスターに全てを話せないのは心苦しいがきっと詳しく話せば《ノゼバ国》へ向かうと言うだろう、傷付くだけだだからここにいて欲しいと風早は思う。
「あ、あの花うまいすね。酒や果実水、料理に使っても美味す。俺とチグリス様が運びますからみんなでいくすよ」
「準備して降りよう」
《ノゼバ国》にゴーレム体に入り連絡を取れなくなった外神達と連絡を取る為にイシュターの背中に乗り合流してから1時間程、本当なら詠斗も綴も晴海もピクニックを楽しんでいる内心では無いが、子ども達に不安を見せたくない一心で明るく振る舞っていた。
「みなさん、一緒にお昼の準備をしましょう」
『はーい』
『ぴぎゃ』
ウズラも明るく手を挙げ、ラウラスとチグリスと一緒に厨房で準備を行った。
「重症者はそっちだ」
「軽いケガ人は此方だ」
「スープとパンと果物ありますよ!順番に渡します」
城の庭で続々と怪我人達や途方に暮れて縋る物が此処しかない者達が集まり、手当てや食事を貰い…絶望と憔悴した表情を浮かべていた。
「うう…あなた…」
「おかあさん!」
「なあ、俺の子どもがいないんだ!」
「私の父親も…」
「ああ…おじいさん」
「うわわん、いたいよー」
「助けて下さい!」
次々来る人々、外神と千眼は街中に呼び掛け動けない者に薬を運ぶ、絶叫、慟哭、悲鳴、嘆きを聞きながら崇幸達は懸命に身体を動かす。
「………」
耳を塞いでしまいたい、そんな思考を振り払い崇幸は薬を渡し、泣く人々、嘆く人々、並べられていく無惨な死体にこの世界の惨さを目の当たりにした。
「崇幸っち、吐くのも泣くのもキレんのも後にしよ」
「懐記君…ああ、すまない」
「ん」
そんな崇幸の肩に手を置き懐記が前を見据える、それだけ伝え懐記も人垣に呑まれ怪我の手当てを行う。
「…………」
「………僕は無力です」
千眼と外神が向き直る、やるべき事は出来たようだ。
「この国…土地は呪われる…」
「浄化しても暫くは住めません…」
「《アタラクシア号》で《ガルディア》に運ぶか」
「ゆき…飛行船ならあれがある…」
「あ、あれかあ」
崇幸がこの土地にいられないのであれば《ガルディア》へと運ぶつもりだが、千眼がある提案を行う。
「あ、あれなら治療に専念出来るし部屋数もあるし…」
「戻るのは手間だ…」
「そうだな、よし、出すか!」
「ああ…」
崇幸は覚悟を決めて趣味満載、色々な意味で色々詰め込んだ飛行船を出した…。
「みなさん、遠くへは行かないようにまとまって大人の人と行動しましょう」
『はーい』
「少し遊んだらご飯にしよう」
『やった』
ラウラスと詠斗が昼食の準備を始める、辺り一面可憐な黄色い花の海の様な場所で綴とチグリスが子ども達と一緒に周囲を見て歩いていく。
「ほら、空綺麗だね」
「う?」
空をおんぶした晴海が黄色い花を摘んで見せると首を傾げる、晴海は笑って詠斗達の側で花を摘んで籠に入れていく。
「綺麗だなーまた来よう、皆で」
「中継器置いとこうか」
「うん」
詠斗が収納袋から中継器を取り出し置いておく、皆で来ようとこの綺麗な花畑でまた遊ぼうと詠斗は微笑んだ。
「さあ、お昼たべるっすよー」
『はーい』
『ぴぎゃ』
花を食べていたウズラも子供たちと一緒に向かう、黄色い花が舞いそれはとても綺麗な物だった。
「うまい!へえ、こんなのはじめて食べた」
「たくさんありますからいっぱい食べて下さい」
「こっちは手当終わったぞ」
「うん」
「風呂出すか、血や汚れが酷い」
「飯渡してくるよ」
