上 下
468 / 807
第011部 イレギュラー過ぎる召喚は神々も知らない内に/500年の孤独と独夜と独りと到達に至る導 回顧録

第034話 会議…揃わず

しおりを挟む
カレーパーティは大盛り上がり、酒も肉も色々な物が驚異的な早さで消費されていき、裏ギルドの面々や《ゼロ商会》とのメンバー達とすっかり意気投合し、皆こちらでの活動に納得したようで和気あいあいと過ごした……その翌日…。

「…おはようございます…では話しを進めていきますね」
「外神君…それはいいが人数はこれしか集まっていないけど良いのか?」
「はい…いつもこんな感じです…一応皆さんに渡した端末から見れますが皆さん見ませんし、任せるとの事です」
「そうか…」
「はい」
「気にするな崇幸、いつもの事だ」
朝、会議をすると呼ばれたのは《アウトランダーズ商会》の主要メンバー達と…外神側からはメシュレラとギーギス……ニーチェとゴーレム体のナビとゲーテだけだった。
「裏ギルドと《ゼロ商会》の方々は現在任務中の方と孤児院にいる方達以外はいます…《ゼロ商会》の店舗は《ティオイン》という国…にあり店は無人販売で商品の加工と生産はアンスロポモーフィク達が行っています、そこを拠点に距離はありますが孤児院が現在4つあります」
「みんなに会いたい…」
「もちろんだ、弟よ。2つの個人は問題なく移動可能だ距離があるがな。残り2つは難しい」
「……だめ?」
「物理的に難しいです、僕の残りのポイントを支払っても空間を繋げる事が2つの孤児院からこちらまで転移は出来ません」
「それで1つ提案がある、神様達にも相談したんだそれならなんとか出来そうだと、千歳君」
「はい、此処からは僕が説明するよ。昨日神々と確認したのは転移をスムーズに行える中継場所を作るという事なんだ。そして2つの孤児院の子供達を迎えにも行ける…空…飛行船を使って空の旅はどうかな?」
「……なるほど、中継地点はいくつあれば良いですか?」
外神の説明にグローリーが他の孤児院にいる魔人の子供達や魔人に会いたいと言えばメシュレラが頷く、崇幸と千歳の案に外神が乗ってくれるので話は先へと進んだ。
【ファイブとスリーの孤児院への中継場所はここからですと計8拠点必要です。大陸を幾つか超えますから…】
「急ぐ旅じゃないからゆっくり会いにいきましょう、グローリーさん」
「はい…」
「メシュレラ様の弟様は本当に可愛らしい方ですね」
「……ああ」
ナビが事前に用意したデータを伝え綴がグローリーに優しく言葉を掛け頷く、それを見ていた擬人化人形だというニーチェがクスクスと人らしい笑みを零しメシュレラが少し考え同意した。
「飛行船は俺が千眼さんと造るよ、《アタラクシア号》も飛ばして豪華な空の旅にしよう」
「飛行船の内部ならこっちと空間が繋げられると神々が頑張ったからね、本当に外神君には申し訳無い事をしたと」
「……いえ…船はお任せします、僕は一度店と孤児院の状況などの確認を行いますから…」
「で、夜とかは戻って来るっしょ?外神っち?外神っちだけなら超長距離転移し放題でしょ?今日は焼き肉パーティだし」
「……はい、戻ります」
千歳が少し困った顔で外神に微笑みかける、外神は無表情で1度此処を離れる旨を伝えれば懐記に釘を刺され戻って来ると伝えた。
「よし、俺は早速飛行船を造るよ」
「お願いします、僕とラジカと綴さんは《ゼロ商会》の店や業務の引継ぎを引き続き行うよ」
「外神っち塩とか売っているんだっけ、どっから仕入れてんの?」
「……僕の収納に塩の雪山を空間毎収納しているのでそこから出しています」
『………』
「スケールが違う…」
「塩の雪山って…」
「なるほど、莫大な資産はそこから出ているんですね」
「はい…ナビさん中継地点が決まったら教えて下さい。塩はメシュレラさんにも預けているので、夜には戻ります…」
【はい】
「外神っち、弁当ね」
「…ありがとうございます」
懐記が外神に弁当箱と水筒を渡す、外神は無表情に礼を言って受け取った。
「街とかで、無人販売とか土地が買えそうな所にして俺達も異国でお金稼ぎしちゃう?」
『賛成』
詠斗や率とポカンとしている晴海、塩は何処でも高価な値段で取引が行われているのだ、仕入れが無料なら利益が膨大だ。
外神が収納から銃を出し超長距離転移を行い、他の孤児院へと向かう。
他の面々も各々の場所に戻る、グローリーとメシュレラはと共に教室へと向か昼が終わればたまごダンジョンに行く事になっている。
晴海はイザラ達が待つ公園へ懐記から弁当を貰い転移する、率は部屋や店の話し合いにとチャスの家に戻り、千歳はそのままニーチェを交え綴、ラジカとナビやゲーテと共に仕事を勧めていく。
舵は今日は店の手伝いで欠席、懐記は焼き肉パーティの準備、燈火も孤児院で子供達の世話や教室の手伝いをする為に欠席とし、後で情報を共有する事になっている、皆忙しく働いている。

