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第012部 空の旅は安心安全にみんなで会いにいこう
第016話 笑顔
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「彼は間違いなく私の兄弟ですね、最期に造られたものなので弟と言った所でしょうか。見つかって良かったです」
「ニーチェの弟か」
《島船》の診療所…の個室で、預かった瀕死の《グジャグ》の住人だったが、今は呼吸も安定している瀕死であることは変わりないがアムドキア達の治療の結果と言える。
ラヴィトリやオーケスも興味深く連れて来られたアンスローポモフィクを眺めている、ニーチェは淡々としていた。
「このアンスローポモフィクはこっちで預かれば良いのか?ゲーテ」
【そうです、ニーチェさんもいますし、お願いします。適正者…マスターが現れれば契約しても構わないですー】
「ふふ…これは怖い物じゃ」
「ニーチェの弟という事だ、色々仕掛けがありあそうだ」
「ニーチェ、面倒みてくれ」
「承知しました」
「この大陸に普及されていない物だから珍しいよな」
「………」
「ラヴィトリどうした?」
オーケスが淹れてくれた茶を飲み、食堂で作って貰った軽食のサンドイッチを摘まみながら、ソスォサチもヴァンユモゼナもラヴィトリもその静かに座るアンスローポモフィクに良い印象を抱けなかった。
「ああ、君達はペセメー作と言っていたな」
「はい、私が2番目の作品です」
「では《真白き胡蝶》か?」
「いえ、私の銘は《虚雨の夜》です。《真白き胡蝶》は兄さまで…1番目の銘です」
「そうか…ペセメーの《晴刻の朝》《真白き胡蝶》《虚雨の夜》《蒼海の鏡》そして《呪蝕の篭》…《晴刻の朝》は完成しなかったのか…」
「追加を貰って来たぞ。果物とチーズな」
ラヴィトリの呟きと共にジゼがノックして中に入る、ニーチェは首を傾げアムドキア達は驚いていた。
「どうかしたのか?」
「旦那様、ペセメーのアンスローポモフィクに5体目があるようです」
「……本当か?外神が昔なるべく全て回収したいと言っていたが」
「ああ、すまない。誤解があるな。俺がペセメーに会ったのは随分昔だまだ1体も完成していない頃だ、生涯を掛けてこの5体を造るんだと言っていたんだ」
「あるかないかの人形か…怖い怖い」
ヴァンユモゼナがジゼの質問に答える、ラヴィトリが遠き日を思い起こした。
『ラヴィトリさん!俺の生涯を掛けてこのアンスローポモフィクを造ります!みんなの役に立つように人々の暮らしが豊かになるように、俺みたいな孤児を減らすんだ』
「彼はそう言っていたな…真っ直ぐな少年だった。それきり会う事は無かったが。夢を叶えたのか」
「それはそうだが、外神に後を頼んで逝ったからな……5体目ねぇ」
「外神に連絡を入れておこう」
「そうですね、兄さまも知らない事でしょうから《晴刻の朝》…お父様はいつか晴れた日の朝を見たい……と言っていました」
「完成させたかっただろうな…」
詠斗達が来るまで空は《アタラクシア》が病み灰色だった、いつかは空が晴れ青い空が見られるかもしれないと思う人々は大勢いただろう。
ニーチェ達は暫し茶で、昔話に花を咲かせた…。
「舵さん」
「大河ちゃん」
「大河君…」
《空船》の食堂で食事の支度をしていた舵と燈火達、大河に呼ばれ出ていくと腕に傷が治った妖精とラピスも一緒にいた。
「治ったぞ、血も問題ない。羽は少し時間が掛かるぞ」
「羽……あ、僕の再生魔法生物は対象外ですが…神様の皆さん、ポイント支払うので羽を再生したいです」
