あなたは異世界に行ったら何をします?~良いことしてポイント稼いで気ままに生きていこう~

深楽朱夜

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第011部 イレギュラー過ぎる召喚は神々も知らない内に/500年の孤独と独夜と独りと到達に至る導 回顧録

第041話 分かれて出発

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「飛行船《空船》と《アタラクシア号》があるそこで《アタラクシア号》で外神君達の元へ。《空船》で孤児院に向かおう」
「ええ、それが良い。率君、綴君、舵さん、燈火君は此処で…」
「いえ、僕も行きます。晴海君を迎えに行きます」
「分かりました。3人はお店や子供達のお世話をお願いするよ」
「俺も晴海君を迎えに行こう、詠斗君と懐記君、大河君と千歳君はグローリー君と《空船》で向かってくれ」
「待った俺も晴海っち迎えに行くわ、半々で行かない?」
「ああ、わかった。《アタラクシア号》は最小人数で、《空船》はこの間話した通りに休暇の旅行として向かう事にしよう」
カジノタワーの会議室で崇幸主導で話し合いが進む、《アタラクシア号》で外神達の元へ崇幸、綴、懐記が向かい、《空船》で詠斗、大河、千歳達をリーダーとし向かう事になる。
店や子供達の世話等がある率達は休み等を利用し兼ねてからこ計画通り、転移で自由なタイミングで乗り込む事になっていた。
「空間は《アタラクシア号》と《島船》繋げてはいるけれど距離が空くだろうからもし上手く転移出来ない場合は無理にせずに距離が近づくまで待って欲しい、それと空君が嫌がる場合は何処かで合流しましょう。こちらは中継地点を経ての旅だからね」
「ああ、それがいいな。テスト航行も済んでいる。いつでも出発可能だ」
「《空船》は明日朝、《アタラクシア号》は…」
「今から出発するわ」
千歳の案に全員頷き、崇幸が何時でも出発出来ると胸を張り、大河が《アタラクシア号》を何時出発させるかで懐記が今と答える。
「晴海を迎えに俺達も行く」
「ああ…友達だからな!」
「んじゃ、グリとメシュレラの旦那は孤児院に向かえ、俺がこっちに付いて行く」
イザラとイデアが《空船》へ晴海を共に迎えに行くと言い、保護者としてギーギスが名乗りを上げた。
「ギーギスお前がいるなら問題ないな、イザラとイデアを頼んだぞ」
「………うん、晴海と空と外神を連れてみんなで会いに行こう…」
メシュレラとグローリーも納得する、《アタラクシア号》の制御管理担当は風早とナビが行い、《空船》は識とゲーテで行う、1時間後の出発としイザラとイデアに1度家に戻る様に伝えた。

一方外神達が拠点を置く森の家、疲れていたのだろう早目の就寝で微かな寝息をたてている晴海と空を起こさない様にそっと立ち上がり、椅子に座り周辺を視る、異常は無いがあるのは《ザインダ》だった、一見すると親切な街だが此方を値踏みする視線街ぐるみで旅人を売るような街…恐らく《イトセトナ》に蜘蛛を持ち込んだのもああいった連中だろう、城に根付いていたのがその証拠だ。
次に行く街……街等大なり小なり危機はある、守る自信もあるが森にいた方が安全な気もする…が、自分と赤ん坊だけだと晴海も息が詰まるだろう、次の街も駄目なら我慢して貰おう、申し訳ないがそうしようと晴海達の寝顔を眺めた。
ほんの2、3日の話だが油断はせずに行きたい、買った布で簡単な赤ん坊の服と小物や用意しながら過ごした…。

「もう、夜も遅い時間ですが…」
「行くっしょ、飯は中で食べよ」
「じゃ、出発しよう」
1時間後、イザラとイデアはカーテスやウォルゾガ、エクトとセレネ達に見送られ飛行船に乗り込む時に、エクトとセレネが直したゴーレム2体と銃も2丁渡され受け取る。
千眼も乗り込み皆み見送られ《アタラクシア号》は静かに飛び立つ、進路は《バンギーン》を目指し空を往く…。

とある場所…
「一…どうして私を置いて行くんです」
少年は舌打ちしながらパーカーに両腕を突っ込む、顔色の悪い男が少年を責め恨みがましい視線を送った。
「久しぶりに外神に挨拶ついでに蜘蛛を貰おうとしただけだろ、お前はいらない」
「っ……蜘蛛は手に入らなかったじゃないですか?」
「だから?俺がどうしようと良いだろう」
「次は私も連れて行って下さい」
「………だる、めんど」
少年は吐き捨て進もうとするのを男が腕を掴んで止める、視線がかち合う…嘗ては同じ物だった存在今は余りにも遠すぎる…。
「そこまで…」
空間から狐に縁取りの化粧を施した面を付けた存在がシャランと音を立てて2人の間に入る、少年は踵を返し姿を消す、その空間を男は眺め、狐面は男に用があると促す。
「10位の件だ…眼が安定しない」
「…それはそうでしょう、抉れば良いだけの話しです」
「それが出来れば私は此処に来ない、看てやってくれ」
「わかりました」
男もまた嘆息しながら狐面と共に転移で移動する、後でもう1度話しをと男は思い狐面からの頼まれごとを片付けに向かった…。

「あ、おい雑に扱うなよ!」
「あーお前の魔法具使えねーんだよ」
「そんな筈ない、この魔法具はきちんと作動している」
「金返せよこの詐欺師」
《バンギーン》の露店で魔法具屋を営む青年の元に数名の客が金を返せと詰め寄る、確認しても魔法具は正常で異常は何処にも無い、虫避けと魔物避けと道に迷わない為の方位磁石がどれも上手く作動しないという事だ。
「ふん、やっぱり高くとも《ユッセンダ商会》の魔法具の方が良いな」
「おう」
「ほら、使えないもん売ったお前が悪いんだ!大人しく金返さないならギルドに突き出すぞ!」
「そんな…壊れていないのに」
異常があれば勿論金は返す、だが本当に異常はないのだ…だが…仕方ないと金を返す事にした。
只でさえ数少ない稼ぎが無くなってしまった。
「どうしてだ…返された魔法具の動作確認をするか…」
早々に店仕舞いをして森に出る事にする、魔法具を仕舞った収納袋も自分で作った物だ。
この《バンギーン》の片隅で小さな魔法具屋を開く青年の名はチェカ、腕は良いがお人よしの魔法具師兼…。
「はあ…作った魔法具がちゃんと魔法具として機能すれば…いや、しているんだ。魔法具だけ造れたら稼げるのにどうしてその過程で呪具も出来るんだよ…」
良くわかないが呪具も造ってしまう、斜め上のある意味天才だった…。

                             第12部へ続く…
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