あなたは異世界に行ったら何をします?~良いことしてポイント稼いで気ままに生きていこう~

深楽朱夜

文字の大きさ
上 下
481 / 867
第011部 イレギュラー過ぎる召喚は神々も知らない内に/500年の孤独と独夜と独りと到達に至る導 回顧録

絡めとるは12脚の蜘蛛なりや 第陸章

しおりを挟む
「では、皆さん行きましょう。結界などの保護は銃がしてくれます、産まれた瞬間に転移でこちらに戻します…」
朝、朝食後に《ガルディア》の炊き出しの広場に集まり外神の主導の元説明がされ、見送りに来た詠斗達には巨大なモニターと小さいモニターがいくつも出され銃経由で《イトセトナ》の状況が伝わる様にと外神が用意してくれた。
「外神さん…」
「晴海さん必ず連れて来ます」
「うん…」
「気をつけてね」
「はい…」
外神が銃で空間を撃ち抜き固定させ、神々の協力とポイントを支払い《イトセトナ》へ超長距離転移で向かった。

「ああ、生きている物はあれしかない…」
「あー見ていて楽しいもんじゃないな」
「気味が悪いものじゃ」
「………」
「おぞましいですね」
「始めます…各自散って下さい、曲が流れたら唄って下さい」
千眼達が城に張り付く繭の不気味さを口にし外神が指を鳴らして転移で全員を飛ばす、毒も舞うこの地手短に済ませたい所だ…。

「始まったな」
「私が産み出した曲だ!無事に産まれる」
「その後だろ、何が起こるか分からん」
「前回は………知識が浅かったのと」
「ほんの少しの憐れみで友を失った」
「外神ちゃん…」
外で椅子に座り状況を見据える、メシュレラ、メディエスカ、シヴァ、ギーギス、スフテス、ヴィヴィ達、前回と同じ蜘蛛…あれから外神は強くなった…多くの事があった。
「外神が負ける訳ないだろ、化け物だしなーあー酒のみてぇ」
「外神ならば問題はない」
「そうだ、酒はこの時位耐えろ」
レト、マユラにシュリも同じ卓に付きモニターを眺めている、酒ではなく茶を呑み失った者を思い出しがら…成り行きを見守った…。

「活性魔法発動」
外神が巨大な繭を正面に捉えた状態で活性魔法を発動させる、それだけでは中で赤ん坊の状態までにはなるが目覚めない、そこで唄を流す各々の場所で流れる曲に合わせ唄が始まった。
子守唄とよく似て非なる唄…寝かしつける訳ではない、揺りかごから起こす為の唄、声が重なり魔力の帯となり繭に向かっていく。
ドクドクと激しく鼓動が脈打つ、街全ての生命を喰い育つ蟲。
「もうじきです」
繭に亀裂が入り唄は終わりに向かう、唄の終わりと共に繭が破れ泣く赤子に巨大な蜘蛛の足12脚を持つ蟲人が産まれ堕ち…千眼達は《ガルディア》に強制的に転移された。
「貴方を待つ人がいます…手短に済ませます」
外神が収納から半透明な三ツ又の矛を出し構え、戦闘が始まった。

「あー外神は剣が苦手か?」
「ああ、500年でこの程度だ」
「剣すら触った事がないとの事だからな」
ジラとイシュターがマユラとシュリがいる卓に座り、ジラが尋ねれば2人がそう返す、画面越しの外神は矛の構え等は教本通りな遣りなれなさが伝わる。
「外神の真骨頂は底無しの魔力と魔法センスだ」
「生かすという依頼があるからこそ、外神の魔法は極む」
「此処からと謂う訳か…」
イシュターの目が細まる、ジラは腕を組み成り行きを見守る、マユラとシュリは何て事は無いと茶を啜り、レトはアルケール達に連れて行かれていた。

「戻った…」
「無事に出現しましたが…あれは…数外個体魔王ですねほぼ」
「怖い怖い…後数日で完全に数外個体に成っていました……ふふ」
「毒と糸に禍々しい気配…街1つ喰い尽くしても満たされない飢餓…充満する異常な程の魔力じゃ」
「誕生した瞬間に命を燃やし尽くし焼け付く生命ね…俺達とは真逆か…」
詠斗達の卓に戻った千眼達、作戦は成功し計画通りに進んではいるが…何処か浮かない表情だ。
「おかえりなさい!」
「ふふ…晴海さん戻りましたよ」
「帰ったぞ、外神なら問題なしじゃ。少し待っていればすぐに連れて帰って来る」
「ああ…依頼は必ず達成されるからな」
晴海が駆け寄れば、ヴァンユモゼナ、ソスォサチ、アムドキアも笑っている。
「おかえり俺の花」
「戻りましたよゼナ…どうでしたか?私の唄は?」
「見事だな、お前はいつも完璧だ」
「ふふ…」
「あーそういうのは2人でやってくれ」
出迎えたゼナがヴァンユモゼナを抱き寄せアムドキアが首を振る、ソスォサチは画面を見ている。
「……」
「信じて待とうね晴海くん」
詠斗が晴海の肩に手を置く、画面の向こうは戦闘が続く。

