あなたは異世界に行ったら何をします?~良いことしてポイント稼いで気ままに生きていこう~

深楽朱夜

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第011部 イレギュラー過ぎる召喚は神々も知らない内に/500年の孤独と独夜と独りと到達に至る導 回顧録

絡めとるは12脚の蜘蛛なりや 第弐章

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「あ…」
晴海が後退る…父親?あんなモノに?自分が?大人になりたいとすら思っていなかった…今は此処《アタラクシア》で様々な出逢い経験をし、大人に憧れもするが…父親…親には…。
「晴海さん…無理はしないで下さい…いいんです…依頼は受けます…」
「あ…」
うんと親になるから、だから蜘蛛の赤ん坊を連れて来て欲しい、皆がいる自分を大事にしてくれる大人達がいるだから良いとその一言が出て来ない。
「晴海…俺達がいる」
「そうだぞ、俺達も一緒に育てる。親父だってみんないる」
「イザラ…イデア」
迷う晴海にイザラとイデアが肩に手を置き外神に宣言する、外神の表情も目も動かないが頷いた。
「では、晴海さん…1つだけ約束を…依頼は断れませんが内容を付け加える事は出来ます。連れ帰った蜘蛛が命を奪う…脅かす…道を踏み外した時は僕に討たせると約束して下さい」
「……外神さんに討たせる?」
「はい、彼らにとって自分よりも脆い物など玩具か餌程度でしかない、貴方達がどれだけ愛情を持って育てたとしても未来の保証は誰もしてくれない。だから約束を僕はどんな依頼でも必ず報酬を貰います、1ログでも…今回の報酬は約束にしましょう…」
「……約束はしない、外神さんには討たせない…もしその子が道を踏み外したら俺がその子を討ちます」
「………貴方の覚悟受け取りました準備をします」
晴海の覚悟を受け取る、イザラとイデアは互いの顔を見合わせ頷き合う、グローリーが3名を抱き締めた。
「俺も手伝う…皆で育てよう…」
「グリさん…みんなごめん俺のワガママで…」
「晴海君、我が儘じゃないよ。君の選択はこの先後悔する時が来たとしても」
「俺達がいる…」
「そうだよ!支えるからね」
「僕もです、晴海くん!」
「じゃ、グリっちの家広くするわ」
「子供用品増やさないとな、晴海君…皆がいるんだ。君にそんな選択をさせたのはすまない、だがそんな事はさせないからな」
「みんな…ありがとう…ございます」
千歳、大河、詠斗。率、懐記、崇幸が晴海に言葉を掛けていく、外神はその光景を眺めメシュレラも複雑な顔をしつつ受け入れた。
「外神さん…取引をしましょう。蜘蛛の脚1本を私にくれません?その代わりこちらをあげますよ」
チリン…蒐集家が話しが一通り終わったタイミングで外神に声掛けをする、蒐集家の収納から出て来たのは結界に厳重に守られた蟲毒蝶の羽…チナスの羽だった。
「蟲毒蝶の羽……ああ、これがあれば…分かりました。脚1本と引き換えにこれを使います」
「ええ、愉しみしていますよ」
チリン…外神と蒐集家の視線が絡む、外神が羽を受け取り収納にしまう。
「メディエスカさん唄をお願いします、武器の調整をしに外に出ます」
「りょうーかい!」
「その前にみんな昼飯にしよ」
「お、外出て飯だな」
懐記の呼びかけに崇幸が頷く、昼食は……大人数なので持ち寄りで済ませる事にした…。

「チーズとパンとーお肉ですー」
「こっちは野菜のスープだよ」
「おにぎりはこっち」
「魚のソテー貰って来ましたー」
「こっちもパンあるすよー」
「肉串もって来たぞ!」
「サラダありますよ」
「ポップコーンとクッキーもどうぞ」
《ガルディア》の元貧民街の炊き出しの広場で各自自由に食事を始める、色々な人々が食事を出してくれる、最近では外神くれた酵母のお陰でパンが格段に美味しくなり急速にパン革命が起こり広まった。
「パン美味しくなったよね、柔らかさが違うよ」
「時間が経っても美味いからな」
「最近は朝はパンだね、外神君がくれた米の木のご飯も美味しいけれどコーヒーに合うからね」
「コーヒー豆の木にカカオの木まで用意してくれたからな」
「ナイルさんが喜んでくれました!」
千歳達も焼きたてのパンにを食べながらコーヒーを飲む、たまごダンジョンのゆで卵やオムレツを食べつつ晴海の様子を見ている、イザラとイデアやグローリー達と少し意気消沈しながらも食事をしている…ワガママや無茶を言う子では無い、無茶を言ってしまい誰かに迷惑が掛かってしまった事に気持ちが下がっているようだ。

「外神さん…俺、ごめんなさい…」
「………晴海さん謝らないで下さい…必ず連れて戻ります」
昼食が終わり各自の仕事などに戻り外には外神達や詠斗達が残っているだけでもう一度謝る、外神は相も変わらず感情も無い薄い表情で首を振った。
「武器を異界魔法を使い進化させます、蟲毒蝶の羽で今回はきっと…」
「俺に出来ることがあればなんでもするよ」
「待っていて下さい…信じて…」
「うん…」
「では始めます……皆さん避難してください」
「私は提供者なので興味あります、良いですよね?」
「構いませんよ…皆さんはゆっくり休んで下さい」
「俺も気になるな見たい」
「僕たちはどうかな?」
「俺も見せて欲しい」
「……分かりました…結界を張りますのでそこから出ないようにして下さい」
蒐集家、大河、千歳、晴海の意見を聞き残りたい者はどうそという感じで外神が了承する。
「お前たち絶対にコイツが何をしても結界を抜けるなよ、声もなるべく出さないように」
メシュレラが注意事項を伝える、必ず守るようにと念を押して皆その場に留まった…。
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