あなたは異世界に行ったら何をします?~良いことしてポイント稼いで気ままに生きていこう~

深楽朱夜

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第010部 魔人達に捧げる禍つ謳

第018話 大盛況そして…

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「来たぞ、率おめでとう」
「おめでとうございます、率さん」
「来たぞー」
『いらっしゃいませ!』
夕方ドラゴン達や魔王達が訪れる、大まかな営業時間は朝から夕方だ間も無く閉店の時間が近づく中本日最後のお客様達。
チナスと手伝いの晴海達がお茶を用意し持て成す、ニジェルガ、ライガル、ティスは早速買い物を楽しみナイルは本日は率達がここで打ち上げをするというので懐記からも預かった差し入れを渡す。
「ナイル…」
「ダメですよ、もうすぐ夕食です」
「む…」
「来た、率おめでとう」
「うーん」
「う!」
たまごダンジョンをクリアしたグローリーとエクト、セレネも訪れ祝いの言葉を贈る。
ラージュとライガルはエピシュとキートから説明され商品を爆買いしていく、ティスもゴーシュやティータ達にと色々購入していった。
「これ、さしいれ?玉子焼き…黄金の卵エクトとセレネが獲った…それで焼いてきた」
「わあ。2人共すごいね!今日の打ち上げで皆で食べますね」
「エクちゃん、セレちゃん!ありがとう!可愛い!」
率が喜んでグローリーからタッパを受け取り、エツィアが2人を抱き締める。
「率、今度はネイルをしてもらいたいな」
「率さん、よければ皇国のドラゴンにもご教授願えませんか?」
「うるさいからなーどこでーとか誰にーとか」
「それ、良いですね!ネイル教室!出来る人が増えたらもっと広がりますね!僕が先生をします」
「助かります、あとでラインしますね」
「はい!」
ニジェルガがネイルをと希望すればライガルは講師にと、率も乗り気で了承する。
店の本日分の在庫がほぼ無くなり、本日の営業は終わりだ、看板を本日の営業終了として片づけをして終わりにする。
『お疲れ様でしたー!』
「さあ、みんな打ち上げしようねーナイルさんと千眼さんと千華さんが準備してくれたからー」
『はーい』
チナスもいるのでスタッフルームに転移すれば…、可愛い空間が広がり全員が目を輝かせた。

「素敵!」
「写真!写真!」
「かわいいー」
「すてき…」
「すごい…」
「綺麗…」
「嬉しいーあ、みんなナイルさん達に写真送るから!並んで」
エピシュ、テスカ、エツィア、カヌイ、キート、チナス、率が綺麗に飾り付けられた室内を見て感動し、早速写真を撮る、テーブルには綺麗に盛り付けられた食事と神樹からの花が飾られ、皿とグラスが並べられそれぞれ卓に着けばゴーレムとヒヨコ、おりがみの子達が給仕をしてくれる。
「わあ、貴族とか王子様になったみたいですね」
キートが無邪気に笑う、グラスにジュースが注がれ乾杯し穏やかな打ち上げが始まった…。

《アタラクシア》の何処か…無限とも近い空間に玉座にだらけた姿で座る、序列第12位蒐刻魔王その2の少年は目の前の巨大な地球儀の様な《アタラクシア》は何処か濁った色をしている。
《神の庭》の《アタラクシア》は蒼く幕もないが、此方の《アタラクシア》は淀んでいる、その2はそれを嘲笑した笑みを浮かべて眺めていた。
「神々もあいつらもバカだよなぁ、《アタラクシア》は完治してねぇっつーの」
ケラケラその2は嗤う、淀んだ幕が黒い輝きを放つ。
「おっと、召喚が始まるぞ。新しいお客様だ…とうとうあんたが来るのか?なあ、外神?」
その2は何処かの誰かに問い掛ける、幕が渦を巻き何かを招こうとしていた…。

パキパキと焚火の爆ぜる音、静かな暗い森、腐って倒れた大木に座り痩せた男は独りその炎を眺めていた。
静かだが少し離れた場所で気配を感じつつ、男は枯れ木を放り込む。
夜空を眺め目その先を視る、無表情な顔に瞳は左は何かが住み着き右目は星が奔った。
「来る…」
男は静かに声を出し、そして事の成り行きを見守った…。

「もう3日…遊馬くんが帰って来ない、バイト先に言ったらそんな人いないって…おかしい…遊馬くんの実家にも行ったけど…帰ってきていないって…警察に行かないと…」
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自分が描いている漫画が打ち切りになり、遊馬もいない不安定でこの3日まともに食事もしていない、不安ばかりが掻き立てられる。
「あ、米助のご飯…」
もう夜も遅い、ペットのゴールデンハムスターの餌の準備をしようとして異変に気付。
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透明なケースの中で苦しそうに米助がひっくり返っている、燈火は慌ててケージと財布とスマホを持って動物病院へと走った…。

戸建ての家の2階の角部屋のベッドに座る、痩せすぎの色の白い陰気な青年。
スマホを上着のポケットに仕舞い、然程入っていないペラペラの財布を尻ポケットに入れ、唯一の宝物と呼べる腕時計を見に付け気配を消して家を出て日課の夜の散歩に出掛ける。
両親は彼に興味が無い、優秀な弟がいるから…不登校で引きこもりのままの息子は無い物と同じだった。
夜は好きだ、なるべく人のいない道を選んでだらだらと歩く、コンビニに行って飲み物を買って遠回りをしてだらだらと帰るそれだけ…人も自分も然程好きではない、独りが好きだ…それだけだった…。
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