「………雷皇」
飛行魔法で三つ又の鉾から雷が空を裂いて12本の脚に向かう、泣く赤ん坊の背の脚のみに当たるように威力をを落として発動させ、12丁の銃で付け根部分を同時に撃ち抜く…が空間歪曲で弾丸が空間に溶け込み外神の周辺に転移で牙を向くが全て外神の身体の周辺で消滅する。
「空間特化型…雷より銃のダメージを避けた…雷の回復は早い…危機察知…取捨選択……だがまだ赤ん坊…」
冷静な外神の分析、銃を12丁を出し12通りの魔法を蟲毒蝶の毒を混ぜ込み放つ、空間歪曲を防ぐ為に高速で脚に向かい武器の形状を剣に変え絶え間なく攻撃を仕掛けるが…生かすのが難しい…。
脚を1本斬り落とす事に成功し脚をそのまま、此方も空間歪曲を使い足がまだ斬り落とされていないと誤認させている状態を後11回続ければ脚を全て切り離しチナスと同じように無力化出来ると賭けた。
「2…3…4…」
瞬く間に4本脚を切り離す、蟲毒蝶の毒は強い…放てば根元が腐食し斬り離しやすい。
「5…6…7……?」
7本斬り離した所で異変が生じ一度転移で距離を取り更に上から俯瞰する形で見ている、此方の空間歪曲を呑み込もうとしている。
「……数外個体魔王……残りは全て一気に…」
外神の瞳に何かが蠢く残りの脚の付け根の最も脆い箇所を探り銃で撃ち抜く、赤ん坊の泣き声が一際大きくなり額に4つの丸い赤い瞳が出現した。
「……数外個体魔王へと進化…いや昇華…間に合った…」
無表情だが脚全て斬り落とし空間歪曲で固定させたまま収納空間に全て納め、泣く赤ん坊は支えを無くしゆっくりと落下するのを転移で受け止めた。
「これで良いのかな…」
「じゃ、それ貰ってくわ外神」
「…如月君…」
「よお、久しぶりだなぁ」
泣きじゃくる赤ん坊の4つの目は此方を映し出している、収納から布を出して体に巻いてやり戻ろうと空間に銃を放とうとした所で背後から声をが掛かる、出来ればこのタイミングで決して逢いたくはない少年…以前大河達の前で序列第12位蒐刻魔王その2と名乗った少年が立っていた…。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

黒の創造召喚師

幾威空
ファンタジー
※2021/04/12 お気に入り登録数5,000を達成しました!ありがとうございます! ※2021/02/28 続編の連載を開始しました。 ■あらすじ■ 佐伯継那(さえき つぐな)16歳。彼は偶然とも奇跡的ともいえる確率と原因により死亡してしまう。しかも、神様の「手違い」によって。 そんな継那は神様から転生の権利を得、地球とは異なる異世界で第二の人生を歩む。神様からの「お詫び」にもらった(というよりぶんどった)「創造召喚魔法」というオリジナルでユニーク過ぎる魔法を引っ提げて。

異世界ソロ暮らし 田舎の家ごと山奥に転生したので、自由気ままなスローライフ始めました。

長尾 隆生
ファンタジー
【書籍情報】書籍3巻発売中ですのでよろしくお願いします。  女神様の手違いにより現世の輪廻転生から外され異世界に転生させられた田中拓海。  お詫びに貰った生産型スキル『緑の手』と『野菜の種』で異世界スローライフを目指したが、お腹が空いて、なにげなく食べた『種』の力によって女神様も予想しなかった力を知らずに手に入れてしまう。  のんびりスローライフを目指していた拓海だったが、『その地には居るはずがない魔物』に襲われた少女を助けた事でその計画の歯車は狂っていく。   ドワーフ、エルフ、獣人、人間族……そして竜族。  拓海は立ちはだかるその壁を拳一つでぶち壊し、理想のスローライフを目指すのだった。  中二心溢れる剣と魔法の世界で、徒手空拳のみで戦う男の成り上がりファンタジー開幕。 旧題:チートの種~知らない間に異世界最強になってスローライフ~