「はあ…」
「溜息すると幸せが逃げます…日本の書物に書いてありますよ」
「溜息も出したくなるだろう…」
「ふむ……流石に気落ちするだろう」
「一体彼はこの500年何をしていたんでしょうか…」
「我々とあまり関わり合いたく無さそうなのです…」
「無口…無表情…静か…」
「討伐解除……何があったかは聞いても教えてはくれないでしょう…」
「ですが我々と同じ存在にはならないでしょう…討伐解除に幾らでも待つと…」
「異界の天屍に龍に魔族に収納には異界の魔王や生物を封印…もはや神でもない」
「500年…《アタラクシア》の意思と意図が絡まなければ出来ない業だ」
「彼だけ何かあった飛ばしたのだと思いますが…魔王の転生体でもありませんし地球にいた異界人でもありません」
「そしてその異界人が稼いだ8億ポイント…文字通り血を吐き様々な喪失を経て…現在あの場所に立っている…」
『………』
《神の庭》にて落ち込む神々、外神に関してはさっぱり分からない、討伐対象の解除に励む事しか出来ない、他にも何かしたいが外神自身は何も求めていない。魔人の子供達に逢いたいというグローリーに構わないという外神、手段を出来る限り用意した神々…本当なら希望を叶えたいが難しい…。
「1度しっかり話しをしたいですが…」
「彼ら経由で聞いてみますか…?」
「ふむ……これからは位置も把握できる良き所で話するとしよう」
『異議なし』

【マスター、神々が申し訳ない気持ちで滅入っていますよ】
「………気にするなと伝えても……」
【なら、何か贈ります!?】
「…………任せます」
【はい!!お任せください!】
超長距離転移で《ゼロ商会》の店に入れば、ナビとゲーテから話がくるので2名に任せる事にした。
神々が悪い訳ではないのだ、それを外神は理解している、恨む筋合いはない、今まで通りしてくれればいい…それだけだ。
申し訳ないという気持ちも何かをしたいという気持ちもいい、頼んだ事をしてくれさえすればいいのだ。
ナビとゲーテにそちらは任せアンスロポモーフィク達から在庫の報告などが入り、収納から在庫や塩の塊を出す、後は適当に頼み次の孤児院へと移動した。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

元万能技術者の冒険者にして釣り人な日々

於田縫紀
ファンタジー
俺は神殿技術者だったが過労死して転生。そして冒険者となった日の夜に記憶や技能・魔法を取り戻した。しかしかつて持っていた能力や魔法の他に、釣りに必要だと神が判断した様々な技能や魔法がおまけされていた。 今世はこれらを利用してのんびり釣り、最小限に仕事をしようと思ったのだが…… (タイトルは異なりますが、カクヨム投稿中の『何でも作れる元神殿技術者の冒険者にして釣り人な日々』と同じお話です。更新が追いつくまでは毎日更新、追いついた後は隔日更新となります)

勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!

よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です! 僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。 つねやま  じゅんぺいと読む。 何処にでもいる普通のサラリーマン。 仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・ 突然気分が悪くなり、倒れそうになる。 周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。 何が起こったか分からないまま、気を失う。 気が付けば電車ではなく、どこかの建物。 周りにも人が倒れている。 僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。 気が付けば誰かがしゃべってる。 どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。 そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。 想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。 どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。 一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・ ですが、ここで問題が。 スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・ より良いスキルは早い者勝ち。 我も我もと群がる人々。 そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。 僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。 気が付けば2人だけになっていて・・・・ スキルも2つしか残っていない。 一つは鑑定。 もう一つは家事全般。 両方とも微妙だ・・・・ 彼女の名は才村 友郁 さいむら ゆか。 23歳。 今年社会人になりたて。 取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。

今日も聖女は拳をふるう

こう7
ファンタジー
この世界オーロラルでは、12歳になると各国の各町にある教会で洗礼式が行われる。 その際、神様から聖女の称号を承ると、どんな傷も病気もあっという間に直す回復魔法を習得出来る。 そんな称号を手に入れたのは、小さな小さな村に住んでいる1人の女の子だった。 女の子はふと思う、「どんだけ怪我しても治るなら、いくらでも強い敵に突貫出来る!」。 これは、男勝りの脳筋少女アリスの物語。

やさしい異世界転移

みなと
ファンタジー
妹の誕生日ケーキを買いに行く最中 謎の声に導かれて異世界へと転移してしまった主人公 神洞 優斗。 彼が転移した世界は魔法が発達しているファンタジーの世界だった! 元の世界に帰るまでの間優斗は学園に通い平穏に過ごす事にしたのだが……? この時の優斗は気付いていなかったのだ。 己の……いや"ユウト"としての逃れられない定めがすぐ近くまで来ている事に。 この物語は 優斗がこの世界で仲間と出会い、共に様々な困難に立ち向かい希望 絶望 別れ 後悔しながらも進み続けて、英雄になって誰かに希望を託すストーリーである。

リリゼットの学園生活 〜 聖魔法?我が家では誰でも使えますよ?

あくの
ファンタジー
 15になって領地の修道院から王立ディアーヌ学園、通称『学園』に通うことになったリリゼット。 加護細工の家系のドルバック伯爵家の娘として他家の令嬢達と交流開始するも世間知らずのリリゼットは令嬢との会話についていけない。 また姉と婚約者の破天荒な行動からリリゼットも同じなのかと学園の男子生徒が近寄ってくる。 長女気質のダンテス公爵家の長女リーゼはそんなリリゼットの危うさを危惧しており…。 リリゼットは楽しい学園生活を全うできるのか?!

異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?

お子様
ファンタジー
机の引き出しから過去未来ではなく異世界へ。 飛ばされた世界で日本のような快適な生活を過ごすにはどうしたらいい? 自重して目立たないようにする? 無理無理。快適な生活を送るにはお金が必要なんだよ! お金を稼ぎ目立っても、問題無く暮らす方法は? 主人公の考えた手段は、ドン引きされるような内容だった。 (実践出来るかどうかは別だけど)

異世界でお取り寄せ生活

マーチ・メイ
ファンタジー
異世界の魔力不足を補うため、年に数人が魔法を貰い渡り人として渡っていく、そんな世界である日、日本で普通に働いていた橋沼桜が選ばれた。 突然のことに驚く桜だったが、魔法を貰えると知りすぐさま快諾。 貰った魔法は、昔食べて美味しかったチョコレートをまた食べたいがためのお取り寄せ魔法。 意気揚々と異世界へ旅立ち、そして桜の異世界生活が始まる。 貰った魔法を満喫しつつ、異世界で知り合った人達と緩く、のんびりと異世界生活を楽しんでいたら、取り寄せ魔法でとんでもないことが起こり……!? そんな感じの話です。  のんびり緩い話が好きな人向け、恋愛要素は皆無です。 ※小説家になろう、カクヨムでも同時掲載しております。

転生貴族の移動領地~家族から見捨てられた三子の俺、万能な【スライド】スキルで最強領地とともに旅をする~

名無し
ファンタジー
とある男爵の三子として転生した主人公スラン。美しい海辺の辺境で暮らしていたが、海賊やモンスターを寄せ付けなかった頼りの父が倒れ、意識不明に陥ってしまう。兄姉もまた、スランの得たスキル【スライド】が外れと見るや、彼を見捨ててライバル貴族に寝返る。だが、そこから【スライド】スキルの真価を知ったスランの逆襲が始まるのであった。

処理中です...