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第011部 イレギュラー過ぎる召喚は神々も知らない内に/500年の孤独と独夜と独りと到達に至る導 回顧録

第011話 お泊まり /買い物…頑張る

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【第09話 お泊まり】

「急遽出した物だけど、売れたね。明日も完売しそうならやろうか毎日果物出来るし」
「そうですね、子供たち売り切れたのでとても張り切っていますね」
夜になり本日の屋台は片付けし皆テントの中で夕食のカツカレー、サラダ、スープの用意をた。
『いただきまーす』
エージェも見よう見真似で挨拶し、なんだか辛そうな匂いのする見た事もない食べ物をスプーンで掬って食べてみる。
「おいしい…」
「カレーっていうんだよー」
「このカツっていうのも美味しいですよ、揚げてるんだ」
パアとエージェの表情が明るくなる、エツィアとテスカが教えてくれている間にチグリスがおかわりを貰っている。
「おかわりして下さい」
「沢山ある」
綴と懐記が大鍋4つを指す、パンに付けても美味しい。
「こんな、柔らかくてふかふかなパン初めてたべた」
「俺たちもそうだな」
「そうそ、おいしいものって沢山あるよね」
エツィア達がスマホで写真を撮る、エージェは夢中で食べた…。

【第09話 買い物…頑張る】

朝…7時…起きる…収納から皿に移しておいたスープと飴を食べ、採取を行う、キノコ…食べられる草…売れる草…昨日のお茶が美味しかった…また飲みたいのでユニエの所も寄ろうか。
草の採取が済んだので、汚れがないか確認して転移して元酒場へ向かう。
「……昨日と変わらない…」
壁を土にして軋む音が無くなる、どうせならとカウンターや棚、椅子も全て土で多い強度を上げてみる。
「2階……」
昨日結局行かなかった2階は2部屋、突き当たりは物置、浄化魔法は家全体に掛けたので臭い等も無い。
2部屋とも何も無いのが逆に良かった。
壁と床の強度を上げてみた、カウンターに肘を付いて少し目を閉じる。
「…………………いい」
しばらくそうして漸く立ち上がり、町に向かいまず冒険者ギルドへ向かった。

「おはようございます、買い取りですか」
「はい、お願いします…」
「少々お待ち下さい……7,000ログで如何ですか?」
「はい、お願いします」
朝の冒険者ギルドは賑わっていた、装備に身を固めた屈強な男達や荷物運びの冒険者に回復や補助らしき女性達を尻目に昨日と同じ女性に査定して貰う、昨日より少し量を多くしてみれば7,000ログになり嬉しい、朝の1時間程度の労働で7,000円は良い。
「では、7,000ログです。またお願いします」
余計な事を聞いて来ないのも良い、ペコリと頭を下げて市場へ向かった。

「……………」
とある布屋に立ち止まり針と糸と、高くない布を見付ける……袋と破れた服が縫えるのは良い。
「すみません、針と糸とこの布をお願いします」
「はいよ、旅人さんかい?」
「はい…」
暇そうにしていた店主が灰色の一番安い布と、かなり太い針と糸を渡してくれ、昨日服を買った時に貰った袋に入れて歩く。
「肉…………」
肉……歩いていると一際賑わいを見せる店、扉には肉屋と書かれている、気になる…が人が多いので通り過ぎる事にする。
「……………布団……」
無さそうだ…ならばシャンプーリンス…いや、石鹸が欲しい。
もっと大きな街に出ようかと、ユニエの店に向かおうかと歩くと奥まった場所に小さな肉屋がある、客がいないようで中も見えないが入ってみる事にする。
「いらっしゃい」
中は小さくひんやりとしていてしていて岩の棚に大きな葉を敷いた上に肉の塊を置いている、不衛生ぽく見える。
「見ない顔だな」
「………はい、旅をしています」
「そうか、だよなー。だからうちの店来るよな」
「………?」
「あーうちの店とあっちもう一軒ある肉屋の2軒この町に肉屋があるんだが、あっちの方が安いから皆そっち行くんだよ。うちは酒場や食堂に卸すのが主でな」
「………そうですか……このバラバラのは?」
「ああ、それは肉を整える時に出るやつの寄せ集めさ。その量で1,000ログね、ギモや荷運びの隷獣用だな」
ギモや隷獣と言うものがどんな物かは分からないが、この量で1,000ログは安い…人も食べられるのだろうか鑑定してみる、色々な肉の詰め合わせ:お得、人も食べられる、新鮮です!何の肉かはこの際置いといてスープに入れよう、収納があればこの状態を保てる。
「これを下さい」
「ん、兄さん何か連れているのか?」
「自分で食べます……」
「はぁ?あーそうか……ほら、これは腸詰めなオマケだよ」
「……ありがとうございます」
店主が少し驚くが金が無いのだろうと、肉を葉で包みオマケに腸詰めも2本オマケしてくれ頭を下げて店を出た。