「燈火ちゃん」
「燈火さん…」
『分りました500ptを貰いましょう、再生魔法を発動させて下さい』
「はい!ごめんね、羽触るよ」
『……』
「再生魔法発動……うまくいきますように…」
舵と燈火がほっとした笑みを浮かべ案が浮かび、スマートフォンで神々に問いかけ了承を貰い妖精の羽に手を翳し願いを込めて発動すると綺麗な羽…透明な綺麗な2枚の羽根に変わっていった。
「これはすごい魔法だぞ」
「ああ」
「良かった!」
羽が治った妖精の身体を舵が抱き締める、ラピスが頷き大河もほっとした様子だった。
「良かった、綺麗な羽だ」
「わ、イケメンの笑顔はすごい」
「本当だ!ヤバい」
「………」
大河が笑う、燈火と舵がそれを見て目をぱちくりさせて驚き、大河は口を閉ざす。
「良い物みちゃいました!」
「みんなに自慢しちゃう?」
「止めて欲しい、俺だって笑う時は笑う」
「ふふ。すみませんはしゃぎました」
「俺も、ごめんごめん。この子はうちの子だよね!ラピスちゃん」
「僕の所も大歓迎ですよ」
『………ぁ』
「そうかそうだな!最初に招いてくれたカトゥーシュカの所へ行くそうだ」
「そっか、いつでも会えるしね、ナビヤちゃん友達が出来たね」
「いつでも遊びに来て下さい」
『………』
「みんなで、行こう。そうすればこの子も安心だ」
「本当、大河ちゃんは良い男だよ」
「本当、イケメン!はあ、カッコいい」
「顔が良いのは分かっている、舵さんも燈火さんも美形じゃないか」
「ええ~言われた事ないよ」
「か、可愛いとかは言われた事あるけど…」
「大河…口説くのは後にするぞ!行くぞ」
「口説いてない…」
きゃーきゃーと大河の態度と言葉にはしゃぐ燈火と舵、ラピスが早く行こうと急かす、ベルン達が作ったブラウニーを貰って後で持っていこうと決めていた、生きることを選択した礼と祝いに、とびきり美味しいモギのミルクを持って…。
「ニーチェの弟か」
《島船》の診療所…の個室で、預かった瀕死の《グジャグ》の住人だったが、今は呼吸も安定している瀕死であることは変わりないがアムドキア達の治療の結果と言える。
ラヴィトリやオーケスも興味深く連れて来られたアンスローポモフィクを眺めている、ニーチェは淡々としていた。
「このアンスローポモフィクはこっちで預かれば良いのか?ゲーテ」
【そうです、ニーチェさんもいますし、お願いします。適正者…マスターが現れれば契約しても構わないですー】
「ふふ…これは怖い物じゃ」
「ニーチェの弟という事だ、色々仕掛けがありあそうだ」
「ニーチェ、面倒みてくれ」
「承知しました」
「この大陸に普及されていない物だから珍しいよな」
「………」
「ラヴィトリどうした?」
オーケスが淹れてくれた茶を飲み、食堂で作って貰った軽食のサンドイッチを摘まみながら、ソスォサチもヴァンユモゼナもラヴィトリもその静かに座るアンスローポモフィクに良い印象を抱けなかった。
「ああ、君達はペセメー作と言っていたな」
「はい、私が2番目の作品です」
「では《真白き胡蝶》か?」
「いえ、私の銘は《虚雨の夜》です。《真白き胡蝶》は兄さまで…1番目の銘です」
「そうか…ペセメーの《晴刻の朝》《真白き胡蝶》《虚雨の夜》《蒼海の鏡》そして《呪蝕の篭》…《晴刻の朝》は完成しなかったのか…」
「追加を貰って来たぞ。果物とチーズな」
ラヴィトリの呟きと共にジゼがノックして中に入る、ニーチェは首を傾げアムドキア達は驚いていた。
「どうかしたのか?」
「旦那様、ペセメーのアンスローポモフィクに5体目があるようです」
