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第012部 空の旅は安心安全にみんなで会いにいこう

第09話 (再)出発

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「崇幸さーん」
「詠斗君達!」
「すぐに食べられる野菜や果物沢山用意しましたー」
「今回は俺達も行くすよー魚と肉も保存ばっちりす」
「人手必要でしょう」
「俺も行く…」
早朝《ガルディア》に戻って《空船》で詠斗達と合流し、詠斗、トイ、ラウラス、トゥナー、チグリスが共に手伝いを買って出てくれたのでゴーレム達やマンドランドやお化け野菜達にトゥナーの所で過ごしているモギ数頭と言った大所帯にはなるがこのメンツで再出発する事にした。
「千歳さん達も明日には《グシャグ》に着くから、合流は大陸越えた後になるかも」
「そうだな、《ガーデン王国》の状態もわからないからな」
「沢山、植物や食材収納袋に入れましたよー」
「外神さんの木、マンドランドやお化け野菜達がすごく喜んで野菜が1段と美味しくなりました。スープや野菜の煮込み沢山作りましたから後で食べましょう」
「美味しいすよ」
「ん、サンキュ」
商隊を《ガルディア》のニアやヴィッセ達に頼み、彼等の荷物や馬等を降ろして沢山の感謝と礼を受け、戻って良かったと改めて崇幸や懐記と綴は思った。
進路を《ガーデン王国》にして慌ただしかった時間を過ぎれば、現在は午後を回っていたのでトゥナーとラウラスが昼食を用意してくれた。
カツサンドとスープ、野菜の煮込みが並びトイがモギのミルクを絞り、マンドランド達は運び込んだ食料木から自由に果物や野菜を食べている。
『いただきまーす』

「あう」
「ほら、ベルちゃん空だよー」
『ベル様喜んでますね』
「すごいよねー空飛んでる」
「カタンがおっきくなったらみんなを乗せてあげるー」
「それは楽しみだぞ!」
「ゴーレムちゃん達ー綺麗だねー」
「外神もすごいが、こっちの救世主達もすごいな、フォン」
「あーお前がいなきゃもっといい」
「仲良くして下さいね、ふたり共ー」
朝のミルク売りの販売をそれぞれ終えて乗りたいモギや、他の動物達も連れて《空船》に乗り込むベルンファミリー、賑やかを通り越して団体として大部屋3部屋の壁を取り払ってのお泊まりだった。

ゴーレム達も一気に修復が進み、船内は本日子供達の為に広く解放され屋台もお菓子やアイスが並び、射的や輪投げもカジノから従業員達が出向き行われていた。
皇国の孤児院の子供達も、《トイタナ》の孤児院やニスムの孤児院の子供達もわいわいと楽しんでいた。
「みんなー朝ご飯食べたばかりだから、食べ過ぎないようにねー」
『はーい』
「燈火先生あそぼー」
「ニスム先生輪投げしよ」
「いしゅたあてんてーだっこ」
「ジラぁ、おんぶちて」
「ナイデルせんせーてつないでー」
「あるけーるてんてーかたぐるまー」
魔人の幼児達も子供達に混ざり、各孤児院の先生達も子供達の世話に追われている。
ゴーレム達も子供達の手を引き、キッズルームで遊びイシュター達も子供達と遊んでいる。
レトもぶすぅとしながら子供達に乗っかられて…酒呑みてぇとぶつぶつぶやき、おままごとの相手をさせられていた。
「はい、おとーたんごはんですー」
「酒くれ」
「お酒のみすぎるとからだによくありません」
「ドラゴンだからいんだよ、酒のみてぇ」
「お酒ばかはりはだめですよーおちゃをのみましょ」
「やだよ、いてっ」
幼児に酒を集るレトにアルケールから鉄拳制裁が来る、しぶしぶ子供達の相手をして酒恋しく過ごした…。

『……』
「朝食は中で用意しました…」
「おう!すげー造りだから!面白いぞ!」
冒険者ギルドのマスターも見送り(朝食目当て)に来て、外神、チェカ、晴海以外みんなあんぐりと口を開けて目の前の大きな車輪の付いた建物を見ていた。
「わあ、すごい2階建てのバス!」
「晴海さん空さんの朝食は2階に用意しました」
「ありがとう、外神さん一緒に食べよう」
「はい、それでは出発します。ゲンジンさん朝食どうぞ」
「おお、ありがとうな!すげーもん造ったな!乗りたいが、気をつけていけよ」
「ああ、行ってくる。落ち着いたら顔出しに来る」
「おう」
外神が容器に入ったパンとスープをゲンジンに渡す、全員乗り込み見送られて出発した…。