「これをお願いします」
「死んだ奴の身体焼いて来たぞ、生き残っているのが不思議な位だな」
「よく持ちこたえたよー」
ナギと生き残った兵士達がトゥナーが作ったスープやパンを焼いた肉を貪るように食い、ギーギスとイザラとイデア、ジラが手当を行い食事をトゥナーから受け取りは運んでいく、フォン、フェシェスタが亡くなった者達の身体を焼いて戻って来る。
「ご苦労様です。ジラ君達とフォンさん達も休んで下さい、お風呂は用意しておきますから、ここの皆さんは全員で入って貰って僕達は2人ずつで入りましょう」
「ああ、イザラとイデアは先に入れ」
「うん」
「分かった、ナギだっけ?一緒に入る?」
「ふろ?良いの?入る」
トゥナーが収納袋から、アルケールとアゲイル、レグが作った持ち運び浴場、木で出来た小屋に脱衣所と岩をはめ込んだ風呂場と石鹸やシャンプーやタオル、簡易的な服まで備えた物を2つ出して兵士達や傭兵達奴隷達も目を見開きながらされるがまま案内を受け風呂に入る、ナギもイザラ達に誘われ入ってみる事にし、トゥナーはその間果物や飲み物を用意し、洗える物等は詠斗に教えて貰った風魔法と水魔法で渦を生み出し洗剤を入れて回していった。
……戦場の最前線の緊張感が一気に無くなった瞬間だが、誰も気を抜かずに周囲に気を配りつつこの後の事をトゥナーは考えた…。
「あれ…うまい…詠斗おにぎり」
「はい、梅干し。気になるな、降りてお昼とかにしたいね」
「いいですね、飛行船の中ばかりでは退屈ですから。風早降りても問題ないですか?」
『………はい、周りに危険な生物はいません』
「ありがとうございます、懐記君達は大丈夫ですか?合流出来ましたか?」
『……出来ました、ジラ様達は戦の最前線へ向かい、外神様達は《ノゼバ国》に残り兵士の治療を行っています…』
「そうですか…暫く掛かりますか」
『………はい』
懐記と崇幸から心配を余り掛けたくない、詳しくは言わずに伝えてくれと言われている、マスターに全てを話せないのは心苦しいがきっと詳しく話せば《ノゼバ国》へ向かうと言うだろう、傷付くだけだだからここにいて欲しいと風早は思う。
「あ、あの花うまいすね。酒や果実水、料理に使っても美味す。俺とチグリス様が運びますからみんなでいくすよ」
「準備して降りよう」
《ノゼバ国》にゴーレム体に入り連絡を取れなくなった外神達と連絡を取る為にイシュターの背中に乗り合流してから1時間程、本当なら詠斗も綴も晴海もピクニックを楽しんでいる内心では無いが、子ども達に不安を見せたくない一心で明るく振る舞っていた。
「みなさん、一緒にお昼の準備をしましょう」
『はーい』
『ぴぎゃ』
ウズラも明るく手を挙げ、ラウラスとチグリスと一緒に厨房で準備を行った。
「重症者はそっちだ」
「軽いケガ人は此方だ」
「スープとパンと果物ありますよ!順番に渡します」
城の庭で続々と怪我人達や途方に暮れて縋る物が此処しかない者達が集まり、手当てや食事を貰い…絶望と憔悴した表情を浮かべていた。
「うう…あなた…」
「おかあさん!」
「なあ、俺の子どもがいないんだ!」
「私の父親も…」
「ああ…おじいさん」
「うわわん、いたいよー」
「助けて下さい!」
次々来る人々、外神と千眼は街中に呼び掛け動けない者に薬を運ぶ、絶叫、慟哭、悲鳴、嘆きを聞きながら崇幸達は懸命に身体を動かす。
「………」
耳を塞いでしまいたい、そんな思考を振り払い崇幸は薬を渡し、泣く人々、嘆く人々、並べられていく無惨な死体にこの世界の惨さを目の当たりにした。