「……本当か?外神が昔なるべく全て回収したいと言っていたが」
「ああ、すまない。誤解があるな。俺がペセメーに会ったのは随分昔だまだ1体も完成していない頃だ、生涯を掛けてこの5体を造るんだと言っていたんだ」
「あるかないかの人形か…怖い怖い」
ヴァンユモゼナがジゼの質問に答える、ラヴィトリが遠き日を思い起こした。
『ラヴィトリさん!俺の生涯を掛けてこのアンスローポモフィクを造ります!みんなの役に立つように人々の暮らしが豊かになるように、俺みたいな孤児を減らすんだ』
「彼はそう言っていたな…真っ直ぐな少年だった。それきり会う事は無かったが。夢を叶えたのか」
「それはそうだが、外神に後を頼んで逝ったからな……5体目ねぇ」
「外神に連絡を入れておこう」
「そうですね、兄さまも知らない事でしょうから《晴刻の朝》…お父様はいつか晴れた日の朝を見たい……と言っていました」
「完成させたかっただろうな…」
詠斗達が来るまで空は《アタラクシア》が病み灰色だった、いつかは空が晴れ青い空が見られるかもしれないと思う人々は大勢いただろう。
ニーチェ達は暫し茶で、昔話に花を咲かせた…。
「舵さん」
「大河ちゃん」
「大河君…」
《空船》の食堂で食事の支度をしていた舵と燈火達、大河に呼ばれ出ていくと腕に傷が治った妖精とラピスも一緒にいた。
「治ったぞ、血も問題ない。羽は少し時間が掛かるぞ」
「羽……あ、僕の再生魔法生物は対象外ですが…神様の皆さん、ポイント支払うので羽を再生したいです」
「燈火ちゃん」
「燈火さん…」
『分りました500ptを貰いましょう、再生魔法を発動させて下さい』
「はい!ごめんね、羽触るよ」
『……』
「再生魔法発動……うまくいきますように…」
舵と燈火がほっとした笑みを浮かべ案が浮かび、スマートフォンで神々に問いかけ了承を貰い妖精の羽に手を翳し願いを込めて発動すると綺麗な羽…透明な綺麗な2枚の羽根に変わっていった。
「これはすごい魔法だぞ」
「ああ」
「良かった!」
羽が治った妖精の身体を舵が抱き締める、ラピスが頷き大河もほっとした様子だった。
「良かった、綺麗な羽だ」
「わ、イケメンの笑顔はすごい」
「本当だ!ヤバい」
「………」
大河が笑う、燈火と舵がそれを見て目をぱちくりさせて驚き、大河は口を閉ざす。
「良い物みちゃいました!」
「みんなに自慢しちゃう?」
「止めて欲しい、俺だって笑う時は笑う」
「ふふ。すみませんはしゃぎました」
「俺も、ごめんごめん。この子はうちの子だよね!ラピスちゃん」
「僕の所も大歓迎ですよ」
『………ぁ』
「そうかそうだな!最初に招いてくれたカトゥーシュカの所へ行くそうだ」
「そっか、いつでも会えるしね、ナビヤちゃん友達が出来たね」
「いつでも遊びに来て下さい」
『………』
「みんなで、行こう。そうすればこの子も安心だ」
「本当、大河ちゃんは良い男だよ」
「本当、イケメン!はあ、カッコいい」
「顔が良いのは分かっている、舵さんも燈火さんも美形じゃないか」
「ええ~言われた事ないよ」
「か、可愛いとかは言われた事あるけど…」
「大河…口説くのは後にするぞ!行くぞ」
「口説いてない…」
きゃーきゃーと大河の態度と言葉にはしゃぐ燈火と舵、ラピスが早く行こうと急かす、ベルン達が作ったブラウニーを貰って後で持っていこうと決めていた、生きることを選択した礼と祝いに、とびきり美味しいモギのミルクを持って…。
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