うっかり『野良犬』を手懐けてしまった底辺男の逆転人生

野良 乃人
ファンタジー
辺境の田舎街に住むエリオは落ちこぼれの底辺冒険者。 普段から無能だの底辺だのと馬鹿にされ、薬草拾いと揶揄されている。 そんなエリオだが、ふとした事がきっかけで『野良犬』を手懐けてしまう。 そこから始まる底辺落ちこぼれエリオの成り上がりストーリー。 そしてこの世界に存在する宝玉がエリオに力を与えてくれる。 うっかり野良犬を手懐けた底辺男。冒険者という枠を超え乱世での逆転人生が始まります。 いずれは王となるのも夢ではないかも!? ◇世界観的に命の価値は軽いです◇ カクヨムでも同タイトルで掲載しています。

異世界召喚?やっと社畜から抜け出せる!

アルテミス
ファンタジー
第13回ファンタジー大賞に応募しました。応援してもらえると嬉しいです。 ->最終選考まで残ったようですが、奨励賞止まりだったようです。応援ありがとうございました! ーーーー ヤンキーが勇者として召喚された。 社畜歴十五年のベテラン社畜の俺は、世界に巻き込まれてしまう。 巻き込まれたので女神様の加護はないし、チートもらった訳でもない。幸い召喚の担当をした公爵様が俺の生活の面倒を見てくれるらしいけどね。 そんな俺が異世界で女神様と崇められている”下級神”より上位の"創造神"から加護を与えられる話。 ほのぼのライフを目指してます。 設定も決めずに書き始めたのでブレブレです。気楽〜に読んでください。 6/20-22HOT1位、ファンタジー1位頂きました。有難うございます。

はずれスキル念動力(ただしレベルMAX)で無双する~手をかざすだけです。詠唱とか必殺技とかいりません。念じるだけで倒せます~

さとう
ファンタジー
10歳になると、誰もがもらえるスキル。 キネーシス公爵家の長男、エルクがもらったスキルは『念動力』……ちょっとした物を引き寄せるだけの、はずれスキルだった。 弟のロシュオは『剣聖』、妹のサリッサは『魔聖』とレアなスキルをもらい、エルクの居場所は失われてしまう。そんなある日、後継者を決めるため、ロシュオと決闘をすることになったエルク。だが……その決闘は、エルクを除いた公爵家が仕組んだ『処刑』だった。 偶然の『事故』により、エルクは生死の境をさまよう。死にかけたエルクの魂が向かったのは『生と死の狭間』という不思議な空間で、そこにいた『神様』の気まぐれにより、エルクは自分を鍛えなおすことに。 二千年という長い時間、エルクは『念動力』を鍛えまくる。 現世に戻ったエルクは、十六歳になって目を覚ました。 はずれスキル『念動力』……ただしレベルMAXの力で無双する!!

『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる

農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」 そんな言葉から始まった異世界召喚。 呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!? そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう! このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。 勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定 私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。 ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。 他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。 なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。

ペットたちと一緒に異世界へ転生!?魔法を覚えて、皆とのんびり過ごしたい。

千晶もーこ
ファンタジー
疲労で亡くなってしまった和菓。 気付いたら、異世界に転生していた。 なんと、そこには前世で飼っていた犬、猫、インコもいた!? 物語のような魔法も覚えたいけど、一番は皆で楽しくのんびり過ごすのが目標です! ※この話は小説家になろう様へも掲載しています

世界最強で始める異世界生活〜最強とは頼んだけど、災害レベルまでとは言ってない!〜

ワキヤク
ファンタジー
 その日、春埼暁人は死んだ。トラックに轢かれかけた子供を庇ったのが原因だった。  そんな彼の自己犠牲精神は世界を創造し、見守る『創造神』の心を動かす。  創造神の力で剣と魔法の世界へと転生を果たした暁人。本人の『願い』と創造神の『粋な計らい』の影響で凄まじい力を手にしたが、彼の力は世界を救うどころか世界を滅ぼしかねないものだった。  普通に歩いても地割れが起き、彼が戦おうものなら瞬く間にその場所は更地と化す。  魔法もスキルも無効化吸収し、自分のものにもできる。  まさしく『最強』としての力を得た暁人だが、等の本人からすれば手に余る力だった。  制御の難しいその力のせいで、文字通り『歩く災害』となった暁人。彼は平穏な異世界生活を送ることができるのか……。  これは、やがてその世界で最強の英雄と呼ばれる男の物語。

処理中です...