「崇幸っち、吐くのも泣くのもキレんのも後にしよ」
「懐記君…ああ、すまない」
「ん」
そんな崇幸の肩に手を置き懐記が前を見据える、それだけ伝え懐記も人垣に呑まれ怪我の手当てを行う。
「…………」
「………僕は無力です」
千眼と外神が向き直る、やるべき事は出来たようだ。
「この国…土地は呪われる…」
「浄化しても暫くは住めません…」
「《アタラクシア号》で《ガルディア》に運ぶか」
「ゆき…飛行船ならあれがある…」
「あ、あれかあ」
崇幸がこの土地にいられないのであれば《ガルディア》へと運ぶつもりだが、千眼がある提案を行う。
「あ、あれなら治療に専念出来るし部屋数もあるし…」
「戻るのは手間だ…」
「そうだな、よし、出すか!」
「ああ…」
崇幸は覚悟を決めて趣味満載、色々な意味で色々詰め込んだ飛行船を出した…。
「みなさん、遠くへは行かないようにまとまって大人の人と行動しましょう」
『はーい』
「少し遊んだらご飯にしよう」
『やった』
ラウラスと詠斗が昼食の準備を始める、辺り一面可憐な黄色い花の海の様な場所で綴とチグリスが子ども達と一緒に周囲を見て歩いていく。
「ほら、空綺麗だね」
「う?」
空をおんぶした晴海が黄色い花を摘んで見せると首を傾げる、晴海は笑って詠斗達の側で花を摘んで籠に入れていく。
「綺麗だなーまた来よう、皆で」
「中継器置いとこうか」
「うん」
詠斗が収納袋から中継器を取り出し置いておく、皆で来ようとこの綺麗な花畑でまた遊ぼうと詠斗は微笑んだ。
「さあ、お昼たべるっすよー」
『はーい』
『ぴぎゃ』
花を食べていたウズラも子供たちと一緒に向かう、黄色い花が舞いそれはとても綺麗な物だった。
「うまい!へえ、こんなのはじめて食べた」
「たくさんありますからいっぱい食べて下さい」
「こっちは手当終わったぞ」
「うん」
「風呂出すか、血や汚れが酷い」
「飯渡してくるよ」
「これをお願いします」
「死んだ奴の身体焼いて来たぞ、生き残っているのが不思議な位だな」
「よく持ちこたえたよー」
ナギと生き残った兵士達がトゥナーが作ったスープやパンを焼いた肉を貪るように食い、ギーギスとイザラとイデア、ジラが手当を行い食事をトゥナーから受け取りは運んでいく、フォン、フェシェスタが亡くなった者達の身体を焼いて戻って来る。
「ご苦労様です。ジラ君達とフォンさん達も休んで下さい、お風呂は用意しておきますから、ここの皆さんは全員で入って貰って僕達は2人ずつで入りましょう」
「ああ、イザラとイデアは先に入れ」
「うん」
「分かった、ナギだっけ?一緒に入る?」
「ふろ?良いの?入る」
トゥナーが収納袋から、アルケールとアゲイル、レグが作った持ち運び浴場、木で出来た小屋に脱衣所と岩をはめ込んだ風呂場と石鹸やシャンプーやタオル、簡易的な服まで備えた物を2つ出して兵士達や傭兵達奴隷達も目を見開きながらされるがまま案内を受け風呂に入る、ナギもイザラ達に誘われ入ってみる事にし、トゥナーはその間果物や飲み物を用意し、洗える物等は詠斗に教えて貰った風魔法と水魔法で渦を生み出し洗剤を入れて回していった。
……戦場の最前線の緊張感が一気に無くなった瞬間だが、誰も気を抜かずに周囲に気を配りつつこの後の事をトゥナーは考えた…。
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