「布団…石鹸……」
誰かにどうやって身体を洗っていますか…と聞ける性格ではない、歩きながら悩んでいると若い女性の声でサホンはいかが~と涼やかな声がする、顔を上げて女性だらけの露店を覗く(こっそり)目立たないように。
「本日は~50本のみ入りました~1本1万ログです~身体や髪を洗うのに艶や出て香りもありますよ」
若い女性が台に乗り歪んだ瓶を掲げれば女性達が、我も我もと手を挙げる、1万ログ……1万ログ…買えないことはないが…原材料を試しに鑑定してみる、サホン水:香料に使われているホノンという草に毒性があり肌が痛む 石鹸水 サホンという草から出来る、サホン草は割りとどこにでも生えている雑草……。
「ぁ…」
誰にも聞こえない程小さい声を出す、だが良い情報が手に入った。
申し訳ないが、あちらの商売の邪魔をするつもりは無い根拠の無い話しを言っても信じて貰えるかも分からない。
「あら、2日後にはこの町を出るのー?」
「残念だわ」
「すみません、その代わり残りの2日分は沢山ご用意してますから」
瞬く間に売り切れ店員の女性は申し訳なさそうに客達に対応している、わざと毒性のある香料を使っている訳ではないのかもしれない……いや、今まで売った分の苦情や肌テストは行っているだろう…わざとか品質を上げて値段をあげているのか…。
「……………」
ともかく欲しい情報は手にはいったので、ユニエの所に行こう。

「いらっしゃい、ちょうどお茶を淹れたんだ。どうだい?」
「いただきます…」
ユニエの店に行けば暇しているのか茶の用意をしている、誘われ昨日と同じ椅子に座りお茶を貰った。
「あの酒場酷いだろ?」
「……………」
「はは、遠慮はしなくていいさ。外よりかは少しマシだろ」
「はい…」
カラカラとユニエが笑う深いシワ、確かに外よりかは遥かに良い。
「このお茶美味しいですね…」
「ああ……それはこの奥の馴染みのお茶屋から買ったのさ、行って見ると良い」
「はい…」
茶を飲み肉とスープに合う香辛料を選んで貰い、お茶屋に向かった。

「いらっしゃいませ」
褐色の肌に銀髪の容姿の整った青年がにこやかに出迎えてくれる、背後にはいびつな瓶に淹れられた乾燥した草が並ぶ。
「ぁ……これ蜂蜜ですか?」
「ええ、種類はそれだけで高価ですがね」
「……………」
小さい瓶に淹れられた琥珀色の液体とても手が出せる代物ではないがあると便利だが今回は諦める、色々な葉の香りが心地良い、コーヒーや紅茶はよく飲んでいた。
「好みはありますか?教えて貰えればこちらで合わせますよ」
「えと、手持ちがあまりなくて…花の香りのするお茶と果物の香りのするお茶を…2,000ログ分お願いします…」
「はい、少しお待ち下さい」
女性にモテそうな笑顔だと思いながら少し待てば、小さい木箱に入れた茶葉を2つ受け取り急須の様な小さい陶器のポットを渡される。
「この茶はこれが便利です、少し底が掛けているので売り物にならないのでどうぞ、蓋を開けて茶葉を入れてお湯を注いで少し待ってコップに注いで下さい」
「ありがとうございます……」
「またお待ちしています」
ニコリと笑顔で見送られる、良い買い物が出来た。
今日はもう十分、布団は明日にして帰ろうと決めた。

【第09話 お泊まり】
「お風呂気持ち良いでしょ?」
「ん、良いにお……」
「あ、エージェちゃんねちゃった」
「疲れてたんだ」
「布団に運ぶか、俺たちもそろそろ寝るぞ……」
『はーい』
グローリー宅にて風呂を済ませ冷えた果実水を飲んでいる最中にエージェが寝てしまい、先にカーテスがエクト達と寝ている部屋にウォルゾガが運んで連れていく。
グローリーはカーテスとたまごダンジョンに来る子ども達の世話をし、明日は一緒に《エットナ》に行く事にしている。
グローリーとウォルゾガがイザラ達と寝室に向かう、タナトスは本日は《ドーバン》で奴隷達の買い取りや事務作業を補佐兼監視としてライガルとティスと共に行っているので帰るのは明日になる。

「少し休みましょう」
「ほら、ウォルゾガからサンドイッチとスープとサラダ貰ったから」
「や、夜食もありますよ。オーケスもテスナさんとソーンさんも」
「ああ」
「承知しました」
「お腹すいたー」
《ドーバン》の元ワンズの奴隷小屋で雑務や、奴隷の買い取りや住民達の診療等でライガルもティスも仕事を手伝う。
「おーい、薬来たからなー」
「ラヴィトリ殿ありがとうございます、一緒に如何ですか?」
「んー、嬉しいお誘いですが、こちらに200名程の難民が来たので忙しいのでまた」
「じゃ、下街から応援出すぞ。暇してるやつら多いし」
「お、ティス!やっとゴーシュの後継ぐ気になったのか?」
「はあ?違うぞ!そんな事言うなら出さないからな」
「悪かったよ」
「ティス…」
転移で薬を運んだラヴィトリにライガルが誘う、新たに来た難民の健康等の確認で千歳とラジカと大河、蒐集家にジラとイシュターも加わり忙しなく動いていた。
ティスの気遣いに喜ぶラヴィトリに嫌がるティスを嗜めるライガル、騒がしいと思いながら最近お気に入りの玉子サンドをタナトスは食べる……間にも住民や怪我をした奴隷達がやってくる、きりがない根本的に直した方が早いかとタナトスは思いながら対応を行った。
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