『皆様、商隊の皆さんは落ち着いて休まれていますよ』
【感謝してましたよ】
「良かったです」
「目的地が《ガルディア》だったからな運が良かったんだな」
「おかわり…」
「ん、おにぎり」
「すっぱい…」
「うまいじゃん」
《アタラクシア号》の食堂でお茶を飲みながらのんびりと過ごす、チグリスは追加のおにぎりを貰いイザラとイデアは音楽やゲームをして過ごし、詠斗達は風早達から商隊の現在の状況を聞いてほっとした。
「2日後には《ガーデン王国》に到着するから、色々用意しておこうね」
「時間停止の収納袋や収納袋も用意しましたから、食料も充分支給出来そうですね」
「回復薬や傷薬も沢山預かってきましたすよー」
詠斗やトゥナー、トイ、ラウラスも張り切っている、晴海にも会えるのが楽しみなようで作業にも身が入った。

「明日《グジャグ》に最初に行ってトラングにさんの親類?に会うのは僕とラジカ、トラングさんライガルさん、ゴーシュさんと…デュスノアさんで良いかな?」
「うぇ、いやだ」
「トラング私も嫌です」
「俺だった嫌だ嫌だ、息子とコォンといたいぞー」
「私も行きたくない」
『………』
「ラヴィトリさんは商隊の治療等があるから《島船》にいて貰いたいからね、デュスノアさんに代理でお願いするよ」
《空船》の会議室にて千歳、ラジカ、トラング、ライガル、ゴーシュ、デュスノアという面子で明日の確認を行っていた。
「私も《グジャグ》には行った事がありませんし、皆さんがいれば話もスムーズでしょう」
『…………』
「行っとくけど、アイツ…俺の親父の弟、アガ二ータはヤバい」
「ああ、トラングを更に腹黒くして泥で煮詰めたような奴だ」
「顔半分をとある件で爛れさせたが、それでも毒の華と謳われる美形だな」
「……すみません、皆さんの意見は真実です。兄上と私とトラングの教師で……」
「うぇ…思い出したら吐く…」
「勿体ないから吐くな吐くな」
『……』
トラング、デュスノア、ゴーシュの意見にライガルがこめかみを押さえ、トラングが口元を押さえゴーシュが気の毒そうにしていた。
「あーまあ、僕が話しを進めるから挨拶や紹介をしてくれれば良いから」
『………』
「はぁ、千歳先に言っておくが私はアイツが嫌いだ」
「同族嫌悪じゃん」
「なら、お前も同じか…お前にもっと野心があればアイツを引き摺り落とせたかもな」
「いや、トラングじゃ役不足だな、若すぎる。蒐集家かタナトス位じゃないと…それか……止めた止めた」
「千歳さん、アガ二ータ様は………」
「ライガル、お前は皇帝の弟だ。淀むな足元を掬われるのはお前からだ。それではアイツの前に立てないぞ気を引き締めろ、この中で最初にアイツの手玉に取られるのはお前だ」
「ライガル、参加しなくても良いぞー。無理するな、お前は子供時代に容赦なくアガ二ータから教育を受けて来たからな。怖いんだろう?」
「デュスノア様…ゴーシュ様…いえ、申し訳ありません。行かせて頂きます」
「えー俺も行きたくないー」
「お前は諦めろ、アイツの機嫌を損ねたらお前を差し出す」
「そうそう、なんだかんだアイツはお前を気に入っているからな」
「……は、兄弟殺した俺をつまらないと言うような奴だ」
「そうならないように、務めさせて貰うよ。ごめんねトラングさん、いざとなれば僕は魔王だしねどうとでもするよ」
『………』
「千歳、それは切り札にしておいてください。こちらは店の出店と中継地点を置かせて貰うだけですから…断られたら他の国に置けば良いですから」
「あーラジカっちも会えば分かる、2、3日いるんでしょ。話がうまくいけばイシュター様と陛下も挨拶するって?ドラゴンてのは基本善良な生物だから、悪意全開の歩く腹黒の前にいたらキツイんだよねぇ、あー可哀想ー」
「トラング…諦めなさい、私も受け入れます。千歳さん明日…出来る限り千歳さんとラジカさんが不愉快の思いをしないように努めます」
「うん、分かった。気を引き締めて僕も行くよ」
「そうですね、皆さんがそこまで言うなら私も引き締めますよ」
千歳とラジカがイマイチというか全く気が乗らない面子との話を切り上げる、普段は判断力決断力、率先力もある面子だが表情は曇ったままだった…。
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